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20話

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「次期国王に烙印をつけるなんて馬鹿なんじゃないの?」

 高笑いをしながら言うリラは、あのときすでにいなかったため、ニールが次期国王ではなくなったことを知らないのだ。
 笑い続けるリラに誰も何も言わない。ただ黙って見ているだけだった。何も言わずに見られていることに気がついて、流石のリラも何かが可笑しいと気がついたようだ。
 リラはニールへと視線を向けたが、ニールはすでにリラを見限ってしまっているようで睨みつけている。

「そう言えば、貴方はニールに弟がいることも知らない愚か者でしたね」

 小さく笑いながら言うルージュの言葉に、リラの「弟?」と驚いているような声が聞こえた。そして、ようやくルーカスの存在に気がついたらしい。

「僕が弟のルーカス・ディオースです。次期国王はこの僕ですので、心配は無用です」

 笑顔で言うが、目は笑っておらず、その顔が怖かった。それは静かな怒り。馬鹿であれ、ニールはルーカスの実の兄だ。その兄を利用しようとしていたリラに怒っているようだ。
 普段笑顔で誰にでも優しい分、怒らせてはいけないタイプなのだろう。

(ルーカスが国王になるのが楽しみになってきたわ)

 きっとそのときには、ソレイユ王国との交流も増えているだろう。今回、ソレイユ王国の国王であるノワールが関わったのだ。今後はもっと交流が増えて、いい関係になれるだろう。
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