王道学園にさせてなるものかっ!

ネコフク

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学園祭編

行くぜ!ファッションショー②

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 ヨウさんと静馬さんが戻ると、オレ達がいる所とは反対の袖からモデルが次々とステージに出て行く。ヨウさんと静馬さんを入れても生徒会メンバーだけでは少人数すぎるので、あげは姉ぇがImperialのモデルを10名ほど連れて来ている。
 本当はもっと連れて来たかったらしいが、目立つのでやめたらしい。それでも全員一軍どころを連れてくる辺りあげは姉ぇの本気度が分かる。

 再びステージに出て行ったヨウさんと静馬さんの続くのは相沢さん。生徒会メンバーのトップバッターが双子なのは無謀だし、紅一点の一ノ蔵さん(いや、双子妹は女性だけど)が最初なのは場の流れに合わないし、モデル経験があるから安心感はある。

 これが満也さんや柚木さんがいればバリエーションが増えるんだけど、あの2人はねー。今だに立花にべったりだし、情報漏れの可能性もあったからな。ホント転入生2人が腹立たしい。

 そういえば理事長まだ菅原がチカとヒート棟に籠ってるって思ってるんだろうな。そしてあげは姉ぇの婚約者であるヨハンに色目使ってんだろう。Ωのフェロモンに耐えてるヨハンガンバ!後であげは姉ぇの甘やかしが待ってるぞ!

 楽屋に待機している時にヨハンから送られて来た「Ωフェロモンくっせー!!」と死人ポーズのスタンプを思い出し、心の中でエールを送っていると相沢さんがホテルの為に張り切ってステージに出て行く。腰履きのデニムに白い丈の短いぴったりとしたTシャツを着て、サファリジャケットを羽織り颯爽とランウェイを歩いている。あの格好スタイルが良くないと出来ないんだよなー。あげは姉ぇが目をつけただけあって腹筋が割れてて羨ましい。

 今回のショーは学園祭のイベントとしてやるので「え?それどこで着るの?」っていう装いは殆どない。着こなせる自信と金額さえ気にしなければだが。

 次に出て行ったのは双子。ワークシックなリンクコーデを披露している。ラメ入りのシースルーはオススメの一品だ。それに続くのは一ノ蔵さん。黒のタートルネックニットにブラウンのパンツ、カーキのロングコートで格好いい系女子を演出している。黒縁メガネとハイヒールが大人っぽい。

 そしてオレの出番だ。ワインレッドのシャツのボタンを3つ開け、パピヨンのネックガードが良く見えるように入学時より少し長くなった髪を靡かせ、ランウェイを歩いて行く。先端に着くと「MANAたんかわっ」という声が聞こえてきたので、そちらの方に向かって笑顔でウインクをかましておく。

「ふわっ!」

「おい竜二どうした!」

「ヤベェ、魂が抜けてる!」

 ……どうやら竜二さんだったらしい。あの人たまに「かわっ」って言うんだけど、かわって何だろ?

 そうしているうちにランウェイを歩いて来た宏太が隣に来て肩を抱き寄せるので顔を合わせ微笑み合うと、黄色い声が。観客が殆ど生徒という事もあり、時たまアイドルのコンサートのような歓声が上がる。うん、楽しんでいるようで何より。

 一際後ろから歓声が上がり、見なくてもチカがステージに顔を出したのが分かる。高位αと分かる圧倒的なオーラを纏い歩く様は学園の絶対王者の風格だ。

「チカ」

 振り返り手を差し伸べると、精悍な顔を蕩けさせ更に歓声を浴びる。相変わらず蕩けた笑顔がエロい。やめたまえその笑顔、女子やΩ達が顔を赤くしてるではないか。

 オレの手を取り隣に来たチカは手の甲へキスをし、上目遣い。ヤベー格好良くて転げ回って悶えてぇ。

「……!」

 おおっ、肩を抱いている宏太の手に力が入って我に返る。あっぶねー、チカの色気で惚けている場合じゃなかった。気を取り直しポージングをする。宏太は少し長めのジャケット、チカはレザーパンツがオレのシャツと同じワインレッドだ。生地が違うから全く同じ色に見えるようにするのが大変だったんだよ。レザーなんてライトの具合で他と色の濃さが変わるもんだからさ。

 最後に3人でネックレスのタグにキスをしてから、チカと宏太と腕を組みながら戻る。

「よーし、ここまでは良い出来だった!その調子でい次よ!小道具準備出来てる?」

「準備・点検完了しています!」

「さあ、曲が変わったら行くわよ!」

 パンパンとあげは姉ぇが手を叩くと、ヨウさんがさっと袖口にスタンバイをする。それを横目に素早く着替えをしていく。

「……了解、やっておしまい。但し人目につかないように処理しなさい」

 あと少しで次の曲という時に、インカムで話すあげは姉ぇは親指で首を切る仕草をしている。マフィアのボスみたいだ。
 どうせ大方チカがテレビに映ったから、理事長が慌ててSPでも第2体育館の方へ向かわせいるんだろう。

 まあ、あげは姉ぇの指示が無くても吉永さんやキョンちゃん先輩、帝家のそっち方面の処理をする方々が瞬殺してるんだろうな。
 可哀想に。冥福だけ祈っておこう。
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