追放聖女は呪われました

さおり(緑楊彰浩)

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3話

3-5

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「大丈夫かい? 途中まで送って行こうか?」
「いいえ、ここまでで大丈夫です。送っていただき、ありがとうございました」

 お礼を言って頭を下げると、門の外へと向かって歩き始めた。国境を越える姿を見届けるためなのか、馭者は黙ってルージュを見ていた。
 抱えている紙袋を落とさないように歩きながら、ルージュは躊躇わずに国境を越えた。ここから先は、何があっても誰も助けてはくれない。国内にいれば魔法を使える人が助けてくれるけれど、国境を越えてしまえばソレイユ王国に行かない限り人には会わないかもしれない。何かがあった場合は、自分でどうにかしなくてはいけない。
 このまま真っ直ぐ道を進めば、ソレイユ王国に辿り着くだろう。けれど歩いて行かなくてはいけないため、何事もなく着くことができたとしても夜になってしまうだろう。
 でも今のルージュには、夜になろうと関係なかった。向かうのはソレイユ王国ではないからだ。
 真っ直ぐ進む道には進まず、すぐに左へと曲がる。そうすれば馭者からルージュの姿は見えなくなる。今の彼女には姿を見られることが一番の問題だった。
 見られていれば、何処にいるのかが分かってしまう。きっと目撃した馭者は両親に何処にいるのかを話してしまうだろう。そうならないために一度見られない場所に移動しなくてはいけなかった。
 暫く歩き続けてから立ち止まると、後ろを振り返る。そこには誰もいなかった。離れた門から馭者が顔を出しているわけでもない。誰かに見られる心配はないようだ。
 カバンと紙袋を持ち直すと、左を向く。ディオース王国とソレイユ王国の間には大きな森がある。ルージュの目的の場所はその森の中にあるのだ。
 近い場所でもあるため、いる場所が分かってしまえば簡単に会えてしまう。だから誰にも見られたくなかったのだ。
 舗装されていない茂みの中を、枝に気をつけながら歩いて行く。道からは彼女の姿がすぐに見えなくなるだろう。木々が生い茂っており、薄暗い場所では太陽の光が当たらない限り、ルージュの目立つ真っ白な髪は見えはしない。
 どんなに気をつけていても枝や葉っぱで手が切れてしまっていたが、気にするほどではなかったらしい。
 奥へと進んで行くと、ルージュの姿だけではなく茂みをかき分ける音すら聞こえなくなった。
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