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真相3
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「続きをお話しますね」
そう言うとヴィル様は心配そうにまた私を抱きしめた
「ヴィル様、もう大丈夫ですから。申し訳ありません」
「いや、まだ大丈夫ではないよ」
「でも、もう本当に」
「いや、まだ落ち着けていないだろう」
「殿下!」
キーラ様の怒ったような声が聞こえる
「無理させたくない、辛いだろう?」
少し私を離すと顔を覗き込んだ
至近距離で脈が早まる
ヴィル様の綺麗な顔が近付いて額を合わせられた
「無理しないで」
「本当にもう大丈夫です」
「わかった、続きを聞こう」
私から体を離すとそっと背を摩った
「母は、侍女が淹れた紅茶を飲み亡くなったのですが、何故か王妃に毒を盛った自責の念にかられての自殺だということになったのです。王宮の侍医が王妃に盛った毒と母が飲んだ毒は同じ物だったと言いました。侍女はすぐに姿を消し、侍女はあの日居なかったとされました。王妃に辞めさせられて、あの茶会の日にはすでに居ない人だと‥
私が嘘をついているのだと‥
されたのです」
「侍医は王妃側ということか‥」
「それで翌日、四大公爵が集められ国王の前で私の処遇に対する話し合いがなされたのです。王妃はその場に来ました。とても毒を盛られたとは思えない程元気な姿で私の前に立ちました。そして罪人の娘は虚偽の証言をしたと罵ったのです。父は王妃の言い分は間違っていると言いましたが、宰相は王妃の言い分を全て認めて修道院に入れるべきだと言いました。
父は怒りましたが、宰相は王妃こそ王にとっても国にとっても大事であるのに罪人を庇うとは国の信用を失い王の権威も失うと反論しました。伯父以外の公爵も皆宰相の言い分に賛同しました」
「なるほど、そこが繋がるか」
ヴィル様は部屋をぐるっと見回してから何かに合図を送るようにひとつ頷いて
「さぁ続けて」
とまた背を摩った
「私はすぐに修道院に送られることが決まりました。父と伯父は私の身の危険を察知していたので、身代わりを用意してくれました。黒い服に黒いベールを被った私は、一度皆の前で馬車に乗り、国王である父が最後の親子の会話がしたいと一度降ろされ会話をしている間、伯父が宰相達の気を引くように話しかけて馬車から少し遠ざけると、その隙に同じ格好の身代わりを馬車に乗せました。身代わりは本物の囚人だと聞いております。夜の出発でしたので、黒服とベールで誤魔化せたようです」
「そうか、アリーは修道院には行かなかったのだね」
「はい。私の身代わりが乗った馬車は山奥の修道院に向かいました。その後ろを伯父の息子のラウル様と父の護衛騎士が見つからないように密かに跡をつけたのです。
案の定、山奥の崖近くで弓矢が放たれ火をつけられ、馬車は崖下に突き落とされたそうです」
「何だって?何て酷いことを!俺のアリーに何てことを!
今すぐに切り刻んでやりたい!」
エメラルドの瞳に怒りが宿る
「私は匿われていたので無事でした」
「いや、無事じゃない」
「えっ?」
ヴィル様は私を抱えると自分の膝の上に横抱きにし顔を首すじに埋めるようにして
「気が狂いそうだ。もし君が乗っていたらと思うと気が狂いそうだよ」
と泣きそうな声で言った
キーラは戸の側で、もう既に気が狂っていますよ‥と言いたい気持ちを抑えた
そう言うとヴィル様は心配そうにまた私を抱きしめた
「ヴィル様、もう大丈夫ですから。申し訳ありません」
「いや、まだ大丈夫ではないよ」
「でも、もう本当に」
「いや、まだ落ち着けていないだろう」
「殿下!」
キーラ様の怒ったような声が聞こえる
「無理させたくない、辛いだろう?」
少し私を離すと顔を覗き込んだ
至近距離で脈が早まる
ヴィル様の綺麗な顔が近付いて額を合わせられた
「無理しないで」
「本当にもう大丈夫です」
「わかった、続きを聞こう」
私から体を離すとそっと背を摩った
「母は、侍女が淹れた紅茶を飲み亡くなったのですが、何故か王妃に毒を盛った自責の念にかられての自殺だということになったのです。王宮の侍医が王妃に盛った毒と母が飲んだ毒は同じ物だったと言いました。侍女はすぐに姿を消し、侍女はあの日居なかったとされました。王妃に辞めさせられて、あの茶会の日にはすでに居ない人だと‥
私が嘘をついているのだと‥
されたのです」
「侍医は王妃側ということか‥」
「それで翌日、四大公爵が集められ国王の前で私の処遇に対する話し合いがなされたのです。王妃はその場に来ました。とても毒を盛られたとは思えない程元気な姿で私の前に立ちました。そして罪人の娘は虚偽の証言をしたと罵ったのです。父は王妃の言い分は間違っていると言いましたが、宰相は王妃の言い分を全て認めて修道院に入れるべきだと言いました。
父は怒りましたが、宰相は王妃こそ王にとっても国にとっても大事であるのに罪人を庇うとは国の信用を失い王の権威も失うと反論しました。伯父以外の公爵も皆宰相の言い分に賛同しました」
「なるほど、そこが繋がるか」
ヴィル様は部屋をぐるっと見回してから何かに合図を送るようにひとつ頷いて
「さぁ続けて」
とまた背を摩った
「私はすぐに修道院に送られることが決まりました。父と伯父は私の身の危険を察知していたので、身代わりを用意してくれました。黒い服に黒いベールを被った私は、一度皆の前で馬車に乗り、国王である父が最後の親子の会話がしたいと一度降ろされ会話をしている間、伯父が宰相達の気を引くように話しかけて馬車から少し遠ざけると、その隙に同じ格好の身代わりを馬車に乗せました。身代わりは本物の囚人だと聞いております。夜の出発でしたので、黒服とベールで誤魔化せたようです」
「そうか、アリーは修道院には行かなかったのだね」
「はい。私の身代わりが乗った馬車は山奥の修道院に向かいました。その後ろを伯父の息子のラウル様と父の護衛騎士が見つからないように密かに跡をつけたのです。
案の定、山奥の崖近くで弓矢が放たれ火をつけられ、馬車は崖下に突き落とされたそうです」
「何だって?何て酷いことを!俺のアリーに何てことを!
今すぐに切り刻んでやりたい!」
エメラルドの瞳に怒りが宿る
「私は匿われていたので無事でした」
「いや、無事じゃない」
「えっ?」
ヴィル様は私を抱えると自分の膝の上に横抱きにし顔を首すじに埋めるようにして
「気が狂いそうだ。もし君が乗っていたらと思うと気が狂いそうだよ」
と泣きそうな声で言った
キーラは戸の側で、もう既に気が狂っていますよ‥と言いたい気持ちを抑えた
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