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第239話 バイトテロ
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何の気なしにスマホの画面に目をやった私は、思わず舌打ちをした。
またやってる…。
そう思ったのだ。
動画の背景は、どこかの店の厨房である。
中華鍋などが映っているので、おそらく中華料理店だろう。
問題は、その真ん中で踊っている人物だった。
頭髪を斑に染めた、いかにも軽薄そうな青年である。
大学生のアルバイト店員だろうか。
青年は、全裸だった。
全裸で、両手に持った鍋のフタで交互に股間を隠しながら、滑稽な踊りを繰り返しているのだ。
バイトテロ、バカッター、そんな言葉が脳裏に浮かんだ。
はっきりいって、理解不能だった。
こんな動画が拡散されてしまえば、この青年と撮影者は、店から多額の損害賠償を求められるに決まっている。
これまで同様な事例がごまんと繰り返され、何度となくセンセーショナルに報道されているのに、なぜまたやってしまうのか。
承認要求を満たすため、というだけでは説明不能な馬鹿さ加減である。
自己破滅型の性格なのか、ほんの少しの未来のことも想像できないほど頭が弱いのか、呆れてものが言えないとはこのことだ。
青年の悪ふざけはエスカレートする一方だった。
今度は、ラーメンの生麵をつかむと、それを股間からそそり立つイチモツに被せてフラダンスを始めたのだ。
そうー。
自らの行為に興奮したのか、はたまた撮影されていることで性的快感を覚える露出狂なのか、青年は見事なまでに勃起してしまっていた。
そしてその斜めに屹立する薔薇色の肉棒は、ラーメンの生麺を被せられてあたかも天狗の鼻みたいに見える。
どちらにせよ、不快極まりない眺めだった。
動画には非難のコメントが続々と寄せられていく。
ただ呆れるのは、中には青年の行為を称賛したり煽ったりする内容のものも少なからず含まれていることだ。
ー世も末だなー
心の中でそう吐き捨ててスマホを消そうとした時である。
踊り狂う青年の背後に、ぬうっと大きな人影が立った。
え?
私は目を見張り、改めて画面を注視した。
鬼である。
青年の背後にぬっと出現したのは、プロレスラー並みの筋骨隆々とした体格の、上半身裸の赤鬼だったのだ。
鬼は振り上げたこん棒で青年の頭部をいきなり殴ると、倒れかけたその裸体を軽々と持ち上げた。
気絶した青年を調理台の上に横たえ、手足を引きちぎり、腹を裂いて臓物を引きずり出して、陰茎を引き抜いた。
そうしてそれらの”部品”を煮え立つ中華鍋の中に放り込み、ぐつぐつ煮込むと、頃合いを見てひとつひとつ取り出し、憤怒の形相のまま、むしゃむしゃ食べ始めた。
どうして中華料理店の厨房に、本物の赤鬼が?
疑問が頭をよぎったが、そんなことはどうでもよかった。
私はひどくすっきりした気分で、久しぶりにポストした。
ーどなたか存じませんが、ありがとうございます。その調子で、どうかこいつらを皆殺しにしてくださいー
またやってる…。
そう思ったのだ。
動画の背景は、どこかの店の厨房である。
中華鍋などが映っているので、おそらく中華料理店だろう。
問題は、その真ん中で踊っている人物だった。
頭髪を斑に染めた、いかにも軽薄そうな青年である。
大学生のアルバイト店員だろうか。
青年は、全裸だった。
全裸で、両手に持った鍋のフタで交互に股間を隠しながら、滑稽な踊りを繰り返しているのだ。
バイトテロ、バカッター、そんな言葉が脳裏に浮かんだ。
はっきりいって、理解不能だった。
こんな動画が拡散されてしまえば、この青年と撮影者は、店から多額の損害賠償を求められるに決まっている。
これまで同様な事例がごまんと繰り返され、何度となくセンセーショナルに報道されているのに、なぜまたやってしまうのか。
承認要求を満たすため、というだけでは説明不能な馬鹿さ加減である。
自己破滅型の性格なのか、ほんの少しの未来のことも想像できないほど頭が弱いのか、呆れてものが言えないとはこのことだ。
青年の悪ふざけはエスカレートする一方だった。
今度は、ラーメンの生麵をつかむと、それを股間からそそり立つイチモツに被せてフラダンスを始めたのだ。
そうー。
自らの行為に興奮したのか、はたまた撮影されていることで性的快感を覚える露出狂なのか、青年は見事なまでに勃起してしまっていた。
そしてその斜めに屹立する薔薇色の肉棒は、ラーメンの生麺を被せられてあたかも天狗の鼻みたいに見える。
どちらにせよ、不快極まりない眺めだった。
動画には非難のコメントが続々と寄せられていく。
ただ呆れるのは、中には青年の行為を称賛したり煽ったりする内容のものも少なからず含まれていることだ。
ー世も末だなー
心の中でそう吐き捨ててスマホを消そうとした時である。
踊り狂う青年の背後に、ぬうっと大きな人影が立った。
え?
私は目を見張り、改めて画面を注視した。
鬼である。
青年の背後にぬっと出現したのは、プロレスラー並みの筋骨隆々とした体格の、上半身裸の赤鬼だったのだ。
鬼は振り上げたこん棒で青年の頭部をいきなり殴ると、倒れかけたその裸体を軽々と持ち上げた。
気絶した青年を調理台の上に横たえ、手足を引きちぎり、腹を裂いて臓物を引きずり出して、陰茎を引き抜いた。
そうしてそれらの”部品”を煮え立つ中華鍋の中に放り込み、ぐつぐつ煮込むと、頃合いを見てひとつひとつ取り出し、憤怒の形相のまま、むしゃむしゃ食べ始めた。
どうして中華料理店の厨房に、本物の赤鬼が?
疑問が頭をよぎったが、そんなことはどうでもよかった。
私はひどくすっきりした気分で、久しぶりにポストした。
ーどなたか存じませんが、ありがとうございます。その調子で、どうかこいつらを皆殺しにしてくださいー
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