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学園祭編
朝の慟哭と放課後の返品
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愛加視点に戻りました。
黙って立っているとじんわり汗が吹き出す朝、9月になっても陽の光は容赦なく照らす。夏休みを休んだ気が全くしないけど無常にも今日から二学期が始まる。
前日に寮へ戻って来たオレはエレベーターの下で親衛隊と合流し、寮門の前にはお久しぶりのキョンちゃん先輩が待っている。その隣にはいつものように宏太とチカ………と誰?
んー?と首を傾げているとこっちを向いた生徒は頬を染め目を見開きあんぐりと口を開けている。その反応が分からず余計首を傾げるとキョンちゃん先輩が苦笑いをしながら傾けた首を優しく戻してくれる。
「おいおい首痛めるぞ」
「あー、キョンちゃん先輩お久しぶりです。で、誰?」
また首を傾げると今度は宏太に首を戻される。ハッ、と我に返った生徒が挨拶をしてくる。
「あ、あの僕菅原祐希です。会長さんと仲良くさせてもらってます」
恥じらいながら話す菅原の隣で凄い勢いで首を振るチカがおかしくて笑いをこらえながら自己紹介する。
「生徒会補佐の姫川愛加です。5月から仕事で休んでたけど今日から復帰するんだ。よろしくね菅原くん」
「えっ……姫川?」
満面の営業スマイルを向けてやるとまた菅原は固まったかと思えば急に震え出す。
「ひっ、姫川がこんなんだって聞いてねぇーーー!!」
何か菅原の中で違っていたのか叫びながら走って行ってしまった。菅原の中でオレはどんな感じだったんだ?
「宏太、オレこんなん言われた」
「菅原の目が腐ってるだけだよ。そんな目要らないからくり抜いちゃえばいいのにね」
「こえーよ。でもイケてないってことだろ。笑顔が気持ち悪かった?」
「「「違うからな⁉」」」
菅原が走って行ってしまった原因を考えたオレは総ツッコミをされ、ちょっとしょぼんとなり今度は皆んなに励まされる。そんなオレ達を周りは遠巻きにしながらひそひそしている。朝から騒がしくてすまんな。
教室に行くと貴島の膝の上に白畑が座っているという休み前に見た光景が広がっている。井上も一緒に夏休みの出来事などをワイワイと話していると、これまた休み前の出来事を彷彿とさせる煩い声が聞こえてくる。
「あー!!宏太お前ずっと休んでただろ!俺に会えなくて寂しかっただろ!……って、お前誰だ⁉」
煩い声の主はやはり立花樹、相変わらず声がデカい。そして何でそんなにポジティブなんだ?
「姫川だけど」
「はあぁぁぁぁ!?っ、痛ぇーーー!!」
おい指指すなよ。イラッとしてつい立花の指先をあらぬ方向に曲げちゃったじゃないか。グキッって音がしたけど別にいいよな?
「姫やるぅ♪」
「何すんだよ!お前ブサイクだっただろ!あ、分かった!お前整形したな!」
「いや、元からこんな顔だけど?」
周りのクラスメイトや立花の取り巻きすらも頷いていて「えっ」と立花が戸惑っている。
そういえばマスクするくらいブサイクだと思われてたんだっけ。さすがに整形するくらい変ではないと思うんだけどな。
「だって誰も教えてくれなかったじゃん!」
「お前自分が一番だって言い張って聞かないじゃん」
再度皆んな頷いている。そして立花が膝から崩れ落ちた。オレ膝から崩れ落ちる人間初めて見たよ。
「嘘だ……うそっ……あんな人間がいるなんて……あんなのに勝てるわけないじゃないか!せっかくドラマのように王道学園決めようと思ったのに!生徒会のヤツは落とせないし、俺より転入生が幅を利かせるし。しまいには俺より美人ってか!正体も勢いでバラしちゃったしムリじゃんかーーーーー!!」
「宏太ぁ、オレあんな言われた」
「愛加を罵る口なんて必要ないよね?口を縫ってしまえばいいのにね」
「だからこえーよ。次は鼻かよ」
「問題はそこじゃないからな⁉」
なんか井上に怒られた( ´•ω•` )
しかしやっぱり立花は王道を狙ってたんだなぁ。でもあの性格じゃあ初めから無理だったんじゃないか?後から転入してきた菅原の方がよっぽど王道っぽいけど。
あまりに大きい声だったからか廊下にいた連中が教室の入口に何事かと集まってきていたら、誰かが通報したのかその人ごみをかき分け風紀副委員長の椿さんが数名引き連れてやって来た。
「風紀だ。立花を「うるさい罪」でしょっ引け」
「「「おいっス!!」」」
椿さんの掛け声に一緒に来た風紀が頭を垂れている立花を神輿を担ぐように速やかに連れていく。………デジャヴ?
そもそも罪状が適当すぎませんかね?そのうち存在自体が罪とか言い出しそうだな。
「やあ久しぶり。君もよく絡まれる子だねぇ」
そんなつもりはないんだけどな。立花に関しては向こうが宏太のついでに絡んできただけだし。
その後説教されて戻って来た立花は、常にオレといる宏太は諦めたらしい。井上曰く「姫に勝てる気がしないんじゃねぇ?」と言っていたけどオレのどこを見て勝てないと思ったんだ?
◇◇◇◇◇
放課後生徒会室がある階に行くと、廊下の入口に誰かの親衛隊がバリケードのようにずらっと廊下を塞いでいてちょっとビビる。聞いてはいたけど実際見ると威圧感が凄いな。
「あっ、姫川様、北大路様お久しぶりです!」
「さあどうぞ、お通りください」
「お疲れ様です!」
こちらもご苦労さまですと声をかけ通してもらい、生徒会室へ続く廊下を歩いていく。後ろから「久しぶりのお二人尊い…」「ご苦労さまって言われたぁ♡」など聞こえてくるが、ちょっと生徒会を神格化しすぎじゃないか?いやアイドルか。
「こんにちは~お久しぶりです」
元気に挨拶をし生徒会室に入ると既に副会長の野田さんと庶務の柚木さん以外揃っていてちょっとした修羅場になっていた。いつもチャラついている会計の相沢さんすら前髪が落ちてこないようにカチューシャをしながらキーボードを凄い勢いで打っている。
「姫川すまない、コーヒーを入れてくれ」
少し疲れた声のチカが飲み物を所望してくる。返事をし、ケトルで湯を沸かしながら皆んなの分のカップを準備する。チカや相沢さん、一ノ蔵はブラック、双子はミルクと砂糖たっぷり、宏太は砂糖だけだ。各自持ち込んだカップなので誰のか分かりやすくくて助かる。それを冷蔵庫にあったチョコを2つ添えながら配っていく。
コーヒーを配り終えたところで各々休憩に入るけど、相沢さんだけは飲みながらキーボードを打っている。
「「づがれだ~」」
双子が勢いよく机に突っ伏す。朝から生徒会室で作業していて昼以外は休みなしだったようだ。オレと宏太も朝から来たかったが、3か月も休んでいたので当分授業には出ないといけなくて来れなかった。その代わり休み時間にちょっとずつパソコンで作業していたけど。
「今日から本格的に動き出すからな。特にこの1週間、予算申請で相沢が大変だ。姫川がサポートしてくれ。北大路は満也の仕事を任せたい」
野田さんと柚木さんはまだ立花を構い倒しているらしく、というか秘密裏に動く事があるから生徒会室には出禁だ。それに今は少しだけ立花の被害が減っているらしい。うんうん、それはいい事だ。
チカと宏太が臭いと言っていたフェロモンも、樫木さんから貰った抑制剤を麻路薬品で成分を調べ、新しい抑制剤を開発した事で効かなくなったので、それを風紀委員長の吉永さんや他の風紀に配ったことで活動できるようになり、めちゃくちゃ感謝された。
抑制剤が完成した時、麻路薬品凄いな!と宏太に興奮して言ったら成分さえ分かってしまえば簡単なんだよって言われてちょっとスンってなった。
休憩も10分ほどしか取らず作業を再開、という時に扉がノックされる。チカが開けていいと言うので開けるとそこには隣のクラスの委員長が立っていた。呼ばれて来たという委員長は所在なげな様子で要件を聞いてくる。
「姫川これを彼に渡してくれ」
チカの所へ行き包装紙に包まれた箱を受け取り委員長に渡す。
「これは……」
「それは今日菅原が俺に押し付けていったものだ。返しておいてくれ」
どうやらそれは2人目の転入生、菅原がチカに渡したものらしい。包装紙が某有名菓子店のものだ。
「いや……でも……これはあいつの気持ちですし…」
「「品物は人物、種類、理由に関わらず受け取らない」貴様は委員長だから生徒会のルールを知っているはずだ。もしそれが俺個人への物だとしてもだ」
「でも…」
「1人でも受け取るのを許してしまえば自分達もとなってしまう。他を断ればやっかみが出るだろう。そして菅原が特別だと思われ制裁の対象になりかねない。親衛隊が制裁しなくても他から嫌がらせがあるかもしれない。………わかるな?」
「……はい」
戸惑い食い下がる委員長にぴしゃりとチカが言う。かあっこいーひゅー♪という気持ちは顔に出さずえいやっ、と委員長を廊下へご退席させる。
「ああ、それと俺に付き纏っても生徒会の仕事はさせない、大人しくクラスの準備をしろと菅原に言っておけ」
「…だそうです」
「……はい」
扉を閉めようとした瞬間にチカが追い打ちをかけるように委員長に言付けると、背中に哀愁を漂わせながらとぼとぼと歩いていく。
「うわっ、まだあの転入生諦めないでかいちょーにアタックしてたんだぁ」
2人のやり取りをしっかり聞いていたらしい相沢さんがパソコンの画面から目線を離さず言う。
「そんなにですか?」
「そうそう。気付いたらかいちょーの隣にいたりしてちょっとホラーな時があるよ」
オレがいない間に変なのに纏わりつかれてるなぁ。中等部の時から時たまいたから今さらだけど。
あんまり纏わりつかれてると計画がバレそうだから気を付けないとな。
黙って立っているとじんわり汗が吹き出す朝、9月になっても陽の光は容赦なく照らす。夏休みを休んだ気が全くしないけど無常にも今日から二学期が始まる。
前日に寮へ戻って来たオレはエレベーターの下で親衛隊と合流し、寮門の前にはお久しぶりのキョンちゃん先輩が待っている。その隣にはいつものように宏太とチカ………と誰?
んー?と首を傾げているとこっちを向いた生徒は頬を染め目を見開きあんぐりと口を開けている。その反応が分からず余計首を傾げるとキョンちゃん先輩が苦笑いをしながら傾けた首を優しく戻してくれる。
「おいおい首痛めるぞ」
「あー、キョンちゃん先輩お久しぶりです。で、誰?」
また首を傾げると今度は宏太に首を戻される。ハッ、と我に返った生徒が挨拶をしてくる。
「あ、あの僕菅原祐希です。会長さんと仲良くさせてもらってます」
恥じらいながら話す菅原の隣で凄い勢いで首を振るチカがおかしくて笑いをこらえながら自己紹介する。
「生徒会補佐の姫川愛加です。5月から仕事で休んでたけど今日から復帰するんだ。よろしくね菅原くん」
「えっ……姫川?」
満面の営業スマイルを向けてやるとまた菅原は固まったかと思えば急に震え出す。
「ひっ、姫川がこんなんだって聞いてねぇーーー!!」
何か菅原の中で違っていたのか叫びながら走って行ってしまった。菅原の中でオレはどんな感じだったんだ?
「宏太、オレこんなん言われた」
「菅原の目が腐ってるだけだよ。そんな目要らないからくり抜いちゃえばいいのにね」
「こえーよ。でもイケてないってことだろ。笑顔が気持ち悪かった?」
「「「違うからな⁉」」」
菅原が走って行ってしまった原因を考えたオレは総ツッコミをされ、ちょっとしょぼんとなり今度は皆んなに励まされる。そんなオレ達を周りは遠巻きにしながらひそひそしている。朝から騒がしくてすまんな。
教室に行くと貴島の膝の上に白畑が座っているという休み前に見た光景が広がっている。井上も一緒に夏休みの出来事などをワイワイと話していると、これまた休み前の出来事を彷彿とさせる煩い声が聞こえてくる。
「あー!!宏太お前ずっと休んでただろ!俺に会えなくて寂しかっただろ!……って、お前誰だ⁉」
煩い声の主はやはり立花樹、相変わらず声がデカい。そして何でそんなにポジティブなんだ?
「姫川だけど」
「はあぁぁぁぁ!?っ、痛ぇーーー!!」
おい指指すなよ。イラッとしてつい立花の指先をあらぬ方向に曲げちゃったじゃないか。グキッって音がしたけど別にいいよな?
「姫やるぅ♪」
「何すんだよ!お前ブサイクだっただろ!あ、分かった!お前整形したな!」
「いや、元からこんな顔だけど?」
周りのクラスメイトや立花の取り巻きすらも頷いていて「えっ」と立花が戸惑っている。
そういえばマスクするくらいブサイクだと思われてたんだっけ。さすがに整形するくらい変ではないと思うんだけどな。
「だって誰も教えてくれなかったじゃん!」
「お前自分が一番だって言い張って聞かないじゃん」
再度皆んな頷いている。そして立花が膝から崩れ落ちた。オレ膝から崩れ落ちる人間初めて見たよ。
「嘘だ……うそっ……あんな人間がいるなんて……あんなのに勝てるわけないじゃないか!せっかくドラマのように王道学園決めようと思ったのに!生徒会のヤツは落とせないし、俺より転入生が幅を利かせるし。しまいには俺より美人ってか!正体も勢いでバラしちゃったしムリじゃんかーーーーー!!」
「宏太ぁ、オレあんな言われた」
「愛加を罵る口なんて必要ないよね?口を縫ってしまえばいいのにね」
「だからこえーよ。次は鼻かよ」
「問題はそこじゃないからな⁉」
なんか井上に怒られた( ´•ω•` )
しかしやっぱり立花は王道を狙ってたんだなぁ。でもあの性格じゃあ初めから無理だったんじゃないか?後から転入してきた菅原の方がよっぽど王道っぽいけど。
あまりに大きい声だったからか廊下にいた連中が教室の入口に何事かと集まってきていたら、誰かが通報したのかその人ごみをかき分け風紀副委員長の椿さんが数名引き連れてやって来た。
「風紀だ。立花を「うるさい罪」でしょっ引け」
「「「おいっス!!」」」
椿さんの掛け声に一緒に来た風紀が頭を垂れている立花を神輿を担ぐように速やかに連れていく。………デジャヴ?
そもそも罪状が適当すぎませんかね?そのうち存在自体が罪とか言い出しそうだな。
「やあ久しぶり。君もよく絡まれる子だねぇ」
そんなつもりはないんだけどな。立花に関しては向こうが宏太のついでに絡んできただけだし。
その後説教されて戻って来た立花は、常にオレといる宏太は諦めたらしい。井上曰く「姫に勝てる気がしないんじゃねぇ?」と言っていたけどオレのどこを見て勝てないと思ったんだ?
◇◇◇◇◇
放課後生徒会室がある階に行くと、廊下の入口に誰かの親衛隊がバリケードのようにずらっと廊下を塞いでいてちょっとビビる。聞いてはいたけど実際見ると威圧感が凄いな。
「あっ、姫川様、北大路様お久しぶりです!」
「さあどうぞ、お通りください」
「お疲れ様です!」
こちらもご苦労さまですと声をかけ通してもらい、生徒会室へ続く廊下を歩いていく。後ろから「久しぶりのお二人尊い…」「ご苦労さまって言われたぁ♡」など聞こえてくるが、ちょっと生徒会を神格化しすぎじゃないか?いやアイドルか。
「こんにちは~お久しぶりです」
元気に挨拶をし生徒会室に入ると既に副会長の野田さんと庶務の柚木さん以外揃っていてちょっとした修羅場になっていた。いつもチャラついている会計の相沢さんすら前髪が落ちてこないようにカチューシャをしながらキーボードを凄い勢いで打っている。
「姫川すまない、コーヒーを入れてくれ」
少し疲れた声のチカが飲み物を所望してくる。返事をし、ケトルで湯を沸かしながら皆んなの分のカップを準備する。チカや相沢さん、一ノ蔵はブラック、双子はミルクと砂糖たっぷり、宏太は砂糖だけだ。各自持ち込んだカップなので誰のか分かりやすくくて助かる。それを冷蔵庫にあったチョコを2つ添えながら配っていく。
コーヒーを配り終えたところで各々休憩に入るけど、相沢さんだけは飲みながらキーボードを打っている。
「「づがれだ~」」
双子が勢いよく机に突っ伏す。朝から生徒会室で作業していて昼以外は休みなしだったようだ。オレと宏太も朝から来たかったが、3か月も休んでいたので当分授業には出ないといけなくて来れなかった。その代わり休み時間にちょっとずつパソコンで作業していたけど。
「今日から本格的に動き出すからな。特にこの1週間、予算申請で相沢が大変だ。姫川がサポートしてくれ。北大路は満也の仕事を任せたい」
野田さんと柚木さんはまだ立花を構い倒しているらしく、というか秘密裏に動く事があるから生徒会室には出禁だ。それに今は少しだけ立花の被害が減っているらしい。うんうん、それはいい事だ。
チカと宏太が臭いと言っていたフェロモンも、樫木さんから貰った抑制剤を麻路薬品で成分を調べ、新しい抑制剤を開発した事で効かなくなったので、それを風紀委員長の吉永さんや他の風紀に配ったことで活動できるようになり、めちゃくちゃ感謝された。
抑制剤が完成した時、麻路薬品凄いな!と宏太に興奮して言ったら成分さえ分かってしまえば簡単なんだよって言われてちょっとスンってなった。
休憩も10分ほどしか取らず作業を再開、という時に扉がノックされる。チカが開けていいと言うので開けるとそこには隣のクラスの委員長が立っていた。呼ばれて来たという委員長は所在なげな様子で要件を聞いてくる。
「姫川これを彼に渡してくれ」
チカの所へ行き包装紙に包まれた箱を受け取り委員長に渡す。
「これは……」
「それは今日菅原が俺に押し付けていったものだ。返しておいてくれ」
どうやらそれは2人目の転入生、菅原がチカに渡したものらしい。包装紙が某有名菓子店のものだ。
「いや……でも……これはあいつの気持ちですし…」
「「品物は人物、種類、理由に関わらず受け取らない」貴様は委員長だから生徒会のルールを知っているはずだ。もしそれが俺個人への物だとしてもだ」
「でも…」
「1人でも受け取るのを許してしまえば自分達もとなってしまう。他を断ればやっかみが出るだろう。そして菅原が特別だと思われ制裁の対象になりかねない。親衛隊が制裁しなくても他から嫌がらせがあるかもしれない。………わかるな?」
「……はい」
戸惑い食い下がる委員長にぴしゃりとチカが言う。かあっこいーひゅー♪という気持ちは顔に出さずえいやっ、と委員長を廊下へご退席させる。
「ああ、それと俺に付き纏っても生徒会の仕事はさせない、大人しくクラスの準備をしろと菅原に言っておけ」
「…だそうです」
「……はい」
扉を閉めようとした瞬間にチカが追い打ちをかけるように委員長に言付けると、背中に哀愁を漂わせながらとぼとぼと歩いていく。
「うわっ、まだあの転入生諦めないでかいちょーにアタックしてたんだぁ」
2人のやり取りをしっかり聞いていたらしい相沢さんがパソコンの画面から目線を離さず言う。
「そんなにですか?」
「そうそう。気付いたらかいちょーの隣にいたりしてちょっとホラーな時があるよ」
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