488 / 625
第464話 冥府の王⑮
しおりを挟む
「縄文時代から文字があったって説は、すでに色々あるみたいなんだけど」
画面を見つめながら、由利亜が言った。
「これはそれとは別。縄文土器に刻まれてる文様自体が文字ってことだから」
その違いは僕にはよくわからない。
とにかく、由利亜の叔父さんの新発見、ということなのだろう。
「でも、どうして順番が違ってるってわかるんだい? 何が書いてあるか読めないのに」
「絵の位置。これがひとつのストーリーを表しているのだとすると、左上のハンザキの絵と、右下の勇者4人の位置は、あまりにも離れすぎていると思わない? この2枚の絵の構図からして、本来ならば、ハンザキの絵の右隣に勇者の絵がくるはずだわ」
なるほど。
僕は納得した。
その2枚が隣同士にあるならば、4人がハンザキに桃の実(?)を投げつけようとしている場面だとすぐわかる。
「それで、パズルを解くにはどうするの?」
「実はね。叔父さん、この壁画のレプリカをつくってたの。それがここの2階の展示室にある。そのレプリカを使って、今から実際に解いてみようと思ってるわけ」
さっきの剛とのやりとりは、そのことだったのか。
「パズルの解き方に気づいたのは、きのうのことだったから、まだやってみてないんだよね。だいたい、またハンザキがよみがえるなんて思ってもみなかったから、剛から連絡もらうまで縄文文字のこともすっかり忘れてたし」
立ち上がると、悔しいことに、由利亜はほんの少し僕より背が高かった。
「閉館時間、過ぎてるね。父さん、残務処理で忙しくなるから、今がチャンスなの。そろそろ行こうか」
「彼は?」
僕は奥の部屋にちらりと視線を投げた。
「起こさなくていいの?」
「興味があるなら、そのうち自分で起きてくるでしょ」
仲間かと思ったら、由利亜は意外とそっけない。
部屋を出て廊下を戻ると、階段を上がった。
壁に規則正しく開いた窓から、ホールに夕陽が斜めに射し込んできている。
「早くパズルを解いて、武器を見つけないと」
階段をのぼりながら、由利亜が言った。
「次々に人が殺されて、いずれはこの子の番になる」
この子。
言うまでもなく、刻印とやらの現れた香澄のことだろう。
「あのさ、やっぱり、大人に相談したほうがいいんじゃない?」
やたら怖くなって僕は言った。
それに対する由利亜の答えは、こうだった。
「壁画にあったでしょ? ハンザキに立ち向かう勇者は4人。剛を入れれば、私たちはちょうど4人いる」
画面を見つめながら、由利亜が言った。
「これはそれとは別。縄文土器に刻まれてる文様自体が文字ってことだから」
その違いは僕にはよくわからない。
とにかく、由利亜の叔父さんの新発見、ということなのだろう。
「でも、どうして順番が違ってるってわかるんだい? 何が書いてあるか読めないのに」
「絵の位置。これがひとつのストーリーを表しているのだとすると、左上のハンザキの絵と、右下の勇者4人の位置は、あまりにも離れすぎていると思わない? この2枚の絵の構図からして、本来ならば、ハンザキの絵の右隣に勇者の絵がくるはずだわ」
なるほど。
僕は納得した。
その2枚が隣同士にあるならば、4人がハンザキに桃の実(?)を投げつけようとしている場面だとすぐわかる。
「それで、パズルを解くにはどうするの?」
「実はね。叔父さん、この壁画のレプリカをつくってたの。それがここの2階の展示室にある。そのレプリカを使って、今から実際に解いてみようと思ってるわけ」
さっきの剛とのやりとりは、そのことだったのか。
「パズルの解き方に気づいたのは、きのうのことだったから、まだやってみてないんだよね。だいたい、またハンザキがよみがえるなんて思ってもみなかったから、剛から連絡もらうまで縄文文字のこともすっかり忘れてたし」
立ち上がると、悔しいことに、由利亜はほんの少し僕より背が高かった。
「閉館時間、過ぎてるね。父さん、残務処理で忙しくなるから、今がチャンスなの。そろそろ行こうか」
「彼は?」
僕は奥の部屋にちらりと視線を投げた。
「起こさなくていいの?」
「興味があるなら、そのうち自分で起きてくるでしょ」
仲間かと思ったら、由利亜は意外とそっけない。
部屋を出て廊下を戻ると、階段を上がった。
壁に規則正しく開いた窓から、ホールに夕陽が斜めに射し込んできている。
「早くパズルを解いて、武器を見つけないと」
階段をのぼりながら、由利亜が言った。
「次々に人が殺されて、いずれはこの子の番になる」
この子。
言うまでもなく、刻印とやらの現れた香澄のことだろう。
「あのさ、やっぱり、大人に相談したほうがいいんじゃない?」
やたら怖くなって僕は言った。
それに対する由利亜の答えは、こうだった。
「壁画にあったでしょ? ハンザキに立ち向かう勇者は4人。剛を入れれば、私たちはちょうど4人いる」
0
あなたにおすすめの小説
10秒で読めるちょっと怖い話。
絢郷水沙
ホラー
ほんのりと不条理な『ギャグ』が香るホラーテイスト・ショートショートです。意味怖的要素も含んでおりますので、意味怖好きならぜひ読んでみてください。(毎日昼頃1話更新中!)
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
女子切腹同好会
しんいち
ホラー
どこにでもいるような平凡な女の子である新瀬有香は、学校説明会で出会った超絶美人生徒会長に憧れて私立の女子高に入学した。そこで彼女を待っていたのは、オゾマシイ運命。彼女も決して正常とは言えない思考に染まってゆき、流されていってしまう…。
はたして、彼女の行き着く先は・・・。
この話は、切腹場面等、流血を含む残酷シーンがあります。御注意ください。
また・・・。登場人物は、だれもかれも皆、イカレテいます。イカレタ者どものイカレタ話です。決して、マネしてはいけません。
マネしてはいけないのですが……。案外、あなたの近くにも、似たような話があるのかも。
世の中には、知らなくて良いコト…知ってはいけないコト…が、存在するのですよ。
【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】
絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。
下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。
※全話オリジナル作品です。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる