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第7部 蹂躙のヤヌス
#33 倍返し
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戸口に立った美里は、いつもとはまた違うオーラを全身から発しているようだった。
例の淫蕩なカラーではなく、明らかに赤く染まった怒りのオーラ。
それが半ば物質と化して、教室の中に吹き込んできたようだった。
美里の視線はまっすぐ体育教師に向けられていた。
全裸で杏里の上に覆いかぶさる醜悪な大女に。
「安西先生、それはあんまりじゃありませんこと?」
もう一度、詩でも棒読みするような口調で、美里が言った。
「ま、丸尾先生…」
大女が体を起こした。
般若のような顔面には、さすがに羞恥の色が浮かんでいる。
「その生徒の担任は、この私です。彼女がどんな失礼をしたのか知りませんが、いくらなんでもこれは」
そこでいったん言葉を切り、眼鏡を光らせて大女をにらみつける。
「遅刻、してきたんですよ。堂々と」
言い訳するように、大女が言った。
体格では完全に勝っているのに、なぜか完全に美里に押されてしまっているようだ。
「しかも、はしたない格好をして…あんまり不真面目だったから、つい」
「つい?」
美里が首を傾げ、語尾を吊り上げた。
「つい、なんですか? ついかっとして、裸に剥いてしまった? そして、テニスラケットで凌辱を?」
「い、いえ…そ、それは…」
「それが教師のすることですか? この子はまだ14歳なんですよ。あなたのしたことは、明白な犯罪行為です」
机の上に仰向けになっていた杏里は、その言葉にようやく思考を取り戻した。
精神状態が普通なら、危うく笑い出していたところだった。
美里先生…それ、あなたに言える台詞なの?
そうは思ったが、笑うのもしゃべるのも億劫だった。
生徒たちがふたりの教師の対立に気を取られている隙にと、ゆっくり身を起こし、教卓から降りた。
さすがに自分の席に戻るのは目立つので、教卓の陰に正座してふたりのやりとりを見守ることにした。
正座は足が痛かったが、体育座りをするとスカートの中が見えてしまうので、これは仕方なかった。
「安西先生、あなたもご存知ですよね。改正児童福祉法。あなたの行為は、児童虐待及び未成年者との性行為。これは厳罰に当たるのではないかしら」
淡々としゃべっているだけだが、美里の口調には逆らい難い迫力がある。
「も、申し訳ありません」
安西と呼ばれた体育教師は、もう泣き出さんばかりだ。
土下座をするように裸で床に這いつくばると、
「ここは、お見逃しを。なんでも、あなたの言う通りにしますから」
額を擦りつけて、いかつい肩をぶるぶると震わせた。
「そう」
気のない調子で美里が言った。
何のつもりか、腰をかがめて床に落ちていたテニスラケットを拾い上げた。
「じゃあ、見逃してあげるから、こっちにお尻を向けて、高く上げてごらんなさい」
「は?」
驚いたように顔を上げる大女。
「できませんか?」
美里の声が、1オクターブ低くなる。
「い、いえ。こ、こうですか?」
180度体を回し、美里のほうに尻を向けると、大女が訊いた。
「上げなさいって言ってるでしょ。その汚ない尻を」
美里の声が尖った。
「は、はい!」
強靭な太腿の筋肉が盛り上がり、徐々に尻が上がっていく。
ごつごつした、女性らしさのかけらもない、岩石のような臀部である。
さすが体育の教師らしく、見事なポーズだった。
「彼女がされたこと、あなたにもしてあげる」
美里が高々と頭上にラケットを振りかざす。
振り下ろした。
「ぐはっ」
大女が反り返った。
アナルにぐさりとラケットのグリップがはまり込んでいる。
美里がラケットに脚をかけた。
「いきなさいよ」
ぐいぐい押し込んでいく。
「あぐふ」
大女が白目を剥いた。
どぼどぼと黄色い液体がほとばしった。
強烈なアンモニアの匂い。
尿だった。
息を殺して見守る生徒たちを、ラケットに足をかけたまま、美里が睨み回す。
そして、念を押すように、珍しく強い調子で言った。
「あなたたちも、杏里に勝手なことをしたら、私が許さない。わかったわね?」
例の淫蕩なカラーではなく、明らかに赤く染まった怒りのオーラ。
それが半ば物質と化して、教室の中に吹き込んできたようだった。
美里の視線はまっすぐ体育教師に向けられていた。
全裸で杏里の上に覆いかぶさる醜悪な大女に。
「安西先生、それはあんまりじゃありませんこと?」
もう一度、詩でも棒読みするような口調で、美里が言った。
「ま、丸尾先生…」
大女が体を起こした。
般若のような顔面には、さすがに羞恥の色が浮かんでいる。
「その生徒の担任は、この私です。彼女がどんな失礼をしたのか知りませんが、いくらなんでもこれは」
そこでいったん言葉を切り、眼鏡を光らせて大女をにらみつける。
「遅刻、してきたんですよ。堂々と」
言い訳するように、大女が言った。
体格では完全に勝っているのに、なぜか完全に美里に押されてしまっているようだ。
「しかも、はしたない格好をして…あんまり不真面目だったから、つい」
「つい?」
美里が首を傾げ、語尾を吊り上げた。
「つい、なんですか? ついかっとして、裸に剥いてしまった? そして、テニスラケットで凌辱を?」
「い、いえ…そ、それは…」
「それが教師のすることですか? この子はまだ14歳なんですよ。あなたのしたことは、明白な犯罪行為です」
机の上に仰向けになっていた杏里は、その言葉にようやく思考を取り戻した。
精神状態が普通なら、危うく笑い出していたところだった。
美里先生…それ、あなたに言える台詞なの?
そうは思ったが、笑うのもしゃべるのも億劫だった。
生徒たちがふたりの教師の対立に気を取られている隙にと、ゆっくり身を起こし、教卓から降りた。
さすがに自分の席に戻るのは目立つので、教卓の陰に正座してふたりのやりとりを見守ることにした。
正座は足が痛かったが、体育座りをするとスカートの中が見えてしまうので、これは仕方なかった。
「安西先生、あなたもご存知ですよね。改正児童福祉法。あなたの行為は、児童虐待及び未成年者との性行為。これは厳罰に当たるのではないかしら」
淡々としゃべっているだけだが、美里の口調には逆らい難い迫力がある。
「も、申し訳ありません」
安西と呼ばれた体育教師は、もう泣き出さんばかりだ。
土下座をするように裸で床に這いつくばると、
「ここは、お見逃しを。なんでも、あなたの言う通りにしますから」
額を擦りつけて、いかつい肩をぶるぶると震わせた。
「そう」
気のない調子で美里が言った。
何のつもりか、腰をかがめて床に落ちていたテニスラケットを拾い上げた。
「じゃあ、見逃してあげるから、こっちにお尻を向けて、高く上げてごらんなさい」
「は?」
驚いたように顔を上げる大女。
「できませんか?」
美里の声が、1オクターブ低くなる。
「い、いえ。こ、こうですか?」
180度体を回し、美里のほうに尻を向けると、大女が訊いた。
「上げなさいって言ってるでしょ。その汚ない尻を」
美里の声が尖った。
「は、はい!」
強靭な太腿の筋肉が盛り上がり、徐々に尻が上がっていく。
ごつごつした、女性らしさのかけらもない、岩石のような臀部である。
さすが体育の教師らしく、見事なポーズだった。
「彼女がされたこと、あなたにもしてあげる」
美里が高々と頭上にラケットを振りかざす。
振り下ろした。
「ぐはっ」
大女が反り返った。
アナルにぐさりとラケットのグリップがはまり込んでいる。
美里がラケットに脚をかけた。
「いきなさいよ」
ぐいぐい押し込んでいく。
「あぐふ」
大女が白目を剥いた。
どぼどぼと黄色い液体がほとばしった。
強烈なアンモニアの匂い。
尿だった。
息を殺して見守る生徒たちを、ラケットに足をかけたまま、美里が睨み回す。
そして、念を押すように、珍しく強い調子で言った。
「あなたたちも、杏里に勝手なことをしたら、私が許さない。わかったわね?」
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