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矛盾した感情は‥‥
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王太子宮の皆は相変わらず親切で優しい。
皆の気遣いのお陰で、軽く捻った足の痛みも引いてきている。
あんなに早く出たかったこの場所が、居心地の良い場所に変わってきていることに気付く‥‥
私は何て身勝手な女なのだろう。
自分で自分に呆れてため息が出る‥‥
少し外の空気を吸いに庭に出ようと廊下に出ると、前からベルラードが歩いて来るのが見えた。
私を見つけると歩みを速めて駆けてくる。
「ルリア!今迎えに行こうと思っていたところだ。ちょうど良かった」
「何かございましたでしょうか?」
「良い店を見つけたのだ。行かないか?」
「え?ええ‥構いませんけど」
「王都のはずれにある店のようだが、ルリアが気に入りそうだ」
ベルラードはいつからこんなに優しくなったのだろう‥‥
食事はいつも私と共にとり、時間を作っては私に会いに来てくれている。
そして私を喜ばせようと、いつも気遣ってくれるようになっていた。
ベルラードの笑顔も時折見せる悲しげな顔も、そのどれもが私の胸に刺さって少し苦しかった。
ここを出れば会うこともなくなるだろう。
この漆黒の美しい髪も瞳も見ることはできない。
私は何を考えているのかしら‥‥
本当に愚かで呆れてしまう。
この矛盾した感情が何なのか分からない。
あれだけ逃げようとしていたのに、今はもう少しだけ‥‥と考えるなんて‥‥
馬車が着いたのは、まるで花畑のような所だった。
真っ白い建物はその花に囲まれて建っていた。
「ここは‥素敵ですね」
「中はもっと気に入ってくれるといいが」
ベルラードのエスコートでゆっくりと花の間を歩いて行く。
足もゆっくり歩けば痛みもほとんどない。
そこは何だか不思議な光景だった。
それはまるで絵本の中のような、現実とは思えない景色でとても綺麗だったから。
「ルリアが消えてしまいそうだ‥‥」
ベルラードはギュッと手を強く握った。
「⁈」
「何だかこの景色の絵の中にルリアが入ってしまいそうで、俺の前からいなくなりそうな気がした」
驚いた私にベルラードは困ったような顔で笑った。
その姿は私から見れば、絵の中のように美しくて、私も思わずベルラードの手を強く握り返してしまった。
「ルリア⁈」
「ごめんなさい‥ベルラードの姿も絵のようで消えたら困ると‥思って」
「困る?のか?」
「ええ‥‥っと」
二人で赤くなってしまった‥‥
恥ずかしくて胸の鼓動が速くなる。
建物の中は花の良い香りに包まれていた。
「お待ちしておりました。ようこそお越しくださいました。
店主のマリン・コーラルと申します」
年配の品の良い女性が出迎えてくれた。
「コーラルとは、‥あのコーラル家か?」
「まぁ、ご存知でいらっしゃいますか?」
「ああ、帝国時代から医師であった家系であろう?」
「ええ、その通りでございます。かつてはこの植物を治療に使っていたようです。
その様な古い事をよくご存知でいらっしゃいますね。
さすがはこの国の王となるお方ですわ」
女性は感心したように微笑むと、さぁどうぞ奥へと案内された。
何人かの女性が作業している。
「ここでは、花やハーブから抽出した物で、それぞれ気に入った香りを作っていただくことができます。
香りと言っても、体調や精神を調整する効果がございますから、ご自分の症状に合わせてお選び頂ければ、良い香りで自然療法ができると思います」
「まぁ!自分で好きな香りを作れるのですか?」
「はい。その通りです。何か不快な症状などありましたら、私が助言させて頂きます」
「それはありがたいですわ」
私達にはそれぞれ助言者が付いてくれ、広い部屋に散らばった。
私にはマリンさんが付いてくれた。
「あなたを見たら、昔子供の頃に聞いた話を思い出したわ」
「どんな話ですか?」
「おとぎ話みたいなんだけれどね。
昔まだこの国が大帝国であった頃、戦いで皆が体に傷を負ったのだけど、心にも深い傷を負ったようで‥そんな時、美しい女神様が現れて皆の心を癒してくれたそうなの。
その女神様はね、輝く髪と瞳をしていたと‥‥
私は子供の頃、そんな女神様を勝手に想像していたけれど、今のあなたを見て、その女神様はあなたのような人だったのではないかと思ったの」
「そんな立派な方とは、似ても似つかない人間です」
「いいえ。ベルラード殿下の噂は知っています。
大変賢く優秀であると。
しかしあまり感情の無い、他人に興味を示さない方だと聞いておりました。
けれど殿下があなたを見る目は何とも優しく愛情に満ちている。
きっとあなたが心を癒したのではないですか?」
「いえ‥‥それは買い被りすぎというものです。
私は殿下を‥‥傷つけた側ですから」
そう言うとマリンさんは何かを言いかけて止めた‥
「ごめんなさい。年寄りが余計なことを。
さぁ、作業を始めましょう!」
夢中で作業をすると何も考えずにすんだ。
とても楽しかった。
良い香りに包まれて、本当に心が癒されたように感じた。
作り終えた後、マリンさんは私の手を取った。
「やっぱり余計だけど、一言だけいいかしら?
年寄りの言葉も時には必要なこともあるかもしれないから」
「‥はい」
「私ね、一度離婚してこのコーラル家に戻ってきた身なの。
障害が多くて、本当に好きな方とは一緒になれなくて‥
親の決めた方と一緒になったけど、結局は駄目でね。
だからね、もし障害の多い事があったら、その障害のことばかりを考えないで障害が無かったら、自分はどうしたいのかを一番大切にしてほしいの。
私は身分の違いや環境が変わることばかりに目がいって不安で‥‥一番大切な人を失ってしまったけれど。
あなたには見失ってほしくないわ。
何だか‥‥あなたが遠くへ行きそうな気がしてね。
私の想像していた女神様のような人ですもの。
この国にずっと居てもらいたいわ」
「‥‥」
何と返事をして良いか分からなかった。
「ごめんなさい、一言じゃなくて長くなったわね」
マリンさんは握った私の手をポンポンと軽く叩いた。
「ルリア?終わったか?」
「‥はい。私は終わりました」
私の側に来るとベルラードは顔を覗き込み、
「疲れたか?」
と心配している。
「楽しくてあっという間でした」
「それは良かった」
嬉しそうなその様子を見たマリンさんは、帰り際に、
「女神様も自分が幸せにならなきゃね」
と笑って手を振ってくれた‥‥
皆の気遣いのお陰で、軽く捻った足の痛みも引いてきている。
あんなに早く出たかったこの場所が、居心地の良い場所に変わってきていることに気付く‥‥
私は何て身勝手な女なのだろう。
自分で自分に呆れてため息が出る‥‥
少し外の空気を吸いに庭に出ようと廊下に出ると、前からベルラードが歩いて来るのが見えた。
私を見つけると歩みを速めて駆けてくる。
「ルリア!今迎えに行こうと思っていたところだ。ちょうど良かった」
「何かございましたでしょうか?」
「良い店を見つけたのだ。行かないか?」
「え?ええ‥構いませんけど」
「王都のはずれにある店のようだが、ルリアが気に入りそうだ」
ベルラードはいつからこんなに優しくなったのだろう‥‥
食事はいつも私と共にとり、時間を作っては私に会いに来てくれている。
そして私を喜ばせようと、いつも気遣ってくれるようになっていた。
ベルラードの笑顔も時折見せる悲しげな顔も、そのどれもが私の胸に刺さって少し苦しかった。
ここを出れば会うこともなくなるだろう。
この漆黒の美しい髪も瞳も見ることはできない。
私は何を考えているのかしら‥‥
本当に愚かで呆れてしまう。
この矛盾した感情が何なのか分からない。
あれだけ逃げようとしていたのに、今はもう少しだけ‥‥と考えるなんて‥‥
馬車が着いたのは、まるで花畑のような所だった。
真っ白い建物はその花に囲まれて建っていた。
「ここは‥素敵ですね」
「中はもっと気に入ってくれるといいが」
ベルラードのエスコートでゆっくりと花の間を歩いて行く。
足もゆっくり歩けば痛みもほとんどない。
そこは何だか不思議な光景だった。
それはまるで絵本の中のような、現実とは思えない景色でとても綺麗だったから。
「ルリアが消えてしまいそうだ‥‥」
ベルラードはギュッと手を強く握った。
「⁈」
「何だかこの景色の絵の中にルリアが入ってしまいそうで、俺の前からいなくなりそうな気がした」
驚いた私にベルラードは困ったような顔で笑った。
その姿は私から見れば、絵の中のように美しくて、私も思わずベルラードの手を強く握り返してしまった。
「ルリア⁈」
「ごめんなさい‥ベルラードの姿も絵のようで消えたら困ると‥思って」
「困る?のか?」
「ええ‥‥っと」
二人で赤くなってしまった‥‥
恥ずかしくて胸の鼓動が速くなる。
建物の中は花の良い香りに包まれていた。
「お待ちしておりました。ようこそお越しくださいました。
店主のマリン・コーラルと申します」
年配の品の良い女性が出迎えてくれた。
「コーラルとは、‥あのコーラル家か?」
「まぁ、ご存知でいらっしゃいますか?」
「ああ、帝国時代から医師であった家系であろう?」
「ええ、その通りでございます。かつてはこの植物を治療に使っていたようです。
その様な古い事をよくご存知でいらっしゃいますね。
さすがはこの国の王となるお方ですわ」
女性は感心したように微笑むと、さぁどうぞ奥へと案内された。
何人かの女性が作業している。
「ここでは、花やハーブから抽出した物で、それぞれ気に入った香りを作っていただくことができます。
香りと言っても、体調や精神を調整する効果がございますから、ご自分の症状に合わせてお選び頂ければ、良い香りで自然療法ができると思います」
「まぁ!自分で好きな香りを作れるのですか?」
「はい。その通りです。何か不快な症状などありましたら、私が助言させて頂きます」
「それはありがたいですわ」
私達にはそれぞれ助言者が付いてくれ、広い部屋に散らばった。
私にはマリンさんが付いてくれた。
「あなたを見たら、昔子供の頃に聞いた話を思い出したわ」
「どんな話ですか?」
「おとぎ話みたいなんだけれどね。
昔まだこの国が大帝国であった頃、戦いで皆が体に傷を負ったのだけど、心にも深い傷を負ったようで‥そんな時、美しい女神様が現れて皆の心を癒してくれたそうなの。
その女神様はね、輝く髪と瞳をしていたと‥‥
私は子供の頃、そんな女神様を勝手に想像していたけれど、今のあなたを見て、その女神様はあなたのような人だったのではないかと思ったの」
「そんな立派な方とは、似ても似つかない人間です」
「いいえ。ベルラード殿下の噂は知っています。
大変賢く優秀であると。
しかしあまり感情の無い、他人に興味を示さない方だと聞いておりました。
けれど殿下があなたを見る目は何とも優しく愛情に満ちている。
きっとあなたが心を癒したのではないですか?」
「いえ‥‥それは買い被りすぎというものです。
私は殿下を‥‥傷つけた側ですから」
そう言うとマリンさんは何かを言いかけて止めた‥
「ごめんなさい。年寄りが余計なことを。
さぁ、作業を始めましょう!」
夢中で作業をすると何も考えずにすんだ。
とても楽しかった。
良い香りに包まれて、本当に心が癒されたように感じた。
作り終えた後、マリンさんは私の手を取った。
「やっぱり余計だけど、一言だけいいかしら?
年寄りの言葉も時には必要なこともあるかもしれないから」
「‥はい」
「私ね、一度離婚してこのコーラル家に戻ってきた身なの。
障害が多くて、本当に好きな方とは一緒になれなくて‥
親の決めた方と一緒になったけど、結局は駄目でね。
だからね、もし障害の多い事があったら、その障害のことばかりを考えないで障害が無かったら、自分はどうしたいのかを一番大切にしてほしいの。
私は身分の違いや環境が変わることばかりに目がいって不安で‥‥一番大切な人を失ってしまったけれど。
あなたには見失ってほしくないわ。
何だか‥‥あなたが遠くへ行きそうな気がしてね。
私の想像していた女神様のような人ですもの。
この国にずっと居てもらいたいわ」
「‥‥」
何と返事をして良いか分からなかった。
「ごめんなさい、一言じゃなくて長くなったわね」
マリンさんは握った私の手をポンポンと軽く叩いた。
「ルリア?終わったか?」
「‥はい。私は終わりました」
私の側に来るとベルラードは顔を覗き込み、
「疲れたか?」
と心配している。
「楽しくてあっという間でした」
「それは良かった」
嬉しそうなその様子を見たマリンさんは、帰り際に、
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