王道学園にさせてなるものかっ！

学園祭編

幕間 その頃外では

　少し遡ってPM0:10

　Side　樫木竜二

「なあ竜二、まだここに居るのかよ」

「あ゙あ゙？うっせーな、居たくないならどっか行けよ」

「なあ、担がれてんじゃねぇの？」

「いや、それは絶対無い！」

　口々に不満を漏らすツレ達は俺が普段来ないような場所、第２体育館に続く廊下に12時から居続けるのが不思議でしょうがないらしい。しかもバリケードと風紀が立っていて廊下の入り口でウロウロしているから、怪しすぎるみたいだ。

　確かにいつも待ち合わせに遅れたり時間を少しでも過ぎたら速攻帰るのに、12時から既に10分経っても立ち去ろうとしない俺を見て「頭打ったのか？」「悪いものでも食ったんじゃね？」「ソワソワしてキモい」って後でお前ら締める！

　何故俺がここに居るかというと、昨日MANAたんに会った時帰り際に渡された紙に『明日12時過ぎに第２体育館の近くにいてね。良いことがあるよ！』って書いてたんだよ！もちろん直筆！速攻部屋に額に入れて飾ったぜ。

　という訳で廊下ここに居るんだが、良いことって何？MANAたん教えてー


『あーテステス、こちら放送委員会です』

「あ？」

「なんだなんだ？」

「この声A組の石田じゃね？」

『みなさーん学園祭を楽しんでますかぁ？……うんうん楽しんでるよねぇ。そんなみんなにもっと楽しい事をお知らせするよぉ。今まで謎だった生徒会の出し物の発表するよ！むふふふふふふ～。それはね、じゃじゃーん！あの超有名ブランドのimperialとコラボしたファッションショーだよ！』

「は？」

「えっインペリアル？」

「MANAたーん！」

　もももももももしかしてMANAたんが書いた「良いこと」ってこれか!?マジで!?
　Imperialのファッションショーといえば家のコネを使っても、ほぼ取れないと言われているあのファッションショーだよな？しかももしかしてMANAたんが初めて出るショーか!?ヤベー、俺幸せ死にしそう。

『おお～、皆んな狂喜してるのかな？放送室まで雄叫びが聞こえてくるんだけど（笑）で、広場や第１体育館に設置されたスクリーンや教室のテレビでも見れるんだけど、な・ん・と第２体育館で生で見れちゃいまーす！』

「何ぃ!?」

「マジで!?」

「MANAたーん！！」

　マジ!?俺、今、第２体育館の廊下の入り口、オレ、スグ、イケル。

　語彙？そんなモン捨てたわ！だから第２体育館近くなのか！ありがとうMANAたん、MANAたんラヴ♡フォーエバー。

『あ、でも有料だからね。ちょっとお高いけど皆んな良いとこの家だから大丈夫だよね。えーと、「12時半から第２体育館前でチケットを販売します。お一人２万円、座席は全て自由席、携帯電話荷物の持ち込みは禁止なのでこちらで預からせてもらいます」だって。席は500席かぁ。生で見たい人は第２体育館だよ～』

「チッ、石田煽ってやがる」

「おい、行くなら走れ！(待っててMANAたん！）」

「行くに決まってんじゃん」

　一番乗りでチケット販売の長机に着いたら奥にいたスタッフがビビっていたのは、走って来た勢いが凄かったと思いたい。圧がある形相のせいじゃないよ……な？

　自由席なので良い席を取る為にそのまま開場時間まで列を作って待つ事に。その間にスマホを預け(財布は預ける必要がなかった)たが、何故かジップロックに入れられた。バッグを持ってるヤツは大きなジップロックに。あんな大きなジップロックどこで売ってんだ？



　開場時間になり第２体育館に入ると、黒を基調とした本格的な舞台が出来ていた。壁際にはスタッフTシャツを着たスタッフが配置されているが、明らかにガタイがいいから警備担当なんだろう。ライブ配信の為にカメラもランウェイの先端や至る所にあるし、一学園祭でやるイベントではないのが伺える。多分MANAたんのお披露目ショーか。俺、歴史的瞬間に立ち会えるのか……

　ありがとうMANAたん、I Love♡MANAたん。

　席はランウェイの先端の斜め前、ランウェイを歩くMANAたんも見れるし、先端でパフォーマンスを間近で見れるし最高な席だ。始まるのが待ち遠しいぜ！

「竜二さっきからブツブツ言ってんだけど」

「キモッ」

　やっぱアイツらショーが終わったら締める！