156 / 605
第156話 真昼の死闘【前編】
しおりを挟む
久しぶりの小春日和だった。
うららかな陽射しに誘われて、公園広場に出た。
私の職場はこの公園の中にある図書館だ。
本が好きで入った職場だが、昼休みくらい、外の空気が吸いたくなる。
ベンチに座り、コンビニで買ったサンドイッチを袋から出す。
私は背が高いので、坐ると制服がずり上がってしまい、ただでさえミニ丈になってしまう。
こういう時、正面から見られたら中が丸見えでアウトんあおだが、幸い今は近くに人の気配はない。
と、油断していたら、そうではなかった。
嫌な視線を感じて顔を上げると、ありえない生き物が目に飛び込んできた。
犬である。
いつの間にやってきたのか、私の真ん前にちょこんと腰を下ろして、スカートの中を覗き込んでいる。
気色悪いのは、その犬が人間の顔をしていることだった。
しかも、見るからにすけべそうな、オヤジの顔である。
人面犬?
ぞぞっとうなじの産毛が総毛立った。
犬が腰を上げた。
視線を私のスカートの中に向けたまま、ゆっくり近づいてくる。
人面犬は明らかに卑猥な目的で私を見ていた。
そのことは、その舐めるような視線から明らかだった。
満員電車の中で時折感じる視線。
あれと同じだ。
「来ないで」
私ははじかれたように立ち上がった。
まだ手も付けていないサンドイッチが地面に転がった。
膝の内側がベンチに当たった。
これ以上、後ろには下がれない。
左右どちらか、横に動いて逃げるには、犬との距離が近すぎる。
まずい。
顔から血の気が引くのが分かった。
まるで投了間際の将棋盤。
私には逃げ場がない。
グルルルル…。
人面犬が喉を鳴らすような音を立て、耳まで裂けた口でにたりと笑った。
長い舌でべろりと濡れた鼻面を舐める。
「あっち、行きなさいよ!」
しっしと手で追い払おうとしても、犬は動じる様子もない。
それどころか、股間のイチモツを竿のように固くして、完全に私の下半身に狙いを定めているようだ。
グフフフフフ…。
人面犬の唸り声が、オヤジの笑い声に変わった。
そしてやにわに後ろ足で立ち上がると、愛犬が飼い主に甘えるように、前足を動けない私の身体に伸ばしてきた。
うららかな陽射しに誘われて、公園広場に出た。
私の職場はこの公園の中にある図書館だ。
本が好きで入った職場だが、昼休みくらい、外の空気が吸いたくなる。
ベンチに座り、コンビニで買ったサンドイッチを袋から出す。
私は背が高いので、坐ると制服がずり上がってしまい、ただでさえミニ丈になってしまう。
こういう時、正面から見られたら中が丸見えでアウトんあおだが、幸い今は近くに人の気配はない。
と、油断していたら、そうではなかった。
嫌な視線を感じて顔を上げると、ありえない生き物が目に飛び込んできた。
犬である。
いつの間にやってきたのか、私の真ん前にちょこんと腰を下ろして、スカートの中を覗き込んでいる。
気色悪いのは、その犬が人間の顔をしていることだった。
しかも、見るからにすけべそうな、オヤジの顔である。
人面犬?
ぞぞっとうなじの産毛が総毛立った。
犬が腰を上げた。
視線を私のスカートの中に向けたまま、ゆっくり近づいてくる。
人面犬は明らかに卑猥な目的で私を見ていた。
そのことは、その舐めるような視線から明らかだった。
満員電車の中で時折感じる視線。
あれと同じだ。
「来ないで」
私ははじかれたように立ち上がった。
まだ手も付けていないサンドイッチが地面に転がった。
膝の内側がベンチに当たった。
これ以上、後ろには下がれない。
左右どちらか、横に動いて逃げるには、犬との距離が近すぎる。
まずい。
顔から血の気が引くのが分かった。
まるで投了間際の将棋盤。
私には逃げ場がない。
グルルルル…。
人面犬が喉を鳴らすような音を立て、耳まで裂けた口でにたりと笑った。
長い舌でべろりと濡れた鼻面を舐める。
「あっち、行きなさいよ!」
しっしと手で追い払おうとしても、犬は動じる様子もない。
それどころか、股間のイチモツを竿のように固くして、完全に私の下半身に狙いを定めているようだ。
グフフフフフ…。
人面犬の唸り声が、オヤジの笑い声に変わった。
そしてやにわに後ろ足で立ち上がると、愛犬が飼い主に甘えるように、前足を動けない私の身体に伸ばしてきた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
10秒で読めるちょっと怖い話。
絢郷水沙
ホラー
ほんのりと不条理な『ギャグ』が香るホラーテイスト・ショートショートです。意味怖的要素も含んでおりますので、意味怖好きならぜひ読んでみてください。(毎日昼頃1話更新中!)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる