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#175 初子と怪獣大戦争②
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キシェー!
ピョロピョロピョロ~。
外が騒がしい。
何だろう。
こううるさくては、寝られやしない。
洞窟の隅で寝返りを打つと、
「いつまで寝てるんだよ!」
と、一平に揺り起こされた。
「ん? なに?」
薄目を開ける。
ラルクもソフィアももう起きていて、何やら緊迫した面持ちで、入口から外をのぞいている。
「どうしたの?」
のそのそ這っていくと、
「どうしたのじゃねーよ! 怪獣だよ!」
呆れたように一平が言った。
「この大騒ぎのなか、よく寝てられるな」
「え? もう出たの?」
目が覚めた。
ソフィアの隣に行ってみると、なるほど浜辺のほうで、大きな黒い影が動いている。
「大変だわ。2頭もいる」
ソフィアの横顔はすっかり強張っているようだ。
「は? マジ?」
おそるおそる首を出すと、ほんとだ。いた。
白い砂を敷き詰めた浜辺で、2頭の怪獣が戦っている。
どちらも全長30メートルはありそうな巨大生物だ。
しかも、キモい。
怪獣がいるって言ったって、どうせそこらの既存の生物が巨大化したものだろう。
そう高をくくっていた私だったけど、違った。
何あれ?
驚きのあまり、声も出ない。
1頭は、身体はヒキガエルなのに、なぜか頭のところからカマキリの上半身が生えている。
もう1頭は、全身に剛毛の生えたタランチュラ。
でも、普通の蜘蛛と違うのは、その足と足の間に膜みたいなのがあることだ。
しかもびっくりなのは、その膜を広げて空を飛んだりしているところ。
『ちょっとちょっと、なんでいきなり2匹なのよ?」
時ならぬ”南海の大決闘”に腰を抜かしながら、私は誰にともなくつぶやいた。
-ちょっと待ってくださいね。今、調べますからー
答えたのは、頭の中のレベル管理の女神である。
-最近更新したデーターベースの中に、確か怪獣図鑑も入っていたはずですー
「怪獣図鑑?」
-あ、ありました。ガマとカマキリのキメラが、『ガマキラス』、空飛ぶ蜘蛛が、『クモモンガ』。そう書いてありますー
ガマギラスにクモモンガ?
なんて昭和なネーミングセンス!
これは東宝チャンピオン祭りですか!
「属性や弱点は?」
-わかりません。写真と名前しか載ってませんのでー
「なんて役立たずな図鑑なの! 名前なんてわかっても、仕方ないじゃない!」
「何をひとりで騒いでいる?」
そこにラルクのクールな突っ込みが来た。
「翔子、そろそろ初子出撃の準備をしたほうがよさそうだぞ」
まだ朝ご飯も食べていないのに、いきなり嫌なことを言う。
「わ、わかってる。でも、ちょっと待って。今、頭の中の女神さんと、戦略立てるとこだから」
「なるほど。だが、早くしてくれ。昨日のソフィアたちの報告で、敵基地の場所が分かった。きょうはできるだけそこを調べたい」
んもう! 勝手なこと言って!
わたしはふくれた。
まったく、誰が戦うと思ってるのよ?
ピョロピョロピョロ~。
外が騒がしい。
何だろう。
こううるさくては、寝られやしない。
洞窟の隅で寝返りを打つと、
「いつまで寝てるんだよ!」
と、一平に揺り起こされた。
「ん? なに?」
薄目を開ける。
ラルクもソフィアももう起きていて、何やら緊迫した面持ちで、入口から外をのぞいている。
「どうしたの?」
のそのそ這っていくと、
「どうしたのじゃねーよ! 怪獣だよ!」
呆れたように一平が言った。
「この大騒ぎのなか、よく寝てられるな」
「え? もう出たの?」
目が覚めた。
ソフィアの隣に行ってみると、なるほど浜辺のほうで、大きな黒い影が動いている。
「大変だわ。2頭もいる」
ソフィアの横顔はすっかり強張っているようだ。
「は? マジ?」
おそるおそる首を出すと、ほんとだ。いた。
白い砂を敷き詰めた浜辺で、2頭の怪獣が戦っている。
どちらも全長30メートルはありそうな巨大生物だ。
しかも、キモい。
怪獣がいるって言ったって、どうせそこらの既存の生物が巨大化したものだろう。
そう高をくくっていた私だったけど、違った。
何あれ?
驚きのあまり、声も出ない。
1頭は、身体はヒキガエルなのに、なぜか頭のところからカマキリの上半身が生えている。
もう1頭は、全身に剛毛の生えたタランチュラ。
でも、普通の蜘蛛と違うのは、その足と足の間に膜みたいなのがあることだ。
しかもびっくりなのは、その膜を広げて空を飛んだりしているところ。
『ちょっとちょっと、なんでいきなり2匹なのよ?」
時ならぬ”南海の大決闘”に腰を抜かしながら、私は誰にともなくつぶやいた。
-ちょっと待ってくださいね。今、調べますからー
答えたのは、頭の中のレベル管理の女神である。
-最近更新したデーターベースの中に、確か怪獣図鑑も入っていたはずですー
「怪獣図鑑?」
-あ、ありました。ガマとカマキリのキメラが、『ガマキラス』、空飛ぶ蜘蛛が、『クモモンガ』。そう書いてありますー
ガマギラスにクモモンガ?
なんて昭和なネーミングセンス!
これは東宝チャンピオン祭りですか!
「属性や弱点は?」
-わかりません。写真と名前しか載ってませんのでー
「なんて役立たずな図鑑なの! 名前なんてわかっても、仕方ないじゃない!」
「何をひとりで騒いでいる?」
そこにラルクのクールな突っ込みが来た。
「翔子、そろそろ初子出撃の準備をしたほうがよさそうだぞ」
まだ朝ご飯も食べていないのに、いきなり嫌なことを言う。
「わ、わかってる。でも、ちょっと待って。今、頭の中の女神さんと、戦略立てるとこだから」
「なるほど。だが、早くしてくれ。昨日のソフィアたちの報告で、敵基地の場所が分かった。きょうはできるだけそこを調べたい」
んもう! 勝手なこと言って!
わたしはふくれた。
まったく、誰が戦うと思ってるのよ?
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