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学園祭編
あげは姉ぇは影のフィクサー
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「まあ12年前の事は今でも腹立たしいから内容は省くけど、結果佳加と美紗は在学中に番ってそのまま海外の学校へ編入したから失敗に終わったのよね」
そう言って嗤うあげは姉ぇに当時の事を思い出したのか、理事長が白かった顔を再度赤くし睨んでいる。
「お前のせいだろうが!毎回毎回邪魔しやがって!」
「それはそうよ。弟と親友の恋路を邪魔する輩は排除のみ。そもそも何で私がそこまで的確にやれたと思ってるの?
……もしかして美紗の指示で動いてたと思ってたのかしら?無理無理、美紗は佳加の事になるとポンコツかオーバーキルの2択しかなくなるのよねぇ」
確かに美紗さんはあげは姉ぇがため息をついてしまうほど、佳兄ぃに関してダメダメなんだよな。
「当時学園を裏で牛耳っていたのは私。生徒会長は美紗に任せて、佳加の側を離れないようにする為に書記をしてたのよ。だってアンタ入学時から佳加を目の敵にしてたでしょ。
それはそうよね、蝶よ花よと育てられプライドが山のように高くなってたのに、学園に入ったら見目麗しいΩばかりなんだもの。悲しいかな自分は平凡なんだって気付いてしまった。
そして学年一美形Ωと言われていた佳加に嫉妬したのよね」
弟から見ても全方位華やかな美形双子な姉弟は、学園でそりゃあもう人気だったのは想像できる。はっきりしっかり者のαの姉にほわほわ癒やし系のΩの弟。現にあげは姉ぇは今も所属していた演劇部に下僕ゲフン……動かせる生徒がいる。
「それは今置いといて、その時の失敗を根に持ってて今回甥と宏太を番わせて愛加を、私を悔しがらせようとしたって感じかしら。
しかしここで2つイレギュラーが起きた。
1つは立花樹、彼が理事のツテで転入して来て場を引っかき回した。焦ったでしょうね、なんせ彼が理事から渡されていた抑制剤はαを引きつける作用を持っていたから」
「あの抑制剤は欠陥品よ。確かにαを引きつけるフェロモンを出す作用はあるけど、番持ちのαには嫌な匂いと感じとってしまうもの。ただ、学園の生徒の殆どが番持ちではなかったから立花樹に群がっただけよ」
さすが製薬会社社長、本人も薬剤師の資格を持ってるだけあって宏太母の言葉は納得がいく。
あの匂いに惑わされなかったのは、2人ほど犠牲者(笑)が出たけど役員の殆どが番持ちだったから。それが功を奏し、生徒会の崩壊は免れたって事だ。それがなければ巷で流行している『王道学園』になっていたかもしれない。
「そしてもう1つは甥である菅原祐希が宏太ではなく、惟親に惚れたこと。
姫川に苦渋を舐めさせる為に宏太をターゲットにしたのに、惟親に惚れた菅原祐希が独断で動いた。
でもあの子アンタより賢いわ。アンタみたいに虐め抜くんじゃなくて、上手く立ち回って自分を被害者に見せて周りの同情を買ってたからね。ふふっドラマの真似したのかしら。制作させ放送した甲斐があったわねぇ」
「は、まさか……」
クスクスと笑うあげは姉ぇに理事長は愕然としている。最近学園モノのドラマが多く放送されているのが意図的なものだったと気付いたんだろう。
そしてそんなあげは姉ぇをうっとり見つめるヨハン。ホント視界の邪魔でしかないな。
「まあ殆どあの子達が考えて動いてたのかもしれないけど、アンタや他の理事も手を貸してたわよね。スター製薬から薬の授受、ゴロツキの手配、学園祭で出した弁当への発情促進剤の混入……これだけでも事件として成り立つわ」
「あげは僕へのフェロモンテロも追加してくれ」
「そうね、でも事件にしたら私刑が出来ないから。私が個人的に仇を取るわ。穴という穴にコンクリートを詰めてカチ割ってあげる」
「あげは……」
怖えぇぇぇぇ!詰めるだけじゃなくカチ割るのかよ!ヨハン手を握ってうっとりするな!あげは姉ぇの会心の笑みに騙されてるぞ!エグい刑を執行しようとしてるぞ!ほら、理事長が短い悲鳴を上げて下がれない後ろに下がろうとしてるぞ。
「エッグ……」
「僕達はまだそこの域まで行ってないよね」
「精進せねば」
いや、そこの域に達しなくていいからな!?ほらチカ母が怖くてプルプルしてるぞ。うちの両親は……イエーイってハイタッチしとるーーー!
そう言って嗤うあげは姉ぇに当時の事を思い出したのか、理事長が白かった顔を再度赤くし睨んでいる。
「お前のせいだろうが!毎回毎回邪魔しやがって!」
「それはそうよ。弟と親友の恋路を邪魔する輩は排除のみ。そもそも何で私がそこまで的確にやれたと思ってるの?
……もしかして美紗の指示で動いてたと思ってたのかしら?無理無理、美紗は佳加の事になるとポンコツかオーバーキルの2択しかなくなるのよねぇ」
確かに美紗さんはあげは姉ぇがため息をついてしまうほど、佳兄ぃに関してダメダメなんだよな。
「当時学園を裏で牛耳っていたのは私。生徒会長は美紗に任せて、佳加の側を離れないようにする為に書記をしてたのよ。だってアンタ入学時から佳加を目の敵にしてたでしょ。
それはそうよね、蝶よ花よと育てられプライドが山のように高くなってたのに、学園に入ったら見目麗しいΩばかりなんだもの。悲しいかな自分は平凡なんだって気付いてしまった。
そして学年一美形Ωと言われていた佳加に嫉妬したのよね」
弟から見ても全方位華やかな美形双子な姉弟は、学園でそりゃあもう人気だったのは想像できる。はっきりしっかり者のαの姉にほわほわ癒やし系のΩの弟。現にあげは姉ぇは今も所属していた演劇部に下僕ゲフン……動かせる生徒がいる。
「それは今置いといて、その時の失敗を根に持ってて今回甥と宏太を番わせて愛加を、私を悔しがらせようとしたって感じかしら。
しかしここで2つイレギュラーが起きた。
1つは立花樹、彼が理事のツテで転入して来て場を引っかき回した。焦ったでしょうね、なんせ彼が理事から渡されていた抑制剤はαを引きつける作用を持っていたから」
「あの抑制剤は欠陥品よ。確かにαを引きつけるフェロモンを出す作用はあるけど、番持ちのαには嫌な匂いと感じとってしまうもの。ただ、学園の生徒の殆どが番持ちではなかったから立花樹に群がっただけよ」
さすが製薬会社社長、本人も薬剤師の資格を持ってるだけあって宏太母の言葉は納得がいく。
あの匂いに惑わされなかったのは、2人ほど犠牲者(笑)が出たけど役員の殆どが番持ちだったから。それが功を奏し、生徒会の崩壊は免れたって事だ。それがなければ巷で流行している『王道学園』になっていたかもしれない。
「そしてもう1つは甥である菅原祐希が宏太ではなく、惟親に惚れたこと。
姫川に苦渋を舐めさせる為に宏太をターゲットにしたのに、惟親に惚れた菅原祐希が独断で動いた。
でもあの子アンタより賢いわ。アンタみたいに虐め抜くんじゃなくて、上手く立ち回って自分を被害者に見せて周りの同情を買ってたからね。ふふっドラマの真似したのかしら。制作させ放送した甲斐があったわねぇ」
「は、まさか……」
クスクスと笑うあげは姉ぇに理事長は愕然としている。最近学園モノのドラマが多く放送されているのが意図的なものだったと気付いたんだろう。
そしてそんなあげは姉ぇをうっとり見つめるヨハン。ホント視界の邪魔でしかないな。
「まあ殆どあの子達が考えて動いてたのかもしれないけど、アンタや他の理事も手を貸してたわよね。スター製薬から薬の授受、ゴロツキの手配、学園祭で出した弁当への発情促進剤の混入……これだけでも事件として成り立つわ」
「あげは僕へのフェロモンテロも追加してくれ」
「そうね、でも事件にしたら私刑が出来ないから。私が個人的に仇を取るわ。穴という穴にコンクリートを詰めてカチ割ってあげる」
「あげは……」
怖えぇぇぇぇ!詰めるだけじゃなくカチ割るのかよ!ヨハン手を握ってうっとりするな!あげは姉ぇの会心の笑みに騙されてるぞ!エグい刑を執行しようとしてるぞ!ほら、理事長が短い悲鳴を上げて下がれない後ろに下がろうとしてるぞ。
「エッグ……」
「僕達はまだそこの域まで行ってないよね」
「精進せねば」
いや、そこの域に達しなくていいからな!?ほらチカ母が怖くてプルプルしてるぞ。うちの両親は……イエーイってハイタッチしとるーーー!
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