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うっかり渡っちゃった編
女神に会いに行く
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玉藻がジークフリートに抱かれ、モエル侯爵邸から王宮に帰って来るとそれはもう大騒ぎだった。
ーーー主に国王夫妻が。
交互に抱き締め毛並みがーと言いながらブラッシングをし、尻尾に残る何かで締められた跡を見て切れ、ミルクを飲ませ食事を与え、あまりの食付きぶりに食事を与えていなかったのかと激怒し、王は侍従に首根っこを掴まれ引きずられるように執務室へ連れて行かれるまでその場から離れなかった。
ジークフリートも王子教育や剣の鍛錬以外はずっと玉藻を撫で、玉藻も安心したようにジークフリートの膝の上で丸くなりぷーぷーと寝ていた。
モエル侯爵家の処遇については玉藻が元の姿に戻っていない事もあり、全ては決まってはいないが、当分の間登城と国主催の夜会の出席禁止は決定事項となっている。
これは王宮のものを勝手に持ち出した事だけの処罰だ。
そして次の日、女神アマンベールに会う為王とジークフリートは、参拝する時に使う少し控えめに豪華な馬車に揺られ教会に向かっていた。
今日の謁見は王と玉藻だけ行く予定だったが、玉藻がジークフリートから離れないので急遽同席する事になった。
「父上、女神様にタマモを戻してもらえるでしょうか・・・」
「そうだといいがこればかりはお会いしないと分からないな」
王もアマンベールとは滅多に会える存在ではなく、数度しか会った事がない。謁見を申し入れても断られる事が殆どなのだ。
ただ会えないというだけで何かかれば手紙は受け取ってもらえるし、返事も書面で返ってくるので特に困る事は無かった。
今回は手紙で謁見の内容を書いたら逆に玉藻を連れてすぐ会いに来て欲しいと返事をもらったのだ。
これには王も予想外の返事で、やはり玉藻は特別な存在なのだと確信を深め、先日王宮から姿を消した時に素早く捜索させたのだ。
(モエル家での扱いを知ったらそこだけではなく王室にも罰が下されるのではないだろうか)
心の内は戦々恐々である。
王が悶々考えている間に教会へ着き、馬車から出ると王族を迎える為に教皇や大司祭がずらりと並んでいる。
「水と緑の大地を照らす太陽にご挨拶申し上げます」
毎回この挨拶恥ずかしいなと思いながら王は頷く。
一度王太子の時に普通の挨拶ではだめなのかと父に聞いたのだが、「尊敬の念を込めて言われたらやめろと言えないだろうがよ!」と言われたのでそれもそうかと受け入れる事にしたが、恥ずかしいものは恥ずかしいのである。
「ジークフリート王子殿下もご機嫌麗しゅうございます」
「うむ、教皇閣下や大司祭殿達も元気そうで何より」
ジークフリートは王から数歩下がった場所で玉藻を抱きながら返事を返す。
「おや、そちらが・・・・・・」
「そうだ、手紙にも書いて置いた子狐だ。名前はタマモという」
「なんと!尻尾が・・・・・・!」
「9本ある」
「9本も!」
白銀ということもあり、よく見えなくて上手く尻尾を数えられなかったようなので、ジークフリートが本数を教えると教会側の人間がざわつく。
この世界の狐は山吹色で尻尾は1本、玉藻のように白銀の毛並みの狐はいないのだ。しかも尻尾が9本、「神の御使いでは⁉」と教会側がざわつくのも仕方ない。
教皇が片手を上げるとざわつきが収まる。
「早速女神アマンベール様の所へご案内いたしましょう」
そう言って背を向け歩き出す教皇に王とジークフリートが続き、それを教会の聖騎士が守るように付き従う。
教会へ入ると広い空間に祈りを捧げる為に座る長椅子が規則的に並べられており、真正面に女神アマンベールの像を中心として祭壇が置かれている。像の後ろには細長い窓があり、そこから入る光で像の神々しさが引き出されているようだ。
祭壇手前わきにある重厚な扉を過ぎると長い廊下が続き、それを抜けると小さな庭園が広がりその奥に塔がそびえ立っている。
その塔こそが女神アマンベールの住まいで、教皇他数名と王族以外が立ち入れられない場所になっている。
庭園を歩いて行くと100mほどの池の中心に塔があり、そこに辿り着くには一本のフラットな橋を渡るしかない。
「お前達はここまでだ」
教皇が合図し、教皇と王とジークフリートだけ橋を渡り聖騎士は橋の手前で立ち止まっている。
「あっ、タマモ!」
それまで大人しかった玉藻が急にジークフリートの腕の中から飛び出し塔の方へ走って行く。追いかけようとするが、教皇に大丈夫と止められ、塔の方を見ると既に玉藻の姿は無い。
仕方なく教皇に続き歩いていくと3mはあるかと思う繊細な装飾を施された扉の前に着く。そこから塔を見上げるとかなりの高さがあり、天辺の辺りが大きくせり出しているのが見える。
扉は教皇が手をかざすとゆっくりと開き入ると、頂上まで吹き抜けになっていて中央に大きな魔法陣が淡く光っており、は壁に沿うように螺旋階段が続いている。
魔法陣の上に立ち教皇が持っている杖で床を突くと、淡い光が強くなり、魔法陣が刻み込まれた床が上昇していき最上階に着くとまた淡い光に戻っていく。
「さあ、アマンベール様がお待ちです」
塔の入口にあった扉と同じ装飾がされた扉をノックすると、中から涼やかな女性の声が聞こえ、入口と同じように自然と開いていく。
「待ってたわよ」
そう声をかけた主は部屋の奥にあるソファーに身を置き、膝に玉藻を乗せ撫でている。
青緑の豊かな髪を下ろし背には髪と同じ色の翼を持つその人こそ、この国の創世から生き神として居続ける女神、アマンベールである。
ーーー主に国王夫妻が。
交互に抱き締め毛並みがーと言いながらブラッシングをし、尻尾に残る何かで締められた跡を見て切れ、ミルクを飲ませ食事を与え、あまりの食付きぶりに食事を与えていなかったのかと激怒し、王は侍従に首根っこを掴まれ引きずられるように執務室へ連れて行かれるまでその場から離れなかった。
ジークフリートも王子教育や剣の鍛錬以外はずっと玉藻を撫で、玉藻も安心したようにジークフリートの膝の上で丸くなりぷーぷーと寝ていた。
モエル侯爵家の処遇については玉藻が元の姿に戻っていない事もあり、全ては決まってはいないが、当分の間登城と国主催の夜会の出席禁止は決定事項となっている。
これは王宮のものを勝手に持ち出した事だけの処罰だ。
そして次の日、女神アマンベールに会う為王とジークフリートは、参拝する時に使う少し控えめに豪華な馬車に揺られ教会に向かっていた。
今日の謁見は王と玉藻だけ行く予定だったが、玉藻がジークフリートから離れないので急遽同席する事になった。
「父上、女神様にタマモを戻してもらえるでしょうか・・・」
「そうだといいがこればかりはお会いしないと分からないな」
王もアマンベールとは滅多に会える存在ではなく、数度しか会った事がない。謁見を申し入れても断られる事が殆どなのだ。
ただ会えないというだけで何かかれば手紙は受け取ってもらえるし、返事も書面で返ってくるので特に困る事は無かった。
今回は手紙で謁見の内容を書いたら逆に玉藻を連れてすぐ会いに来て欲しいと返事をもらったのだ。
これには王も予想外の返事で、やはり玉藻は特別な存在なのだと確信を深め、先日王宮から姿を消した時に素早く捜索させたのだ。
(モエル家での扱いを知ったらそこだけではなく王室にも罰が下されるのではないだろうか)
心の内は戦々恐々である。
王が悶々考えている間に教会へ着き、馬車から出ると王族を迎える為に教皇や大司祭がずらりと並んでいる。
「水と緑の大地を照らす太陽にご挨拶申し上げます」
毎回この挨拶恥ずかしいなと思いながら王は頷く。
一度王太子の時に普通の挨拶ではだめなのかと父に聞いたのだが、「尊敬の念を込めて言われたらやめろと言えないだろうがよ!」と言われたのでそれもそうかと受け入れる事にしたが、恥ずかしいものは恥ずかしいのである。
「ジークフリート王子殿下もご機嫌麗しゅうございます」
「うむ、教皇閣下や大司祭殿達も元気そうで何より」
ジークフリートは王から数歩下がった場所で玉藻を抱きながら返事を返す。
「おや、そちらが・・・・・・」
「そうだ、手紙にも書いて置いた子狐だ。名前はタマモという」
「なんと!尻尾が・・・・・・!」
「9本ある」
「9本も!」
白銀ということもあり、よく見えなくて上手く尻尾を数えられなかったようなので、ジークフリートが本数を教えると教会側の人間がざわつく。
この世界の狐は山吹色で尻尾は1本、玉藻のように白銀の毛並みの狐はいないのだ。しかも尻尾が9本、「神の御使いでは⁉」と教会側がざわつくのも仕方ない。
教皇が片手を上げるとざわつきが収まる。
「早速女神アマンベール様の所へご案内いたしましょう」
そう言って背を向け歩き出す教皇に王とジークフリートが続き、それを教会の聖騎士が守るように付き従う。
教会へ入ると広い空間に祈りを捧げる為に座る長椅子が規則的に並べられており、真正面に女神アマンベールの像を中心として祭壇が置かれている。像の後ろには細長い窓があり、そこから入る光で像の神々しさが引き出されているようだ。
祭壇手前わきにある重厚な扉を過ぎると長い廊下が続き、それを抜けると小さな庭園が広がりその奥に塔がそびえ立っている。
その塔こそが女神アマンベールの住まいで、教皇他数名と王族以外が立ち入れられない場所になっている。
庭園を歩いて行くと100mほどの池の中心に塔があり、そこに辿り着くには一本のフラットな橋を渡るしかない。
「お前達はここまでだ」
教皇が合図し、教皇と王とジークフリートだけ橋を渡り聖騎士は橋の手前で立ち止まっている。
「あっ、タマモ!」
それまで大人しかった玉藻が急にジークフリートの腕の中から飛び出し塔の方へ走って行く。追いかけようとするが、教皇に大丈夫と止められ、塔の方を見ると既に玉藻の姿は無い。
仕方なく教皇に続き歩いていくと3mはあるかと思う繊細な装飾を施された扉の前に着く。そこから塔を見上げるとかなりの高さがあり、天辺の辺りが大きくせり出しているのが見える。
扉は教皇が手をかざすとゆっくりと開き入ると、頂上まで吹き抜けになっていて中央に大きな魔法陣が淡く光っており、は壁に沿うように螺旋階段が続いている。
魔法陣の上に立ち教皇が持っている杖で床を突くと、淡い光が強くなり、魔法陣が刻み込まれた床が上昇していき最上階に着くとまた淡い光に戻っていく。
「さあ、アマンベール様がお待ちです」
塔の入口にあった扉と同じ装飾がされた扉をノックすると、中から涼やかな女性の声が聞こえ、入口と同じように自然と開いていく。
「待ってたわよ」
そう声をかけた主は部屋の奥にあるソファーに身を置き、膝に玉藻を乗せ撫でている。
青緑の豊かな髪を下ろし背には髪と同じ色の翼を持つその人こそ、この国の創世から生き神として居続ける女神、アマンベールである。
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