12 / 38
第三章 内なる葛藤
第12話 対話 dialogue (挿絵あり)
しおりを挟む
「テオくん。着いたわよ」
クッションを抱いていた腕の袖口を引っ張って言われた。どうやら眠りこけてしまったらしい。空回りさせている自動車の駆動音と振動が心地よくて、目を開けても少しの間ぼんやりしてしまった。レヴィ氏は急かすわけでもなくて、今は鼻歌を歌っていない。
「あのねえ、テオくん。お兄さんのこと、好き?」
その一言で、すっと眠気が引いた。レヴィ氏は前を向いていて、暗い中を照らしているガス燈の灯りあたりを見ていた。僕はちらりと、路駐された自動車の中から家の方を見る。玄関先に、オリヴィエ兄さんが立っていた。表情は見えなかった。
「――好きですよ」
修飾の必要がない言葉だったから、そのままを口にした。レヴィ氏は室内後写鏡の中から僕へ視線を送ってきた。それに僕は返したけど、ちょっとだけ笑顔の彼の次の言葉には、どう修飾しようか、って思った。
「どっちのお兄さんも?」
……だれかと話すことは、禁止だと思っていた。だからだれにも言えなかったし、聞けなかったし、話せなかった。レヴィ氏は悠々とその壁を越えて来て、僕にブリアック兄さんのことを語らせようとする。本当は飾らなくていいはずの言葉なのに、そうじゃない。僕は後写鏡の中のレヴィ氏も、玄関先で佇んでいるオリヴィエ兄さんも見れずに、ガス燈の灯りを見た。
「――はい」
嘘を述べることもできたけど、それは、飾ることではなく穢すことだと思ったんだ。だから聞き逃してもらえるような短い返事で済ませた。安全帯を外して、降車する。
「テオくん。――それを、お兄さんと話すといいわ。きっと……あなたと話したいと思っている」
僕が扉を閉めるときに、柔らかな笑顔のままレヴィ氏は言った。なにもかも見透かされているような気がした。僕は返事をしなかった。
気がついたらオリヴィエ兄さんが近くに来ていた。レヴィ氏は前照灯を点滅させてから発進した。暗闇の中に自動車の姿が消えて行ったあたりで、オリヴィエ兄さんが「家へ入ろう。もう、夜は冷えるから」と言った。僕はうなずく。
カミーユはもう帰宅したみたいだった。いちおう、この家に住み込みっていうわけではなくて、斜向かいのアパルトメントから通って来ているんだ。不便じゃないかな、と思ったけど、ソノコにとってもカミーユにとっても、それくらいの距離感がちょうどいいらしい。
居間へ行ったらソノコがなぜか緊張して挙動不審気味に「おっおかえりなさい!」と言った。そして台所へと走って行って、ちょっとしてから温めたミルクをふたつ持ってきて、居間のテーブルへ着いた僕と兄さんの前へ置く。ここ最近、ソノコは『エリオじいさん』っていう商標の乳製品にはまってるんだ。僕たちボーヴォワール家グラス侯爵の陪臣にあたる、エリオ子爵っていう牧畜家が生産しているんだけど。ミルクは日持ちしないからこまめに買いに行ってるっぽいのは知ってた。
「ああああああ、あの、あとは、お若い二人で!」
盛大に視線をあちこちにやって、なんかよくわかんないセリフを言って、ソノコはすごい速さで部屋を出ていった。階段を駆け上がって行く音が聞こえる。僕はあっけにとられた。兄さんよりソノコのが若くない?
オリヴィエ兄さんは、ここ二カ月近くでソノコの挙動不審言動には慣れたんだろう。高級茶を嗜むみたいにミルクを飲んでいた。僕は両手で器を持って、指先を温めた。
さっき、レヴィ氏に言われたことを僕の中で反芻する。どっちの兄さんも好きかってこと。そりゃあ、僕はそれに対して否定の言葉を出すことなんてできない。
オリヴィエ兄さんは「美味いな」とつぶやいた。僕も口に運んで「あったかいね」と言った。
オリヴィエ兄さんは、僕を溺愛してくれていると思う。昨年、内戦状態へ陥ったマディア公爵領に居た僕のところへ、公人でありながら理由をこじつけたり強行突破したりで迎えに来てくれたことは、強烈に記憶に残っている。腕木信号で、たくさん通信のやりとりもした。だから、オリヴィエ兄さんが僕を大切に思ってくれていることや、僕がそれをうれしく思うことは本当のことだった。
でも結局……オリヴィエ兄さんが来たことで、ブリアック兄さんの国家への離反が明らかになってしまった。……僕は、ブリアック兄さんに、会うことすらできなかった。ただ、すべてが終わったときに、終わったと告げられただけ。
あのとき、僕はなにもできなかった。僕の知らないところで、なにかがずっと動いているのは気づいていたし、置かれた状況下でちゃんと正確な情報を得ようと努力もしていた。オリヴィエ兄さんはなにも言わなかったけれど、ときどき、全権公使のミュラさんが、見かねたように僕の手の届くところへ書類を落としてくれていた。
僕は、なにもできなかった。でも、あのときブリアック兄さんに会えていたら、説得とかできたのかな。聞いてもらえなかったかな。どうかな。
いろいろ考える。でも、結果も結論もひとつだけ。
僕は、なにもできなかった。
ふっとミルクから目を上げたら、オリヴィエ兄さんが僕を見ていた。ブリアック兄さんと同じ、紫の瞳で。違うのはメガネをかけていることと、髪色くらい。昔から双子みたいだって言われていたって聞いた。
オリヴィエ兄さんはその、ブリアック兄さんそっくりな声で、でも違う抑揚でしゃべる。似ているのは見た目だけで、中身はまるで正反対な二人だったから。
長兄であるブリアック兄さんは、ボーヴォワール家を継ぐことが決まっていたから、伝統の剣術をしっかり学んで身に着けていた。もちろんオリヴィエ兄さんも僕も、型通り一辺倒なことはできる。でもそれだけなんだ。
ブリアック兄さんは、きっと剣術に関して言うなら、一流の人だったと思う。それで軍属になってからめきめきと出世して行ったし。でも、素行が悪くて打ち止めになったってことも聞いてる。たしかに、僕には言えないような遊びもしていたらしい気配はずっと感じていた。
「――なにを考えている? テオ」
僕はちょっと考えて、それから「さっき、レヴィ氏に言われたこと」と答えた。なにを言われたのか聞かれたから、そのまま「オリヴィエ兄さんと話すようにって言われた」って言った。肝心なところは、口にできない。
「なにについて?」
深堀りしてくるから、僕は逃げ場がなくなる。ミルクはまだ温かい。寝ぼけたアシモフが寝床で「ぉおう」と人間みたいな声をあげた。オリヴィエ兄さんは、息を詰めて僕の言葉を待っている。
「……僕が、オリヴィエ兄さんも、ブリアック兄さんも好きだってこと」
言ってしまったら、泣きたくなった。泣けなかった。
オリヴィエ兄さんは、ちょっと言葉を選ぶように息を呑んで、そして「私もだよ、テオ」と言った。
泣きたくなった。泣けなかった。
「愛しているよ。ブリアックを。……今でも。ずっと」
そのあと、少しずつ二人で話した。演説も講演会もずっとこなしているオリヴィエ兄さんなのに、まるで言葉を覚えたばかりの子どもみたいに、少しずつ。
僕は、どちらの兄さんにも似ていないと思う。でも、どちらの兄さんにもそっくりだとも思う。いつだって、すぐに思い出せる。兄さんたちとグラス侯爵領で過ごした小さいころのこと。胸がぎゅっとつかまれたみたいになる。
ブリアック兄さんには、怒られるようないたずらをたくさん教わって、たくさんいっしょに怒られた。
オリヴィエ兄さんには、怒られるようなことはしちゃいけないって教わって、たくさんいっしょに謝った。
どっちの兄さんも大好きなんだ。いなくなってほしくなかったんだ。二人とも僕の兄なんだ。いなくなってほしくなかった。
「――おまえを愛するように、愛しているよ。ブリアックを」
泣きたくなった。泣けなかった。
ミルクは、まだ冷めない。
クッションを抱いていた腕の袖口を引っ張って言われた。どうやら眠りこけてしまったらしい。空回りさせている自動車の駆動音と振動が心地よくて、目を開けても少しの間ぼんやりしてしまった。レヴィ氏は急かすわけでもなくて、今は鼻歌を歌っていない。
「あのねえ、テオくん。お兄さんのこと、好き?」
その一言で、すっと眠気が引いた。レヴィ氏は前を向いていて、暗い中を照らしているガス燈の灯りあたりを見ていた。僕はちらりと、路駐された自動車の中から家の方を見る。玄関先に、オリヴィエ兄さんが立っていた。表情は見えなかった。
「――好きですよ」
修飾の必要がない言葉だったから、そのままを口にした。レヴィ氏は室内後写鏡の中から僕へ視線を送ってきた。それに僕は返したけど、ちょっとだけ笑顔の彼の次の言葉には、どう修飾しようか、って思った。
「どっちのお兄さんも?」
……だれかと話すことは、禁止だと思っていた。だからだれにも言えなかったし、聞けなかったし、話せなかった。レヴィ氏は悠々とその壁を越えて来て、僕にブリアック兄さんのことを語らせようとする。本当は飾らなくていいはずの言葉なのに、そうじゃない。僕は後写鏡の中のレヴィ氏も、玄関先で佇んでいるオリヴィエ兄さんも見れずに、ガス燈の灯りを見た。
「――はい」
嘘を述べることもできたけど、それは、飾ることではなく穢すことだと思ったんだ。だから聞き逃してもらえるような短い返事で済ませた。安全帯を外して、降車する。
「テオくん。――それを、お兄さんと話すといいわ。きっと……あなたと話したいと思っている」
僕が扉を閉めるときに、柔らかな笑顔のままレヴィ氏は言った。なにもかも見透かされているような気がした。僕は返事をしなかった。
気がついたらオリヴィエ兄さんが近くに来ていた。レヴィ氏は前照灯を点滅させてから発進した。暗闇の中に自動車の姿が消えて行ったあたりで、オリヴィエ兄さんが「家へ入ろう。もう、夜は冷えるから」と言った。僕はうなずく。
カミーユはもう帰宅したみたいだった。いちおう、この家に住み込みっていうわけではなくて、斜向かいのアパルトメントから通って来ているんだ。不便じゃないかな、と思ったけど、ソノコにとってもカミーユにとっても、それくらいの距離感がちょうどいいらしい。
居間へ行ったらソノコがなぜか緊張して挙動不審気味に「おっおかえりなさい!」と言った。そして台所へと走って行って、ちょっとしてから温めたミルクをふたつ持ってきて、居間のテーブルへ着いた僕と兄さんの前へ置く。ここ最近、ソノコは『エリオじいさん』っていう商標の乳製品にはまってるんだ。僕たちボーヴォワール家グラス侯爵の陪臣にあたる、エリオ子爵っていう牧畜家が生産しているんだけど。ミルクは日持ちしないからこまめに買いに行ってるっぽいのは知ってた。
「ああああああ、あの、あとは、お若い二人で!」
盛大に視線をあちこちにやって、なんかよくわかんないセリフを言って、ソノコはすごい速さで部屋を出ていった。階段を駆け上がって行く音が聞こえる。僕はあっけにとられた。兄さんよりソノコのが若くない?
オリヴィエ兄さんは、ここ二カ月近くでソノコの挙動不審言動には慣れたんだろう。高級茶を嗜むみたいにミルクを飲んでいた。僕は両手で器を持って、指先を温めた。
さっき、レヴィ氏に言われたことを僕の中で反芻する。どっちの兄さんも好きかってこと。そりゃあ、僕はそれに対して否定の言葉を出すことなんてできない。
オリヴィエ兄さんは「美味いな」とつぶやいた。僕も口に運んで「あったかいね」と言った。
オリヴィエ兄さんは、僕を溺愛してくれていると思う。昨年、内戦状態へ陥ったマディア公爵領に居た僕のところへ、公人でありながら理由をこじつけたり強行突破したりで迎えに来てくれたことは、強烈に記憶に残っている。腕木信号で、たくさん通信のやりとりもした。だから、オリヴィエ兄さんが僕を大切に思ってくれていることや、僕がそれをうれしく思うことは本当のことだった。
でも結局……オリヴィエ兄さんが来たことで、ブリアック兄さんの国家への離反が明らかになってしまった。……僕は、ブリアック兄さんに、会うことすらできなかった。ただ、すべてが終わったときに、終わったと告げられただけ。
あのとき、僕はなにもできなかった。僕の知らないところで、なにかがずっと動いているのは気づいていたし、置かれた状況下でちゃんと正確な情報を得ようと努力もしていた。オリヴィエ兄さんはなにも言わなかったけれど、ときどき、全権公使のミュラさんが、見かねたように僕の手の届くところへ書類を落としてくれていた。
僕は、なにもできなかった。でも、あのときブリアック兄さんに会えていたら、説得とかできたのかな。聞いてもらえなかったかな。どうかな。
いろいろ考える。でも、結果も結論もひとつだけ。
僕は、なにもできなかった。
ふっとミルクから目を上げたら、オリヴィエ兄さんが僕を見ていた。ブリアック兄さんと同じ、紫の瞳で。違うのはメガネをかけていることと、髪色くらい。昔から双子みたいだって言われていたって聞いた。
オリヴィエ兄さんはその、ブリアック兄さんそっくりな声で、でも違う抑揚でしゃべる。似ているのは見た目だけで、中身はまるで正反対な二人だったから。
長兄であるブリアック兄さんは、ボーヴォワール家を継ぐことが決まっていたから、伝統の剣術をしっかり学んで身に着けていた。もちろんオリヴィエ兄さんも僕も、型通り一辺倒なことはできる。でもそれだけなんだ。
ブリアック兄さんは、きっと剣術に関して言うなら、一流の人だったと思う。それで軍属になってからめきめきと出世して行ったし。でも、素行が悪くて打ち止めになったってことも聞いてる。たしかに、僕には言えないような遊びもしていたらしい気配はずっと感じていた。
「――なにを考えている? テオ」
僕はちょっと考えて、それから「さっき、レヴィ氏に言われたこと」と答えた。なにを言われたのか聞かれたから、そのまま「オリヴィエ兄さんと話すようにって言われた」って言った。肝心なところは、口にできない。
「なにについて?」
深堀りしてくるから、僕は逃げ場がなくなる。ミルクはまだ温かい。寝ぼけたアシモフが寝床で「ぉおう」と人間みたいな声をあげた。オリヴィエ兄さんは、息を詰めて僕の言葉を待っている。
「……僕が、オリヴィエ兄さんも、ブリアック兄さんも好きだってこと」
言ってしまったら、泣きたくなった。泣けなかった。
オリヴィエ兄さんは、ちょっと言葉を選ぶように息を呑んで、そして「私もだよ、テオ」と言った。
泣きたくなった。泣けなかった。
「愛しているよ。ブリアックを。……今でも。ずっと」
そのあと、少しずつ二人で話した。演説も講演会もずっとこなしているオリヴィエ兄さんなのに、まるで言葉を覚えたばかりの子どもみたいに、少しずつ。
僕は、どちらの兄さんにも似ていないと思う。でも、どちらの兄さんにもそっくりだとも思う。いつだって、すぐに思い出せる。兄さんたちとグラス侯爵領で過ごした小さいころのこと。胸がぎゅっとつかまれたみたいになる。
ブリアック兄さんには、怒られるようないたずらをたくさん教わって、たくさんいっしょに怒られた。
オリヴィエ兄さんには、怒られるようなことはしちゃいけないって教わって、たくさんいっしょに謝った。
どっちの兄さんも大好きなんだ。いなくなってほしくなかったんだ。二人とも僕の兄なんだ。いなくなってほしくなかった。
「――おまえを愛するように、愛しているよ。ブリアックを」
泣きたくなった。泣けなかった。
ミルクは、まだ冷めない。
13
あなたにおすすめの小説
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
思いを込めてあなたに贈る
あんど もあ
ファンタジー
ファナの母が亡くなった二ヶ月後に、父は新しい妻とその妻との間に生まれた赤ん坊を家に連れて来た。義母は、お前はもうこの家の後継者では無いと母から受け継いだ家宝のネックレスを奪うが、そのネックレスは……。
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
