奇跡の命を貰ったから

涼風星

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第一章

今何年

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1945年(昭和20)
宮川一朗はお国のため特攻隊員として命を落とした。




はずだった。
起きると知らない人がこちらをのぞき込むように見ていた。

「よかった。大丈夫か?気を失ってたみたいだが。友達やご両親は?救急車を呼ぶか?」

知らないおじさんが俺に質問攻めしてきた。

「パパ!たくさん質問したからこの子困ってるじゃん!あなたが海に沈みそうなところパパが助けてくれたの!とりあえずケガとかない?」

この状況を上手く掴めないがとりあえずお礼をいいケガはないと伝えた。
なぜ俺は特攻したはずなのに死んだはずなのに生きてるんだ。
そしてこの人たちの服装はなんだ。
全く今の状況を理解出来ない俺にまた質問をしてきた。

「君のその服装コスプレか何かかな?」

おじさんが俺言ってきた。

コスプレとはなんだ?君たちの服装の方が変だ。
そんなことを思ってると良い匂いがしてきた。
俺の不安とは裏腹にお腹が鳴る。

「よかったら一緒に食べる?」

おじさんのことをパパと呼んでた子がそう言ってくれた。
恥ずかしながら俺は食べると応える。
見たこともない食べ物に感動を覚えた。
これはバーベキューと言うらしい。
お肉を頬張ってるときに改めてお礼と自己紹介をした。
この子は麗奈と言う名前らしい。
友達三人の名前も聞いた。

「あの...」

今度は俺から質問をした。

麗奈たちは何をしているのか
ここはどこなのか
そしてこの場所は危なくないのか
そして今何年なのか

早口で質問をしたせいかみんなが笑い出した。
そして麗奈は一つ一つ応えてくれた。

麗奈たちは毎年夏休み友達とバーベキューをしに近所の海に遊びに来てること
ここは新潟県ってこと
危なくないとはどう言うことなのか逆に質問され
今は2025年と言うこと

「2025年...戦争は?ここは未来なのか?」

俺が混乱しているとおじさんが背中を擦ってくれ落ち着いてと言った。
俺は改めて聞く。

「今何年?」

俺の言葉に麗奈が応える。

「2025年だよ。戦争のない世界。終戦して今年の8月で80年立つよ。日本は負けたの」

日本は負けたの
日本は負けたの
日本は負けたの

頭の中で麗奈の言葉がぐるぐると回る。
戦争は終わったのか。
日本は負けたのか。
俺は悔しくて涙が溢れた。
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