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色んな現実を直視せざるおえない

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 自分がどうやっても王太子になれないた理解したライノールに王妃はさらに現実を突きつける。

「本当は王位継承権を持たない王子は能力に見合った臣籍降下をするのだ。そなたはイリスリアを妻にしたのなら伯爵ぐらいにはなれたものを・・・・・・今回イリスリアにあらぬ罪を着せ恥をかかせた事により平民に落とされたのじゃ。生涯幽閉も考えたがぬくぬく過しそうだからのう」

 ライノールの性格は見栄っ張りで尊大、自己評価が高い。それを分かっている国王と王妃は、マリアと結婚させ働かせる方が罰になるだろうと平民落ちに決めたのだ。一応男爵家に婿養子として入れ、かろうじて貴族の末端に置いたのは温情だ。

 というのは建前で男爵家に縛る事により、しっかりと慰謝料を払わせる為である。

「そんな・・・・・・」

「でも愛するマリア嬢と結婚できたんだから良かったじゃない」

「そ・・・・・・そうだ、そうだよな!俺にはマリアがいるもんな!」

 ルクレの言葉にさっきより項垂れていた頭を上げライノールは頷く。突きつけられた現実から少しでも良い方に考えたいようだ。

「え、私王妃になれないの?ルクレ様が王太子?だったらルクレ様にしておけば良かった~」

「マリア?」

 ちぇっ、とむくれるマリアに戸惑うライノールと聞き捨てならない事を聞いたと驚くイリスリア。マリアの話はまだ続く。

「第一王子だから王太子になると思って近づいたのにあてが外れたわ。顔は好みだし何でも買ってくれたけど王太子にならないんじゃね~」

「えっ、王子じゃなくても好きになってたって言ってただろ?」

「だから顔は好みだったからそう言っただけ。王子じゃなくなるなんて思ってなかったし」

「王族や高位貴族にすり寄ってくる輩なんてこんなものだよね」

 愕然とするライノールにルクレがため息混じりに憐れみの目を向ける。これも王族の教育をきちんと受けていれば教わる事なのでサボってばかりいたライノールに同情はしない。

「マリア嬢がどう思おうと2人はもう夫婦なんだから互いに支え合って慰謝料をはらってね。・・・・・・あ、そうそう、ライノールがマリア嬢にドレスやアクセサリーの代金も上乗せして請求するから」

「は?何でだよ⁉」

「だって婚約者にあてた費用から使ってたでしょ。今までイリスリアの為に使った事が無いのに学園に入ってから湯水のように使ってたよね?分かり易かったよ」

 婚約してから8年、全く使われていなかった費用が、3年前からかなりの頻度で使われたら財務担当だって不審がり上へ報告するだろう。調べたら隠す気は無いだろと言わんばかりに証拠が上がってきたのだ。

「別目的での使用は王族でも罪に問われるからね」

 にっこりと微笑むルクレに、返金する事で罪に問われないのだと青褪めたライノールは知ったのだった。
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