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7.王国から共和国へ

貴族様と親睦会

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僕は気合を入れていた。前世の料理が通用するのかと。ここにきて生産チート?と。

・・・残念ながらそれはなかった。

地球の世界の記憶を持ったままこの世界に来た人が、絶対にいると。

元々井戸があった。ポンプがあった。
風呂があった。木を燃やしお湯を温めていた。
下水道のようなものがあった。スライムを使っていた。
米があった。懐かしくならないうちに食べることが出来た。

そんな中で料理無双は・・・。無理だ。

僕は宿屋わかばのおかみさんに助けを求めた。
「ラウール君と付き合いは短いですけど、フエフート伯爵に料理を出し、うなられた宿屋の料理人と言うのも宣伝効果があるかも・・・。料理人の紹介は、料理の評価が良かった時でよいかしら。料理が不評であれば、ラウール君が不利益をすべて受けてくれるのであれば、そのお願いを聞きます。私たちもさすがにリスクが大きいので・・。ごめんなさいね。」

そうおかみさんは言ってくれた。
けれども僕は自分の責任になることはまったく気にしていなかった。なぜなら、不評であれば、全て自分の責任として、一緒に移動することを相手から断ってくれるから。権力は怖いけど、僕1人ならいくらでも逃げることが出来ると。だから、引き受けてくれるだけありがたい。ここの料理はおいしいから。このおいしさを共有できない人とは1か月もの間、一緒に移動できないと。

「大丈夫ですよおかみさん。ここの料理はおいしいですから。もしだめなら、僕1人の責任ですましますから。」

そう説得し、ダンさんを【希望の家】に連れて行くのであった。

~~~~~~~~

【希望の家】は大忙しだった。料理を作り、会場を作り、飲みものを買いに行き・・・。

貴族向け、庶民向けの物を準備して、どちらも口にしてもらう予定だ。

相手も僕を試すだろうけど、僕も相手を試すのだ。

そうやって忙しくして準備をして、準備が出来そうなとき、希望の家の門をたたく者がいた。

「おーい、ラウール。俺が来たぞ。カシマス、入っていいかー!」
そう、門の方から聞こえてきた。

おいおい、予定より早いぞ。人の家を訪ねる時は、準備があるから少し遅れていくのがマナーではないのかこの世界は?そして、カシマスさん・・。早いよ対応。貴族はそこまでの存在なんだな。

「クロース様。いらっしゃいませ。僕の家ではないのですが、歓迎いたします。」

「クロースでいい。」

はっ!ハードルを上げやがったこの貴族!

「いえいえ、貴族のクロース様を呼び捨てなど・・。庶民には無理でございます。」

そこから壮絶な争いが始まった。絶対に呼び捨てにさせたいクロース。
絶対にそこまで気安くしたくないラウール。
今世で一番と言えるほどの緊張感を持ち戦っていた。

しかし、そこは庶民・・・。押し負けてしまった。

「せめてクロースさんでお願いします。それ以上は無理です・・・。」

ニヤッとしたクロースは、
「わかった。それくらいでいい。でもなラウール、俺は貴族の子と言っても3男だ。貴族の子は跡取りは、親と同じ位となる。しかし、3男程度であれば、良くても貴族の端くれ程度になるくらいだ。俺は、貴族でなくてもいいと思っている。ただ、父の役にも立ちたいから、立場を利用して、共和国を学びたいと思っている。」

意外に考えているな・・・。とラウールが考えていると、

「だからラウール。俺と一緒に世界を回り、俺の父のために働く気はないか?」

マタボクハキョヲツカレタ。

「いえ、僕は自由に旅をしたいと考えています。クロースさんと依頼の後も旅をすることは考えていません。また僕がいる場所で依頼を頂けたら、依頼は優先的に受けることは可能ですが・・・」

少し考えるそぶりを見せたクロースだが、
「今はそれでいい。まずは、隣の国までの道のりの護衛依頼をよろしく頼む。」
そう言って、頭を下げた。

その後はダンさんの料理を食べて、酒を飲める者は飲んで、酔いつぶれていた。

夜も更けたが、クロースは帰ることなく、結局は希望の家にみんなで泊まることになるのであった。

「「意外に気が合うな・・。」」
そう呟いているものがいた。
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