王道学園にさせてなるものかっ！

学園祭編

ドヤァ

「カチ割った後どこに埋める？」「そーね、ここら辺なんてどう？」と、キャッキャウフフしている両親は無視だ無視。

「１割の冗談はさておき、今回はアンタ達理事の思惑に乗ったフリをして反撃したわけ。そんな事をしなくても負け確定だったけど恨みもあったし、誰に手を出したかきちんと分からせてトドメを刺さないとね♡」

「ハッ、菅原家うちが取り込んだΩが口を割る事は無いし、学園内の出来事は揉み消せるんだ。残念だったな！」

　勝ち誇り言う理事長に、ヨハンの顎をスリスリとしていたあげは姉ぇが一瞬キョトンとしたが、がらりと獰猛な表情に変え理事長を見据える。

「お前誰を敵にしてると思ってるんだ？姫川の他に北大路と帝よ。
　老舗のブランドメーカー・大病院・大手薬品会社・日本屈指の財閥なんだ。ツテが日本だけじゃなく世界にある。お前達の一族なぞ一瞬で消し炭よ」

　おおう、あげは姉ぇの女王様モード炸裂だ。この部屋の中で１番強いαはあげは姉ぇ。ハイヒールでアスリート並に走って追いかけるし、怒らせると恐ろしいのでオレは絶対服従を誓っている。

「そもそも何故３年前に、お前が学園の理事長になれたと思う？私達がお前の父親に進言したからだ。「菅原瑞希を理事長にしろ」と。
　人事に口出し出来る立場じゃないだろうって顔をしているけど、これが出来るんだ。だって12年前既に菅原家を三家で掌握してたからな」

「なっ!?」

　理事長が眼球飛び出るんじゃないかというくらい目を見開いて固まっている。そりゃそうだ、掌握されているって事は当主である父親は12年前から黙っていたし、全て知っていたと言う事。それに気付かず知らず知らずいいように動かされていた。更にもしかしても頭の中で考えているのかもしれない。

「ほーほっほっほっ、何故そうなったと思ってそうね。理由なんて簡単、お前のや・ら・か・し・の慰謝料としてありがたーく三家で貰ったわ。その時に他言無用の契約をしてね」

　やらかしとは多分12年前の佳兄ぃに対する事なんだろう。でも慰謝料にしてはちょっとデカくね？ワールドワイドな権力にミミズに毛の生えた程度の権力では歯向かえなかったって事かな。

　だったらこんな面倒くさい事をしないで、ちゃっちゃと潰せば良かったのに。そうすれば迷惑な転校生が２人湧いてこなかったはず。
　まあ手の込んだ事をするほど根深く根に持ってたんだろうけど。

　でも今回オレ達３人は体よくエサにされた気がするんだけどなー。チカと宏太も複雑な顔をしている。「３人を守る為」とは言われてたし、実際チカを『番の共有』で菅原の魔の手発情フェロモンから守ってたけども。

　ただ学園に関する情報しか教えられてないんだよなー。チカは菅原に狙われていたから多少聞かされていたみたいだが、オレと宏太はさっきから、驚きの話を聞かされっぱなしだ。

　そんなオレ達はただただこの状況を見守っている。いや、見守るしか出来ないと言った方がいいかも。

「さて、貴様の立場は分かったとこでこれに目を通せ」

　チカ父が指で合図を送ると、側に控えていた黒スーツの人が書類を理事長に差し出す。

「は、え、何で!?」

「見ての通り本日をもって宮中学園他５校は外資系企業に全て買収済みだ。それにより理事長菅原瑞希の更迭、新理事長は外資系企業CEOのヨハン=イーストとなる」

　書類を持つ手が震えている理事長に、決定事項を伝えるチカ父。こういうのを見ると財閥のトップだなぁって思う。ただの番バカではない。

「いやいやいやいや、そんな簡単にM＆Aが出来る訳ない！」

「そうだな。事業計画から各種書類の届出書、証明書を揃えるのにかなりの年数をかけた。それと並行しての根回し。人脈フル活用だ」

　ドヤァ


　ドヤァ！


　ドヤァ！！

　全両親がどうだ！と言わんばかりのドヤ顔をオレ達に向けてくるんだが、褒めて欲しいんだろうか。

「わ……わぁすごーぃ……」

「はい！もっと元気に褒めなさい。やり直し！」

「えぇ……」

　そんなしょんぼりされてもなぁ。元気にってあげは姉ぇ無茶ぶりしないでほしい。

「凄いね大変だったでしょ？人脈がいっぱい使えるなんて人徳がないと使えないもんね、尊敬するなぁ。ねえチカ」

「ああ、俺達にはまだ無いものだな」

「宏太もそう思うでしょ？」

「そうだね、ソンケイスルヨ」

　カタコトー！２人共心がこもってないよ！(オレもだけど)
　でもにこにこになったからいいの……か？（チョロい）




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　番の共有とはΩ１人に対し２人のαが『運命の番』であること。

　詳しくは１番最初の「ネコフク的オメガバース」をご覧下さい。