引きこもりの従兄を更生させるはずが、逆に”女”にさせられちゃいましたとさ! てへっ

戸影絵麻

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#66 勝利の行方⑤

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 というわけで、私の10万円はパーになった。

 見事邦彦を射精させたのに、である。

 理由は簡単。

 バイトをクビになったからだ。

 引きこもりの息子に淫行を働く娘など、もう来なくていい。

 顔中に邦彦のザーメンを付着させた教授が、厳かにそうのたまわったのだから、これはもういたしかたがない。

「君の名誉を尊重して真由美さんには言わないでおくが、これ以上邦彦を堕落させてもらっては困るんだ。せっかく更生に向かってたと思ったら、あいつが陰で君とこんなことをしていただなんて…。残念だ。まったくもって、残念だよ」

 というのが、和夫伯父の最期の言葉だった。

 ちなみに、真由美というのは私の母の名前である。

 母に内緒にしてくれるのはちょっと助かったけど、ゴールデンウィークを前に私が落ち込んだのはもういうまでもない。

 お小遣いのない連休なんて、ただ退屈なだけでないほうがましなのだ。

 それに、と今になって思う。

 邦彦と過ごしたこの1か月は、私にとってたしかに楽しかった。

 生きてるって感じさえした。

 邦彦を射精させ、引きこもりを卒業させる。

 そんなくだらないミッションではあったけど、なぜだか私は燃えていたように思う。

 早朝のジョギングに始まって、毎晩の腹筋とスクワット、そしてきゅうりオナニー。

 まさに青春真っただ中だったのだ。

 さらに言えば、邦彦に貫かれている間のあの恍惚感。

 日が経つにつれ、それが恋しくてならなくなった。

 母の手伝いで、洗濯竿に洗濯物を干す時、竿に欲情することもしばしばだった。

 ひょっとすると私は、邦彦本人にというより、邦彦のペニスに恋をしてしまっていたのかもしれない。


 GWは退屈で、やることといったら一日中テレビを見ることくらい。

 GW初日の夜。

 タンクトップにショーパンといっただらしない格好でポテチを口に詰め込みながらニュースを見ていたら、突然いきなり見覚えのある風景が画面に映った。

 この街角。これって…。

「謎の発行体は、A県N市花木町に落下した模様で、現在警察と自衛隊が協力して行方を捜査しています」

「母さん、ちょっと」

 私は台所で洗い物をしている母に呼びかけた。

「花木町って、邦彦ん家のある街じゃなかったっけ」

「そうだけど、それがどうしたの?」

「よくわかんないけど、UFOが落っこちたらしいよ」

「なにバカなこと言ってんの。テレビばっかり見てるから、脳が膿んできたんじゃない?」

 ひどい言われようだった。

「だよね。どうせ車のヘッドライトか何かだよね」

「それにしても、幼馴染のあんたでも治せなかったんだから、邦彦ちゃんの心の闇も相当深いわね」

「まあね。もともとそんな仲良かったわけじゃないしさ」

 やばい話題である。
 
 淫行がバレるとまずいので、私はとっさにチャンネルを切り替えた。

 響き渡るわざとらしい笑い声。

 くだらないバラエティ番組にいつもの芸人が映っている。

 ほんと、テレビってどの局もおんなじだ。

 その日はそれで終わったのだけど…。

 丸一日経った翌日の夜だった。

 和夫教授から、何の前触れもなく突然、私宛に電話がかかってきたのは。



 

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