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#23 そして、夜が来る②
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「お、俺のほうこそ…」
リモコンを使ってベッドを起こすと、しどろもどろになって、僕は言った。
「なんか、ずいぶん、溜まっちゃってたみたいでさ・・・だから、つい、気持ちよくなっちゃって…」
自分でも、何がいいたいのかわからない。
普通の女の子相手ならドン引きされるところなのだろうけど、さすが看護師見習いだけあって、乙都は違った。
「ううん、あやまんなきゃなんないのは、私のほうです。ずっとおじいちゃんたち相手ばかりだったから、患者さんのアレがあんなふうになったの初めてで、それでちょっとびっくりしちゃって…」
頬のマスクで隠れていない部分が赤くなる。
あんなふうというのは、ペニスの勃起と射精を指すのだろう。
蓮月はよくあることだと笑ったが、乙都にとってはそうではなかったってことなのだ。
「まあいいや。今度からは、なんとか我慢してみるよ」
僕は自由なほうの手で頭をかいた。
とはいうものの、乙都に”おしも”を洗われて、次、勃起しないでいられる自信はない。
マスクで顔の半分は見えないけど、乙都は綺麗な眼をしていて声も可愛い。
生真面目そうな性格も好感が持てるのだ。
本当は彼女のほうが何歳も年上のはずなのだけど、物腰が丁寧なのであんまりそんな気がしない。
それに、ナース服から露出した部分の肌の、あの柔らかそうなことといったら、もう・・・、。
改めてふたりっきりになると、彼女に惹かれていく自分を感じざるを得なかった。
「とにかく、お夕食、食べてくださいな。その後、お薬飲みましょ。泰良先生から、睡眠薬も出てるので」
「うん」
あんまり腹は減っていないけど、箸をつけてみることにした。
献立は和風で、おひたしに焼き魚、そして煮物、それからデザートにフルーツとヨーグルトだ。
「お手伝い、しましょうか?」
ぎこちない僕の所作を見て、乙都が口を出す。
「大丈夫。それより、教えてくれないかな」
白米をちびちび口に運びながら、訊いてみた。
「この病院って、夜になると、何かあるのかい? たとえば、虫が湧くとか幽霊が出るとかさ」
「虫? 幽霊?」
鳩が豆鉄砲を食らったように、目を丸くする乙都。
「なんですか、それ? 虫なんか湧いたら衛生的に大問題だし、いくら隣が霊園でも、幽霊が出るなんて話、聞いたことありませんよ」
まあ、それはそうだろう。
予想された返事ではある。
でも、乙都からこうもはっきり否定されると、やはり藤田氏に担がれていたのだという気分になった。
「よく食べましたね」
食事を終えると、トレイをカーテンの外の台車に戻して、乙都が微笑んだ。
「はい、これが今晩のお薬。検温と血圧測定を済ませたら、私はこれであがりますけど、ちゃんと夜勤の看護師さんに引き継ぎますから、心配しないでください。だから、何かあったら、すぐに遠慮なく、ナースコール、押してくださいね」
「そうなんだ」
僕は肩を落とした。
考えてみれば、当然だ。彼女も人間なのだ。乙都が24時間看護してくれるはずがない。
「そんな寂しそうな顔、しないで」
乙都が僕の顔をのぞきこんだ時、カーテンの向こうでナースコールが鳴り出した。
「ミルクうっ! ミルクうっ!」
また始まった。
”コンドウサン”が、蓮月を呼んでいるのだ。
リモコンを使ってベッドを起こすと、しどろもどろになって、僕は言った。
「なんか、ずいぶん、溜まっちゃってたみたいでさ・・・だから、つい、気持ちよくなっちゃって…」
自分でも、何がいいたいのかわからない。
普通の女の子相手ならドン引きされるところなのだろうけど、さすが看護師見習いだけあって、乙都は違った。
「ううん、あやまんなきゃなんないのは、私のほうです。ずっとおじいちゃんたち相手ばかりだったから、患者さんのアレがあんなふうになったの初めてで、それでちょっとびっくりしちゃって…」
頬のマスクで隠れていない部分が赤くなる。
あんなふうというのは、ペニスの勃起と射精を指すのだろう。
蓮月はよくあることだと笑ったが、乙都にとってはそうではなかったってことなのだ。
「まあいいや。今度からは、なんとか我慢してみるよ」
僕は自由なほうの手で頭をかいた。
とはいうものの、乙都に”おしも”を洗われて、次、勃起しないでいられる自信はない。
マスクで顔の半分は見えないけど、乙都は綺麗な眼をしていて声も可愛い。
生真面目そうな性格も好感が持てるのだ。
本当は彼女のほうが何歳も年上のはずなのだけど、物腰が丁寧なのであんまりそんな気がしない。
それに、ナース服から露出した部分の肌の、あの柔らかそうなことといったら、もう・・・、。
改めてふたりっきりになると、彼女に惹かれていく自分を感じざるを得なかった。
「とにかく、お夕食、食べてくださいな。その後、お薬飲みましょ。泰良先生から、睡眠薬も出てるので」
「うん」
あんまり腹は減っていないけど、箸をつけてみることにした。
献立は和風で、おひたしに焼き魚、そして煮物、それからデザートにフルーツとヨーグルトだ。
「お手伝い、しましょうか?」
ぎこちない僕の所作を見て、乙都が口を出す。
「大丈夫。それより、教えてくれないかな」
白米をちびちび口に運びながら、訊いてみた。
「この病院って、夜になると、何かあるのかい? たとえば、虫が湧くとか幽霊が出るとかさ」
「虫? 幽霊?」
鳩が豆鉄砲を食らったように、目を丸くする乙都。
「なんですか、それ? 虫なんか湧いたら衛生的に大問題だし、いくら隣が霊園でも、幽霊が出るなんて話、聞いたことありませんよ」
まあ、それはそうだろう。
予想された返事ではある。
でも、乙都からこうもはっきり否定されると、やはり藤田氏に担がれていたのだという気分になった。
「よく食べましたね」
食事を終えると、トレイをカーテンの外の台車に戻して、乙都が微笑んだ。
「はい、これが今晩のお薬。検温と血圧測定を済ませたら、私はこれであがりますけど、ちゃんと夜勤の看護師さんに引き継ぎますから、心配しないでください。だから、何かあったら、すぐに遠慮なく、ナースコール、押してくださいね」
「そうなんだ」
僕は肩を落とした。
考えてみれば、当然だ。彼女も人間なのだ。乙都が24時間看護してくれるはずがない。
「そんな寂しそうな顔、しないで」
乙都が僕の顔をのぞきこんだ時、カーテンの向こうでナースコールが鳴り出した。
「ミルクうっ! ミルクうっ!」
また始まった。
”コンドウサン”が、蓮月を呼んでいるのだ。
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