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見守り隊(旧親衛隊)はヤキモキする
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(今から遡ること4年前)
「おい、聞いたか⁉花ノ宮様がこの大学を受けるって!」
「何!?」
たまたま大学構内にあるカフェに集まっていた3人の下に学生が駆けてくる。この4人は伊月と同じ中高一貫校の卒業生。進学校でもあった為、この難関大学にもかなりの人数が入学している。
伊月がこの大学を受けるのを知る情報網を持っている学生は、中高で伊月の親衛隊の幹部であり他の3人は平の隊員である。
「うわー、花ノ宮様と一緒の大学になるなんて!」
「あのお姿だから人気が出るだろな」
「今から楽しみ~」
「で、大学でも親衛隊を作るのか?」
「それなんだけど」
わいわいきゃっきゃとする3人に幹部だった学生は首を横に振る。
「親衛隊は作らない。これは花ノ宮様のご意向だ。大学では騒がれたり侍られたりされたくないらしい」
途端、肩を落とす3人。
「ん~残念」
「ご意向なら仕方ないな」
「でも寄って来る不埒な者がいるんじゃないか?」
中高では人気がある生徒を余計なトラブルを守る為に親衛隊が存在していた。親衛隊を持つ生徒の中で生徒会長をしていた伊月が一番規模が大きかった。それくらい好意を寄せていた生徒が多かったのだ。
「俺らの時は花ノ宮様が一番生徒に狙われてたからなー」
「だよね。花ノ宮様本人は寄ろうともしてなかったけど」
「意中の方がいたからね」
「3つ下のヤツだろ?高校は入れ違いだったから見た事ないんだよな」
平の隊員だった3人は知らないが、幹部だった学生はその情報網で伊月の想い人を把握していた。しかしトップシークレットなので言わない。下手に情報が漏れて相手方に害があった場合、自分だけではなく一族が路頭に迷う事になるのを知っているからだ。
「入学された場合、花ノ宮様自身が策を講じるそうなので我々は見守るのみだ」
「「「りょーかい」」」
この事は数日後にはこの大学に進学した親衛隊に周知されたという。
そして入学してきた伊月に驚く事になる。
今まで把握していた情報とは違うΩの学生といつも行動を共にしていたからだ。
その事に皆混乱するが、見守ると決めた以上成り行きをただただ見ていた。
(それから2年後)
「大変だ!大変だ!」
またカフェに集まっていた3人の所に、慌てた伊月の親衛隊の元幹部が知らない学生を伴ってやって来た。
「あれ、何かデジャヴ」
「2年前もこんな事あったなー」
ケラケラと笑い合う3人に元幹部の学生が「シャラップ!」と一喝すると茶化すのをやめる。
「お前らよく聞け、来年この大学に今うちの母校で一番親衛隊を持ってる方が入学する」
この時期入学が決まっているという事は推薦入学なのだろう。それほど優秀で人気があると言う事は今代の生徒会長という事か、だからどうしたとイマイチピンときていない3人は微妙な顔をしている。
「……何一つ分かってない顔をしてるな。まあいい、説明は彼がしてくれるから」
深くため息を吐いた元幹部の学生が促すと、知らない学生がペコリと頭を下げる。
「初めまして俺は三波瀬名様の元親衛隊長の柿沢です。中高2年間ずつ彼の隊長をしていました」
だから何なのだと6つの目で柿沢を見る。
「俺が隊長をしていたのは花ノ宮様のご意向です」
「あ……」
「うそ……」
そう、瀬名の親衛隊は伊月が心配し、側近候補である柿沢に指示を出して早々に作らせたもの。元々作ろうと動いていた生徒を取り込んでの結成となった。
そこで3人は気づく。入れ違いで見れなかった伊月の次に大きな派閥の親衛隊、そして伊月の意中の方。しかし今伊月の隣には別のΩがいる。さっと青くなる3人をよそに柿沢は淡々と話していく。
「詳しくは話せませんが瀬名様は大学へご入学と同時に姿を変え潜られます。間違っても排除しようとしない事を徹底して下さい」
鋭い目つきで話す柿沢に赤べこの如く首を縦に振る3人。これは逆らってはいけないと本能が伝えている。
「では先輩、他の元隊員の方に周知の徹底お願いします」
「分かった」
にっこりとして去っていく柿沢に自分達は見守るだけだしと心の中でごちる。
そして入学してきた瀬名を見て衝撃を受ける。姿を変えるとはこういう事だったのかと。
(瀬名入学直後)
「は?」
「えっ」
「どゆこと?」
元隊員の3人は瀬名の姿を見て困惑している。
確かに柿沢が言った通り瀬名は大きな親衛隊を持っていたのかと疑うほどの格好をして登校している。その隣にはαらしきイケメンの学生。困惑しかないのである。
調べると薬学部の宇佐教授の息子で、研究の被験者らしいという事が分かった。
「あれってαを寄せ付けないカモフラージュかなぁ」
「かもな。被験対象者は童貞処女じゃないといけないらしいし、あと2年はあのままじゃないか?」
瀬名の姿を見たら柿沢の『潜る』という意味が3人はなんとなく分かった。3人は見たことが無いが、多分瀬名は見目が良いのだろうと推察する。伊月の意中の方と言われるくらいだ、そうじゃないと困る。
しかしお互いΩとαを伴っているのは何故なのか。もう別の相手という事なのか。だったら柿沢がわざわざ釘を刺しに来るはずがない。
戸惑いながらもボサボサヨレヨレの瀬名を見ながらやはり見守るしかないとため息をつく。
(瀬名が本来の姿で食堂へ現れた直後)
「ちょっ、ちょっ、ちょっ!」
「マジかーマジなのかー!」
「はわわわわ、美人すぎる!」
「お前ら動揺しすぎだ」
おかしなテンションになっている3人を元幹部が嗜める傍ら、柿沢はうっとりとしている。
「はあ……2年ぶりに見る瀬名様はやはりお美しい……」
うっとりする柿沢に驚くが、素顔を知っていて久しぶりに見るならそういう反応にもなるだろうと納得する。
「見た⁉花ノ宮様の蕩ける笑顔!」
「いつも花ノ宮様の隣にいたΩはαだったのか」
「互いにカモフラージュしてたんだねぇ」
「俺は瀬名様の顔を知っていたし今までの事も分かっていたけど、お前らや他のヤツが排除に乗り出すんじゃないかとここ2年ヒヤヒヤしてたよ」
そう言って苦笑いする元幹部に、一度は排除しようかと頭をよぎったのは言うまいと3人は心に決める。
ここだけの話、母校の学生は周知を徹底していたお陰で排除したくても我慢して見守っていたが、知らない学生は瀬名を害しようと動いた輩もいた。しかし察知した伊月によって逆に排除されていたのだ。
「花ノ宮様は7年間瀬名様を見守り続け、今回被験期間が終わると同時に婚約しようと動いています。ですのでお2人には手出しされぬようお願いします」
「7年間……」
「全然そんな風に見えなかったのに」
「瀬名様を守る為です」
まあそうなんだろうなと納得する。伊月が宣言してしまえば必ず瀬名を害する輩が出てくるのは必至だ。今なら自分の力だけでも大丈夫だろうが、中高特に中学生では守る事が難しい。手に入れようとしているからこそ距離を取り周りに知られないように守ってきたのだろう。
「上手くいくといいねぇ」
「そうだな」
「早く朗報聞きたいね~」
うんうんと頷きながらその時お祝いはどうするなどの話で5人は盛り上がるのだった。
こうして大学からも外堀が埋められていっているのを瀬名は知らない……
~~~~~~~~~~~
3人は勘違いをしていますが、瀬名は生徒会長どころか生徒会に属していません。理由は面倒くさいから(笑)
瀬名はかなり面倒くさがりです。
「おい、聞いたか⁉花ノ宮様がこの大学を受けるって!」
「何!?」
たまたま大学構内にあるカフェに集まっていた3人の下に学生が駆けてくる。この4人は伊月と同じ中高一貫校の卒業生。進学校でもあった為、この難関大学にもかなりの人数が入学している。
伊月がこの大学を受けるのを知る情報網を持っている学生は、中高で伊月の親衛隊の幹部であり他の3人は平の隊員である。
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「あのお姿だから人気が出るだろな」
「今から楽しみ~」
「で、大学でも親衛隊を作るのか?」
「それなんだけど」
わいわいきゃっきゃとする3人に幹部だった学生は首を横に振る。
「親衛隊は作らない。これは花ノ宮様のご意向だ。大学では騒がれたり侍られたりされたくないらしい」
途端、肩を落とす3人。
「ん~残念」
「ご意向なら仕方ないな」
「でも寄って来る不埒な者がいるんじゃないか?」
中高では人気がある生徒を余計なトラブルを守る為に親衛隊が存在していた。親衛隊を持つ生徒の中で生徒会長をしていた伊月が一番規模が大きかった。それくらい好意を寄せていた生徒が多かったのだ。
「俺らの時は花ノ宮様が一番生徒に狙われてたからなー」
「だよね。花ノ宮様本人は寄ろうともしてなかったけど」
「意中の方がいたからね」
「3つ下のヤツだろ?高校は入れ違いだったから見た事ないんだよな」
平の隊員だった3人は知らないが、幹部だった学生はその情報網で伊月の想い人を把握していた。しかしトップシークレットなので言わない。下手に情報が漏れて相手方に害があった場合、自分だけではなく一族が路頭に迷う事になるのを知っているからだ。
「入学された場合、花ノ宮様自身が策を講じるそうなので我々は見守るのみだ」
「「「りょーかい」」」
この事は数日後にはこの大学に進学した親衛隊に周知されたという。
そして入学してきた伊月に驚く事になる。
今まで把握していた情報とは違うΩの学生といつも行動を共にしていたからだ。
その事に皆混乱するが、見守ると決めた以上成り行きをただただ見ていた。
(それから2年後)
「大変だ!大変だ!」
またカフェに集まっていた3人の所に、慌てた伊月の親衛隊の元幹部が知らない学生を伴ってやって来た。
「あれ、何かデジャヴ」
「2年前もこんな事あったなー」
ケラケラと笑い合う3人に元幹部の学生が「シャラップ!」と一喝すると茶化すのをやめる。
「お前らよく聞け、来年この大学に今うちの母校で一番親衛隊を持ってる方が入学する」
この時期入学が決まっているという事は推薦入学なのだろう。それほど優秀で人気があると言う事は今代の生徒会長という事か、だからどうしたとイマイチピンときていない3人は微妙な顔をしている。
「……何一つ分かってない顔をしてるな。まあいい、説明は彼がしてくれるから」
深くため息を吐いた元幹部の学生が促すと、知らない学生がペコリと頭を下げる。
「初めまして俺は三波瀬名様の元親衛隊長の柿沢です。中高2年間ずつ彼の隊長をしていました」
だから何なのだと6つの目で柿沢を見る。
「俺が隊長をしていたのは花ノ宮様のご意向です」
「あ……」
「うそ……」
そう、瀬名の親衛隊は伊月が心配し、側近候補である柿沢に指示を出して早々に作らせたもの。元々作ろうと動いていた生徒を取り込んでの結成となった。
そこで3人は気づく。入れ違いで見れなかった伊月の次に大きな派閥の親衛隊、そして伊月の意中の方。しかし今伊月の隣には別のΩがいる。さっと青くなる3人をよそに柿沢は淡々と話していく。
「詳しくは話せませんが瀬名様は大学へご入学と同時に姿を変え潜られます。間違っても排除しようとしない事を徹底して下さい」
鋭い目つきで話す柿沢に赤べこの如く首を縦に振る3人。これは逆らってはいけないと本能が伝えている。
「では先輩、他の元隊員の方に周知の徹底お願いします」
「分かった」
にっこりとして去っていく柿沢に自分達は見守るだけだしと心の中でごちる。
そして入学してきた瀬名を見て衝撃を受ける。姿を変えるとはこういう事だったのかと。
(瀬名入学直後)
「は?」
「えっ」
「どゆこと?」
元隊員の3人は瀬名の姿を見て困惑している。
確かに柿沢が言った通り瀬名は大きな親衛隊を持っていたのかと疑うほどの格好をして登校している。その隣にはαらしきイケメンの学生。困惑しかないのである。
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瀬名の姿を見たら柿沢の『潜る』という意味が3人はなんとなく分かった。3人は見たことが無いが、多分瀬名は見目が良いのだろうと推察する。伊月の意中の方と言われるくらいだ、そうじゃないと困る。
しかしお互いΩとαを伴っているのは何故なのか。もう別の相手という事なのか。だったら柿沢がわざわざ釘を刺しに来るはずがない。
戸惑いながらもボサボサヨレヨレの瀬名を見ながらやはり見守るしかないとため息をつく。
(瀬名が本来の姿で食堂へ現れた直後)
「ちょっ、ちょっ、ちょっ!」
「マジかーマジなのかー!」
「はわわわわ、美人すぎる!」
「お前ら動揺しすぎだ」
おかしなテンションになっている3人を元幹部が嗜める傍ら、柿沢はうっとりとしている。
「はあ……2年ぶりに見る瀬名様はやはりお美しい……」
うっとりする柿沢に驚くが、素顔を知っていて久しぶりに見るならそういう反応にもなるだろうと納得する。
「見た⁉花ノ宮様の蕩ける笑顔!」
「いつも花ノ宮様の隣にいたΩはαだったのか」
「互いにカモフラージュしてたんだねぇ」
「俺は瀬名様の顔を知っていたし今までの事も分かっていたけど、お前らや他のヤツが排除に乗り出すんじゃないかとここ2年ヒヤヒヤしてたよ」
そう言って苦笑いする元幹部に、一度は排除しようかと頭をよぎったのは言うまいと3人は心に決める。
ここだけの話、母校の学生は周知を徹底していたお陰で排除したくても我慢して見守っていたが、知らない学生は瀬名を害しようと動いた輩もいた。しかし察知した伊月によって逆に排除されていたのだ。
「花ノ宮様は7年間瀬名様を見守り続け、今回被験期間が終わると同時に婚約しようと動いています。ですのでお2人には手出しされぬようお願いします」
「7年間……」
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「瀬名様を守る為です」
まあそうなんだろうなと納得する。伊月が宣言してしまえば必ず瀬名を害する輩が出てくるのは必至だ。今なら自分の力だけでも大丈夫だろうが、中高特に中学生では守る事が難しい。手に入れようとしているからこそ距離を取り周りに知られないように守ってきたのだろう。
「上手くいくといいねぇ」
「そうだな」
「早く朗報聞きたいね~」
うんうんと頷きながらその時お祝いはどうするなどの話で5人は盛り上がるのだった。
こうして大学からも外堀が埋められていっているのを瀬名は知らない……
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瀬名はかなり面倒くさがりです。
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