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本編
俺のプリンはトンカツの上
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「えっ、風紀委員長っていちるのお兄さん?」
驚く俺に目を細めて笑ういちるはやっぱり猫っぽい。
「そうなんだよ。で、昨日兄貴に志摩のことをよろしくされたんだよね。詳しくは教えてもらえなかったけど顔は覗くなって注意された」
会長が緋色って呼んでいたけど風紀委員長って確か如月だった。いちるも如月、普通珍しい苗字だから兄弟だと気付きそうなもんだよな。俺は気付かなかったけどな!
「でも何で顔は覗いちゃだめなんだろ?」
「さあ?陰キャ見ても楽しくないからじゃない?」
「そうかなぁ?それより兄貴が気にかけろって珍しいんだよ。いつ知り合ったの?」
「ああ、きの……」
「シマー食堂行こうぜ!」
会話をぶった切るように智也が呼びにきたので話は途中だったけどいちるも連れ立って食堂へ向かう。
食堂に着くと既に生徒で溢れている。メニューボードの所へ行くと「本日のメニュー」と毎日10種類ほどのお品書きが並んでいる。
ここは山奥の学校とはいえ裕福な家庭の生徒が多く、高級レストラン並のクオリティなのだ。
5台ほど並んでいる券売機に学生証を差し入れボタンを押す。今日は親子丼とプリンの気分だ。
この学生証、購買や敷地内にあるスーパーやコンビニでも使え、1ヶ月ごとに家庭へ請求がいくキャッシュレスカードと、寮の鍵も兼ねている優れもの。ただ、落としたら悪用されかねないので必携だ。
「ふふ~んふ~ん親子丼~プ」
「きゃーーー会長様よ!」「青藍様今日も色っぽい!」「神奈川様素敵です!」「米川様今日も愛らしい」「羽柴様こっち向いてくださ~い」
今日も今日とて生徒会役員が食堂へ来ると、黄色い声があちこちから聞こえてくる。うん、野太い声も混じってるからここは男子校だと確認できる。それにしても今日は早めのご登場のようだ。
「シマ、窓側の席が空いてる。そこ行こうぜ」
智也に促され窓側の席に着き黙々と食べていると通り道を挟んで隣に生徒会役員が座る。6人で座れるそこは壁側を1つ空けて座り、通り道を挟んでいるが俺の隣に会長が座っている。
「志摩って生徒会に興味が無い感じ?あんなに美形揃いなのに全然そっちを見ないんだね。ノーマル?」
「んえ?」
確かに生徒会役員全員後ろにキラキラエフェクトが見えるくらい格好いいと思うけど、食べてるときにじろじろ見たら失礼だと思うし今はプリンに集中したい。
「興味が無いっていうか今はプ」
「興味が無いならここどいてよ!」
ドンという体の衝撃とガシャンという食器の音と共に持っていたプリンが空中を舞いべしゃりと智也のトンカツに着地する。
「プリン……」
「美樹本お前何してんだよ!」
向かい側に座るいちるが俺に体当たりしてプリンをダイブさせた張本人・美樹本に食ってかかる。
「プリン……」
「あー煩い!こいつが僕が座ろうと思ってた席にいるのが悪い!」
「はあ?そこはお前の指定席じゃねーだろ!別なトコ行けよ!」
「プリン……」
「青藍様の隣は僕って決まってるの!だからこいつが退けて当たり前だっつーの!」
「プリン……」
「あーもうプリンプリン煩い!トンカツの上に乗ってるプリン掬おうとしてんじゃないよこの陰キャ!そこのお前もトンカツの皿を差し出してんじゃない!」
にゃにおう!お前が俺のプリンちゃんをこんな形態にしたんだろうが!
自分のしたことを棚に上げ文句を言う美樹本にムッとすると、すっと目の前にプリンが差し出される。
「プ・リ・ン……!」
ふわりと嗅いだことのある香水の匂いに気付き見上げると会長がプリンを差し出していた。智也を見ると頷くのでありがたく頂く。
「ありがとうございます」
お礼を言うとふっと笑い自分の席に戻る。笑顔もエッロ。
「何青藍様からもらってんのさ!」
「あっ!」
せっかくもらったプリンを美樹本に取られ呆然としてしまう。俺のプリンが……
「またトンカツの上のプリンを掬おうとしてんじゃないよ!早くそこどき」
「お前何俺があげたプリン取ってんの?」
怒りを滲ませた声に見上げると会長が感情を削ぎ落とした顔で美樹本を見ていた。
「だ……だってこいつが青藍様からプリンを……僕でさえもらったことが無いのに…」
さっきまで俺たちに向けていた歪んだ顔ではなくふるふると潤んだ瞳で会長を見上げている美樹本。160くらいの身長に可愛らしい顔は学年1だと評判らしい。
「俺が誰に何をやろうがお前には関係ないだろ。というかお前誰だ?」
「えっ、僕遥です、美樹本遥」
何かショックを受けているけど当の会長は本当に誰だか分かっていないみたいだ。
「青藍、ほら最近ちょこまか来てあなたに話しかけている子ですよ」
副会長の神奈川さんが思い出させるようにフォローする。
「ちょこまか……いっぱいいすぎて分からん」
「そ……そんなぁ……僕こんなに可愛いのに覚えていないなんて……青藍様のバカァ!!」
有象無象の1人だと知った美樹本は何か痴話喧嘩みたいな捨て台詞を吐きプリンを持って走り去ってしまった。オイ、プリン返せ。
「プリン……」
「ごめん、プリン持って行かれてしまった」
何故か会長に頭を撫でられながら慰められてしまう。ちらりと横を見るとプリンが乗ったトンカツが跡形もなくなっていた。くそう。
「志摩はプリンそんなに好きなんだねぇ」
「いや、プリンよりシュークリームが好き」
「シュークリームかーい!」
いちるにツッコミされつつ結局プリンを食べられなくてしょぼしょぼとへこみながら食堂を後にする。
そして放課後に何故か会長から大量のシュークリームをもらい、いくら大好物でも食べきれないので空手部全員で美味しく頂きました。
驚く俺に目を細めて笑ういちるはやっぱり猫っぽい。
「そうなんだよ。で、昨日兄貴に志摩のことをよろしくされたんだよね。詳しくは教えてもらえなかったけど顔は覗くなって注意された」
会長が緋色って呼んでいたけど風紀委員長って確か如月だった。いちるも如月、普通珍しい苗字だから兄弟だと気付きそうなもんだよな。俺は気付かなかったけどな!
「でも何で顔は覗いちゃだめなんだろ?」
「さあ?陰キャ見ても楽しくないからじゃない?」
「そうかなぁ?それより兄貴が気にかけろって珍しいんだよ。いつ知り合ったの?」
「ああ、きの……」
「シマー食堂行こうぜ!」
会話をぶった切るように智也が呼びにきたので話は途中だったけどいちるも連れ立って食堂へ向かう。
食堂に着くと既に生徒で溢れている。メニューボードの所へ行くと「本日のメニュー」と毎日10種類ほどのお品書きが並んでいる。
ここは山奥の学校とはいえ裕福な家庭の生徒が多く、高級レストラン並のクオリティなのだ。
5台ほど並んでいる券売機に学生証を差し入れボタンを押す。今日は親子丼とプリンの気分だ。
この学生証、購買や敷地内にあるスーパーやコンビニでも使え、1ヶ月ごとに家庭へ請求がいくキャッシュレスカードと、寮の鍵も兼ねている優れもの。ただ、落としたら悪用されかねないので必携だ。
「ふふ~んふ~ん親子丼~プ」
「きゃーーー会長様よ!」「青藍様今日も色っぽい!」「神奈川様素敵です!」「米川様今日も愛らしい」「羽柴様こっち向いてくださ~い」
今日も今日とて生徒会役員が食堂へ来ると、黄色い声があちこちから聞こえてくる。うん、野太い声も混じってるからここは男子校だと確認できる。それにしても今日は早めのご登場のようだ。
「シマ、窓側の席が空いてる。そこ行こうぜ」
智也に促され窓側の席に着き黙々と食べていると通り道を挟んで隣に生徒会役員が座る。6人で座れるそこは壁側を1つ空けて座り、通り道を挟んでいるが俺の隣に会長が座っている。
「志摩って生徒会に興味が無い感じ?あんなに美形揃いなのに全然そっちを見ないんだね。ノーマル?」
「んえ?」
確かに生徒会役員全員後ろにキラキラエフェクトが見えるくらい格好いいと思うけど、食べてるときにじろじろ見たら失礼だと思うし今はプリンに集中したい。
「興味が無いっていうか今はプ」
「興味が無いならここどいてよ!」
ドンという体の衝撃とガシャンという食器の音と共に持っていたプリンが空中を舞いべしゃりと智也のトンカツに着地する。
「プリン……」
「美樹本お前何してんだよ!」
向かい側に座るいちるが俺に体当たりしてプリンをダイブさせた張本人・美樹本に食ってかかる。
「プリン……」
「あー煩い!こいつが僕が座ろうと思ってた席にいるのが悪い!」
「はあ?そこはお前の指定席じゃねーだろ!別なトコ行けよ!」
「プリン……」
「青藍様の隣は僕って決まってるの!だからこいつが退けて当たり前だっつーの!」
「プリン……」
「あーもうプリンプリン煩い!トンカツの上に乗ってるプリン掬おうとしてんじゃないよこの陰キャ!そこのお前もトンカツの皿を差し出してんじゃない!」
にゃにおう!お前が俺のプリンちゃんをこんな形態にしたんだろうが!
自分のしたことを棚に上げ文句を言う美樹本にムッとすると、すっと目の前にプリンが差し出される。
「プ・リ・ン……!」
ふわりと嗅いだことのある香水の匂いに気付き見上げると会長がプリンを差し出していた。智也を見ると頷くのでありがたく頂く。
「ありがとうございます」
お礼を言うとふっと笑い自分の席に戻る。笑顔もエッロ。
「何青藍様からもらってんのさ!」
「あっ!」
せっかくもらったプリンを美樹本に取られ呆然としてしまう。俺のプリンが……
「またトンカツの上のプリンを掬おうとしてんじゃないよ!早くそこどき」
「お前何俺があげたプリン取ってんの?」
怒りを滲ませた声に見上げると会長が感情を削ぎ落とした顔で美樹本を見ていた。
「だ……だってこいつが青藍様からプリンを……僕でさえもらったことが無いのに…」
さっきまで俺たちに向けていた歪んだ顔ではなくふるふると潤んだ瞳で会長を見上げている美樹本。160くらいの身長に可愛らしい顔は学年1だと評判らしい。
「俺が誰に何をやろうがお前には関係ないだろ。というかお前誰だ?」
「えっ、僕遥です、美樹本遥」
何かショックを受けているけど当の会長は本当に誰だか分かっていないみたいだ。
「青藍、ほら最近ちょこまか来てあなたに話しかけている子ですよ」
副会長の神奈川さんが思い出させるようにフォローする。
「ちょこまか……いっぱいいすぎて分からん」
「そ……そんなぁ……僕こんなに可愛いのに覚えていないなんて……青藍様のバカァ!!」
有象無象の1人だと知った美樹本は何か痴話喧嘩みたいな捨て台詞を吐きプリンを持って走り去ってしまった。オイ、プリン返せ。
「プリン……」
「ごめん、プリン持って行かれてしまった」
何故か会長に頭を撫でられながら慰められてしまう。ちらりと横を見るとプリンが乗ったトンカツが跡形もなくなっていた。くそう。
「志摩はプリンそんなに好きなんだねぇ」
「いや、プリンよりシュークリームが好き」
「シュークリームかーい!」
いちるにツッコミされつつ結局プリンを食べられなくてしょぼしょぼとへこみながら食堂を後にする。
そして放課後に何故か会長から大量のシュークリームをもらい、いくら大好物でも食べきれないので空手部全員で美味しく頂きました。
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