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第2部 背徳のパトス
#17 杏里とデス・ゲーム⑤
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杏里を正気に戻したのは、自分の上げたその叫び声だった。
普通の人間なら発狂していてもおかしくない惨状である。
だが、幸か不幸か杏里は人間ではなかった。
タナトスとしての防御機能が、そのとき突然働いたのだ。
杏里は口をつぐんだ。
痛みが消えていた。
まるで痛覚をつかさどる神経回路が、どこかでぷつんと切断されたかのようにー。
根元から指をすべて切断されたにもかかわらず、何も感じない。
ふいに、世界が静寂に満たされたような、そんな耳鳴りに似た感じ…。
激痛から解放された静謐な世界の真ん中で、杏里はゆっくりと呼吸を調えた。
ああ…。
こうなっていたのか。
だから今まで気が狂うことなく、済んでいたのか。
限界まで来ると、体が痛みを遮断する。
それが、タナトスの肉体の持つ、もうひとつの特性だったのだ。
杏里は奇妙に平静な気分で足元に飛び散った己の指を見つめた。
白魚のような十本の細い指が、血に染まってばらばらに散らばっている。
今度はこっちの番だ。
そう思った。
手始めに顔を上げて、少年を正面から見つめた。
篠崎拓哉は肩で息をしていた。
「おまえ・・・。化け物か。そんなになって、平気なのか?」
驚きに目を見開いている。
「拓哉君」
柱に背中をゆだね、体の力を抜くと、杏里は相手をわざと名前で呼んだ。
叫び続けて喉が枯れてしまっていたが、なるべく優しい声音を出すよう、心がけた。
「・・・な、なんだ?」
拓哉が少しひるんだような表情で訊いた。
「胸が苦しい・・・、ううん、ロープを解いてとはいわない、服を、脱がせて欲しいの」
甘えるような口調を試してみる。
しばしの逡巡の末、拓哉が動いた。
杏里の血と汗にまみれたブラウスを、傍らにあった裁縫鋏でジョキジョキと切断する。
ピンクのブラに押し上げられたたわわな胸が、顕わになる。
「こうか・・・?」
困惑した顔で、訊いてくる。
「下着も、取って。まだ、苦しいの」
胸を強調するように、身もだえして見せた。
拓哉は明らかに戸惑っていた。
こんな状況は生まれて初めてなのだろう。
さっきまで、杏里の体など全く眼中にないといった感じだったまなざしが、
少しずつ変わってきていた。
何かまぶしいものでも見るように、生白い杏里の胸元を見つめている。
「お願い」
できるかぎり、切なげな声を出してみる。
拓哉が鋏を持った手を伸ばし、ブラの紐を切った。
手が震えているのが傍目にもわかる。
ずり落ちたブラジャーの下から、張り切った二つの肉の丘がぶるんと現れた。
マシュマロのように柔らかそうなおわん型の頂点で、綺麗な桜色の乳首がつんと上を向いている。
「ありがとう、やっと、楽になった」
杏里は悩ましげにため息をつくと、上目遣いに拓哉を見つめ返した。
「ねえ、拓哉君。女の人の胸、触ったこと。ある?」
挑発するように、相手の目を見つめたまま、いった。
馬鹿げた状況だということは百も承知だった。
が、杏里にできることはこれしかないのだ。
拓哉が横に首を振るのを確認して、
「触っても、いいよ」
誘うようにささやいてやる。
「生き物の死があなたを興奮させる。そうなんでしょ? でもね」
ちらりと舌先で唇を舐める。
「もっと興奮することが、世の中にはあるんだよ」
「俺を嵌める気だろ」
拓哉が少し身を引いた。
目に怒りの色が浮かんでいる。
「こんなかっこうで、どうやって?」
杏里は極力コケティッシュに見えるよう、微妙な角度で小首をかしげてみせた。
「ロープで縛られ、指もないのに?」
「じゃあ、なんで、そんな変なことを言い出すんだ?」
拓哉は震えていた。
かなり混乱しているらしい。
「私、あなたに気持ちよくしてほしいの」
いたずらっぽく、微笑んで見せる。
「もう痛い思いは充分、今度は体中触って気持ちよくしてほしい。そしたらお礼に、いいことしてあげる」
「いいことって・・・なんだよ」
「それは、秘密。さあ、まずおっぱいを・・・」
杏里の声に誘われるように、拓哉の両手がぎこちなく乳房をいじり始めた。
「ほら、乳首が固くなってるでしょ。これはね、女の人が感じてる証拠なの」
拓哉の手の動きが熱心なものになる。
鼻息が荒くなっている。
「いいわ・・・。卓也君、上手よ。とっても、気持ちいい・・・」
杏里はゆっくりと膝を立て、M字開脚の姿勢をとった。
「今度は下をお願い。さっきお漏らししちゃったから、パンティを脱がせて欲しいの」
拓哉の手が、催眠術にかかったように、杏里の下半身に伸びる。
杏里は腰を浮かせ、下着を脱がしやすいように体の位置を調節した。
丸い尻に沿ってするりとパンティが脱げると、無毛の肉の丘がむき出しになった。
拓哉の眼がその割れ目に吸い寄せられていく。
「触りたい? 中がどうなってるか、見てみたい?」
がくがくと拓哉がうなずいた。
「いいわ。でも、その前に、あなたも脱いで」
杏里は舌なめずりするように、いった。
「裸になって、私に見せて。おっぱい触ってくれたお礼に、今度は私がしてあげる」
「してあげるって・・・何を・・・・?」
拓哉がうわ言のようにいう。
「とっても、気持ちいいこと。それこそ、死にそうになるくらい・・・」
ズボンがすとんと落ちた。
卓也は、小学生が穿くような白く大きいパンツを穿いていた。
前が張っている。
性器が固くなりかけているのだ。
「近くに来て。私の顔に、おちんちんを掏りつけて」
拓哉がいわれるままにパンツの前を杏里の鼻に押しつけてくる。
かすかに小便の臭いがした。
杏里は舌を非常口に差し入れると、拓哉のペニスを外に引っ張り出した。
それは今まで杏里を犯したどの男の物とも違っていた。
先が細く、皮に覆われているのだ。
青筋を立てた青唐辛子のような形をしていた。
「かわいい」
口に含んだ。
卓也が腰を引こうとする。
杏里は包皮の先端から舌先を差し入れ、亀頭を舐めた。
あ。
拓哉の動きが止まる。
感じたのだろう。
唾液を口いっぱいに溢れさせて、ゆっくりと皮を剝いていく。
同時に頬をすぼめて肉棒全体をすっぽりとくわえ込み、おもむろにしごき始めた。
うう・・・。
拓哉が頭上でうめいている。
もう少しだ、
手を使うことができたらもっと事はスムーズに運ぶのだが、今は口だけでやり遂げるしかなかった。
吸い、嘗め回しながら、皮を剝いていく。
杏里の口の中で拓哉の一物がどんどん固くたくましくなっていく。
舌先で尿道を探り当てた。
先端を尖らせて、入口を攻める。
「ああ、いい・・・」
拓哉が腰を突き出し、自分でピストン運動を始めた。
杏里の後頭部を押さえ込み、強い力で己の股間にぐいぐい押しつけてくる。
息が苦しくなってきたが、ここでやめるわけにはいかなかった。
ふと気がつくと、手首のロープがほどけかけていた。
指が全部なくなったせいか、完全に緩んでしまっている。
杏里は両手をロープから抜いた。
指はまだ再生していないが、使い道はある。
右手で下から睾丸を触ってやる。
左手を上に伸ばし、拓哉のシャツの下に滑り込ませた。
想った通り、乳首がカチカチに尖っていた。
掌で撫でてやる。
袋、肉棒、乳首の三点を同時に攻められて、童貞の拓哉が保つはずがなかった。
「あふ」
変な声を出したかと思うと、杏里の口の中にどろりと青臭い液体があふれ出た。
やった。
杏里は心の中で快哉を叫んだ。
どくどくと溢れてくる精液を、喉を鳴らして飲んだ。
性器が空気の抜けた風船よろしく急速にしぼんでいくのがわかった。
杏里は口を離した。
顎に精液が滴っている。
拓哉がよろめいた。
人生初の精通を果たし、茫然としているようだった。
すっかり毒気をぬかれてしまっている。
嘘のように殺気が消えていた。
「よかった?」
へなへなと座り込んだ拓哉に向かって、杏里は訊いた。
杏里から恥ずかしげに視線をそらし、拓哉がかすかにうなずいた。
杏里はにっこり微笑んだ。
「今度苦しくなったら、自分でしてごらん。きょうのこと思い出しながら、おちんちんをいじめてあげるの。この白いものが出てくるまで、そうすれば、あなたは救われる」
拓哉は座り込んだまま、動かなかった。
杏里は指のない手と口で、苦労の末、足のロープをはずした。
腰を柱に縛りつけているロープを何とかしようともがいているときだった。
「ったく、タナトスってやつは、サイテーの淫乱だな」
不意に、戸口のほうから声がした。
小屋の隅の暗闇から、人影が現れた。
蝙蝠の翼のような髪型。
レザーのベストに、マイクロミニ。
膝まである長いブーツを履いている。
榊由羅だった。
「見てたの?」
杏里の声が尖った。
「まあね」
由羅が両手を広げ、肩をすくめるしぐさをした。
「タナトスの仕事ぶりがどんなものか、気になってさ。で、来てやったんだが」
ペッと床に唾を吐く。
「まさか童貞相手にそこまでやるとは、思わなかったぜ」
「見てたのに、助けてくれなかったの?」
杏里の中でふつふつと怒りの炎がたぎり始めた。
なんといわれてもいい。
私にはこれしかなかったのだ。
私が自力でこの窮地を抜け出すには、この方法しか・・・。
「いっただろ? うちは外来種に関わることにしか手を出さないって」
つかつかと近づいてくると、由羅は片手一本で杏里のいましめを引きちぎった。
見かけに似合わぬすさまじい怪力だった。
「だがな、ひとつだけいっておく」
柱に手を突き、杏里の顔に自分の顔を近づけてきて、押し殺した声でいった。
「ただの娼婦には、なるんじゃない」
何か思いつめたような、鋭い口調だった。
いい返そうとしたときだった。
由羅の唇が、いきなり杏里の唇に重なった。
無意識のうちに、杏里は喘いでいた。
由羅のくちづけは絶品だった。
情けないことに、またしてもこのときー。
杏里は、えもいわれぬ快感の虜になってしまっていたのである。
普通の人間なら発狂していてもおかしくない惨状である。
だが、幸か不幸か杏里は人間ではなかった。
タナトスとしての防御機能が、そのとき突然働いたのだ。
杏里は口をつぐんだ。
痛みが消えていた。
まるで痛覚をつかさどる神経回路が、どこかでぷつんと切断されたかのようにー。
根元から指をすべて切断されたにもかかわらず、何も感じない。
ふいに、世界が静寂に満たされたような、そんな耳鳴りに似た感じ…。
激痛から解放された静謐な世界の真ん中で、杏里はゆっくりと呼吸を調えた。
ああ…。
こうなっていたのか。
だから今まで気が狂うことなく、済んでいたのか。
限界まで来ると、体が痛みを遮断する。
それが、タナトスの肉体の持つ、もうひとつの特性だったのだ。
杏里は奇妙に平静な気分で足元に飛び散った己の指を見つめた。
白魚のような十本の細い指が、血に染まってばらばらに散らばっている。
今度はこっちの番だ。
そう思った。
手始めに顔を上げて、少年を正面から見つめた。
篠崎拓哉は肩で息をしていた。
「おまえ・・・。化け物か。そんなになって、平気なのか?」
驚きに目を見開いている。
「拓哉君」
柱に背中をゆだね、体の力を抜くと、杏里は相手をわざと名前で呼んだ。
叫び続けて喉が枯れてしまっていたが、なるべく優しい声音を出すよう、心がけた。
「・・・な、なんだ?」
拓哉が少しひるんだような表情で訊いた。
「胸が苦しい・・・、ううん、ロープを解いてとはいわない、服を、脱がせて欲しいの」
甘えるような口調を試してみる。
しばしの逡巡の末、拓哉が動いた。
杏里の血と汗にまみれたブラウスを、傍らにあった裁縫鋏でジョキジョキと切断する。
ピンクのブラに押し上げられたたわわな胸が、顕わになる。
「こうか・・・?」
困惑した顔で、訊いてくる。
「下着も、取って。まだ、苦しいの」
胸を強調するように、身もだえして見せた。
拓哉は明らかに戸惑っていた。
こんな状況は生まれて初めてなのだろう。
さっきまで、杏里の体など全く眼中にないといった感じだったまなざしが、
少しずつ変わってきていた。
何かまぶしいものでも見るように、生白い杏里の胸元を見つめている。
「お願い」
できるかぎり、切なげな声を出してみる。
拓哉が鋏を持った手を伸ばし、ブラの紐を切った。
手が震えているのが傍目にもわかる。
ずり落ちたブラジャーの下から、張り切った二つの肉の丘がぶるんと現れた。
マシュマロのように柔らかそうなおわん型の頂点で、綺麗な桜色の乳首がつんと上を向いている。
「ありがとう、やっと、楽になった」
杏里は悩ましげにため息をつくと、上目遣いに拓哉を見つめ返した。
「ねえ、拓哉君。女の人の胸、触ったこと。ある?」
挑発するように、相手の目を見つめたまま、いった。
馬鹿げた状況だということは百も承知だった。
が、杏里にできることはこれしかないのだ。
拓哉が横に首を振るのを確認して、
「触っても、いいよ」
誘うようにささやいてやる。
「生き物の死があなたを興奮させる。そうなんでしょ? でもね」
ちらりと舌先で唇を舐める。
「もっと興奮することが、世の中にはあるんだよ」
「俺を嵌める気だろ」
拓哉が少し身を引いた。
目に怒りの色が浮かんでいる。
「こんなかっこうで、どうやって?」
杏里は極力コケティッシュに見えるよう、微妙な角度で小首をかしげてみせた。
「ロープで縛られ、指もないのに?」
「じゃあ、なんで、そんな変なことを言い出すんだ?」
拓哉は震えていた。
かなり混乱しているらしい。
「私、あなたに気持ちよくしてほしいの」
いたずらっぽく、微笑んで見せる。
「もう痛い思いは充分、今度は体中触って気持ちよくしてほしい。そしたらお礼に、いいことしてあげる」
「いいことって・・・なんだよ」
「それは、秘密。さあ、まずおっぱいを・・・」
杏里の声に誘われるように、拓哉の両手がぎこちなく乳房をいじり始めた。
「ほら、乳首が固くなってるでしょ。これはね、女の人が感じてる証拠なの」
拓哉の手の動きが熱心なものになる。
鼻息が荒くなっている。
「いいわ・・・。卓也君、上手よ。とっても、気持ちいい・・・」
杏里はゆっくりと膝を立て、M字開脚の姿勢をとった。
「今度は下をお願い。さっきお漏らししちゃったから、パンティを脱がせて欲しいの」
拓哉の手が、催眠術にかかったように、杏里の下半身に伸びる。
杏里は腰を浮かせ、下着を脱がしやすいように体の位置を調節した。
丸い尻に沿ってするりとパンティが脱げると、無毛の肉の丘がむき出しになった。
拓哉の眼がその割れ目に吸い寄せられていく。
「触りたい? 中がどうなってるか、見てみたい?」
がくがくと拓哉がうなずいた。
「いいわ。でも、その前に、あなたも脱いで」
杏里は舌なめずりするように、いった。
「裸になって、私に見せて。おっぱい触ってくれたお礼に、今度は私がしてあげる」
「してあげるって・・・何を・・・・?」
拓哉がうわ言のようにいう。
「とっても、気持ちいいこと。それこそ、死にそうになるくらい・・・」
ズボンがすとんと落ちた。
卓也は、小学生が穿くような白く大きいパンツを穿いていた。
前が張っている。
性器が固くなりかけているのだ。
「近くに来て。私の顔に、おちんちんを掏りつけて」
拓哉がいわれるままにパンツの前を杏里の鼻に押しつけてくる。
かすかに小便の臭いがした。
杏里は舌を非常口に差し入れると、拓哉のペニスを外に引っ張り出した。
それは今まで杏里を犯したどの男の物とも違っていた。
先が細く、皮に覆われているのだ。
青筋を立てた青唐辛子のような形をしていた。
「かわいい」
口に含んだ。
卓也が腰を引こうとする。
杏里は包皮の先端から舌先を差し入れ、亀頭を舐めた。
あ。
拓哉の動きが止まる。
感じたのだろう。
唾液を口いっぱいに溢れさせて、ゆっくりと皮を剝いていく。
同時に頬をすぼめて肉棒全体をすっぽりとくわえ込み、おもむろにしごき始めた。
うう・・・。
拓哉が頭上でうめいている。
もう少しだ、
手を使うことができたらもっと事はスムーズに運ぶのだが、今は口だけでやり遂げるしかなかった。
吸い、嘗め回しながら、皮を剝いていく。
杏里の口の中で拓哉の一物がどんどん固くたくましくなっていく。
舌先で尿道を探り当てた。
先端を尖らせて、入口を攻める。
「ああ、いい・・・」
拓哉が腰を突き出し、自分でピストン運動を始めた。
杏里の後頭部を押さえ込み、強い力で己の股間にぐいぐい押しつけてくる。
息が苦しくなってきたが、ここでやめるわけにはいかなかった。
ふと気がつくと、手首のロープがほどけかけていた。
指が全部なくなったせいか、完全に緩んでしまっている。
杏里は両手をロープから抜いた。
指はまだ再生していないが、使い道はある。
右手で下から睾丸を触ってやる。
左手を上に伸ばし、拓哉のシャツの下に滑り込ませた。
想った通り、乳首がカチカチに尖っていた。
掌で撫でてやる。
袋、肉棒、乳首の三点を同時に攻められて、童貞の拓哉が保つはずがなかった。
「あふ」
変な声を出したかと思うと、杏里の口の中にどろりと青臭い液体があふれ出た。
やった。
杏里は心の中で快哉を叫んだ。
どくどくと溢れてくる精液を、喉を鳴らして飲んだ。
性器が空気の抜けた風船よろしく急速にしぼんでいくのがわかった。
杏里は口を離した。
顎に精液が滴っている。
拓哉がよろめいた。
人生初の精通を果たし、茫然としているようだった。
すっかり毒気をぬかれてしまっている。
嘘のように殺気が消えていた。
「よかった?」
へなへなと座り込んだ拓哉に向かって、杏里は訊いた。
杏里から恥ずかしげに視線をそらし、拓哉がかすかにうなずいた。
杏里はにっこり微笑んだ。
「今度苦しくなったら、自分でしてごらん。きょうのこと思い出しながら、おちんちんをいじめてあげるの。この白いものが出てくるまで、そうすれば、あなたは救われる」
拓哉は座り込んだまま、動かなかった。
杏里は指のない手と口で、苦労の末、足のロープをはずした。
腰を柱に縛りつけているロープを何とかしようともがいているときだった。
「ったく、タナトスってやつは、サイテーの淫乱だな」
不意に、戸口のほうから声がした。
小屋の隅の暗闇から、人影が現れた。
蝙蝠の翼のような髪型。
レザーのベストに、マイクロミニ。
膝まである長いブーツを履いている。
榊由羅だった。
「見てたの?」
杏里の声が尖った。
「まあね」
由羅が両手を広げ、肩をすくめるしぐさをした。
「タナトスの仕事ぶりがどんなものか、気になってさ。で、来てやったんだが」
ペッと床に唾を吐く。
「まさか童貞相手にそこまでやるとは、思わなかったぜ」
「見てたのに、助けてくれなかったの?」
杏里の中でふつふつと怒りの炎がたぎり始めた。
なんといわれてもいい。
私にはこれしかなかったのだ。
私が自力でこの窮地を抜け出すには、この方法しか・・・。
「いっただろ? うちは外来種に関わることにしか手を出さないって」
つかつかと近づいてくると、由羅は片手一本で杏里のいましめを引きちぎった。
見かけに似合わぬすさまじい怪力だった。
「だがな、ひとつだけいっておく」
柱に手を突き、杏里の顔に自分の顔を近づけてきて、押し殺した声でいった。
「ただの娼婦には、なるんじゃない」
何か思いつめたような、鋭い口調だった。
いい返そうとしたときだった。
由羅の唇が、いきなり杏里の唇に重なった。
無意識のうちに、杏里は喘いでいた。
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