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#78 史上最低の戦い⑪
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「へ?」
私は仰天して顎を突き出した。
おそらくこの時、私の眼は完全に点と化していたに違いない。
「いきなりオナニー? そんな、無理だよ。絶対に無理! だってあたし、全然その気になってないんだもん」
常時やらしいことを考えている男はいざ知らず、女の性欲はそんなに瞬間的には湧いてこないのだ。
したくなるには色々条件があって、例えば気温とか湿度とか、その時のシチュエーションとか…。
すべてがマッチングしないとやる気にならないし、無理にやっても気持ちよくなれないのである。
「そうかあ、パンティ見せてくれてるから、てっきりオナニーもと思ったけど、女の子って難しいんだね」
テニススコートの間から覗く私の白いパンティを見つめながら、残念そうに邦彦が言う。
「もしなんなら脱いであげてもいいよ。それで邦彦がさ、その、ボッキできるなら」
最大限譲歩して提案してみたが、
「うーん、今の状況では、ただのヌードだけでは難しいかなあ」
邦彦はかぶりを振るばかりである。
「どうしても、オナニーじゃないとだめ?」
「うん…そのくらい刺激的なやつじゃないと、ちょっとね…」
「しょうがないなあ」
私は秘密グッズの入った洗面器を手元に引き寄せた。
「それなに?」
興味を覚えたのか、邦彦が上半身を起こした。
「あんたのパパが集めてくれたグッズ。なんか得体の知れない大人の玩具がいっぱい入ってるんだけど…」
「大人の玩具? どれ、見せて」
そして指でつまみ上げたのは、ピンクのソラマメみたいな形をしたプラスチック製の器具である。
「これなんか、どう?」
ソラマメからは白いコードが伸びていて、長方形の電池ボックスにつながっている。
「何よそれ?」
「使ったこと、ないの?」
「ないよ」
私みたいな貧乏JKのどこにアダルトグッズを買うお金があるというのだ。
そんなもの買うぐらいなら、夕食のおかずを一品増やしたほうがいいに決まっている。
「で、なんなのよ、そいつ」
「ローターさ」
「ローター?」
「うん。アダルトグッズの中では、割と初心者向きだと思う。振動も弱くてあそこにやさしいし」
「あんた、どうしてそんなこと知ってんのよ。ついこの前まで童貞だったくせに」
「それはその…ネットで色々研究したからさ」
「『小人閑居して不善をなす』ってやつだね」
「まあね。なんとでも言ってくれよ。君に再会するまでは、僕、ほんとにクズみたいな人生送ってたんだしさ」
”君に再会するまでは”のフレーズにちょっとだけキュンときたけれど、それより今はオナニーである。
「で、つまり、邦彦はあたしに、これを使ってオナニーしろって言いたいわけね」
「う、うん。たとえ今はその気分でなくても、これを敏感な部分に当てておけば、きっとそのうち…」
「痛いのはやだよ。電気でびりってのも」
「新品みたいだから、漏電の心配はないと思うけど」
仕方ない。
私はため息をひとつつき、しぶしぶそれを邦彦から受け取った。
「で、これをどこにどうすればいいわけよ?」
私は仰天して顎を突き出した。
おそらくこの時、私の眼は完全に点と化していたに違いない。
「いきなりオナニー? そんな、無理だよ。絶対に無理! だってあたし、全然その気になってないんだもん」
常時やらしいことを考えている男はいざ知らず、女の性欲はそんなに瞬間的には湧いてこないのだ。
したくなるには色々条件があって、例えば気温とか湿度とか、その時のシチュエーションとか…。
すべてがマッチングしないとやる気にならないし、無理にやっても気持ちよくなれないのである。
「そうかあ、パンティ見せてくれてるから、てっきりオナニーもと思ったけど、女の子って難しいんだね」
テニススコートの間から覗く私の白いパンティを見つめながら、残念そうに邦彦が言う。
「もしなんなら脱いであげてもいいよ。それで邦彦がさ、その、ボッキできるなら」
最大限譲歩して提案してみたが、
「うーん、今の状況では、ただのヌードだけでは難しいかなあ」
邦彦はかぶりを振るばかりである。
「どうしても、オナニーじゃないとだめ?」
「うん…そのくらい刺激的なやつじゃないと、ちょっとね…」
「しょうがないなあ」
私は秘密グッズの入った洗面器を手元に引き寄せた。
「それなに?」
興味を覚えたのか、邦彦が上半身を起こした。
「あんたのパパが集めてくれたグッズ。なんか得体の知れない大人の玩具がいっぱい入ってるんだけど…」
「大人の玩具? どれ、見せて」
そして指でつまみ上げたのは、ピンクのソラマメみたいな形をしたプラスチック製の器具である。
「これなんか、どう?」
ソラマメからは白いコードが伸びていて、長方形の電池ボックスにつながっている。
「何よそれ?」
「使ったこと、ないの?」
「ないよ」
私みたいな貧乏JKのどこにアダルトグッズを買うお金があるというのだ。
そんなもの買うぐらいなら、夕食のおかずを一品増やしたほうがいいに決まっている。
「で、なんなのよ、そいつ」
「ローターさ」
「ローター?」
「うん。アダルトグッズの中では、割と初心者向きだと思う。振動も弱くてあそこにやさしいし」
「あんた、どうしてそんなこと知ってんのよ。ついこの前まで童貞だったくせに」
「それはその…ネットで色々研究したからさ」
「『小人閑居して不善をなす』ってやつだね」
「まあね。なんとでも言ってくれよ。君に再会するまでは、僕、ほんとにクズみたいな人生送ってたんだしさ」
”君に再会するまでは”のフレーズにちょっとだけキュンときたけれど、それより今はオナニーである。
「で、つまり、邦彦はあたしに、これを使ってオナニーしろって言いたいわけね」
「う、うん。たとえ今はその気分でなくても、これを敏感な部分に当てておけば、きっとそのうち…」
「痛いのはやだよ。電気でびりってのも」
「新品みたいだから、漏電の心配はないと思うけど」
仕方ない。
私はため息をひとつつき、しぶしぶそれを邦彦から受け取った。
「で、これをどこにどうすればいいわけよ?」
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