サイコパスハンター零

戸影絵麻

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第6章 となりはだあれ?

#21 魔獣狩り⑨

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 ブレザーを脱いで、ブラウスとミニスカート姿になった少女は、足が長く、ほっそりした体型をしていた。

 背は杏里より5センチ以上高く、重心の位置からして違うようだ。

 ファッションモデルみたい、というのが、最初に少女の全身像を見た時の杏里の感想だった。

「じゃあ、始めます。両手を頭の上に上げててください」

 少女は言われた通りに頭上に手を伸ばし、面白そうな表情で杏里の一挙手一投足を眺めている。

 零の言うようにこの子が”外道”だとしたら、私の命は風前の灯だ。

 同じ部屋の中に当の零がいてくれるからいいようなものの、杏里としては気が気でない。

 ブラウスとスカートの上から、入念に身体を探ってみる。

 刃物や鈍器を肌身につけている様子は一切ない。

 むしろ、布一枚の上からモデル顔負けの美少女の肢体をまさぐっていると思うと、かっと頬が熱くなってきた。

「あの、ブラウスとスカートも、脱いでくれませんか?」

 あることを思いついて、杏里は言った。

 少女が盗撮魔の尾上悠馬のスマホに映っていた”噛み子”であるならば、内腿に三日月形の痣があるはずである。

 それに思い至ったのだ。

「ずいぶん大胆なことを言うのね」

 タメ口で言い、少女が正面から杏里を見た。

「いいけど、その前に条件が」

 陶磁器のように白い顔の中でそこだけ濃い赤の唇が、上弦の月の形に歪んだ。

「条件って…?」

「あなたが先に脱ぐこと。あなたが裸になるのなら、私も同じことをしてあげる」

「そんな…」

 タジタジとなり、後じさった杏里に、少女がぐっと身を寄せてきた。

「それとも私が脱がせてあげようか? 匂いでわかる。あなたレズビアンでしょ? 私の身体に欲情しかけてる」

「やめて」

 ブラウスのボタンをはずそうとする少女の手を、とっさに杏里は払いのけた。

 めまいがした。

 少女の胸元から立ち上る目に見えないフェロモンのようなもの。

 それに反応しかけている己に、杏里は驚いていた。

 こんなに動揺した自分を零に見られているかと思うと、罪悪感で耳のつけ根まで赤くなった。

「いいわ、そこまでで」

 ブレザーを手渡しして、杏里は少女から顔を背けた。

「検査、済みました。異常、ありません」

 後半は、部屋の外の韮崎たちへの台詞だった。

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