48 / 88
#47 汚染病棟①
しおりを挟む
叫んだら胸が苦しくなってきた。
こめかみに錐でも揉みこまれるように頭が痛む。
「ぐわああっ」
耐え切れずのけぞったところに、聞き慣れた声が降ってきた。
「少年もお目覚めのようだ。そろそろ出発の準備を」
目を開く。
茶色く汚れた天井が視界に飛び込んできた。
壁もそうだ。
汚物をなすりつけたように、全体が茶褐色に汚れ、腐臭を放っている。
また、世界が変わったのだ。
僕は病室に戻っている。
いや、正確には悪夢から覚めて、また別の夢の中に入ったというべきか。
「汚染度56.9%。あちこちの病室で、変異が始まっています」
さっきのが泰良女医で、今のが乙都の声だ。
首を動かすと、元藤田氏の居た隣との間を仕切るカーテンの前に、女医と乙都が立っていた。
ハイレグのボンテージ衣装の女医は、両手に鞭を握っている。
ボデイコン風ミニワンピース姿の乙都は、背中に大剣ならぬ巨大な注射器を背負っている。
ふたりの共通点は、コスチュームが真っ黒なことと、顔の下半分を同じく黒いマスクで覆っていることだ。
それから、わずかな絶対領域だけを残した悩ましい網タイツ。
「すみませーん、遅くなりましたあ!」
そこにカーテンをめくりあげ、大柄な蓮月が飛び込んできた。
セパレーツの胸当てと腰に巻いたミニスカート。
ダイナマイトボディの蓮月も、露出過多なブラックナース姿だった。
「邪魔にならないよう、M1号には多量のモルヒネを投与しておきました。よって今夜は夜這いはないはずです」
M1号というのは、ひょっとすると、”コンドウサン”のことなのだろうか。
少なくとも蓮月は、向かい側の病床から飛び出してきたように見えたからだ。
「ここは・・・?」
ドギマギする胸を押さえて、僕はたずねた。
が、喉が震えただけで、まともに声が出なかった。
SM女王風衣装の女医に、ふたりのエロカワ看護師。
今まで見ていた悪夢の内容も気になるが、さすがにこの光景は衝撃的だった。
これは、夢の中の夢?
それとも、きのう見た夢が、やはり現実だったということか。
3人のセクシービジュアルの前に、水を抜いた池の底から出現した、あの化け物たちの記憶が遠のいていく。
案の定、僕の声は届かず、3人の意味不明な会話は続いている。
「それは本当だな? 今夜は月齢もマックスに近い。やつらの動きも活発だ。地下一階のICUまでは、かなり厳しい道のりになるだろう。障害物はひとつでも少ないほうがいい」
「レンゲ、得物は?」
大きな目をマツエクで更に際立たせた乙都が、ハアハアと爆乳を揺らす蓮月に訊く。
「あたしはこれでいいよ。遠心力加味すれば、パワー百倍だからさ」
そう言って蓮月が指し示したのは、僕の点滴スタンドである。
「てことで、せんせ、準備OKです」
乙都の台詞に、女医がうなずいた。
「よし。ベッドの柵をすべて上げろ。廊下を通過中、やつらには少年に指一本触れさせるな。廊下を突破したら、次はエレベーターホールだ、業務用エレベーターは、東病棟との境にある。ホールの雑魚どもを一掃しないことには、地階には向かえない。いいな、わかったな」
「合点です」
「了解です」
蓮月と乙都が自信ありげにうなずくと、
「レディ・ゴー!」
舞台の幕を引き開けるように、女医が手前に大きくカーテンを引っ張った。
こめかみに錐でも揉みこまれるように頭が痛む。
「ぐわああっ」
耐え切れずのけぞったところに、聞き慣れた声が降ってきた。
「少年もお目覚めのようだ。そろそろ出発の準備を」
目を開く。
茶色く汚れた天井が視界に飛び込んできた。
壁もそうだ。
汚物をなすりつけたように、全体が茶褐色に汚れ、腐臭を放っている。
また、世界が変わったのだ。
僕は病室に戻っている。
いや、正確には悪夢から覚めて、また別の夢の中に入ったというべきか。
「汚染度56.9%。あちこちの病室で、変異が始まっています」
さっきのが泰良女医で、今のが乙都の声だ。
首を動かすと、元藤田氏の居た隣との間を仕切るカーテンの前に、女医と乙都が立っていた。
ハイレグのボンテージ衣装の女医は、両手に鞭を握っている。
ボデイコン風ミニワンピース姿の乙都は、背中に大剣ならぬ巨大な注射器を背負っている。
ふたりの共通点は、コスチュームが真っ黒なことと、顔の下半分を同じく黒いマスクで覆っていることだ。
それから、わずかな絶対領域だけを残した悩ましい網タイツ。
「すみませーん、遅くなりましたあ!」
そこにカーテンをめくりあげ、大柄な蓮月が飛び込んできた。
セパレーツの胸当てと腰に巻いたミニスカート。
ダイナマイトボディの蓮月も、露出過多なブラックナース姿だった。
「邪魔にならないよう、M1号には多量のモルヒネを投与しておきました。よって今夜は夜這いはないはずです」
M1号というのは、ひょっとすると、”コンドウサン”のことなのだろうか。
少なくとも蓮月は、向かい側の病床から飛び出してきたように見えたからだ。
「ここは・・・?」
ドギマギする胸を押さえて、僕はたずねた。
が、喉が震えただけで、まともに声が出なかった。
SM女王風衣装の女医に、ふたりのエロカワ看護師。
今まで見ていた悪夢の内容も気になるが、さすがにこの光景は衝撃的だった。
これは、夢の中の夢?
それとも、きのう見た夢が、やはり現実だったということか。
3人のセクシービジュアルの前に、水を抜いた池の底から出現した、あの化け物たちの記憶が遠のいていく。
案の定、僕の声は届かず、3人の意味不明な会話は続いている。
「それは本当だな? 今夜は月齢もマックスに近い。やつらの動きも活発だ。地下一階のICUまでは、かなり厳しい道のりになるだろう。障害物はひとつでも少ないほうがいい」
「レンゲ、得物は?」
大きな目をマツエクで更に際立たせた乙都が、ハアハアと爆乳を揺らす蓮月に訊く。
「あたしはこれでいいよ。遠心力加味すれば、パワー百倍だからさ」
そう言って蓮月が指し示したのは、僕の点滴スタンドである。
「てことで、せんせ、準備OKです」
乙都の台詞に、女医がうなずいた。
「よし。ベッドの柵をすべて上げろ。廊下を通過中、やつらには少年に指一本触れさせるな。廊下を突破したら、次はエレベーターホールだ、業務用エレベーターは、東病棟との境にある。ホールの雑魚どもを一掃しないことには、地階には向かえない。いいな、わかったな」
「合点です」
「了解です」
蓮月と乙都が自信ありげにうなずくと、
「レディ・ゴー!」
舞台の幕を引き開けるように、女医が手前に大きくカーテンを引っ張った。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち
ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。
クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。
それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。
そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決!
その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。
10秒で読めるちょっと怖い話。
絢郷水沙
ホラー
ほんのりと不条理な『ギャグ』が香るホラーテイスト・ショートショートです。意味怖的要素も含んでおりますので、意味怖好きならぜひ読んでみてください。(毎日昼頃1話更新中!)
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる