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話し合い後
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「これで分かったであろう、ライノールはイリスリアと婚約破棄、そこの女と結婚して慰謝料を払う。話は以上じゃ。2人をライノールの部屋に閉じ込めておけ。荷物はまとめさせるゆえ明日の朝王宮から出ていくのじゃ」
さっと手で合図をすると、護衛騎士が暴れる2人を引きずりながら部屋を出て行く。
「あ、側妃殿も回収しておくれ」
「承知いたしました」
これまた騒ぐ側妃を護衛騎士が引きずっていく。先ほどの2人は元気に暴れていても身軽だったので軽く引きずっていたが、側妃は物理的に無理だったのか2人がかりで重そうにズルズルと引きずっていく。引きずられた跡が毛足の長い絨毯に残っているのがなんとも物悲しい。
騒ぎの元が居なくなると部屋はやけに静かに感じるが、残った全員どっぷり疲れていた。
いや、1人だけ頬を染めながらソワソワ王妃を見ている人物がいる。イリスリアへの謝罪以外全く存在感がなかった国王だ。言葉を発せずただただ王妃をうっとり見つめていた国王に、短時間でイリスリアと公爵は見方を変えた。力関係は王妃>国王なのだと。
王妃は国政にほとんど口出ししない。しても的外れな事や我を通すわけではないので、公務以外の関係なのだろうと察したが、だったらここでそれを出さないでほしいというのが本音だ。内輪の話し合いだからとポロリとそんな姿を漏らさないでほしいと心の中で公爵は嘆息する。
「まさかあんなに無知だったとはのう」
労りなのか何かの期待なのか、いやらしい手つきで王妃の手を擦る国王を無視し、先ほどのライノールの無知さを嘆く。側妃の子供に王位継承権が無いというのは貴族の子供でも知っている事だからだ。
もし王妃が子を成さなかった場合、王位継承権を持っている王弟や王姉、王妹が王の座に就く事になっているが、それも知らないだろう。
「王子教育すらまともに受けていないのにどこからあの自信はきたのでしょうね」
普段の言動を思い出しルクレが首をひねる。
「おおかたティファス殿が煽てたのであろう。彼女も未だに側妃教育が終わっておらんからの」
「「「「えっ⁉」」」」
側妃になりもう20年近く経つはずなのにと護衛含め部屋に居る全員が驚いて王妃を見ると、扇から出ている目がすわっている。
「「は⁉」じゃない!あれでも一応王の側妃じゃ、何故把握しとらんのじゃ!」
スパーン!!
「はい!すみませんでしたぁぁぁ!!」
「もうこれはお仕置きじゃな。今夜は眠れないと思え」
「はひっ!」
さっと扇を閉じ頬を打ち据え、そのまま扇で顎をクイッと持ち上げられた王の瞳は潤み期待に満ちている。
((だから何を見せられているんだろう・・・・・・))
「では後日手紙を送るゆえ今日は皆解散!」という王妃を抱え急ぎ足で出て行く国王に、ただただ唖然としているイリスリアと公爵の向かいでルクレは眉を下げ苦笑いをするしかなかった。
話し合いはどうしようもない終わり方をしてしまい、イリスリアと公爵はモヤモヤしながら帰る事となる。
その夜ライノールとマリアは閉じ込められている部屋から逃走しようとしたが速攻確保され、それを報告しようとしたが、国王と王妃はお取り込み中であった為に報告は翌朝でいいかと2人は簀巻きにし、部屋に放置されたという。
さっと手で合図をすると、護衛騎士が暴れる2人を引きずりながら部屋を出て行く。
「あ、側妃殿も回収しておくれ」
「承知いたしました」
これまた騒ぐ側妃を護衛騎士が引きずっていく。先ほどの2人は元気に暴れていても身軽だったので軽く引きずっていたが、側妃は物理的に無理だったのか2人がかりで重そうにズルズルと引きずっていく。引きずられた跡が毛足の長い絨毯に残っているのがなんとも物悲しい。
騒ぎの元が居なくなると部屋はやけに静かに感じるが、残った全員どっぷり疲れていた。
いや、1人だけ頬を染めながらソワソワ王妃を見ている人物がいる。イリスリアへの謝罪以外全く存在感がなかった国王だ。言葉を発せずただただ王妃をうっとり見つめていた国王に、短時間でイリスリアと公爵は見方を変えた。力関係は王妃>国王なのだと。
王妃は国政にほとんど口出ししない。しても的外れな事や我を通すわけではないので、公務以外の関係なのだろうと察したが、だったらここでそれを出さないでほしいというのが本音だ。内輪の話し合いだからとポロリとそんな姿を漏らさないでほしいと心の中で公爵は嘆息する。
「まさかあんなに無知だったとはのう」
労りなのか何かの期待なのか、いやらしい手つきで王妃の手を擦る国王を無視し、先ほどのライノールの無知さを嘆く。側妃の子供に王位継承権が無いというのは貴族の子供でも知っている事だからだ。
もし王妃が子を成さなかった場合、王位継承権を持っている王弟や王姉、王妹が王の座に就く事になっているが、それも知らないだろう。
「王子教育すらまともに受けていないのにどこからあの自信はきたのでしょうね」
普段の言動を思い出しルクレが首をひねる。
「おおかたティファス殿が煽てたのであろう。彼女も未だに側妃教育が終わっておらんからの」
「「「「えっ⁉」」」」
側妃になりもう20年近く経つはずなのにと護衛含め部屋に居る全員が驚いて王妃を見ると、扇から出ている目がすわっている。
「「は⁉」じゃない!あれでも一応王の側妃じゃ、何故把握しとらんのじゃ!」
スパーン!!
「はい!すみませんでしたぁぁぁ!!」
「もうこれはお仕置きじゃな。今夜は眠れないと思え」
「はひっ!」
さっと扇を閉じ頬を打ち据え、そのまま扇で顎をクイッと持ち上げられた王の瞳は潤み期待に満ちている。
((だから何を見せられているんだろう・・・・・・))
「では後日手紙を送るゆえ今日は皆解散!」という王妃を抱え急ぎ足で出て行く国王に、ただただ唖然としているイリスリアと公爵の向かいでルクレは眉を下げ苦笑いをするしかなかった。
話し合いはどうしようもない終わり方をしてしまい、イリスリアと公爵はモヤモヤしながら帰る事となる。
その夜ライノールとマリアは閉じ込められている部屋から逃走しようとしたが速攻確保され、それを報告しようとしたが、国王と王妃はお取り込み中であった為に報告は翌朝でいいかと2人は簀巻きにし、部屋に放置されたという。
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