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マリア――2
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マリアを連れてZを避けながらの移動は思っていたよりも時間がかかった。
なにせ、生粋のお嬢様のようなマリア、隣の建物に移動するだけでも時間がかかる。
せめて走ることの難しいヒールのある靴だけでも何とかしたい所ではあるけれど……。
僕にもアリスのようにこの土地に詳しければよかったのに、とつくづくそう思ったけど、目視であの灯りのつく高いビルの方向に進むのが精一杯だった。
「あのさ……その……その靴で走ったりは……出来る?」
「思いっきり走るのは少々厳しいと思います。
走ってヒールが折れたりしたら歩けなくなりますし」
ああ、やっぱり。
やっぱりせめて靴だけでもなんとかしないと。
……マリアが気にしないのならそこかしこに落ちてはいるけど……。
死体から靴を取って履くのはさすがに嫌がるだろうか。
……いや、もしもそんな靴を履いてマリアがZになってしまったら、とか考えてしまって、思わずがっくりと肩を落としてしまう。
「出来るだけ早く、走れる靴を探して来るよ」
足のサイズをマリアに聞いて、覚えておく。
「すみません、よろしくお願いします」
今日は早めに安全な場所にマリアを連れて行って、僕は靴を手に入れようと考える。
とはいえ、隠れ家の地図なんてものは持ってないので安全な場所といってもすぐに用意できるわけではなくて、Zが居ない、もしくはやっつけて作らなくてはいけないのでどれだけ時間がかかるかは分からないのだが。
運よくZの居ない場所で隠れ家を見つけられ、思ったよりも早い時間、太陽がまだ上にある間に落ち着くことが出来た。
マリアをそこに残すと、僕は靴と当座の食料を探しにまた外へと出て行った。
食料はともかく、靴は僕には難しかったが、とりあえずZに出会わないように気をつけながら道路を歩いた。
割れたショーウインドーの中にハイヒールが見えて、その中を見ているとスニーカーがあるのが分かり、音を立てないようにドアを開けて中に入る。
店の中で動くものがないか、耳と感覚を澄ませ、いないのを確認してスニーカーの棚の前でピンクのスニーカーをとりあえず手に取ってみる。
「サイズは……と……」
靴は大きすぎても小さくてもダメだ、とマリアに聞いたサイズを棚から探して、結局白いスニーカーがそのサイズだったのでそれを背中のリュックの中にと入れる。
ついでに手近にあった靴下をいくつか一緒に詰めて、銃を構えながらドアの外にと出る。
まだ陽は高く、Zの奴等の姿も見えない。
ちょうど出た店の隣がベーカリーだったらしく、パンの匂いが微かにした。
この店もドアやショーウインドーのガラスが割られていて、床にパンやジャムの瓶らしいものが転がっていた。
「……どうせ腐ってるんだ」
店から離れながら、かつてはおいしいパンだったそれらに背を向けた。
「……甘いもの、あったらマリアも喜ぶかな」
女の子は甘いものが好きだ。
それに疲れも取れるというし……。
ずっと甘いものなんか口に入れてないのを思い出して、ごくりと喉が鳴った。
一度背を向けたベーカリーの中へと入り、床に転がっている瓶を手に取ってみる。
「ちぇっ、マスタードか」
マスタードの瓶をそのまま床に戻した。
棚に瓶が並んでいたのでそこからいくつか持っていくことにして、瓶のラベルを読んでみる。
「ストロベリー、ブルーベリー、ナッツ……これは……チェリーか、いいな、これにしよう」
実がごろんと入ったチェリージャムを一つ取って、リュックに入れる。
棚にあったチーズも真空パックだったのでいくつか持っていくことにする。
「靴にジャムにチーズ、大漁だな」
このくらいにして戻ろうと店から出ようとしたらZの姿が見えた。
「……何匹だ、一匹くらいならなんとか……」
ライフルにサイレンサーを付けるとスコープを覗く、どうやら一匹だけのようだ。
照準を合わせて頭に狙いをつけて、引き金を引く。
崩れ落ちていくZにほっとして、ライフルを担ぎ直して隠れ家に走る。
希望があるからこそ、無茶は出来ない。
極力音を立てないように走り、隠れ家のドアを決めた合図でノックする。
コンコン、と二回、少し空けてコンと一回、そしてまた二回叩く。
中からドアが開けられて中に滑り込み、鍵を掛ける。
ふう、と息を吐きながら振り返るとマリアが心配そうに僕を見ていて、大丈夫だと笑ってみせる。
「マリア、靴を手に入れたから履いてみて。
それと……靴下も。
靴を履き替えたら、食事にしよう、チェリージャムは好き?」
「靴ね、ありがとうシュウ。
チェリージャム?
ええ、好きよ、大好き」
マリアに白いスニーカーと靴下とを渡して、リュックからジャムの瓶とチーズを取り出す。
「ジャムならこのクリームチーズが合うかなぁ?」
リュックの中には、クラッカーと缶詰がいくつかあり、何となくクラッカーとクリームチーズとジャムとを壁に積んであったダンボールの一つを床に置いて、食卓代わりに上に並べた。
ナイフでチーズを切り分けているとマリアがスニーカーに履き替えて来て、ささやかな、ご馳走に嬉しそうにする。
お嬢様には本当にささやかな食事だけど、それでも甘いジャムがあるのは嬉しいみたいだ。
「シュウ、すごいわ。
こんなの久しぶりよ、なんて美味しそうなのかしら」
クラッカーに薄く切ったチーズとチェリージャムを乗せただけの簡易な食事を嬉しそうに見るマリアに、僕もちょっと嬉しくなったりして、自然と笑みが浮かんでしまう。
きっと以前なら、マリアにはこんなの食事ではなく茶菓子ですらなかっただろうに。
安物のクラッカーにチーズ、ジャムもきっと普段食べていたものよりもずっと落ちる安い品だろうに、それを美味しそうと言ってくれる。
ああ、でも僕も甘いものなんて、何日ぶりだろう。
「食べよう、マリア。
口に合うといいんだけど」
「ふふっ、チェリージャムは大好きだもの、口の方を合わせるわ」
手を伸ばすとクラッカーを摘み口に運ぶ。
「……甘い」
「美味しい」
とろりと広がる甘さが口の中に広がる。
汁気たっぷりのチェリーの実が口の中でぷちんとはじけて、甘さに少しの酸味が混じり、なんとも言えない幸福感が胸にあふれ出す。
「やだ……私、変ね……涙が……」
マリアも僕と同じような気持ちだったのか、涙が頬を伝っていた。
切ない、懐かしい、そんな気持ちが胸いっぱいに広がって、溢れ出そうとしていた涙をそっと服の袖で拭う。
「チェリージャムがこんなに美味しいものだったなんて、私今まで知らなかったわ。
今まで食べたどんな物よりも美味しい」
涙の筋を頬に残したままマリアが微笑んでいた。
──神様。
──神様、どうか彼女を守る力を僕に下さい。
──今度こそ、守りたいんです。
これは、夢だ。
あったかも知れない未来──有り得ない夢。
青い空の下、一面の金の麦の穂が揺れている中で、金髪の少女が佇んでいる。
真っ白なTシャツにブルージーンズ、編んでない髪が風になびいている。
少女がゆっくりと振り返って、僕に微笑む。
──アリ……ス……。
金の麦と金色の髪と、真っ青な空。
とても平和な、その風景の中に──彼女がいて、笑っている。
僕は、その光景に泣いていた。
──どうか、夢なら覚めないで。
もう少しだけ、この優しい夢の中に居させて下さい。
あと、少しだけ──。
夢の中だけでもいいから、彼女といさせてください。
暗い部屋の中で目を覚ます。
金色の髪が見えて、手を伸ばして声をかけようとして──。
「アリ……」
アリスはもう居ない。
軽く頭を振るとぽたりと雫が落ちて、僕は泣いていたのに気付く。
「……ん……、シュウ……?」
「ごめん、起こした?
もう少し眠ってていいよ」
「ん……」
すうすうと寝息が立てられて、また眠りに落ちていくマリア。
柔らかな、アリスとは違う声に、現実に引き戻される。
もう居ない、それでも僕は彼女を思い出してしまう。
「……してたよ……アリス……」
半分は言葉にならない呟き、目が熱くなって瞳を閉じると頬に涙が伝っていく。
ちり、と心の奥底で暗い炎が灯った気がした。
なにせ、生粋のお嬢様のようなマリア、隣の建物に移動するだけでも時間がかかる。
せめて走ることの難しいヒールのある靴だけでも何とかしたい所ではあるけれど……。
僕にもアリスのようにこの土地に詳しければよかったのに、とつくづくそう思ったけど、目視であの灯りのつく高いビルの方向に進むのが精一杯だった。
「あのさ……その……その靴で走ったりは……出来る?」
「思いっきり走るのは少々厳しいと思います。
走ってヒールが折れたりしたら歩けなくなりますし」
ああ、やっぱり。
やっぱりせめて靴だけでもなんとかしないと。
……マリアが気にしないのならそこかしこに落ちてはいるけど……。
死体から靴を取って履くのはさすがに嫌がるだろうか。
……いや、もしもそんな靴を履いてマリアがZになってしまったら、とか考えてしまって、思わずがっくりと肩を落としてしまう。
「出来るだけ早く、走れる靴を探して来るよ」
足のサイズをマリアに聞いて、覚えておく。
「すみません、よろしくお願いします」
今日は早めに安全な場所にマリアを連れて行って、僕は靴を手に入れようと考える。
とはいえ、隠れ家の地図なんてものは持ってないので安全な場所といってもすぐに用意できるわけではなくて、Zが居ない、もしくはやっつけて作らなくてはいけないのでどれだけ時間がかかるかは分からないのだが。
運よくZの居ない場所で隠れ家を見つけられ、思ったよりも早い時間、太陽がまだ上にある間に落ち着くことが出来た。
マリアをそこに残すと、僕は靴と当座の食料を探しにまた外へと出て行った。
食料はともかく、靴は僕には難しかったが、とりあえずZに出会わないように気をつけながら道路を歩いた。
割れたショーウインドーの中にハイヒールが見えて、その中を見ているとスニーカーがあるのが分かり、音を立てないようにドアを開けて中に入る。
店の中で動くものがないか、耳と感覚を澄ませ、いないのを確認してスニーカーの棚の前でピンクのスニーカーをとりあえず手に取ってみる。
「サイズは……と……」
靴は大きすぎても小さくてもダメだ、とマリアに聞いたサイズを棚から探して、結局白いスニーカーがそのサイズだったのでそれを背中のリュックの中にと入れる。
ついでに手近にあった靴下をいくつか一緒に詰めて、銃を構えながらドアの外にと出る。
まだ陽は高く、Zの奴等の姿も見えない。
ちょうど出た店の隣がベーカリーだったらしく、パンの匂いが微かにした。
この店もドアやショーウインドーのガラスが割られていて、床にパンやジャムの瓶らしいものが転がっていた。
「……どうせ腐ってるんだ」
店から離れながら、かつてはおいしいパンだったそれらに背を向けた。
「……甘いもの、あったらマリアも喜ぶかな」
女の子は甘いものが好きだ。
それに疲れも取れるというし……。
ずっと甘いものなんか口に入れてないのを思い出して、ごくりと喉が鳴った。
一度背を向けたベーカリーの中へと入り、床に転がっている瓶を手に取ってみる。
「ちぇっ、マスタードか」
マスタードの瓶をそのまま床に戻した。
棚に瓶が並んでいたのでそこからいくつか持っていくことにして、瓶のラベルを読んでみる。
「ストロベリー、ブルーベリー、ナッツ……これは……チェリーか、いいな、これにしよう」
実がごろんと入ったチェリージャムを一つ取って、リュックに入れる。
棚にあったチーズも真空パックだったのでいくつか持っていくことにする。
「靴にジャムにチーズ、大漁だな」
このくらいにして戻ろうと店から出ようとしたらZの姿が見えた。
「……何匹だ、一匹くらいならなんとか……」
ライフルにサイレンサーを付けるとスコープを覗く、どうやら一匹だけのようだ。
照準を合わせて頭に狙いをつけて、引き金を引く。
崩れ落ちていくZにほっとして、ライフルを担ぎ直して隠れ家に走る。
希望があるからこそ、無茶は出来ない。
極力音を立てないように走り、隠れ家のドアを決めた合図でノックする。
コンコン、と二回、少し空けてコンと一回、そしてまた二回叩く。
中からドアが開けられて中に滑り込み、鍵を掛ける。
ふう、と息を吐きながら振り返るとマリアが心配そうに僕を見ていて、大丈夫だと笑ってみせる。
「マリア、靴を手に入れたから履いてみて。
それと……靴下も。
靴を履き替えたら、食事にしよう、チェリージャムは好き?」
「靴ね、ありがとうシュウ。
チェリージャム?
ええ、好きよ、大好き」
マリアに白いスニーカーと靴下とを渡して、リュックからジャムの瓶とチーズを取り出す。
「ジャムならこのクリームチーズが合うかなぁ?」
リュックの中には、クラッカーと缶詰がいくつかあり、何となくクラッカーとクリームチーズとジャムとを壁に積んであったダンボールの一つを床に置いて、食卓代わりに上に並べた。
ナイフでチーズを切り分けているとマリアがスニーカーに履き替えて来て、ささやかな、ご馳走に嬉しそうにする。
お嬢様には本当にささやかな食事だけど、それでも甘いジャムがあるのは嬉しいみたいだ。
「シュウ、すごいわ。
こんなの久しぶりよ、なんて美味しそうなのかしら」
クラッカーに薄く切ったチーズとチェリージャムを乗せただけの簡易な食事を嬉しそうに見るマリアに、僕もちょっと嬉しくなったりして、自然と笑みが浮かんでしまう。
きっと以前なら、マリアにはこんなの食事ではなく茶菓子ですらなかっただろうに。
安物のクラッカーにチーズ、ジャムもきっと普段食べていたものよりもずっと落ちる安い品だろうに、それを美味しそうと言ってくれる。
ああ、でも僕も甘いものなんて、何日ぶりだろう。
「食べよう、マリア。
口に合うといいんだけど」
「ふふっ、チェリージャムは大好きだもの、口の方を合わせるわ」
手を伸ばすとクラッカーを摘み口に運ぶ。
「……甘い」
「美味しい」
とろりと広がる甘さが口の中に広がる。
汁気たっぷりのチェリーの実が口の中でぷちんとはじけて、甘さに少しの酸味が混じり、なんとも言えない幸福感が胸にあふれ出す。
「やだ……私、変ね……涙が……」
マリアも僕と同じような気持ちだったのか、涙が頬を伝っていた。
切ない、懐かしい、そんな気持ちが胸いっぱいに広がって、溢れ出そうとしていた涙をそっと服の袖で拭う。
「チェリージャムがこんなに美味しいものだったなんて、私今まで知らなかったわ。
今まで食べたどんな物よりも美味しい」
涙の筋を頬に残したままマリアが微笑んでいた。
──神様。
──神様、どうか彼女を守る力を僕に下さい。
──今度こそ、守りたいんです。
これは、夢だ。
あったかも知れない未来──有り得ない夢。
青い空の下、一面の金の麦の穂が揺れている中で、金髪の少女が佇んでいる。
真っ白なTシャツにブルージーンズ、編んでない髪が風になびいている。
少女がゆっくりと振り返って、僕に微笑む。
──アリ……ス……。
金の麦と金色の髪と、真っ青な空。
とても平和な、その風景の中に──彼女がいて、笑っている。
僕は、その光景に泣いていた。
──どうか、夢なら覚めないで。
もう少しだけ、この優しい夢の中に居させて下さい。
あと、少しだけ──。
夢の中だけでもいいから、彼女といさせてください。
暗い部屋の中で目を覚ます。
金色の髪が見えて、手を伸ばして声をかけようとして──。
「アリ……」
アリスはもう居ない。
軽く頭を振るとぽたりと雫が落ちて、僕は泣いていたのに気付く。
「……ん……、シュウ……?」
「ごめん、起こした?
もう少し眠ってていいよ」
「ん……」
すうすうと寝息が立てられて、また眠りに落ちていくマリア。
柔らかな、アリスとは違う声に、現実に引き戻される。
もう居ない、それでも僕は彼女を思い出してしまう。
「……してたよ……アリス……」
半分は言葉にならない呟き、目が熱くなって瞳を閉じると頬に涙が伝っていく。
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