皇太子ってクールで格好いいよね。っていやいやアイツはワガママで甘えん坊だけど?〜皇太子は俺を嫁にしたいらしい〜

ネコフク

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皇太子は娶りたい4

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 ブーーーーーーッ!!

 人ってそんなにに飲み物吹き出せるんだと証明するくらいの勢いで飲んでいた紅茶を台無しにした俺。

「フィリはしたない」

 今はそこじゃねぇ!いや、テーブルクロスを汚したのは申し訳ない。てか皆んな平然としてるって事は俺以外知ってたパターンだな。

「ゲホッ・・・何で今更デビュタントなんですか?」

「あー、それはな、カルスバートが嫌がってたからだ」

「へっ?」

 半目でカルを見ると素知らぬ顔をして紅茶を飲んでいる。
 貴族が13歳でやるデビュタントを皇太子の「嫌」の一言で俺はやれてなかったのか。自分は立太子と同時に10歳でしてるのになんでや。

「カルスったらフィリエルちゃんのこと他の人に見せたくないからって嫌がったのよぉ。可愛いわよねぇ」

 皇妃様がコロコロと鈴を鳴らすような声で仕方ないわよねぇと言ってるけどそんなワガママ通さないでほしい。

 俺の世界は狭い。皇城内と実家、時たまお忍びで出かける市井しせい。あとはカルのお供でどうしても行かなければいけない外交目的の国外。お茶会なんて皇妃様と母親としかしたことがない。晩餐会でも挨拶したら抜けるので他の令息や令嬢との交流はしたことが無い。それが全てカルの仕業だったとは。

「カル、後で説教な」

「怒られるような事はしていないが?」

 何故驚く。さも当たり前みたいな顔するなよ。
 ちっ、どんな表情でも格好いいなおい。

「フィリエル、私達も了承しているのだ」

「そうよ。わたしがあなたを教育したのだから安心してデビューしなさい!」

「いや~、やっと妹ができたか~」

 家族も敵だった!

「もちろん学園に入ったら令嬢として在籍してもらう」

「えっ、そんなことしたらカルと離れないといけないですよね?」

「⁉・・・じゃあデビュタントなし」

「却下」

「むうっ・・・」

 即座に却下され口を尖らせ黙るカルを見ながらもう逃げられないと悟る。後は俺の覚悟か?

「・・・分かりました。ですが皇城内はいつも通りの格好でいさせてください」

「おお、それでいい」

「エスコートはカルがしてくれるんだよな?」

「もちろん!」

 満足したのか上機嫌で返事をしてくる姿にため息を吐く。
 話も終わり執務室へ行くと体が辛いなら横になっていていいと言われ遠慮なくソファーにうつ伏せで体を休ませる。
 昨夜からの疲れもありうとうととしていると腰を抱きしめられ背中に顔を埋められる。

「カル?」

「・・・怒った?」

「うん。でもカルだけじゃなくみんなにも怒ってる」

「怒らないで。俺はフィリを見せたくない。綺麗で可愛いフィリを男の姿も令嬢の姿も見たらみんな好きになるから俺だけのフィリでいてほしい」

「はあ?何言ってんだ。んなワケないだろ。そもそも産まれた時から俺はカル、カルスバートのものだよ」

「そうだけど・・・本当の意味で俺のものになってほしい」

 何だその執着。

「・・・・・・学園に入ったら色んな人に会うぞ。その中にお前が気に入る人も出てくるかもしれない。今決めたらそうなった時お前のかせになる」

「そんな奴出て来ない。フィリの方が心配だよ」

 ないよ。何心配してんだ。

 ハァ、とため息をつき怠い腰に鞭打ち起き上がり不安気に見上げる顔を両手ではさみちゅっと音を立て軽く口づけをし

「じゃあ証明して。学園に入っても俺だけだって。そうしたらよ」

「・・・うん、うん・・・」

 ・・・・・・俺はズルい。カルが俺以外を見ない事を知ってるくせに条件を出すなんて。でもカルの事を好きだという気持ちがどの種類の好きなのか確認したいんだ。

 俺の胸に埋めた頭を撫でながらあと4年で答えを出そうと心に決めたのだった。




 昼食は軽めに取り俺は令嬢として支度する。
 さすがにドレスを着せたり化粧は侍女がやる。それを眺めながら皇妃様と母が優雅にお茶をしている。

「今日のドレスもフィリエルちゃんに似合うデザインになってるのよぁ」

「ハハハ・・・タノシミデス」

 皇妃様は俺を着飾るのが好きみたいでドレスを作る度にあれこれしてくれるから全てお任せしている。装飾品だけはカルが送ると譲らなくて少々不満らしいけど。
 これからコルセットをキツく締められるんだとうんざりしながら服を脱がされているとシャツを脱がした侍女がぎょっとして叫んだ。

「こっ・・・皇妃様っ、キュア様っこれをっ・・・!!」

「どうしたの?・・・きゃあ!」

「・・・あんのクソ皇子ぃ・・・カルスバート殿下を呼んで来なさい!」

「はい、ただいま!」

 訳が分からずきょとんとしていたらみんなの目線が俺の首筋と胸にきているのを見て気づきかーっと全身が赤くなる。

(しまった、カルに付けられた跡を見られたっ!)

 見られて動くに動けず固まっていると侍女に連れられカルが部屋へ入って来る。
 支度はすぐ終わるからとまだ午前中と同じ格好のままのカルは俺の姿を見てあ~・・・とバツが悪そうな顔になる。

「殿下!あれほど体はと念を押しましたよね⁉」

「・・・ハイ」

「ちょっとどうしてくれるのよぉ!せっかくフィリエルちゃんの白い肌に合うようにオープンショルダーのドレスにしたのに着れないじゃないのぉ!」

「スミマセンデシタ」

 二人の剣幕に語彙がどこかへ行ったみたいになってるけどまて、気になる箇所があったぞ。話の流れからして昨日ヤる事みんな知ってたな!侍女達も気づいて顔赤くしてるじゃないか!

「こら待て!どこまで話がついてるんだカルスバート!」

「えっ、今朝の話までだよぅ・・・」

 嘘だろ。目が泳いでるぞ。

「ああん、もう。カルスのせいでドレスがぁ」

「仕方ありませんわ。針子とレースをあるだけ持って来させなさい」

 嘆く皇妃様を落ちつかせながらテキパキと母が指示を出していく。手直しが終わるまで何もする事がないのでシャツを着直し正座させられているカルの隣に椅子を持っていき座って話しかける。

「恥かいた」

「ごめん」

「何?ヤる許可取ってたの?」

「うん。だってフィリの初めてを貰うわけだし?」

「そんなの親に許可とるな。これからもヤる時許可取る気かよ」

「・・・次からはフィリに許可を取る」

「・・・・・・そうしろ」

 ホント変なトコで気を使うよな。って次もあるのか。毎回あんな事されたら体がもたないぞ。

 ドレスの手直しが終わる頃にはカルも支度しに行き着替えを再開させる。ドレスは首筋や胸に付いた跡を隠すようにレースで覆い肩だけ出てる状態に仕上がっていた。

「まあ、これはこれで良いわぁ」

 コルセットを付けドレスに袖を通して見せると急ごしらえで出来た箇所を満足そうに見つめ頷く皇妃様に針子や侍女達がホッとしている。跡はきちんと隠れていてレースもドレスと同じものを使用している為、最初からそのデザインかのようになっている。

 髪は複雑に編み下ろし花が散りばめられている。装飾品は金のネックレスとイヤリングに光で赤や青に変化するアレキサンドライトが鎮座している。相変わらず独占的丸出しの一品だ。

「フィリエル様素敵です!」

「今日一番の華はフィリエル様ですね!」

「これを見たら殿下も惚れ直しますよ!」

 皇妃様や母親は支度の為に既にいないが侍女達が褒めちぎってくれる。照れながらもお礼を言うときゃーっと騒ぐのでいたたまれなくなってくる。

 時間まで少しあるので靴を脱ぎくつろいでいると支度が終わったカルがやって来る。白い皇太子の服に片方だけマントを羽織り歩く様は物語に出てくる王子様そのものだ。

「令嬢になったフィリエルは本当に可憐な花だな」

「カルスバートもどこぞの王子様みたいで格好いいぞ」

「皇子だからな」

 俺の前にひざまずき靴を履かせながら

「そんな花を散らしたのもこれから散らすのも俺だがな」

「なっ!」

 真っ赤になって震えている頬に口づけを落としさっと手を差しのべてくる。言葉と行為でダメージを受けた俺は無言で手を重ねエスコートされる。
 会場の扉の前に来るとさっと|他所行よそいきの顔になり腕を差し出す。そこに手を通し前を見据える。何回やってもこの時間は緊張してしまう。

「カルスバート皇太子殿下、ハイマン公爵令嬢フィリエル様ご入場です」

 呼び声と音楽が鳴り扉が開き一斉に視線が集中する。今日はカルの誕生パーティーなので上位貴族が年頃の令息、令嬢を連れ参加しているのでいつもより嫉妬と羨望の眼差しが多い。
 一歩前に出て母親仕込みの礼をするとほう・・・という感嘆の声が聞こえてくる。

 ふふふ・・・今日の俺は猫を何匹も被っているからな。それにうちの皇太子は格好良くて見惚れるだろ?

 参加者を見るとほんのり頬を染めている人が多い。さすが美貌の皇太子。

 心の中で上機嫌になり歩いていると何故か皇帝陛下夫妻の隣にある皇太子の席に連れて行かれ固まってしまう。

 んんっ・・・?ナンデオレハココニイル?めっちゃ見られてるし睨んでる令嬢もいるんだど⁉

「皆、今宵皇太子カルスバートの誕生パーティーへ来てくれて感謝する。カルスバートの隣にいるフィリエル孃は訳あって本日がデビュタントである。そして皇帝の名の下、フィリエル孃を皇太子カルスバートのとして宣言する」

「「えっ⁉」」

 俺やっぱり聞いてないけど⁉
 ってか何でカルが驚いてるんだよ⁉











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