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2章 ガーディアン襲撃編
25話 成長
しおりを挟むどれくらい経ったのだろうか、
俺の身体のあちこちには血が滲み、切り傷だらけになっている。
バンダナ男のフェイントが盛り込まれた変幻自在の攻めに対処できず、俺の攻撃は全て避けられ、往なされる。
「おいおい、勢いが良かったのは最初だけかぁっ!」
「うっー」
バンダナ男の回し蹴りが胴に入り、吹き飛ばされ壁に激突。
全身が痛い、口の中に血の味がする。
圧倒的な技量の差。
おそらく速度や力など身体能力面では俺の方が上。だが勝てない。
絶対絶命、"死"という文字が脳裏に浮かぶ
《ヤバイ時のススメ》
あれ?最強への道の内容が走馬灯のように
・敵が自分より強い時
《うーん、その場合は逃げろだ。だが逃げれない状況というのもよくある。その場合は簡単強くなればいい》
はぁ?どうやって!
《死ぬ気で学べ、技術を盗め。出来なければ死ぬ。》
だからどうやって!ほんとむちゃくちゃだ…
だが、その道を選んだのは俺だ。
「何笑ってやがる!気持ち悪い」
そうか俺は笑っているか……
いい具合に狂ってきたようだな
「……まずは視る」
全神経を視ることに集中。
「おら!おら!おらよっ!反撃もできねぇってか!」
俺は攻撃を諦めた。
全ての攻撃を躱し、無理なものはナイフで受け止める。
フェイントが読めないなら、全ての攻撃に反応するまでだ。
バンダナ男の巧みなフェイントと鋭い斬撃を必死で防ぎ続ける。
「くそっ!しつけぇな!」
バンダナな男はイラつきを露わに攻撃してくる。
「おいおい、さっさと仕留めろよ」
「もう十分遊んだろー」
「分かってる。外野は黙ってろ!」
必死で防御している時、直感が警鐘を鳴らした。
俺は直感に従い、ナイフを構える。
衝撃がナイフをつたって腕に痺れがはしる。
あのスキルによる飛ぶ斬撃だ。
どうやら男は倒せない俺にイラついて攻撃にスキルによる斬撃を混ぜてきたらしい。かなり厄介だ。
ーーだが耐える。
そして視る。敵の動きを、視線を、全てを
そして
学び、盗み、自らの"糧"にする。
「しぶてぇ!しぶてぇなぁっ!はぁ、はぁ、はぁ」
バンダナ男の攻撃が荒くなっている。
キレも当初に比べると落ちてきている。
どうやら攻め疲れたようだな
「おいおい、タクマの野郎バテてないか?」
「さっきからまともに攻撃が当たってなくないか?」
「おいおい、しっかりしろよ!」
外野の賊達の声がうるさくなる。
「うっせぇ!黙ってろっ!」
怒声と共に俺へと放たれる不視の斬撃
だが
「もう読み切った!」
バンダナ男の動きから斬撃の軌道を読み、少し角度をつけて構えたナイフを合わせる。すると
「なっ!弾かれた!」
上手くいったようだ。
斬撃が俺の斜め後方の壁にぶつかり、壁に斬撃痕がつく。
"攻撃を往なす。"
バンダナ男の防御の技を自分なりに応用してみた。
「ムカつくなぁ……俺の攻撃を防げるになったくらいで!ど素人が調子に乗るんじゃねぇよ!」
怒りながら俺に斬りかかってくる。
フェイントも織り交ぜているが、もう惑わされることは無い。
視線や呼吸、動きの癖、敵の動きを読む。
これは斬撃と見せかけての突きだな
俺はバンダナ男の短刀をナイフで往なすように弾き、体勢を崩させる。
既に男の重心は突きの方向にズレている。
もはや制御できない状態だろう
「感謝する。いい訓練になった」
無防備に眼前に晒された背中より心臓を一突き
「グフゥヴッ!」
バンダナ男は口から血を吹き出し絶命した。
外野の刺青野郎達も言葉を失っている。
「次はお前らだ…」
俺はナイフの先を刺青野郎共に向ける。
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