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序章
禁忌の術式(レティシア目線)
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「やってくれ!」
「…わかった。後悔はないね?」
「ああ!」
懐中時計を閉じる。たちまち心の中に不安が広がる。
(どうしよう。ああ言ってもらえたけど…自信がない。)
掃除をしていたアリスとすれ違う。私が悩んでいるのにも気づかずに、通りすぎていった。すると、アリスは行きなり振り向いた。
「レティ様~?何か不安なことがあるんですにゃ?」
「実は、斯々然々で」
不安げに相談する弱々しいわたしの声を、遮らずににゃるほどにゃるほど、と聞いてくれた。1通り話し終わると、アリスは少しだけ考えて口を開く。
「頼まれたなら、やるっきゃのいんじゃないですか?」
いつものふざけた口調ではなく、真面目に、でも優しく背中を押してくれた。どこにでもあるような言葉だが、私を勇気付ける言葉はこれ以上になかった。
「ありがとう。頑張ってみる。」
そう決意をして図書館へ向かうわたしの背中をアリスは暖かい目で見守った。
図書館に着き、寿命砂時計のある部屋へ行く。すぐにハルトの寿命を見つけ出し、砂時計を持ち上げた。
「目をつぶって、集中して…吸ってーはいてー。……ふぅ、落ち着いた。行くわよ!」
覚悟は決まった。魔力を砂時計に流し込む。
「ーーーーー!」
たまっていた黒色の美しい砂が逆流してもとに戻る。
「ふぅ。成功…かな?」
そう思ったのも束の間。生と死の境界が曖昧になってしまっていたのだ。
「ああ、やってしまった。やっとできるようになったと思ったのに。」
懐中時計で、結果を知らすことにした。早く伝えた方がいいだろう。
「もしもし、ハルト?」
「レティシア、さん?どうだったんですか?」
「それが、生と死の境界が曖昧になって…つまり、失敗したの。寿命は一応延びたけど。」
「延びたんなら成功じゃないですか!やった!ありがとうございます!」
「ああ…うん…」
「ところで、生と死の境界ってなんですか?俺は今どういう状態なんですか?」
「えーっと、半分死んでる、て感じ?」
「えー!半分幽霊ってこと?」
「うん…まぁ…そうだね。」
「何それかっけぇ」
「ははは…そうだよね…って、かっけぇ!?ええー!?」
「うん、なんかすごそう。建物すり抜けられたりできる?」
「うんまあ。」
「やったー!ありがとう!」
「え、あ、うん。」
「他に何かある?」
「少しなら浮けたりとか。」
「すっげーーー!」
「喜んでくれるなんて…。ありがとう…!」
その優しさに、思わず涙ぐんでしまった。もっとも、本心の可能性もあるが。
「話し聞いてたレンがめっちゃ羨ましがってるよ。」
「そっか。うん、ありがとう。」
「もうきるね。」
「わかった。じゃあね。」
懐中時計を閉じる。安堵した私の顔を見て、アリスが優しく微笑んだ。
※次回から、再びハルト目線に戻ります。
「…わかった。後悔はないね?」
「ああ!」
懐中時計を閉じる。たちまち心の中に不安が広がる。
(どうしよう。ああ言ってもらえたけど…自信がない。)
掃除をしていたアリスとすれ違う。私が悩んでいるのにも気づかずに、通りすぎていった。すると、アリスは行きなり振り向いた。
「レティ様~?何か不安なことがあるんですにゃ?」
「実は、斯々然々で」
不安げに相談する弱々しいわたしの声を、遮らずににゃるほどにゃるほど、と聞いてくれた。1通り話し終わると、アリスは少しだけ考えて口を開く。
「頼まれたなら、やるっきゃのいんじゃないですか?」
いつものふざけた口調ではなく、真面目に、でも優しく背中を押してくれた。どこにでもあるような言葉だが、私を勇気付ける言葉はこれ以上になかった。
「ありがとう。頑張ってみる。」
そう決意をして図書館へ向かうわたしの背中をアリスは暖かい目で見守った。
図書館に着き、寿命砂時計のある部屋へ行く。すぐにハルトの寿命を見つけ出し、砂時計を持ち上げた。
「目をつぶって、集中して…吸ってーはいてー。……ふぅ、落ち着いた。行くわよ!」
覚悟は決まった。魔力を砂時計に流し込む。
「ーーーーー!」
たまっていた黒色の美しい砂が逆流してもとに戻る。
「ふぅ。成功…かな?」
そう思ったのも束の間。生と死の境界が曖昧になってしまっていたのだ。
「ああ、やってしまった。やっとできるようになったと思ったのに。」
懐中時計で、結果を知らすことにした。早く伝えた方がいいだろう。
「もしもし、ハルト?」
「レティシア、さん?どうだったんですか?」
「それが、生と死の境界が曖昧になって…つまり、失敗したの。寿命は一応延びたけど。」
「延びたんなら成功じゃないですか!やった!ありがとうございます!」
「ああ…うん…」
「ところで、生と死の境界ってなんですか?俺は今どういう状態なんですか?」
「えーっと、半分死んでる、て感じ?」
「えー!半分幽霊ってこと?」
「うん…まぁ…そうだね。」
「何それかっけぇ」
「ははは…そうだよね…って、かっけぇ!?ええー!?」
「うん、なんかすごそう。建物すり抜けられたりできる?」
「うんまあ。」
「やったー!ありがとう!」
「え、あ、うん。」
「他に何かある?」
「少しなら浮けたりとか。」
「すっげーーー!」
「喜んでくれるなんて…。ありがとう…!」
その優しさに、思わず涙ぐんでしまった。もっとも、本心の可能性もあるが。
「話し聞いてたレンがめっちゃ羨ましがってるよ。」
「そっか。うん、ありがとう。」
「もうきるね。」
「わかった。じゃあね。」
懐中時計を閉じる。安堵した私の顔を見て、アリスが優しく微笑んだ。
※次回から、再びハルト目線に戻ります。
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