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異世界転生に失敗したので、現実で闘病はじめました
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研修医のたどたどしい問診と検査を無事終え(中にはしなくても良い問診もあったんですが、何故かされた後指導まで受けていた)、病室に運び込まれます。
正直、ベッドで運ばれてる時が一番気持ち悪かったです。
四人部屋に運ばれました。
どうやら神経内科の部屋らしく、いるのは脳梗塞を起こした人たちばかりでした。
何れもご高齢のご婦人です。
めっちゃ浮いとる!
そんなことを考えていたら、カテーテル差し込まれて、あっという間にオムツ姿に!!
ああ、屈辱!
でも仕方ないですよね。
仕方ない。
自分に言い聞かせて無の境地です。
更に地獄が待っているのですが、この時は考えもしませんでした。
とりあえず必要な点滴と薬を入れ、絶食。
一度だけ吐いたんですが、もう記憶は曖昧です。
只管寝る、起きる、寝る、起きるを繰り返し、一日目終了です。
翌朝、ちょっとだけスッキリした頭で起きました。
朝の体温、血圧を測られ、心電装置をつけられました。
この時、家族には予断を許さない状態と告げられていて、最悪の場合延命治療はどうされますかと聞かれたそうです。
答えは勿論、
「NOだ」
うん、やっぱりね。
前々から、延命治療になるならそのまま看取ってほしいと話していたので、百点満点の回答です。
ちなみに、延命治療をはじめると医師の意思(洒落ではない)、家族の意思でも辞める事ができないそうです。
突然倒れた時の為に、話し合いって必要なんだなと実感しました。
話し合いって必要なんだなと実感しました。(大事なことなので二回言いました)
先生の回診に、あの研修医たちもついて回っていました。
両手の動き、足の動きをチェックして、「頑張って治していきましょう」と月並みな言葉を並べて去って行きます。
そして、ここから地獄へ突き落されるのです。
「シキバさーん、お休み中すみません。インセンしますね」
眠っていた所を突然起こされ、インセンと言う聞きなれない言葉に首をかしげていると、「よいしょー」と言う声と共にパジャマのズボンが降ろされました。
え、ちょ、待って、待って、何?
下半身オムツ状態で、混乱する頭。
そしてにこやかに、オムツを取り外す看護師さん。
「失礼しまーす」
あ、そういうことか。
インセンって、陰部洗浄の事だったのか。
そうだよね、カテーテルぶッ刺さったままだし、清潔第一だもんね。
あはは、なんかすいません。
しかしさすが看護師さん。
手慣れたものです。
手際よく処置していく看護師さんをしり目に、盛大に現実逃避していました。
それが終わったら、とにかく暇。
寝てるだけ。
暇すぎる。
午後になって家族の面会もあったんですが、いかんせん某最新型流行ウィルスのおかげで面会三十分の制限つき。
とは言え、三十分だけでも暇じゃなくなるので嬉しかったです。
「ヤシコ、だいぶスッキリした顔してんなー」
一先ず安心した家族の顔。
まだ呂律が治り切ってなかったんですが、どうしても伝えたい事があって言葉を発しました。
「ブログ……、更新、ノベプラ……」(当時はノベプラでのみ連載をしていました)
こんな時までノベプラかよ!
更に、
「ヤシコさぁ、それ、昨日もずっと言ってたよ」
言ってたんかい、私!
覚えてない。
無意識だったんでしょうけど、更新できなくなるよって一言言っておかなくちゃと言う使命感の元、うわ言のように言ってたんでしょうね。
ご存知の通り、翌日ログインパスワードを家族に教えてもらって報告できたんですが。
これ以降、特筆すべきこともなく翌朝三日目を迎えます。
三日目。
ベットアップしました。
30度。
頭がちょっと上がった程度ですね。
でもここで問題が。
ベッドアップ30度、お尻痛いです。
だんだん身体がずり下がって来るんですね。
でも気が弱くて何も言えないシキバです。
誤魔化すように、何となく体を横にしてみたりとモゾモゾしていました。
更に、午前中はMRI撮りました。
寝かされたままベッドごと移動です。
一般患者さんの間をぬって、堂々と入場です。
恥ずかしいけど、自分じゃ動けないんで仕方ありません。
ヘッドホンをつけて、いざ!
思いの他中は狭く、うるさい!
三十分程中に入って放置状態ですが、何もすることないし暇すぎて半分寝てました。
あまりに静かだったので、ちょっと心配されましたが、無事です。
暇なんです、眠いんです、もうほんとすいません。
そしてその日、言語のリハビリの方がやって来たんですね。
とりあえず、来週からリハビリ始めましょうと言うことで、様子を見に来られたようです。
わーい、暇つぶしになるわーと内心喜んでいたんですが、退院間際は苦しかったです。
宿題の量がハンパねー!
ちょっと泣きそうになりました。
まあ、とにかくリハビリ始められる程度には回復してたと言うことに、安心しました。
この日の夜、寝ている時にまた急に右手右足が動かなくなってしまって焦っていたんですが、看護師さんを呼ぶ間もなく寝てしまいました。
どうやら回復するまで波があるらしく、この日の夜が一番ダメだったようです。
結局それを伝えられないまま寝てしまって、翌朝普通に動く様になってたんで、まあいっか。
※ちゃんと看護師さんに伝えましょう。
四日目の朝です。
脳波の検査です。
頭に色々つけられるんですが、これが汚れるんですよね、ゼリーみたいなのつけられるんで。
終わった後はべたべたです。
最悪です。
なんせ、シャワー解禁なんてまだ先の話ですから。
この日から、あたまベッタベタのギットギトで過ごすことになります。
食べ物は、ゼリーが解禁になりました。
ベットアップは相変わらず30度のままです。
なので、介助が必要なんですね。
それと、嚥下ができるかどうかも見るとのことで、介助ありで食べました。
結果、問題なく食べる事は出来たんですが、ひとつ問題が。
ベッドアップ30度で食べるってキツイ。
ほぼ横になってるのと同じですからね。
これを、「30度の壁」と名付けました。
五日目。
ゼリーの量が増えました。
3種類。
お茶、トマト、メロン、ミカン、……あれ、後ひとつあったんですけど忘れた。
とにかく五種類のうちから3種類食べられるようになりました。
でも相変わらず介助が必要です。
何気にお気に入りだったのは、メロンとお茶!
美味しかったんです。
まあ、今食べたいかと言われると「NO」なんですが。
六日目。
ベッドアップ60度解禁です。
ようやく座れるまでになりました。
右手も問題なく動く様になりました。
言語のリハビリも、カードに書いてあるものの名前を言って行くんですが、詰まることなくクリア。
まだ呂律が若干回っておらず、微妙でしたが、これは退院する頃には改善しました。
更に、明日から面会全面禁止!
そうです、巷を騒がす某最新型流行ウィルスが拡大のため、明日から全面禁止になったんです。
唯一の楽しみだったのに。
この日家族との面会を最後に、退院するまで会えませんでした。
まあ、仕方ないですよね。
スマホでの会話で、何とか乗り切るのでした。
七日目。
そろそろインセンにも慣れ切った頃です。
身体のリハビリの方が見えました。
明日から、身体のリハビリもはじめるとのことでご挨拶です。
それからこの日は心臓の検査。
ベッドで再び移動。
終わった後、一般患者のいる待合室で待たされるのが恥ずかしかったです。
私は景色の一部、私は景色の一部。
お迎えの看護師さんが来るまでの間、ひたすら景色と溶け込んでいました(気持だけ)。
続く
正直、ベッドで運ばれてる時が一番気持ち悪かったです。
四人部屋に運ばれました。
どうやら神経内科の部屋らしく、いるのは脳梗塞を起こした人たちばかりでした。
何れもご高齢のご婦人です。
めっちゃ浮いとる!
そんなことを考えていたら、カテーテル差し込まれて、あっという間にオムツ姿に!!
ああ、屈辱!
でも仕方ないですよね。
仕方ない。
自分に言い聞かせて無の境地です。
更に地獄が待っているのですが、この時は考えもしませんでした。
とりあえず必要な点滴と薬を入れ、絶食。
一度だけ吐いたんですが、もう記憶は曖昧です。
只管寝る、起きる、寝る、起きるを繰り返し、一日目終了です。
翌朝、ちょっとだけスッキリした頭で起きました。
朝の体温、血圧を測られ、心電装置をつけられました。
この時、家族には予断を許さない状態と告げられていて、最悪の場合延命治療はどうされますかと聞かれたそうです。
答えは勿論、
「NOだ」
うん、やっぱりね。
前々から、延命治療になるならそのまま看取ってほしいと話していたので、百点満点の回答です。
ちなみに、延命治療をはじめると医師の意思(洒落ではない)、家族の意思でも辞める事ができないそうです。
突然倒れた時の為に、話し合いって必要なんだなと実感しました。
話し合いって必要なんだなと実感しました。(大事なことなので二回言いました)
先生の回診に、あの研修医たちもついて回っていました。
両手の動き、足の動きをチェックして、「頑張って治していきましょう」と月並みな言葉を並べて去って行きます。
そして、ここから地獄へ突き落されるのです。
「シキバさーん、お休み中すみません。インセンしますね」
眠っていた所を突然起こされ、インセンと言う聞きなれない言葉に首をかしげていると、「よいしょー」と言う声と共にパジャマのズボンが降ろされました。
え、ちょ、待って、待って、何?
下半身オムツ状態で、混乱する頭。
そしてにこやかに、オムツを取り外す看護師さん。
「失礼しまーす」
あ、そういうことか。
インセンって、陰部洗浄の事だったのか。
そうだよね、カテーテルぶッ刺さったままだし、清潔第一だもんね。
あはは、なんかすいません。
しかしさすが看護師さん。
手慣れたものです。
手際よく処置していく看護師さんをしり目に、盛大に現実逃避していました。
それが終わったら、とにかく暇。
寝てるだけ。
暇すぎる。
午後になって家族の面会もあったんですが、いかんせん某最新型流行ウィルスのおかげで面会三十分の制限つき。
とは言え、三十分だけでも暇じゃなくなるので嬉しかったです。
「ヤシコ、だいぶスッキリした顔してんなー」
一先ず安心した家族の顔。
まだ呂律が治り切ってなかったんですが、どうしても伝えたい事があって言葉を発しました。
「ブログ……、更新、ノベプラ……」(当時はノベプラでのみ連載をしていました)
こんな時までノベプラかよ!
更に、
「ヤシコさぁ、それ、昨日もずっと言ってたよ」
言ってたんかい、私!
覚えてない。
無意識だったんでしょうけど、更新できなくなるよって一言言っておかなくちゃと言う使命感の元、うわ言のように言ってたんでしょうね。
ご存知の通り、翌日ログインパスワードを家族に教えてもらって報告できたんですが。
これ以降、特筆すべきこともなく翌朝三日目を迎えます。
三日目。
ベットアップしました。
30度。
頭がちょっと上がった程度ですね。
でもここで問題が。
ベッドアップ30度、お尻痛いです。
だんだん身体がずり下がって来るんですね。
でも気が弱くて何も言えないシキバです。
誤魔化すように、何となく体を横にしてみたりとモゾモゾしていました。
更に、午前中はMRI撮りました。
寝かされたままベッドごと移動です。
一般患者さんの間をぬって、堂々と入場です。
恥ずかしいけど、自分じゃ動けないんで仕方ありません。
ヘッドホンをつけて、いざ!
思いの他中は狭く、うるさい!
三十分程中に入って放置状態ですが、何もすることないし暇すぎて半分寝てました。
あまりに静かだったので、ちょっと心配されましたが、無事です。
暇なんです、眠いんです、もうほんとすいません。
そしてその日、言語のリハビリの方がやって来たんですね。
とりあえず、来週からリハビリ始めましょうと言うことで、様子を見に来られたようです。
わーい、暇つぶしになるわーと内心喜んでいたんですが、退院間際は苦しかったです。
宿題の量がハンパねー!
ちょっと泣きそうになりました。
まあ、とにかくリハビリ始められる程度には回復してたと言うことに、安心しました。
この日の夜、寝ている時にまた急に右手右足が動かなくなってしまって焦っていたんですが、看護師さんを呼ぶ間もなく寝てしまいました。
どうやら回復するまで波があるらしく、この日の夜が一番ダメだったようです。
結局それを伝えられないまま寝てしまって、翌朝普通に動く様になってたんで、まあいっか。
※ちゃんと看護師さんに伝えましょう。
四日目の朝です。
脳波の検査です。
頭に色々つけられるんですが、これが汚れるんですよね、ゼリーみたいなのつけられるんで。
終わった後はべたべたです。
最悪です。
なんせ、シャワー解禁なんてまだ先の話ですから。
この日から、あたまベッタベタのギットギトで過ごすことになります。
食べ物は、ゼリーが解禁になりました。
ベットアップは相変わらず30度のままです。
なので、介助が必要なんですね。
それと、嚥下ができるかどうかも見るとのことで、介助ありで食べました。
結果、問題なく食べる事は出来たんですが、ひとつ問題が。
ベッドアップ30度で食べるってキツイ。
ほぼ横になってるのと同じですからね。
これを、「30度の壁」と名付けました。
五日目。
ゼリーの量が増えました。
3種類。
お茶、トマト、メロン、ミカン、……あれ、後ひとつあったんですけど忘れた。
とにかく五種類のうちから3種類食べられるようになりました。
でも相変わらず介助が必要です。
何気にお気に入りだったのは、メロンとお茶!
美味しかったんです。
まあ、今食べたいかと言われると「NO」なんですが。
六日目。
ベッドアップ60度解禁です。
ようやく座れるまでになりました。
右手も問題なく動く様になりました。
言語のリハビリも、カードに書いてあるものの名前を言って行くんですが、詰まることなくクリア。
まだ呂律が若干回っておらず、微妙でしたが、これは退院する頃には改善しました。
更に、明日から面会全面禁止!
そうです、巷を騒がす某最新型流行ウィルスが拡大のため、明日から全面禁止になったんです。
唯一の楽しみだったのに。
この日家族との面会を最後に、退院するまで会えませんでした。
まあ、仕方ないですよね。
スマホでの会話で、何とか乗り切るのでした。
七日目。
そろそろインセンにも慣れ切った頃です。
身体のリハビリの方が見えました。
明日から、身体のリハビリもはじめるとのことでご挨拶です。
それからこの日は心臓の検査。
ベッドで再び移動。
終わった後、一般患者のいる待合室で待たされるのが恥ずかしかったです。
私は景色の一部、私は景色の一部。
お迎えの看護師さんが来るまでの間、ひたすら景色と溶け込んでいました(気持だけ)。
続く
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