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1 プロローグ
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私はクロエ・シリウス。今年で15歳になります。
武門で名を馳せるシリウス男爵家で生まれましたが、母が使用人上がりの妾腹で、母は私を産んだ時に正妻に家を追い出されたそうです。
流石にバツが悪かったのか、お父様が僅かながら支援をしてくれたのと、母は働き者だったので生活に困ることは無く、母と二人でそれなりに幸せに暮らしていました。
しかし、母は私が12歳の時に亡くなってしまいました。長年の無理のせいか、あまり食べていなかったのかわかりませんでしたが、身体が弱っていたらしく、風邪を拗らせて肺を病んでしまったようです。
母は自分が死んだら私が成人するまではシリウス男爵家で私を育てて欲しいとお父様に伝えてしたらしく、母を失った悲しみが癒える間も無く、私は遺言通りに何も知らない貴族の家に引き取られました。
そこが伏魔殿であると知らずに。
断れない話だったので仕方ありませんが、母を追い出した正妻は未だに健在で、お父様の仕送りやお忍び遊びのことも知っていましたし、私の母への敵意は衰えていませんでした。
お義母様にはお父様との間に3人の娘がいます。長女のグレース、次女のレイラ、三女のルーナです。
お義母様とお姉様方は露骨に私に嫌がらせをしてきました。
まず私には令嬢としてではなく使用人の部屋を与えられ、使用人としてこき使われる毎日が待っていました。
仕事をする母の代わりに家事していた為、家事全般は得意だった私がすんなりこなして見せると、私の仕事ぶりにケチをつけ始めたり邪魔をしては、私を叱責するようになりました。
特にお義母様やグレースお姉様は手まで上げてくるので辛かったです。
お父様は仕事でほとんど家におらず、休みのはずの日もほとんど見かけません。私の母のことで懲りて、外に女を作って通っているのだともっぱらの噂でした。
最近は普通に仕事をしていればあまり絡まれることは無くなっていました。私も感情を殺す術を身につけたので、飽きて面白く無くなってしまったのでしょう。
そんなある日、良くも悪くも状況が一転する出来事が起きました。
シリウス男爵家が仕えるプロキオン大公国で古代遺跡が見つかり、大公様が私財を投じて発掘隊を派遣したところ、そこから大量の金銀財宝が見つかったのです。
そんな報告に国中が沸き立つ中、街では奇妙なことが起き始めました。
墓場から死体が起き上がって歩くようになったり、眠った人が起きなくなるという原因不明の病が流行り出したのです。
焦った大公様は城の学者に遺跡の調査を命じました。すると、金銀財宝があった場所は祭壇になっていることが分かり、発掘隊により壊された祭壇の奥の扉には、くすんだ血の色をした文字で「この祭壇を荒らす者に災いあれ」と書かれていました。
その奥には地下に続く階段があり、そこに踏み込んだ調査員達は帰って来ませんでした。
救出に向かった兵士から階段の奥には迷宮が広がっていると報告がありました。その兵士達も大変な目にあって逃げ帰って来たようです。
原因不明の病で大公様の長男である公子様が倒れた時、大公様は国中の貴族にお触れを出しました。
『迷宮の謎を解き明かし公子を救った者には、莫大な謝礼と令嬢に公子との婚約を約束する』
これに多くの貴族が呼応しました。シリウス男爵家も例外ではありません。
多くの貴族が代理人を立てて迷宮に向かわせる中、資金的には余裕の無いシリウス男爵家では、武門の娘として腕に自身のあるお姉様達が自ら迷宮に挑戦すると言い出しました。
そして自分達だけで行けばいいのに、私も巻き込んできました。私には回復役をやれと言うのです。
どうせ無理とは思いますし、万が一にも目的を達成したとしても私には何の恩恵も分け与えられないのは目に見えていましたが、来なければ15歳になり成人した私を家に置く理由が無いなどと言われては応じるしかありませんでした。
武門で名を馳せるシリウス男爵家で生まれましたが、母が使用人上がりの妾腹で、母は私を産んだ時に正妻に家を追い出されたそうです。
流石にバツが悪かったのか、お父様が僅かながら支援をしてくれたのと、母は働き者だったので生活に困ることは無く、母と二人でそれなりに幸せに暮らしていました。
しかし、母は私が12歳の時に亡くなってしまいました。長年の無理のせいか、あまり食べていなかったのかわかりませんでしたが、身体が弱っていたらしく、風邪を拗らせて肺を病んでしまったようです。
母は自分が死んだら私が成人するまではシリウス男爵家で私を育てて欲しいとお父様に伝えてしたらしく、母を失った悲しみが癒える間も無く、私は遺言通りに何も知らない貴族の家に引き取られました。
そこが伏魔殿であると知らずに。
断れない話だったので仕方ありませんが、母を追い出した正妻は未だに健在で、お父様の仕送りやお忍び遊びのことも知っていましたし、私の母への敵意は衰えていませんでした。
お義母様にはお父様との間に3人の娘がいます。長女のグレース、次女のレイラ、三女のルーナです。
お義母様とお姉様方は露骨に私に嫌がらせをしてきました。
まず私には令嬢としてではなく使用人の部屋を与えられ、使用人としてこき使われる毎日が待っていました。
仕事をする母の代わりに家事していた為、家事全般は得意だった私がすんなりこなして見せると、私の仕事ぶりにケチをつけ始めたり邪魔をしては、私を叱責するようになりました。
特にお義母様やグレースお姉様は手まで上げてくるので辛かったです。
お父様は仕事でほとんど家におらず、休みのはずの日もほとんど見かけません。私の母のことで懲りて、外に女を作って通っているのだともっぱらの噂でした。
最近は普通に仕事をしていればあまり絡まれることは無くなっていました。私も感情を殺す術を身につけたので、飽きて面白く無くなってしまったのでしょう。
そんなある日、良くも悪くも状況が一転する出来事が起きました。
シリウス男爵家が仕えるプロキオン大公国で古代遺跡が見つかり、大公様が私財を投じて発掘隊を派遣したところ、そこから大量の金銀財宝が見つかったのです。
そんな報告に国中が沸き立つ中、街では奇妙なことが起き始めました。
墓場から死体が起き上がって歩くようになったり、眠った人が起きなくなるという原因不明の病が流行り出したのです。
焦った大公様は城の学者に遺跡の調査を命じました。すると、金銀財宝があった場所は祭壇になっていることが分かり、発掘隊により壊された祭壇の奥の扉には、くすんだ血の色をした文字で「この祭壇を荒らす者に災いあれ」と書かれていました。
その奥には地下に続く階段があり、そこに踏み込んだ調査員達は帰って来ませんでした。
救出に向かった兵士から階段の奥には迷宮が広がっていると報告がありました。その兵士達も大変な目にあって逃げ帰って来たようです。
原因不明の病で大公様の長男である公子様が倒れた時、大公様は国中の貴族にお触れを出しました。
『迷宮の謎を解き明かし公子を救った者には、莫大な謝礼と令嬢に公子との婚約を約束する』
これに多くの貴族が呼応しました。シリウス男爵家も例外ではありません。
多くの貴族が代理人を立てて迷宮に向かわせる中、資金的には余裕の無いシリウス男爵家では、武門の娘として腕に自身のあるお姉様達が自ら迷宮に挑戦すると言い出しました。
そして自分達だけで行けばいいのに、私も巻き込んできました。私には回復役をやれと言うのです。
どうせ無理とは思いますし、万が一にも目的を達成したとしても私には何の恩恵も分け与えられないのは目に見えていましたが、来なければ15歳になり成人した私を家に置く理由が無いなどと言われては応じるしかありませんでした。
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