告白してきたヤツを寝取られたらイケメンαが本気で囲ってきて逃げられない

ネコフク

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SPの大変な1日

 とある全面ガラス張りになっている高層ビル。ここは花ノ宮家が抱える警備統括本部が入っており、その一角に周辺警護をする部隊の部屋がある。

 今日は大事な記者会見と話し合いがあるということで俺、佐久間もかり出され戻って来たところだ。

 俺が所属するSP部隊はその名の通り花ノ宮一族の身を守る為、側で警護を目的とした部隊でα、β、Ω全バース性の人材が揃っている。特にΩのSPはご当主の花ノ宮神奈かんな様の警護を主としているが、7年前から次期当主と言われている伊月樣のお相手、三波瀬名樣の警護も密かにしている。俺もそのうちの1人だ。

「いや~パネェ現場だった」

「先輩お疲れ様っす!」

 ネクタイを緩め自分の席にぐったりと座っていると、後輩の角田がお茶を置いてくれる。気遣いができる良い後輩だ。

「先輩今日は伊月様の警護っすよね?朝喜んで出てったじゃないですか」

「伊月様は近くにいたけど俺は瀬名様の警護ね」

 俺はΩなので伊月様の警護担当にはなることは無い。側にいられる時は瀬名様が一緒の時しかない。

「お前はいいよなぁ。αだから伊月様の警護ができて」

「αっていっても下位っすけどね。でも瀬名様がいると外されますけど」

 伊月様の警護は基本αとβが担当するが、瀬名様が一緒の時はβのSPしか使われない。瀬名様にはβとΩのSP、αのSPは側にも寄らせない徹底ぶりをみせる。

「あれだけ美人だと伊月樣も心配っすよねー。あー俺も美人な彼女欲しー」

「チッ、本人は守られてるの気づいてないけどな」

「あれー?先輩まだ伊月様の事好きなんですかー?」

「あ゙あ゙?とっくに吹っ切れてるわ!次の恋にまい進してるわ!」

「へー」

「お前興味なさそうだな!」

「ねぇっす」

 俺が舌打ちしたのは瀬名様に対してじゃないんだけどな。コイツ分かってねぇ。まあいい。

 伊月様はそれはもう顔からスタイル、物腰まで完璧なお方なのでSPになった女性やΩは1度伊月様に恋をする。俺もその1人だった。3年前に配属され恋に落ち速攻失恋、先輩方に通過儀礼みたいなものだと気落ちした肩を叩かれたものだ。

 先輩方の話によると中学の頃から瀬名様しか見ておらず、運命の番が現れても拒否したらしい。

 それが今日の話し合いの相手だったんだが伊月様が運命を選ばなくて良かったと心から思った。

「他の先輩方も疲れてるみたいっすけどそんな大変な現場だったんすか?」

「宇宙人がいた」

「へ?」

「会見は全く問題がなかったんだよ。その後の話し合いがヤバかった。話が通じねぇの。それにいつ瀬名様の身に危険が及ぶかと気を張ってたから余計疲れた」

「そんな危険な現場だったんすか」

「精神的にな。常識も話も通じない、自分の思っている事しか信じてない、あんなのが伊月様の運命なんて信じたくない」

「マジですか⁉」

 あれはマジでやべぇヤツだった。よく言われるΩの華奢な体型と背の低さ、顔は俺が言えた事じゃないけど瀬名様と比べるのも烏滸がましい感じ。瀬名様はスラリとしたΩにしては長身の綺麗な方。伊月様と並んでも遜色なくお似合いだ。俺がαだったら突撃してる。返り討ちどころか伊月様に消されそうだけど。

「マジよマジ。途中から歯ぁ剥き出しにして威嚇するからいつ飛びかかってくるかって俺らピリついたよな」

 一緒に行ったβの先輩が身振り手振りでその時の話しをする。

「相手の話は通じないし、三波先生は威圧を出すし、伊月様は背中越しでも分かるくらい機嫌が悪いし……本当今回の現場は疲れたわ」

「うわー、俺その現場じゃなくて良かったっす」

「ホント普段の現場の方が楽だぜ」

 今回会見と話し合いに行った護衛は10名、α2名、β4名、Ω4名。瀬名様がいる時はαの護衛は側に置かないのだが、大事な会見がある為仕方なく番がいるαを伊月様が選んだようだ。

 中でも俺を含めΩの護衛は瀬名様の異変や害をなそうとする輩を事前に排除・守り通すのを最優先事項とされていた。αの護衛は飯坂家、特に伊月様の運命の番がが何かしでかしそうになったら止める役目を担っていた。αの威圧で止めてもいいが、瀬名様まであてられるのでそれは最後の手段と言われていたらしい。その前に三波先生が怒って威圧していたが。

「おいお前ら、俺が報告書を作って提出しておくから帰れ。佐久間、明日石田の代わりに朝からマンションで待機だろ?悪いな」

「いえ、お互い様ですから」

 瀬名様が伊月様とマンションに移られてからΩの護衛は、一階にある一室でβの護衛と共に1週間交代で内勤業務をしながら待機している。これはマンション内ですぐ対応する為と、外出時の護衛の為だ。同じΩの石田はそのマンションでの仕事だったが、急な発情期ヒートになり明日から数日俺が代わりに行くことになっていた。

 発情期ヒートは数日のズレはあれど周期が決まっているので突発的な事はあまりないが、今回石田のパートナーが強制的に発情期ヒートにさせたようで何かあったと察せられる。まあ性に奔放な石田にパートナーが怒ったんだろう。所謂いわゆるお仕置きセックスってやつだ。

 ホント仕方ないヤツだなーと帰り支度をし始める。明日休みの奴らは飲みに行くようだ。俺も飲みに行きたいなと黙々と手を動かしていると、内勤業務をしていた奴らの辺りが騒がしくなっていく。

「おいっ、お前ら残業だ!伊月様の運命の番である飯坂理久が帰宅途中で護衛を振り切って行方を眩ませた!予想としてマンション周辺に出没する可能性あり!今日護衛に行った者は全員出動!他の者も飯坂理久の顔を確認後、直ちに捜索に合流!」

「「「了解!」」」

「相手はΩだ、αの奴はここで待機!」

「「「了解!」」」

 クソっ、明日は朝からなのに余計な仕事増やしやがって!見つけたら飛び蹴りかましてやる!

 やはり飯坂理久は予想通りマンション周辺に現れ確保。俺が第1発見者ではなかった為、飛び蹴りはできなかった。

 しかも明け方に確保した為、俺は睡眠も取らずそのままマンションで内勤業務に就く事に。飯坂理久、許すまじ。

 ただ、報告を受けた伊月様と瀬名様がお疲れ様と直接昼食と飲み物を持って来てくれた。それに浮かれたが、いつもと違う雰囲気のお2人に進展があった事に気づいてしまった。




 もう諦めたから次の恋に行こうと思っていたのにこの胸の痛み……まだ諦めていなかったようだ。



 2度目の失恋、キツいなぁ。





ーーーーーーーーーー


伊月はSP達が自分に惚れているのを知っていて静観している状態。それを隠し、仕事をきっちりこなしていれば何も言わず、踏み込んだり瀬名に不利益を働こうとする者は排除のスタンス。

最終的には恋愛感情無しの忠誠心だけあるSPを侍らせ、Ωの護衛は番持ちだけにする予定。

佐久間は伊月に恋愛感情を持っているのでそのうち伊月と瀬名の近くに寄る事が出来なくなります。

逆に急なヒートで休む事になった石田は下半身は緩いけど伊月に特別な感情を持っていないので瀬名の護衛を専属で任されるようになるというちょっとした裏話。
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