白銀の狐は異世界にうっかり渡り幸せになる

ネコフク

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友達できちゃった編

4人の側近候補(仮)

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 だだのマカロン食べさせ会になってしまったお茶会から2週間後、前回とは違うこじんまりとした・・・・・・と言ってもかなりの広さがある庭園のガゼボで、数人の子息令嬢を集めたお茶会が開かれる。

 今回は宰相や高位貴族などジークフリートと同い年で、優秀な親を持つ子供を厳選して選び集められている。
 始めからそうすれば良かっただろうという突っ込みはあるだろうが、お茶会で思いがけずジークフリートと相性が良い者や、婚約者候補として見初める可能性も考慮して行われた。しかしジークフリートは玉藻以外興味を示さず、それどころか玉藻にマカロンを食べさせてもらっている者に無言の圧をかけ、玉藻に至ってはその愛らしさでメロメロにして側近候補を選ぶどころではなくなってしまった。

 その後、王都で売られているマカロンが品薄になったのは、この時のお茶会のせいだと言っても過言ではない。

 余談だが王宮で作られるマカロンには肉球の焼印がされており、玉藻の前足の形を模して作られている。
 初めて出された時に王や王妃、ジークフリートは悶えに悶えたらしい。全員「部屋に飾る!」と言い出した時は周りが全力で止めたという。それは側仕えの者の中で有名な話となってしまった。「肉球の破壊力恐るべし!」と。

 ちなみに肉球焼印を考えたパティシエにはグッジョブボーナスが出たという。

 話を戻してガゼボ集められたのは4人、宰相の令息であるシュミット、騎士団長の令息のヤマト、魔術師団長の令息のホルツ、公爵令嬢のミアンナ。緊張の面持ちだがみんなまだ5歳、テーブルに置かれているお菓子に釘付けである。

 王宮で出されるお菓子は見た目や味が別格であり、ここでしか食べられないとなるとやはり子供、緊張するも意識はお菓子に向いてしまう。

「はあ・・・・・・やはり王宮のお菓子はどれも目で楽しめるものばかり。羨ましいですわ」

 子供といえど美意識が高い女の子、ミアンナは洗練されたお菓子の数々にうっとりとしている。

「それに子供の僕達にも食べやすいように小ぶりになってる」

 見た目にたがわず真面目なシュミットが分析をし、「これ全種類食べたい!」と既に呼ばれた目的を忘れているヤマト。ホルツはマカロンをじっと見ている。

「マカロン・・・・・・焼印がある」

「あら、本当ですわ」

 他のお菓子と比べてやけに量が多いマカロンに全員が注目する。

「肉球?」

「なんで肉球?」

 それが玉藻の肉球だと知らない4人は首をひねる。玉藻が子狐になれるのを知らないので考えても答えは出てこない。

「可愛い印ですわね」

「これ・・・・・・お茶会で食べたのと一緒」

 ホルツに言われ3人はハッとする。髪色と同じ白銀の尻尾を揺らしながら手ずから食べさせてくれた玉藻を思い出したのだ。

「あれは美味でしたわ」

「可愛かった」

「後ろで笑顔の殿下が怖かったけどね」

「もふもふ・・・・・・」

 その時を思い出し、皆うっとりしたり顔を赤らめたり青くしたり4者4様の表情をしている。

「タマモ様・・・でしたよね?あの方も来られるのかしら?」

「この前の事を考えると連れて来るでしょうね」

「来てほしー!」

「・・・・・・もふりたい」

「まあそうでしょうね。わたくしも会いたいですわ」

 うんうんと頷く4人の耳に爽やかな声が聞こえてくる。

「やあ、待たせたね」

 ジークフリートが玉藻と手を繋ぎ、颯爽と金色の髪をなびかせ歩いてくるのを見て、予想通りだと目配せをして立ち上がり、臣下の礼をする。5歳とはいえ皆高位貴族、ぎこちなさは一切ない。

「顔を上げて。みんな来てくれてありがとう、僕は第一王子のジークフリートだ。こっちはタマモ、僕の大切な人だ」

「・・・・・・玉藻です。よろしく」

 ジークフリートがニコニコ紹介する隣で、耳をふるふるさせ頬を染める玉藻。恥ずかしいのか若干瞳が潤んでいる。

「かわっ!」

「ひょえっ!」

「ぐはっ!」

「もふぅ!」

 膝をつき四つん這いになって悶える4人は、可愛いさで人を殺せると知った。後ろに控えていた従者が全員倒れ悶えているのだ。




 後日4人は別々の場所で「尊死って本当にあるんだ・・・・・・」と呟いていたらしい。
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