【完結】逃げ出した王女は隣国の王太子妃に熱望される

風子

文字の大きさ
34 / 93

生まれ変わった悪魔

乗馬は昔から好きだった。
剣術と同じくらい得意だった。
そこら辺の下級騎士よりも剣術と乗馬は上手いだろう。
男ならばきっと良い騎士になれたと思う。
この立場でなかったら女騎士になっていたかもしれない。


私の先行きを案ずるように、空はどんよりとしてきたかと思えば、ポツポツと雨が降り出しあっという間にザァーっと大雨になった。

ワンピースは体に張り付き、髪からもポタポタと雫が落ちる。
まるで天から罰を与えられている気分だ。


私がいたら人を不幸にする。

私はきっと皇妃の生まれ変わりなのね‥

皇妃に一目惚れをした皇帝の人生を狂わせ、皇后を嫉妬に狂わせ国を崩壊した女‥‥。

皇妃が他国からやってきたのも今の私と同じだ。
私が以前見た夢は前世の皇妃の記憶‥‥
ならば、その王国が戦争を仕掛けたのも聖女であった皇妃のせい‥‥

聖女どころか本当に悪魔ね‥‥


走り続けると大きな川が見える。
川の流れは速い。
もっと川の近くへ‥もっと側まで‥あともう少し‥

馬はブルッと体を大きく揺らし私を振り落とした。

「キャッ、痛っ!」

突然落とされ足首を少し捻ったようだ。
馬はあっという間に去ってしまい、川の前でポツンと取り残された。

知らない人間が乗ったのに、ここまで連れてきてくれただけでも感謝しなければね‥

少し捻った足を引きずりながら歩く。
たいしたことはないが少しだけ痛む。


ベルラードとヨハンさんを見てまた父を思い出した。
父は母を溺愛していた。
執着していた。
父も母に狂わされた一人なのかもしれない。

皇妃に似たこの顔は人を惑わし、母に似たこの顔は執着を生むのかもしれない。

だからもうどうでもいい。
このまま川が私を飲み込んでくれるから。

私が死ねばライナも関わった者を処罰しないだろう。
目的は私なのだから‥‥
皆が元の生活に戻ってくれればいいわ‥‥


「ルリア!!ルリア!!」

大雨で姿が霞んで見えるがベルラードだった。

「来ないで!!」

「やめろ!!ルリア!待ってくれ、俺が間違っていたんだ!許してくれ、正直に何も伝えることができなかった俺のせいだ!そこで待ってろ、今行く!」

「来ないで!!」

来ないで‥もう誰も来ないで‥
私が皆を不幸にしてしまうのなら誰にも会いたくない。


川に向かうが重心を崩し倒れてしまう。
後を追ってベルラードが走って来るのが見える。

ベルラード‥
あなたは王太子なのよ‥
こんな所に来てはいけないわ‥


「ルリア!ルリア!」

「殿下ー!殿下ー!川の側は危険です。早くこちらに戻って下さい!」


座り込んでる私をベルラードは思い切り抱きしめた。

「俺が追い込んだんだ。本当にすまない。
最初から正直にただそなたに惚れたと言えば良かった。
人質をとるような卑怯なやり方で断れないようにした俺が悪かったんだ。
皇妃に似ていたからではない。
ルリア自身に惚れたんだ。
自分でも初めての感情で理由を見つけたかった。
皇妃に似ているからなのだと。でも違う!
誰の代わりでもなく、生まれ変わりなどどうでもいいんだ!
ただ好きになった。本当だ!」

大雨で声が消されないようにベルラードは耳元で叫んでいる。

「そなたの思うようにしよう!
約束の夜会が終わったらそなたは自由だ。好きにしていい。
関わっていた者達は必ず守ると約束しよう。
だから‥‥もう‥自分の事は傷つけないでくれ。
頼む‥‥こんな事‥‥しないでくれ」

彼は私の肩に頭を乗せた。
泣いてるようだった。

私は‥誰か他の人に殺されるまで自分では死ねないのだろうか‥ふとそう思った。

生まれ変わりの悪魔を殺すのは、天使なのか神なのか‥‥

どうして私は生まれ変わったのだろう‥‥











感想 0

あなたにおすすめの小説

誘拐された公爵令嬢ですが、なぜか皇帝に溺愛されています』

富士山麓
恋愛
舞踏会で王太子から婚約破棄を告げられそうになった瞬間―― 目の前に現れたのは、馬に乗った仮面の皇帝だった。 そのまま攫われた公爵令嬢ビアンキーナは、誘拐されたはずなのに超VIP待遇。 一方、助けようともしなかった王太子は「無能」と嘲笑され、静かに失墜していく。 選ばれる側から、選ぶ側へ。 これは、誰も断罪せず、すべてを終わらせた令嬢の物語。

離婚寸前で人生をやり直したら、冷徹だったはずの夫が私を溺愛し始めています

腐ったバナナ
恋愛
侯爵夫人セシルは、冷徹な夫アークライトとの愛のない契約結婚に疲れ果て、離婚を決意した矢先に孤独な死を迎えた。 「もしやり直せるなら、二度と愛のない人生は選ばない」 そう願って目覚めると、そこは結婚直前の18歳の自分だった! 今世こそ平穏な人生を歩もうとするセシルだったが、なぜか夫の「感情の色」が見えるようになった。 冷徹だと思っていた夫の無表情の下に、深い孤独と不器用で一途な愛が隠されていたことを知る。 彼の愛をすべて誤解していたと気づいたセシルは、今度こそ彼の愛を掴むと決意。積極的に寄り添い、感情をぶつけると――

世継ぎは他の妃が産めばいい——子を産めない私ですが、帝の寵愛を独占して皇后になりました

由香
恋愛
後宮に入る女の価値は、ただ一つ。 ——皇子を産めるかどうか。 けれど私は、産めない。 ならば—— 「世継ぎは他の妃に任せます。私は、陛下に愛される女になります」 そう言い放ったその日から、すべてが狂い始めた。 毒を盛られても、捨てられず。 皇子が生まれても、選ばれたのは私だった。 「お前は、ここにいろ」 これは、子を産めない女が ただ一つの武器“寵愛”だけで頂点に立つ物語。 そして—— その寵愛は、やがて狂気に変わる。

聖女様と間違って召喚された腐女子ですが、申し訳ないので仕事します!

碧桜
恋愛
私は花園美月。20歳。派遣期間が終わり無職となった日、馴染の古書店で顔面偏差値高スペックなイケメンに出会う。さらに、そこで美少女が穴に吸い込まれそうになっていたのを助けようとして、私は古書店のイケメンと共に穴に落ちてしまい、異世界へ―。実は、聖女様として召喚されようとしてた美少女の代わりに、地味でオタクな私が間違って来てしまった! 落ちたその先の世界で出会ったのは、私の推しキャラと見た目だけそっくりな王(仮)や美貌の側近、そして古書店から一緒に穴に落ちたイケメンの彼は、騎士様だった。3人ともすごい美形なのに、みな癖強すぎ難ありなイケメンばかり。 オタクで人見知りしてしまう私だけど、元の世界へ戻れるまで2週間、タダでお世話になるのは申し訳ないから、お城でメイドさんをすることにした。平和にお給料分の仕事をして、異世界観光して、2週間後自分の家へ帰るつもりだったのに、ドラゴンや悪い魔法使いとか出てきて、異能を使うイケメンの彼らとともに戦うはめに。聖女様の召喚の邪魔をしてしまったので、美少女ではありませんが、地味で腐女子ですが出来る限り、精一杯頑張ります。 ついでに無愛想で苦手と思っていた彼は、なかなかいい奴だったみたい。これは、恋など始まってしまう予感でしょうか!? *カクヨムにて先に連載しているものを加筆・修正をおこなって掲載しております

姉に代わって立派に息子を育てます! 前日譚

mio
恋愛
ウェルカ・ティー・バーセリクは侯爵家の二女であるが、母亡き後に侯爵家に嫁いできた義母、転がり込んできた義妹に姉と共に邪魔者扱いされていた。 王家へと嫁ぐ姉について王都に移住したウェルカは侯爵家から離れて、実母の実家へと身を寄せることになった。姉が嫁ぐ中、学園に通いながらウェルカは自分の才能を伸ばしていく。 数年後、多少の問題を抱えつつ姉は懐妊。しかし、出産と同時にその命は尽きてしまう。そして残された息子をウェルカは姉に代わって育てる決意をした。そのためにはなんとしても王宮での地位を確立しなければ! 自分でも考えていたよりだいぶ話数が伸びてしまったため、こちらを姉が子を産むまでの前日譚として本編は別に作っていきたいと思います。申し訳ございません。

辺境伯へ嫁ぎます。

アズやっこ
恋愛
私の父、国王陛下から、辺境伯へ嫁げと言われました。 隣国の王子の次は辺境伯ですか… 分かりました。 私は第二王女。所詮国の為の駒でしかないのです。 例え父であっても国王陛下には逆らえません。 辺境伯様… 若くして家督を継がれ、辺境の地を護っています。 本来ならば第一王女のお姉様が嫁ぐはずでした。 辺境伯様も10歳も年下の私を妻として娶らなければいけないなんて可哀想です。 辺境伯様、大丈夫です。私はご迷惑はおかけしません。 それでも、もし、私でも良いのなら…こんな小娘でも良いのなら…貴方を愛しても良いですか?貴方も私を愛してくれますか? そんな望みを抱いてしまいます。  ❈ 作者独自の世界観です。  ❈ 設定はゆるいです。  (言葉使いなど、優しい目で読んで頂けると幸いです)  ❈ 誤字脱字等教えて頂けると幸いです。  (出来れば望ましいと思う字、文章を教えて頂けると嬉しいです)

刺繍妻

拓海のり
恋愛
男爵令嬢メアリーは魔力も無くて、十五歳で寄り親の侯爵家に侍女見習いとして奉公に上がった。二十歳まで務めた後、同じ寄り子の子爵家に嫁に行ったが。九千字ぐらいのお話です。

【完結】王太子と宰相の一人息子は、とある令嬢に恋をする

冬馬亮
恋愛
出会いは、ブライトン公爵邸で行われたガーデンパーティ。それまで婚約者候補の顔合わせのパーティに、一度も顔を出さなかったエレアーナが出席したのが始まりで。 彼女のあまりの美しさに、王太子レオンハルトと宰相の一人息子ケインバッハが声をかけるも、恋愛に興味がないエレアーナの対応はとてもあっさりしていて。 優しくて清廉潔白でちょっと意地悪なところもあるレオンハルトと、真面目で正義感に溢れるロマンチストのケインバッハは、彼女の心を射止めるべく、正々堂々と頑張っていくのだが・・・。 王太子妃の座を狙う政敵が、エレアーナを狙って罠を仕掛ける。 忍びよる魔の手から、エレアーナを無事、守ることは出来るのか? 彼女の心を射止めるのは、レオンハルトか、それともケインバッハか? お話は、のんびりゆったりペースで進みます。