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22. 誘拐
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大沢先生の表情はとても険しく、その目は真剣で私をまっすぐに見つめ問い掛けた。
児童相談所に通報された記録内容……
口にも出したくない。
美奈はやっと解放されたのに。
「……私に言わせるんですか?あの子は散々松井や父親に食い物にされてきたんです!その二人がやっといなくなったのに、なんなんですか!」
「確かに松井には性的に食い物にされてました。松井には」
「何が言いたいんですか?」
「父親からは?武井からはなんと聞いてますか?答えてください」
「……ずっとレイプされていたと。高校に通わせているのは現役の…」
『やっぱ現役JKの制服って興奮するなぁ』
松井の発言だ。
刑事に見せられた、松井に犯されている美奈の映像を思い出した。
美奈は学校を辞められない理由を、父親が制服姿が興奮するからだと言った。
『……これ、私じゃない。アイツが私を犯す時に毎回一本ずつ切っていくの』
美奈は確かにそう言っていた。
映像では松井が……美奈の腕を切っていた。
私はあの時、父親から他に何かされていないか?と聞いたはずだ。
「児童相談所の通報内容は、レイプではなくネグレクトです。戸籍を調べたところ武井輝夫は実の父親ではなかったそうです。彼は、武井美奈が幼少期に親戚中をたらい回しにされていたところを引き取った親戚です」
「で、でも……実の父親でなかったとしても、誰にも言えなかっただけで、本当にレイプされてたかもしれないじゃないですか。実際美奈はそうだって……」
「……現に武井輝夫は同性愛者です。彼は僕と同じ、元ボクサーです。彼の試合によく恋人が来ていましたよ。その恋人はある日事故で亡くなりました。武井の難聴は僕との試合でのリング禍が原因と言われていますが、実際は恋人を失った事による心因性難聴だそうです」
「え?……美奈のお父さん、耳聞こえないんですか?」
「それも聞いてませんでしたか。では、彼女に付けられた傷のきっかけは?」
「え……だから、ま、松井が」
「きっかけです。ある刑事に頼んで初期のビデオをみせてもらいました。レイプを口外しない代わりに彼女は自分の腕を切らせたんです。松井先生が突然ビデオテープを武井輝夫に送った理由はなんだったんでしょう?」
「美奈が退学して、自分から逃げたから……じゃないですか?」
「本当にそう思いますか?彼女が自分で送らせたのだとしたら?」
「やめてください……何が言いたいんですか」
「本当に彼女だけが被害者ですか?」
「え……?」
「僕にはそうは思えません。……何がおかしいのかも判断出来なくなったんですか!長澤先生、あなたは洗脳されてますよ!」
「美奈に……嫉妬してるんですか」
「……長澤先生、よく考えて下さい。本当にこれで最後にします。だから、今からうちに来てください」
「無理です、美奈が……」
「僕の家にいることを伝えてください。真実を聞き出しましょう。でないと、あなたはこのまま本当に戻ってこれなくなりますよ」
大沢先生から聞く、私の知らない美奈の情報。
どうして私に黙ってたの?
お父さんは耳が聞こえなかったの?
私に言わなかった理由は?
父親からも松井からもレイプされ続けて、腕を切り続けていたのは父親じゃなかったの?
ネグレクトって、そんなの聞いてない。
でも、私は美奈を信じたい。
私が守ると決めたから。
「長澤先生が来ないなら、誘拐します」
「何……言ってるんですか?」
「いいから来てください……っ」
腕を強く掴まれ、車に無理矢理乗せられた。
止めてくれと頼んでも今まで見たこともないような怖い形相で、大沢先生は車を飛ばした。
本当に誘拐のような形で自宅に押し込まれ、少し恐怖を感じた。
しかし、私の頭はどこか冷静で大沢先生が突いた美奈の矛盾を解き明かそうとしていた。
大沢先生がこんな嘘を言うわけもない。
美奈を信用したいのに。
信用を確実なものにするためにも……
『今、大沢先生の家にいる。すぐに来て。住所は━━━━』
児童相談所に通報された記録内容……
口にも出したくない。
美奈はやっと解放されたのに。
「……私に言わせるんですか?あの子は散々松井や父親に食い物にされてきたんです!その二人がやっといなくなったのに、なんなんですか!」
「確かに松井には性的に食い物にされてました。松井には」
「何が言いたいんですか?」
「父親からは?武井からはなんと聞いてますか?答えてください」
「……ずっとレイプされていたと。高校に通わせているのは現役の…」
『やっぱ現役JKの制服って興奮するなぁ』
松井の発言だ。
刑事に見せられた、松井に犯されている美奈の映像を思い出した。
美奈は学校を辞められない理由を、父親が制服姿が興奮するからだと言った。
『……これ、私じゃない。アイツが私を犯す時に毎回一本ずつ切っていくの』
美奈は確かにそう言っていた。
映像では松井が……美奈の腕を切っていた。
私はあの時、父親から他に何かされていないか?と聞いたはずだ。
「児童相談所の通報内容は、レイプではなくネグレクトです。戸籍を調べたところ武井輝夫は実の父親ではなかったそうです。彼は、武井美奈が幼少期に親戚中をたらい回しにされていたところを引き取った親戚です」
「で、でも……実の父親でなかったとしても、誰にも言えなかっただけで、本当にレイプされてたかもしれないじゃないですか。実際美奈はそうだって……」
「……現に武井輝夫は同性愛者です。彼は僕と同じ、元ボクサーです。彼の試合によく恋人が来ていましたよ。その恋人はある日事故で亡くなりました。武井の難聴は僕との試合でのリング禍が原因と言われていますが、実際は恋人を失った事による心因性難聴だそうです」
「え?……美奈のお父さん、耳聞こえないんですか?」
「それも聞いてませんでしたか。では、彼女に付けられた傷のきっかけは?」
「え……だから、ま、松井が」
「きっかけです。ある刑事に頼んで初期のビデオをみせてもらいました。レイプを口外しない代わりに彼女は自分の腕を切らせたんです。松井先生が突然ビデオテープを武井輝夫に送った理由はなんだったんでしょう?」
「美奈が退学して、自分から逃げたから……じゃないですか?」
「本当にそう思いますか?彼女が自分で送らせたのだとしたら?」
「やめてください……何が言いたいんですか」
「本当に彼女だけが被害者ですか?」
「え……?」
「僕にはそうは思えません。……何がおかしいのかも判断出来なくなったんですか!長澤先生、あなたは洗脳されてますよ!」
「美奈に……嫉妬してるんですか」
「……長澤先生、よく考えて下さい。本当にこれで最後にします。だから、今からうちに来てください」
「無理です、美奈が……」
「僕の家にいることを伝えてください。真実を聞き出しましょう。でないと、あなたはこのまま本当に戻ってこれなくなりますよ」
大沢先生から聞く、私の知らない美奈の情報。
どうして私に黙ってたの?
お父さんは耳が聞こえなかったの?
私に言わなかった理由は?
父親からも松井からもレイプされ続けて、腕を切り続けていたのは父親じゃなかったの?
ネグレクトって、そんなの聞いてない。
でも、私は美奈を信じたい。
私が守ると決めたから。
「長澤先生が来ないなら、誘拐します」
「何……言ってるんですか?」
「いいから来てください……っ」
腕を強く掴まれ、車に無理矢理乗せられた。
止めてくれと頼んでも今まで見たこともないような怖い形相で、大沢先生は車を飛ばした。
本当に誘拐のような形で自宅に押し込まれ、少し恐怖を感じた。
しかし、私の頭はどこか冷静で大沢先生が突いた美奈の矛盾を解き明かそうとしていた。
大沢先生がこんな嘘を言うわけもない。
美奈を信用したいのに。
信用を確実なものにするためにも……
『今、大沢先生の家にいる。すぐに来て。住所は━━━━』
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