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疑惑
疑惑②
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「もしかして夕夏と隆平って、知り合い?」
「一応、幼馴染」
隆平は眉を下げて言った。
「大丈夫ですか?」
ウェイトレスがテーブルの上に布巾を数枚掛けた。
皆が見ている、何か言わないと。
「すみません、あの、続けて下さい」
「続けるって何を?」
智香が少し笑った声で聞いた。
「だから、それは・・」
「ちょっと御手洗い行って来まーす」
智香が私の手を引いて連れ出す。柳瀬さんは気にしなくていいという意味なのか小さく手を上げた。
「あーあ、スカート派手に濡れちゃったね。これじゃお漏らしじゃん」
智香が足元を見る。確かに前が全体的に濡れているうえにストッキングにまで染み込みだしている。
「友達いたのにごめん。びっくりして」
「びっくりどころじゃないでしょ。どう見ても訳アリって感じだったよ」
自分が今どんな顔をしているのかと鏡を見た。汚れてもいない手を洗ってみる。
「幼馴染の再会か~、恋愛絡みの問題だったりして」
智香は悪戯に私の顔を覗く。私はつい動きが止まった。
「気にしないで、大した話じゃないから」
「ごめんごめん、今はスカートが先だね。こっち向いて」
智香は壁に装着してあるペーパータオルを引き出してスカート拭いてくれる。
「あ、そういえばあの合コン以来長谷川先輩から連絡って来た?」
ぱっちりメイクの目元で智香が見上げる。
「メールは来たけど、気を付けて帰ってねってだけだったよ」
花火大会に行ったなんて言えば大きな誤解を生む。ナオさんに特別な感情があるわけじゃない。
「そうなんだ。なんかさあ、長谷川先輩って誰か好きな人いる気がするんだよね」
「そうなんだ?」
「うん。話掛けても時々心ここにあらずって感じで、虚しくなる」
「仕事の悩みじゃなくて?」
「ならいいんだけどね~。勘っていうのかな、他の誰にも踏み込めない何かがある気がしてさ」
智香と同じような気持ちになった経験がある。その相手はまさに今、戻ればあの場にいる。
「あんまり気にしなくていいんじゃないかな、傍にいられる時間を大切にした方がいいと思う」
「え?」
智香はペーパータオルを丸めるとゴミ箱に捨てた。
「拭いてくれてありがとう。あと、連れ出してくれて」
「いいよ。よくわかんないけど隆平と話したくないんなら夕夏の話題は出さないようにするから」
「うん」
席に戻って柳瀬さんと店を出た。智香に手を振った、隆平はこっちを見ているようだったけど目を合わせなかった、いや、合わせられなかった。
柳瀬さんは家まで送ると言ってくれた。でもさっき散々待たせてしまったことで遠慮して、駅まででいいですと断った。
「変な感じにしてしまってすみません、ご馳走様でした」
「いいよ、こっちこそ巻き込んで悪いね。また相談させてもらう事があると思うけど、嫌だったら断ってくれていいから」
「嫌なことないです、安西さんと戻って欲しいんです。だから私に手伝える事があるならどんな事でも言って下さい」
助手席に座ってシートベルトを締めた。
「ありがたいな。俺、沙織との結婚を諦めきれないんだ」
柳瀬さんの顔を見て益々熱が入った。
「さっき話そうとした事なんですけど、合成写真をポストに入れた人は多分横山さんだと思います」
エンジンが掛かった音と重なった。柳瀬さんはハンドルを握り、暫く無言でフロントガラスの向こうを見つめた。
「一応、幼馴染」
隆平は眉を下げて言った。
「大丈夫ですか?」
ウェイトレスがテーブルの上に布巾を数枚掛けた。
皆が見ている、何か言わないと。
「すみません、あの、続けて下さい」
「続けるって何を?」
智香が少し笑った声で聞いた。
「だから、それは・・」
「ちょっと御手洗い行って来まーす」
智香が私の手を引いて連れ出す。柳瀬さんは気にしなくていいという意味なのか小さく手を上げた。
「あーあ、スカート派手に濡れちゃったね。これじゃお漏らしじゃん」
智香が足元を見る。確かに前が全体的に濡れているうえにストッキングにまで染み込みだしている。
「友達いたのにごめん。びっくりして」
「びっくりどころじゃないでしょ。どう見ても訳アリって感じだったよ」
自分が今どんな顔をしているのかと鏡を見た。汚れてもいない手を洗ってみる。
「幼馴染の再会か~、恋愛絡みの問題だったりして」
智香は悪戯に私の顔を覗く。私はつい動きが止まった。
「気にしないで、大した話じゃないから」
「ごめんごめん、今はスカートが先だね。こっち向いて」
智香は壁に装着してあるペーパータオルを引き出してスカート拭いてくれる。
「あ、そういえばあの合コン以来長谷川先輩から連絡って来た?」
ぱっちりメイクの目元で智香が見上げる。
「メールは来たけど、気を付けて帰ってねってだけだったよ」
花火大会に行ったなんて言えば大きな誤解を生む。ナオさんに特別な感情があるわけじゃない。
「そうなんだ。なんかさあ、長谷川先輩って誰か好きな人いる気がするんだよね」
「そうなんだ?」
「うん。話掛けても時々心ここにあらずって感じで、虚しくなる」
「仕事の悩みじゃなくて?」
「ならいいんだけどね~。勘っていうのかな、他の誰にも踏み込めない何かがある気がしてさ」
智香と同じような気持ちになった経験がある。その相手はまさに今、戻ればあの場にいる。
「あんまり気にしなくていいんじゃないかな、傍にいられる時間を大切にした方がいいと思う」
「え?」
智香はペーパータオルを丸めるとゴミ箱に捨てた。
「拭いてくれてありがとう。あと、連れ出してくれて」
「いいよ。よくわかんないけど隆平と話したくないんなら夕夏の話題は出さないようにするから」
「うん」
席に戻って柳瀬さんと店を出た。智香に手を振った、隆平はこっちを見ているようだったけど目を合わせなかった、いや、合わせられなかった。
柳瀬さんは家まで送ると言ってくれた。でもさっき散々待たせてしまったことで遠慮して、駅まででいいですと断った。
「変な感じにしてしまってすみません、ご馳走様でした」
「いいよ、こっちこそ巻き込んで悪いね。また相談させてもらう事があると思うけど、嫌だったら断ってくれていいから」
「嫌なことないです、安西さんと戻って欲しいんです。だから私に手伝える事があるならどんな事でも言って下さい」
助手席に座ってシートベルトを締めた。
「ありがたいな。俺、沙織との結婚を諦めきれないんだ」
柳瀬さんの顔を見て益々熱が入った。
「さっき話そうとした事なんですけど、合成写真をポストに入れた人は多分横山さんだと思います」
エンジンが掛かった音と重なった。柳瀬さんはハンドルを握り、暫く無言でフロントガラスの向こうを見つめた。
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