王道学園にさせてなるものかっ!

ネコフク

文字の大きさ
39 / 79
学園祭編

言い訳だがな!

しおりを挟む
 話のキリの都合で短めになっております。




 二学期が始まってからの1週間、生徒会の会計は本当に大変だった。

 各クラスや有志からの予算申請、広場に出店する店の交渉、講堂で行われる催し物の予算割りなど多岐に渡り書類が飛び交う。それをしっかり把握し、作業をこなす相沢さんは凄かった。何が凄いってどんなに忙しくてもチャラさが失われない事。真面目にやるとストレスが溜まるかららしいけどチャラチャラやっているのに仕事は正確で早いとか凄すぎだろ。

 オレはというと相沢さんが作成した書類の仕分けや各教室に届けたりしていた。その際、2人目の転入生である菅原がやたらチラチラ見てきてたけど気付かないふりをした。言いたい事がありそうなのに菅原はオレに近づかないんだよな。

 今日は1階の1年生の教室から書類を配り始める。2階が終わり、3階に上がると階段の手前の教室からクラス委員長に書類を渡していく。次はこことドアを引くと、そこには浅く椅子に座り背もたれにより掛かりズボンのポケットに手を突っ込んでメンチを切っているガラの悪い人がいた。

「⁉ま……MANAたん⁉」

 おっと、ガラの悪い人はオレのブランド「MAMA-CA」のディープでコアなファンの樫木竜司さんでした。竜司さんには立花のフェロモン対策の為にスター製薬の抑制剤を貰ったんだよね。それのおかげで新しい抑制剤を作れたから竜司様々だ。

「こんにちは~クラス委員長いますか?」

 にこやかに言うと「おい、委員長どこだ!」「どっか行っていません!」「MANAたんがお呼びだ!探せ!」「「はいっ!!」」とオレと話す時のほにゃほにゃした感じは鳴りを潜めヤンキー全開で他の生徒に指示を出している。

「あー…竜司さん竜司さん」

「おわっ、MANAたんが俺の名前を……⁉」

 おっ、さっきの棘々しいのはどこ行った?

「この書類を持って来ただけだから。竜司さんから渡しておいてくれるかな?」

「もももももモチロンです!!」

 何故か直立不動になった竜司さんに書類を手渡す。そんな竜司さんの姿を見た周りは唖然としている。緊張気味に受け取った竜司さんは胸に書類を抱き……握り締めた!!ちょっ、力入れ過ぎてぐしゃってなってる!ぐしゃって!一応大事な書類なんだけどそれ。

 それを見てあわあわしていると「そういえば……」とある噂を話してくれた。その噂というのは「姫川愛加が幼なじみを隣に置いているのに会長まではべらせてようとしていてそれに邪魔な会長のお気に入りの転入生を虐めている」というものらしい。

「なんか凄い噂だね」

「そうなんですよ!二宮にのみや出身の奴らが「MANAたんとコウは『運命の番』で会長の帝はその2人を中等部の頃から可愛がっている」って言ってたんでそれを知っている奴は信じてないですが……その関係性を知らない奴らは信じてるみたいです」

 確かに知らない奴は鵜呑みにする噂だな。

「それっていつくらいから噂が流れたのかな?」

「ほわっ、MANAたんかわっ……確か夏休み明けですかね」

 こてりと首を傾げ上目使いで見るとまた竜司さんの語彙がおかしくなってる。
 噂は……まあそうだよな。オレと宏太は5月から学校を休んでたから噂が流れるとしたら最近になるよな。

「俺の方でも噂を消すように動きますが3年ここまで流れて来るって事は学校中に広がってるって事なので気を付けてください」

「うん、ありがと。必ず親衛隊と一緒に行動するね」

 心配そうな竜司さんにお礼を言って他の教室に書類を渡し生徒会室に戻る。
 さっき聞いた噂話を話すと皆んな知っていたらしく、耳にする度否定はしてくれていたらしい。

「ちょっと噂の周り具合が早すぎますよね」

 一ノ蔵さんが考え込むように腕組みをしている。
 確かに噂がよく回るとしても夏休み明けてから1週間で全学年に行き渡るのはおかしい気がする。

「姫川くんは今年入学式当日に親衛隊が結成されたり、食堂で騒がれたり目立ってるから反感も買いやすい。本当1人にならない方がいいですよ」

 まーね、秋田鈴音の件もそうだけど立花に絡まれたり何かと目立っているのは確かだ。でも食堂の件はチカのせいだけどな!

「一ノ蔵さん心配ありがと。普段宏太が一緒だし親衛隊の人もついてるから大丈夫だよ!」

 ―――――――と本気で思ってた時がさっきまでありました。

 いやまさかだよ?そんな話した後すぐあると思わないじゃん?しかもトイレから生徒会室に戻る時に連れ去られるとは誰も思わないだろ。だって生徒会室や委員会の部屋がある廊下の入口には親衛隊がいるし、放課後のこの時間誰か廊下に出て来る可能性だって高い。それなのに連れ去られるオレって……

 でもさ、まさかあの人が連れ出すなんて微塵も思わなかったんだよね。
 言い訳だがな!




 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 登喜「登喜でーす」
 有喜「有喜でーす」
 登喜「いきなりだけど今日は生徒会役員の机の中身をチェックするよ!」
 有喜「わーパチパチパチ」
 登喜「まずは一ノ蔵ちゃん」

 ごそごそ・・・

 登喜「筆記用具だけだねー」
 有喜「真面目な彼女らしいねー」
 登喜「次は今いない副会長の引き出し」

 ごそごそ・・・ごそごそ

 有喜「ポケットティッシュ何種類も出てきたんだけど」
 登喜「そういえば鼻かみ用とか用途によって使い分けてたね」
 有喜「なんかキモい」
 登喜「キモいね」
 有喜「捨てとこ」

 ポイポイポイ

 登喜「次エイトくん」

 がさごそ・・・パタン・・・

 登喜「あー・・・」
 有喜「んー・・・」
 登喜「必要だね」
 有喜「うん、必要だよね」
 登喜「でもここに入れとく必要性って・・・」
 有喜「持ち歩いてるやつが無くなった時の補充?」
 登喜「いつ無くなるかは知りたくないね」
 有喜「ないない」
 エイト「教えようか?」
 登喜有喜「「コ○ドームの使う場所は寮だけにして!!」」
 エイト「えー」

            続く
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

ヤンキーΩに愛の巣を用意した結果

SF
BL
アルファの高校生・雪政にはかわいいかわいい幼馴染がいる。オメガにして学校一のヤンキー・春太郎だ。雪政は猛アタックするもそっけなく対応される。  そこで雪政がひらめいたのは 「めちゃくちゃ居心地のいい巣を作れば俺のとこに居てくれるんじゃない?!」  アルファである雪政が巣作りの為に奮闘するが果たして……⁈  ちゃらんぽらん風紀委員長アルファ×パワー系ヤンキーオメガのハッピーなラブコメ! ※猫宮乾様主催 ●●バースアンソロジー寄稿作品です。

αが離してくれない

雪兎
BL
運命の番じゃないのに、αの彼は僕を離さない――。 Ωとして生まれた僕は、発情期を抑える薬を使いながら、普通の生活を目指していた。 でもある日、隣の席の無口なαが、僕の香りに気づいてしまって……。 これは、番じゃないふたりの、近すぎる距離で始まる、運命から少しはずれた恋の話。

お世話したいαしか勝たん!

沙耶
BL
神崎斗真はオメガである。総合病院でオメガ科の医師として働くうちに、ヒートが悪化。次のヒートは抑制剤無しで迎えなさいと言われてしまった。 悩んでいるときに相談に乗ってくれたα、立花優翔が、「俺と一緒にヒートを過ごさない?」と言ってくれた…? 優しい彼に乗せられて一緒に過ごすことになったけど、彼はΩをお世話したい系αだった?! ※完結設定にしていますが、番外編を突如として投稿することがございます。ご了承ください。

平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)

優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。 本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。

オメガ大学生、溺愛アルファ社長に囲い込まれました

こたま
BL
あっ!脇道から出てきたハイヤーが僕の自転車の前輪にぶつかり、転倒してしまった。ハイヤーの後部座席に乗っていたのは若いアルファの社長である東条秀之だった。大学生の木村千尋は病院の特別室に入院し怪我の治療を受けた。退院の時期になったらなぜか自宅ではなく社長宅でお世話になることに。溺愛アルファ×可愛いオメガのハッピーエンドBLです。読んで頂きありがとうございます。今後随時追加更新するかもしれません。

隣の番は、俺だけを見ている

雪兎
BL
Ωである高校生の湊(みなと)は、幼いころから体が弱く、友人も少ない。そんな湊の隣に住んでいるのは、幼馴染で幼少期から湊に執着してきたαの律(りつ)。律は湊の護衛のように常にそばにいて、彼に近づく人間を片っ端から遠ざけてしまう。 ある日、湊は学校で軽い発情期の前触れに襲われ、助けてくれたのもやはり律だった。逃れられない幼馴染との関係に戸惑う湊だが、律は静かに囁く。「もう、俺からは逃げられない」――。 執着愛が静かに絡みつく、オメガバース・あまあま系BL。 【キャラクター設定】 ■主人公(受け) 名前:湊(みなと) 属性:Ω(オメガ) 年齢:17歳 性格:引っ込み思案でおとなしいが、内面は芯が強い。幼少期から体が弱く、他人に頼ることが多かったため、律に守られるのが当たり前になっている。 特徴:小柄で華奢。淡い茶髪で色白。表情はおだやかだが、感情が表に出やすい。 ■相手(攻め) 名前:律(りつ) 属性:α(アルファ) 年齢:18歳 性格:独占欲が非常に強く、湊に対してのみ甘く、他人には冷たい。基本的に無表情だが、湊のこととなると感情的になる。 特徴:長身で整った顔立ち。黒髪でクールな雰囲気。幼少期に湊を助けたことをきっかけに執着心が芽生え、彼を「俺の番」と心に決めている。

番に囲われ逃げられない

ネコフク
BL
高校の入学と同時に入寮した部屋へ一歩踏み出したら目の前に笑顔の綺麗な同室人がいてあれよあれよという間にベッドへ押し倒され即挿入!俺Ωなのに同室人で学校の理事長の息子である颯人と一緒にα寮で生活する事に。「ヒートが来たら噛むから」と宣言され有言実行され番に。そんなヤベェ奴に捕まったΩとヤベェαのちょっとしたお話。 結局現状を受け入れている受けとどこまでも囲い込もうとする攻めです。オメガバース。

ウサギ獣人を毛嫌いしているオオカミ獣人後輩に、嘘をついたウサギ獣人オレ。大学で逃げ出して後悔したのに、大人になって再会するなんて!?

灯璃
BL
ごく普通に大学に通う、宇佐木 寧(ねい)には、ひょんな事から懐いてくれる後輩がいた。 オオカミ獣人でアルファの、狼谷 凛旺(りおう)だ。 ーここは、普通に獣人が現代社会で暮らす世界ー 獣人の中でも、肉食と草食で格差があり、さらに男女以外の第二の性別、アルファ、ベータ、オメガがあった。オメガは男でもアルファの子が産めるのだが、そこそこ差別されていたのでベータだと言った方が楽だった。 そんな中で、肉食のオオカミ獣人の狼谷が、草食オメガのオレに懐いているのは、単にオレたちのオタク趣味が合ったからだった。 だが、こいつは、ウサギ獣人を毛嫌いしていて、よりにもよって、オレはウサギ獣人のオメガだった。 話が合うこいつと話をするのは楽しい。だから、学生生活の間だけ、なんとか隠しとおせば大丈夫だろう。 そんな風に簡単に思っていたからか、突然に発情期を迎えたオレは、自業自得の後悔をする羽目になるーー。 みたいな、大学篇と、その後の社会人編。 BL大賞ポイントいれて頂いた方々!ありがとうございました!! ※本編完結しました!お読みいただきありがとうございました! ※短編1本追加しました。これにて完結です!ありがとうございました! 旧題「ウサギ獣人が嫌いな、オオカミ獣人後輩を騙してしまった。ついでにオメガなのにベータと言ってしまったオレの、後悔」

処理中です...