打ち上がれ、恋。

高校3年生 文化祭 1

明日からいよいよ文化祭が始まる。

私が通っている九州北部学園（地元のみんなは九北と略してる）は、
文化祭の模擬店はクラス単位ではなく部活動単位で行われる。
その上、クラス単位で、模擬店の収益を募金する先を決める
プレゼンの準備が行われるので非常に忙しい。

ただ、毎年めちゃくちゃ盛り上がるしみんな本気で取り組む。
私は行事が好きだから、この学校のそういうところを本当に気に入っている。
みんなが本気で取り組む理由の一つには学校からのプレゼントがあるのだろうけど。
1番、売り上げた模擬店は何か部活動に使う道具を何でも1種類買ってもらえるし
寄付先に選ばれたプレゼンをしたクラスには学食1ヶ月無料券がクラス全員に配布される。

私が所属する女子ソフトテニス部は毎年、焼きそばと決まっている。
ただ、今年はなかなか準備が進まない。
安定のソース味派と捨てがたい塩派が争っているからだ。
部長は「おたふく」と書いたハチマキを巻いているし
副部長は「塩が正義」と書いたハチマキを巻いている。

そしてほかの部員はそれぞれ気に入っている方の
ハチマキを巻き、戦闘態勢でお互いに牽制し合う


でもなく冷ややかな目で二人を見守っていた。

「桜子、止めてきー…」
「えー。絶対にハチマキ強要してくるけん。星ヒカリ巻きたい？」
「それはマジで勘弁してほしい」
「でももうしゃーなしだわ。ちょっとまとめてくるわ」

私はおもむろに二つのハチマキを繋げてタスキにした。