64 / 79
学園祭編
行くぜ!ファッションショー①
しおりを挟む
ショー開場時間の2時半前に舞台裏へ移動し、並べられているパイプ椅子に座って時間を待つ。
先ほどまで慌ただしく動いていたスタッフも今は配置につき、動いているのは衣装係だけ。嫌でも緊張が高まってくる。「速攻完売なんてさすがね!」と目を$にしていたあげは姉ぇも無言で仁王立ちしている。
……って圧が強い!
ショーの直前の直前はいつもピリつくんだけど、ゴージャス美人αの圧って思ってるより強いんたよな。生徒会のメンバーがビビってるから少し雰囲気を和らげてほしい。いつもはほわほわした佳兄ぃがいるからここまでじゃないんだけど……佳兄ぃヘルプ!
場の雰囲気に胃が痛くなりそうになっていたら、時間になったのか音楽が流れ始め、ワッと開場が沸いているのが聞こえてくる。どうやら音楽と同時に舞台のスクリーンに映像が流れ始めたようだ。
ブランドロゴから始まり、秋冬モデルの服や靴、バッグなどを発表したファッションショーの映像を流し、その後新作初出しのあげは姉ぇのブランド「パピヨン」のチョーカーとオレのブランド「MANA-CA」のドッグタグネックレスの映像が流れる予定だ。チョーカーとドッグタグネックレスは発売前なので宣伝も兼ねている。控えの教室で着けたネックレスはこれなんだよ。
三枚羽が彫られたドッグタグの裏にはシリアルナンバーの『零』の文字。チカと宏太の分3つだけしか使われないナンバーだ。もちろんあげは姉ぇの新作のチョーカーも着けている。
「ヨウ、静馬待機!」
かれこれ10分は経っただろうか、一際歓声が上がるのを聞き舞台裏に設置されているモニターから顔を上げ、あげは姉ぇがヨウさんと静馬さんに小声で指示を出す。多分スクリーンに『Imperial✕宮中学園生徒会』の文字が出たところだろう。
今回流す映像を前もって見せてもらったけど、中々良い出来だった。
試着している所やスタジオで写真を撮られている所をピックアップして流している。もちろんリラックスしているトコやふざけているトコも。生徒会ファン垂涎の動画だろう。
その時「学園で売れそう」とボソリと言ったのを聞いたあげは姉ぇの目がキラーンと$になったけど、それはやめてくれと拝み倒してなんとかやめさせたんだよ。口は災いの元だね、ホント大変だった。
「いい?決められた表情以外は笑顔よ笑顔!観客はスイーツ、自分の好きなスイーツがゴロゴロしてると思いなさい!そうしたら自然と笑顔になれるわ!」
もうすぐステージに上がるメンバーの強ばる顔をほぐすべく、モニターに映る観客を指しあげは姉ぇが発破をかける。そのセリフあげは姉ぇよく言うよね。
「そう笑顔よ!愛加、双子、ヨダレを垂らすな!アナタ達は程々に好きなスイーツを想像しなさい!」
「「ラジャー( ー`дー´)ゞ(ジュルリ)」」
やべ、杏仁豆腐の事を考えたらヨダレが出て怒られた。つーか程々に好きなスイーツって何だよ。全く思いつかないんだけど。
どのスイーツにしようかとウンウン考えていたら音楽が止み、先ほどとは違う音楽が流れ始める。一拍置いてヨウさんが軽やかにステージに出ていく。あまり畏まっていないショーの時に、いつもトップバッターを張るヨウさんは慣れもので、その晴れやかな笑顔で観客を魅了していく。ヨウさんがランウェイの先端でポージングを決めている間に静馬さんがステージに上がり、ランウェイのすれ違いざまにハイタッチをして歩いていく。
明るいヨウさんと落ち着いた雰囲気の静馬さん一見アンバランスに見えるけど、並ぶと意外に場が華やかになるんだよな。お互いの魅力を引き出すって言うのかな?番おうとするくらいの信頼と愛情の賜物なのかも。あげは姉ぇも側で頷いている。
「わーすごーい」
「凄いねー」
「すげぇ」
「さすがプロですね」
舞台袖に移動して隙間から見ているメンバーが、感嘆の声を出している。うんうん、これからオレ達もそこを歩くんだぞ。
「あー……緊張してきた」
場慣れしてそうな相沢さんが少し青くなっている。
「ダイジョーブダイジョーブ、コケても愛想笑いしとけばいいから」
「いや、そんな余裕ないからな!?」
えーそれくらい余裕持たないと動きが硬くなるよ。
「……ホテル」
「え?」
「相沢、これが終わったらホテルのスイートに招待しよう。お気に入りの奴と行けばいい」
チカが相沢さんをホテルで釣ったーーー!
「よし!ヤル気出た!」
やる気出したーーー!
いややる気じゃなくてヤル気だよな!?そんなんで緊張解れるのか!?さすが下半身男!
先ほどまで慌ただしく動いていたスタッフも今は配置につき、動いているのは衣装係だけ。嫌でも緊張が高まってくる。「速攻完売なんてさすがね!」と目を$にしていたあげは姉ぇも無言で仁王立ちしている。
……って圧が強い!
ショーの直前の直前はいつもピリつくんだけど、ゴージャス美人αの圧って思ってるより強いんたよな。生徒会のメンバーがビビってるから少し雰囲気を和らげてほしい。いつもはほわほわした佳兄ぃがいるからここまでじゃないんだけど……佳兄ぃヘルプ!
場の雰囲気に胃が痛くなりそうになっていたら、時間になったのか音楽が流れ始め、ワッと開場が沸いているのが聞こえてくる。どうやら音楽と同時に舞台のスクリーンに映像が流れ始めたようだ。
ブランドロゴから始まり、秋冬モデルの服や靴、バッグなどを発表したファッションショーの映像を流し、その後新作初出しのあげは姉ぇのブランド「パピヨン」のチョーカーとオレのブランド「MANA-CA」のドッグタグネックレスの映像が流れる予定だ。チョーカーとドッグタグネックレスは発売前なので宣伝も兼ねている。控えの教室で着けたネックレスはこれなんだよ。
三枚羽が彫られたドッグタグの裏にはシリアルナンバーの『零』の文字。チカと宏太の分3つだけしか使われないナンバーだ。もちろんあげは姉ぇの新作のチョーカーも着けている。
「ヨウ、静馬待機!」
かれこれ10分は経っただろうか、一際歓声が上がるのを聞き舞台裏に設置されているモニターから顔を上げ、あげは姉ぇがヨウさんと静馬さんに小声で指示を出す。多分スクリーンに『Imperial✕宮中学園生徒会』の文字が出たところだろう。
今回流す映像を前もって見せてもらったけど、中々良い出来だった。
試着している所やスタジオで写真を撮られている所をピックアップして流している。もちろんリラックスしているトコやふざけているトコも。生徒会ファン垂涎の動画だろう。
その時「学園で売れそう」とボソリと言ったのを聞いたあげは姉ぇの目がキラーンと$になったけど、それはやめてくれと拝み倒してなんとかやめさせたんだよ。口は災いの元だね、ホント大変だった。
「いい?決められた表情以外は笑顔よ笑顔!観客はスイーツ、自分の好きなスイーツがゴロゴロしてると思いなさい!そうしたら自然と笑顔になれるわ!」
もうすぐステージに上がるメンバーの強ばる顔をほぐすべく、モニターに映る観客を指しあげは姉ぇが発破をかける。そのセリフあげは姉ぇよく言うよね。
「そう笑顔よ!愛加、双子、ヨダレを垂らすな!アナタ達は程々に好きなスイーツを想像しなさい!」
「「ラジャー( ー`дー´)ゞ(ジュルリ)」」
やべ、杏仁豆腐の事を考えたらヨダレが出て怒られた。つーか程々に好きなスイーツって何だよ。全く思いつかないんだけど。
どのスイーツにしようかとウンウン考えていたら音楽が止み、先ほどとは違う音楽が流れ始める。一拍置いてヨウさんが軽やかにステージに出ていく。あまり畏まっていないショーの時に、いつもトップバッターを張るヨウさんは慣れもので、その晴れやかな笑顔で観客を魅了していく。ヨウさんがランウェイの先端でポージングを決めている間に静馬さんがステージに上がり、ランウェイのすれ違いざまにハイタッチをして歩いていく。
明るいヨウさんと落ち着いた雰囲気の静馬さん一見アンバランスに見えるけど、並ぶと意外に場が華やかになるんだよな。お互いの魅力を引き出すって言うのかな?番おうとするくらいの信頼と愛情の賜物なのかも。あげは姉ぇも側で頷いている。
「わーすごーい」
「凄いねー」
「すげぇ」
「さすがプロですね」
舞台袖に移動して隙間から見ているメンバーが、感嘆の声を出している。うんうん、これからオレ達もそこを歩くんだぞ。
「あー……緊張してきた」
場慣れしてそうな相沢さんが少し青くなっている。
「ダイジョーブダイジョーブ、コケても愛想笑いしとけばいいから」
「いや、そんな余裕ないからな!?」
えーそれくらい余裕持たないと動きが硬くなるよ。
「……ホテル」
「え?」
「相沢、これが終わったらホテルのスイートに招待しよう。お気に入りの奴と行けばいい」
チカが相沢さんをホテルで釣ったーーー!
「よし!ヤル気出た!」
やる気出したーーー!
いややる気じゃなくてヤル気だよな!?そんなんで緊張解れるのか!?さすが下半身男!
62
あなたにおすすめの小説
ヤンキーΩに愛の巣を用意した結果
SF
BL
アルファの高校生・雪政にはかわいいかわいい幼馴染がいる。オメガにして学校一のヤンキー・春太郎だ。雪政は猛アタックするもそっけなく対応される。
そこで雪政がひらめいたのは
「めちゃくちゃ居心地のいい巣を作れば俺のとこに居てくれるんじゃない?!」
アルファである雪政が巣作りの為に奮闘するが果たして……⁈
ちゃらんぽらん風紀委員長アルファ×パワー系ヤンキーオメガのハッピーなラブコメ!
※猫宮乾様主催 ●●バースアンソロジー寄稿作品です。
平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)
優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。
本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。
番に囲われ逃げられない
ネコフク
BL
高校の入学と同時に入寮した部屋へ一歩踏み出したら目の前に笑顔の綺麗な同室人がいてあれよあれよという間にベッドへ押し倒され即挿入!俺Ωなのに同室人で学校の理事長の息子である颯人と一緒にα寮で生活する事に。「ヒートが来たら噛むから」と宣言され有言実行され番に。そんなヤベェ奴に捕まったΩとヤベェαのちょっとしたお話。
結局現状を受け入れている受けとどこまでも囲い込もうとする攻めです。オメガバース。
アイドルくん、俺の前では生活能力ゼロの甘えん坊でした。~俺の住み込みバイト先は後輩の高校生アイドルくんでした。
天音ねる(旧:えんとっぷ)
BL
家計を助けるため、住み込み家政婦バイトを始めた高校生・桜井智也。豪邸の家主は、寝癖頭によれよれTシャツの青年…と思いきや、その正体は学校の後輩でキラキラ王子様アイドル・橘圭吾だった!?
学校では完璧、家では生活能力ゼロ。そんな圭吾のギャップに振り回されながらも、世話を焼く日々にやりがいを感じる智也。
ステージの上では完璧な王子様なのに、家ではカップ麺すら作れない究極のポンコツ男子。
智也の作る温かい手料理に胃袋を掴まれた圭吾は、次第に心を許し、子犬のように懐いてくる。
「先輩、お腹すいた」「どこにも行かないで」
無防備な素顔と時折見せる寂しげな表情に、智也の心は絆されていく。
住む世界が違うはずの二人。秘密の契約から始まる、甘くて美味しい青春ラブストーリー!
オメガ大学生、溺愛アルファ社長に囲い込まれました
こたま
BL
あっ!脇道から出てきたハイヤーが僕の自転車の前輪にぶつかり、転倒してしまった。ハイヤーの後部座席に乗っていたのは若いアルファの社長である東条秀之だった。大学生の木村千尋は病院の特別室に入院し怪我の治療を受けた。退院の時期になったらなぜか自宅ではなく社長宅でお世話になることに。溺愛アルファ×可愛いオメガのハッピーエンドBLです。読んで頂きありがとうございます。今後随時追加更新するかもしれません。
カメラ越しのシリウス イケメン俳優と俺が運命なんてありえない!
野原 耳子
BL
★執着溺愛系イケメン俳優α×平凡なカメラマンΩ
平凡なオメガである保(たもつ)は、ある日テレビで見たイケメン俳優が自分の『運命』だと気付くが、
どうせ結ばれない恋だと思って、速攻で諦めることにする。
数年後、テレビカメラマンとなった保は、生放送番組で運命である藍人(あいと)と初めて出会う。
きっと自分の存在に気付くことはないだろうと思っていたのに、
生放送中、藍人はカメラ越しに保を見据えて、こう言い放つ。
「やっと見つけた。もう絶対に逃がさない」
それから藍人は、混乱する保を囲い込もうと色々と動き始めて――
起きたらオメガバースの世界になっていました
さくら優
BL
眞野新はテレビのニュースを見て驚愕する。当たり前のように報道される同性同士の芸能人の結婚。飛び交うα、Ωといった言葉。どうして、なんで急にオメガバースの世界になってしまったのか。
しかもその夜、誘われていた合コンに行くと、そこにいたのは女の子ではなくイケメンαのグループで――。
隣の番は、俺だけを見ている
雪兎
BL
Ωである高校生の湊(みなと)は、幼いころから体が弱く、友人も少ない。そんな湊の隣に住んでいるのは、幼馴染で幼少期から湊に執着してきたαの律(りつ)。律は湊の護衛のように常にそばにいて、彼に近づく人間を片っ端から遠ざけてしまう。
ある日、湊は学校で軽い発情期の前触れに襲われ、助けてくれたのもやはり律だった。逃れられない幼馴染との関係に戸惑う湊だが、律は静かに囁く。「もう、俺からは逃げられない」――。
執着愛が静かに絡みつく、オメガバース・あまあま系BL。
【キャラクター設定】
■主人公(受け)
名前:湊(みなと)
属性:Ω(オメガ)
年齢:17歳
性格:引っ込み思案でおとなしいが、内面は芯が強い。幼少期から体が弱く、他人に頼ることが多かったため、律に守られるのが当たり前になっている。
特徴:小柄で華奢。淡い茶髪で色白。表情はおだやかだが、感情が表に出やすい。
■相手(攻め)
名前:律(りつ)
属性:α(アルファ)
年齢:18歳
性格:独占欲が非常に強く、湊に対してのみ甘く、他人には冷たい。基本的に無表情だが、湊のこととなると感情的になる。
特徴:長身で整った顔立ち。黒髪でクールな雰囲気。幼少期に湊を助けたことをきっかけに執着心が芽生え、彼を「俺の番」と心に決めている。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる