聖獣に転生した僕は推しの悪役令嬢を幸せに導く〜ヒロインなんてやっつけちゃうもんね〜

ネコフク

文字の大きさ
16 / 21

16、その頃王宮では②

しおりを挟む
 王太子妃の執務室の惨状にオロオロする王太子。そのカオスな現場でいち早く立ち直ったのは王太子妃であるエトランジュだ。

「ほらメソメソしない!策はあるわ。忘れたの?聖獣達あなた達の首に着いてるのは何?」

 パンパンと手を叩き皆んなの意識を自分に向けさせる。

「その首輪ただの首輪じゃなくて魔導具、わたくしお手製の魔導具って事を忘れてない?」

「あ・・・・・・」

 皆エトランジュが王太子妃になり執務に邁進まいしんしていたから忘れていたが、婚姻前はかなり名の知れた魔導具師であり聖獣の首輪を作った張本人でもある。

「ホホホ忘れていたようね。まあいいわ。カイルそこの棚から地図を取って」

「よしきた!」

 言われても侍従に任せればいいのに嬉々として棚から地図を取り出し机の上に広げる王太子のカイルハート。国で三番目に偉い旦那も使えるものは使う主義のエトランジュにカイルハートは思う所はない。

「うーん・・・・・・この地図ではざっくりとしか分からないわねぇ。今度王都だけの地図を作ろうかしら?」

 特殊な加工をしてある地図を見ながらぶつぶつと考えに耽り始めるエトランジュ。

 この地図も魔導具で聖獣が着けている首輪と連動しており、国全体の地図には緑赤黄紫と点が付いている。緑はスノー、赤はユキ、黄はノアというようにこの地図を見ればどこにいるかがひと目で分かるようになっている。

 何故こんなものがあるかというと王太子夫妻の学生時代、ユキが爆走してあちこちに行き帰って来ない事が多々あったからである。

「もうこうなったらドラゴン◯ーダーみたいなの作っちゃる!」

 と奮起したエトランジュ渾身の一品がこの地図と首輪なのだ。

 地図上の黒いモコモコ聖獣の瞳の色である紫色のマーカーは王都西側に位置しているが、国全体の地図では王都のどこにいるかまでは分からない。

「ねえ、聖獣同士こう、ビビッと通じ合う何かないの?」

「バカねぇエトランジュ。聖獣は人と同じで会話と肉体言語でしか意思の疎通はできないわよ」

「いや肉体言語は脳筋しか使わない言語だから」

 聖獣に脳筋疑惑が浮上してきたのは置いといて黒い聖獣をどう探そうか考える。

「黒い聖獣様を探すのに騎士団は使えないぞ」

「そうなのよねぇ。聖獣様の誕生はおおやけにしてるけど、色は発表してないものね」

 王宮に勤める者は制約魔法で王宮内の機密性が高いものは言えないようになっていて、城の外では話す事も書く事も出来ない。
 それに加えノアに付いてとてとてと黒いモコモコが歩く場所は王族のプライベートゾーンのみなので、そこで働く限られた人しか目にする事は出来ない。一度だけ宰相や大臣など要職に就く者にお披露目されただけである。

 これは幼い聖獣の誘拐を最小限に抑える事と、王子の婚約者狙いで聖獣の色の子供をどこからか誘拐して自分の子供として育て王家に差し出そうとするゲスな貴族を出さない措置なのだが、それでも時たま湧いてくるよねアホな人。

「あらま。黒い聖獣様がピンチになってるっぽい」

「ぼっ坊やーーーーー!!」

 紫色のマーカーが点滅、通常、点滅、通常を繰り返している。どうやら点滅は危険を知らせる合図らしい。

「大丈夫よユキ、まだゆっくりの点滅だから大丈夫。・・・・・・でも点滅と通常を繰り返すってどんなピンチなの?」

 これはどんな状況なのかとエトランジュ達が頭を悩ませいる頃、黒いモコモコはピンク頭ヒロインから逃げ回っている最中だった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

婚約破棄のその場で転生前の記憶が戻り、悪役令嬢として反撃開始いたします

タマ マコト
ファンタジー
革命前夜の王国で、公爵令嬢レティシアは盛大な舞踏会の場で王太子アルマンから一方的に婚約を破棄され、社交界の嘲笑の的になる。その瞬間、彼女は“日本の歴史オタク女子大生”だった前世の記憶を思い出し、この国が数年後に血塗れの革命で滅びる未来を知ってしまう。 悪役令嬢として嫌われ、切り捨てられた自分の立場と、公爵家の権力・財力を「運命改変の武器」にすると決めたレティシアは、貧民街への支援や貴族の不正調査をひそかに始める。その過程で、冷静で改革派の第二王子シャルルと出会い、互いに利害と興味を抱きながら、“歴史に逆らう悪役令嬢”として静かな反撃をスタートさせていく。

悪役令嬢を陥れようとして失敗したヒロインのその後

柚木崎 史乃
ファンタジー
女伯グリゼルダはもう不惑の歳だが、過去に起こしたスキャンダルが原因で異性から敬遠され未だに独身だった。 二十二年前、グリゼルダは恋仲になった王太子と結託して彼の婚約者である公爵令嬢を陥れようとした。 けれど、返り討ちに遭ってしまい、結局恋人である王太子とも破局してしまったのだ。 ある時、グリゼルダは王都で開かれた仮面舞踏会に参加する。そこで、トラヴィスという年下の青年と知り合ったグリゼルダは彼と恋仲になった。そして、どんどん彼に夢中になっていく。 だが、ある日。トラヴィスは、突然グリゼルダの前から姿を消してしまう。グリゼルダはショックのあまり倒れてしまい、気づいた時には病院のベッドの上にいた。 グリゼルダは、心配そうに自分の顔を覗き込む執事にトラヴィスと連絡が取れなくなってしまったことを伝える。すると、執事は首を傾げた。 そして、困惑した様子でグリゼルダに尋ねたのだ。「トラヴィスって、一体誰ですか? そんな方、この世に存在しませんよね?」と──。

【完結】断罪された悪役令嬢は、本気で生きることにした

きゅちゃん
ファンタジー
帝国随一の名門、ロゼンクロイツ家の令嬢ベルティア・フォン・ロゼンクロイツは、突如として公の場で婚約者であるクレイン王太子から一方的に婚約破棄を宣告される。その理由は、彼女が平民出身の少女エリーゼをいじめていたという濡れ衣。真実はエリーゼこそが王太子の心を奪うために画策した罠だったにも関わらず、ベルティアは悪役令嬢として断罪され、社交界からの追放と学院退学の処分を受ける。 全てを失ったベルティアだが、彼女は諦めない。これまで家の期待に応えるため「完璧な令嬢」として生きてきた彼女だが、今度は自分自身のために生きると決意する。軍事貴族の嫡男ヴァルター・フォン・クリムゾンをはじめとする協力者たちと共に、彼女は自らの名誉回復と真実の解明に挑む。 その過程で、ベルティアは王太子の裏の顔や、エリーゼの正体、そして帝国に忍び寄る陰謀に気づいていく。かつては社交界のスキルだけを磨いてきた彼女だが、今度は魔法や剣術など実戦的な力も身につけながら、自らの道を切り開いていく。 失われた名誉、隠された真実、そして予期せぬ恋。断罪された「悪役令嬢」が、自分の物語を自らの手で紡いでいく、爽快復讐ファンタジー。

転生者だからって無条件に幸せになれると思うな。巻き込まれるこっちは迷惑なんだ、他所でやれ!!

ファンタジー
「ソフィア・グラビーナ!」 卒業パーティの最中、突如響き渡る声に周りは騒めいた。 よくある断罪劇が始まる……筈が。 ※小説家になろう、カクヨム、pixivにも同じものを投稿しております。

いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持

空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。 その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。 ※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。 ※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。

前世ブラックOLの私が転生したら悪役令嬢でした

タマ マコト
ファンタジー
過労で倒れたブラック企業勤めのOLは、目を覚ますと公爵令嬢アーデルハイトとして転生していた。しかも立場は“断罪予定の悪役令嬢”。だが彼女は恋愛や王子の愛を選ばず、社交界を「市場」と見抜く。王家の財政が危ういことを察知し、家の莫大な資産と金融知識を武器に“期限付き融資”という刃を突きつける。理想主義の王太子と衝突しながらも、彼女は決意する――破滅を回避するためではない。国家の金脈を握り、国そのものを立て直すために。悪役令嬢の経済戦争が、静かに幕を開ける。

悪役令嬢の独壇場

あくび。
ファンタジー
子爵令嬢のララリーは、学園の卒業パーティーの中心部を遠巻きに見ていた。 彼女は転生者で、この世界が乙女ゲームの舞台だということを知っている。 自分はモブ令嬢という位置づけではあるけれど、入学してからは、ゲームの記憶を掘り起こして各イベントだって散々覗き見してきた。 正直に言えば、登場人物の性格やイベントの内容がゲームと違う気がするけれど、大筋はゲームの通りに進んでいると思う。 ということは、今日はクライマックスの婚約破棄が行われるはずなのだ。 そう思って卒業パーティーの様子を傍から眺めていたのだけど。 あら?これは、何かがおかしいですね。

悪役令嬢に転生したけど、破滅エンドは王子たちに押し付けました

タマ マコト
ファンタジー
27歳の社畜OL・藤咲真帆は、仕事でも恋でも“都合のいい人”として生きてきた。 ある夜、交通事故に遭った瞬間、心の底から叫んだーー「もう我慢なんてしたくない!」 目を覚ますと、乙女ゲームの“悪役令嬢レティシア”に転生していた。 破滅が約束された物語の中で、彼女は決意する。 今度こそ、泣くのは私じゃない。 破滅は“彼ら”に押し付けて、私の人生を取り戻してみせる。

処理中です...