キチママ

戸影絵麻

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#14 暴露

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 しばらくの間、僕は気を失っていたらしい。
 ふと気がつくと、押し入れの戸が開けられ、能面のように無表情なママが、じっと僕を見上げていた。
「こんなことだろうと思ったわ」
 布団にもふすまの裏側にも、僕の放出したものがべったりと貼りついて、青臭い匂いを放っている。
「のぞいてたのね。この変態」
 声にトゲがあった。
「最近、ママの下着の位置が変わってると思ったら…あなたの仕業だったのね」
 隠しようがなかった。
 僕は青ざめ、押し入れの2段目で身を縮こまらせた。
 見つかってしまったのだ。
 動悸が激しくなった。
 今にも心臓が喉から飛び出しそうだ。
 舌が干からびた上あごにくっついて、何か言おうにも声が出せなかった。
「お肉がまずくなったと思ったら…。やっぱり、あったのね、精通が」
 押し入れの下段にしたたる僕の精液を見やって、無気味なほど静かな声で、ママが言った。
 僕は懸命にかぶりを振った。
 これは何かの間違いだよ。
 そう叫びたかった。
 だからまだ捨てないで。
 お願い、ママ。
 もう二度としないから。
「出てらっしゃい」
 汚らわしいものでも見るようなまなざしを僕の股間に当て、ママが言った。
「悪いものは、みんな出してしまわないと」

 すでに自治会長は帰った後で、窓の外は暗くなっていた。
 ママは容赦がなかった。
 僕を裸にすると、背中の側に手足を折り曲げ、手首と足首をロープでひとつに結んで、僕の身体を天井の桟から吊り下げた。
 僕はさながら死にかけた蜘蛛のようなありさまだった。
 性器を真下に突き出して、ロープで宙吊りになっているのである。
 ママが、妙なものを手にして戻ってきた。
 肩こりの時に使う、バイブレーターだ。
「お仕置きよ」
 コンセントにコードをつなぎ、スイッチを入れる。
 高速回転するウレタン製の先端部が、萎びた僕の性器に押し当てられた。
「くっ」
 僕はのけぞった。
 痛かったからではない。
 むずかゆいような感触が、たちまちのうちに快感に変わっていく。
 あれほど放出したにもかかわらず、5秒としないうちに僕の性器は硬さを取り戻していた。
 その先っぽの皮の剥けかけた部分を、ママがバイブレーターで弄ぶ。
「だ、だめ。で、出ちゃう」
 そう口にした途端、どくんどくんとペニスが脈打った。
 床に音を立てて汁が飛んだ。
 射精の愉悦に、僕は痙攣した。
 が、ママはまだやめようとしない。
 いったん萎れかけたペニスに、またしてもバイブレーターをぐりぐり押しつけてきた。
「あ、あうっ」
 次の瞬間、信じられないことに、僕はまた精を放っていた。
「純。残念ね。こんなになったら、もう…あなたのお肉は、まずくて食べられない」 
 バイブの先で僕のペニスをこね回しながら、冷ややか口調でママが言った。
「どうやら、きょうが最後の晩餐になりそうだわ」

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