捨て猫少佐と子猫とオッサン

丸井まー(旧:まー)

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4:捨て猫少佐の後悔と奮闘

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スウィードはアンリを連れて、フリッツの店を目指して歩いていた。


アンリを1人で育て、何よりも大事にすると決めた後、リリア・ナダル夫婦に詳しく話を聞いた。マリアとアンリのことを。
マリアは産後、老夫婦に手伝ってもらいながら、必死で毎日アンリの相手をしていた。獣人の子供の育て方など知らなかったマリアは、妊娠中から育児書を読んだり、自分達の子供はいないがスウィードに幼い頃から仕えている老夫婦の経験談を聞いて、なんとかアンリを育てていた。アンリは産まれた頃から気難しい、手のかかる子で、ミルクを中々飲まず、時間をかけてやっと飲ませてもすぐに吐き出していたそうだ。泣いて暴れるアンリを宥めようとマリアが抱っこする度に、マリアはアンリの爪や牙で傷ついていた。アンリは風呂も嫌がり、毎回マリアは嫌がって全力で暴れるアンリに傷つけられながら、それでもなんとか風呂に入れていた。マリアの身体には引っ掻き傷や噛み傷、力の強いアンリに殴られた痣が沢山あった。特に生後2年間は兎に角アンリから目が離せず、アンリは夜泣きもよくしていたので、マリアはろくに眠ることもできていなかった。
マリアはずっと疲れてイライラして、そのうちアンリに暴言を吐くようになった。酷い言葉をアンリに吐き捨て、その後でハッとしたように青ざめ、泣きながらアンリに謝るということを繰り返していたそうだ。完全にノイローゼになっていたのだろう。
『何で獣人なんかと結婚したんだろう。こんな筈じゃなかった』
マリアはリリアにたまにそう溢すことがあったそうだ。
マリアはスウィードに離婚届けを叩きつける前の約半年間は、毎日のようにアンリを叩いたり、『お前なんか産まなければよかった』『お前なんか消えてしまえ』『お前がいるから私はこんなに醜い人間になってしまった』『こんな筈じゃなかったのに』と泣きながらアンリに向かって怒鳴っていたそうだ。老夫婦はそんなマリアを宥め、疲れきって傷ついてノイローゼになっているマリアを少しでも休ませようと必死になっていたが、マリアはもう限界だった。
マリアに離婚を勧めたのは老夫婦だった。マリアは本当はとても優しい雌だ。スウィードと結婚して老夫婦も住み込んでいる家で暮らすようになってから、年老いている2人をよく気遣い、一緒に家事をしたり、美味しいお菓子を買ってくると、いつも紅茶を淹れて2人と一緒に食べていた。腰を痛めているナダルのために評判のいい医者や湿布薬を調べてきたり、老眼で目が見えにくくなってきたリリアの代わりに針仕事をやったり。子供ができた時のために、猫獣人のことをもっと理解しないといけないから、と猫獣人である2人によく話を聞いていたそうだ。
老夫婦はとても優しい人間のマリアを大事に思っていた。『子供ができない。きっと自分が悪いんだ』と泣くマリアを、『子供は授かり物だし、単なるタイミングの問題だから』と『マリアは何も悪くない』と慰めていたのはリリアだった。アンリが産まれた後、アンリは本当に手のかかる子供で、傷つきながらも激しく泣くアンリを抱っこしながら、『子供をこんなに泣かせてしまう自分は母親として最低だ』と泣くマリアを、『よく泣くのはアンリの単なる個性だ。もう少し大きくなったらきっと落ち着く』と宥めていたのはナダルだった。
疲れはて、傷ついて、ノイローゼになり、どんどん変わっていくマリアを、老夫婦は見ていられなくなった。スウィードに何度も進言しようと思っていたが、使用人風情が出過ぎた真似をしてよいものかと、ずっと2人で悩んでいた。マリアがノイローゼになりだした頃は、スウィードならきっと気づいてマリアを助けてくれる筈だと楽観視していたとも言っていた。だが事態はどんどん悪くなり、スウィードは何もせず、いよいよマリアが壊れたような雰囲気になると、マリアの為にもアンリの為にも2人が離れることが1番だと老夫婦は判断した。それだけ限界だったのだろう。老夫婦はマリアに離婚を提案した。『何もしない、何も気づいてもいないスウィードのことなど捨てて、アンリとも離れて、心穏やかに暮らした方が絶対にいい』と言って。
マリアは老夫婦が離婚を提案すると、子供のようにワンワン大声で泣き出し、リリアに幼子のように抱きついて泣き疲れて眠ってしまうまで、リリアから離れなかったそうだ。
老夫婦はマリアが家から出ていった後、こっそりマリアと手紙のやりとりをしていた。マリアに新しい恋をすることを勧めたのも老夫婦だった。スウィードのことも、アンリのことも忘れて、新しい幸せを掴むのが1番だと。
それだけ老夫婦はマリアを愛おしく思っていた。スウィードが本当に幼い頃から2人は仕えており、畏れ多いが我が子のようにスウィードを愛していると言っていた。だからこそ、スウィードが何もしないことが、あんなにも優しかったマリアを変えてしまったことが許せなかったそうだ。

スウィードは本当に何も知らなかった。何も知ろうとはしなかった。
スウィードは泣きながら老夫婦に謝った。2人に謝ったところで、何も変わるわけではない。それでも謝ることしかできなかった。
アンリは自分が育てる。2人がスウィードを許せず、もう愛想を尽かしていて、ここで暮らすのが嫌なら、新しい働き先を探して、今後生活するのに必要な額の退職金を払わせてもらうと、泣きながら額を床に擦りつけた。
2人も泣きながら、早くに進言しなかった自分達も悪い、と言った。幼い頃から仕えているスウィードとマリアの子供のことは、まるで孫のように思っている。アンリを見捨てることはできないし、アンリの為に心も身体も傷つき疲れはてたマリアの為にも、アンリをちゃんと大人になるまで見守りたい。そう言って、老夫婦はこれからもスウィードの家に住んで、スウィードがアンリを育てるのに協力してくれることになった。すまない、すまないと、スウィードは何度も泣きながら謝った。

スウィードには仕事がある。働かなければアンリを養えないし、協力してくれる老夫婦に給料を払えない。
昼間はアンリを老夫婦に頼み、朝起きて出勤する前と帰宅して夜アンリが寝るまでの間のことは全てスウィードがすることになった。

以前より早く起きてアンリを起こし、着替えさせて食事をとらせてから出勤する。
アンリは寝起きが悪く、初日は起きるのを嫌がるアンリに頬を引っかかれた。アンリはリリアが作った朝食を中々食べたがらず、スウィードは遅刻ギリギリの時間まで粘ったが、いよいよ遅刻するという時間になるとリリアが交代を申し出てくれたので、すまない、と頭を下げて、全力疾走で職場に向かうことになった。
帰宅するとアンリに夕食を食べさせて、風呂に入れ、寝る時間まで構ってから、寝かしつける。
アンリは夕食も中々食べたがらず、スウィードは自分の食事そっちのけで、アンリに付きっきりでなんとか食べさせた。少し時間を置いて風呂に入れるが、アンリは風呂を嫌がり、全力で暴れた。スウィードは血が出る程強くアンリに引っ掻かれ、噛みつかれ、あっという間に傷だらけになった。嫌がるアンリを宥めながら、なんとか風呂から上がり、アンリの身体を乾かして着替えさせる頃には、スウィードは全身ずぶ濡れのまま結構な時間が過ぎており、身体はすっかり冷えていた。急いで自分の身体を乾かして服を着て、アンリと遊ぼうとしたが、アンリは部屋の隅に蹲ってドーバから貰った絵本をじっと眺めるだけだった。スウィードが絵本を読もうと声をかけても、スウィードを見ることもなく、スウィードがそろそろと絵本をとろうとすると、アンリは血が出る程強くスウィードの手を噛んだ。
アンリが寝る時間になると、アンリを抱っこして部屋のベッドに連れていったが、アンリは中々寝らず、ずっと抱き締めて離さなかった絵本を眺めていた。やっとアンリがうとうとして漸く寝てくれると安心した頃に、アンリが泣き出した。小さな声で泣くアンリを慌てて抱き上げ、静かに揺すりながら泣き止ませようとしたが、アンリは泣き止まず、泣き疲れたアンリが寝たのは日付をとっくに過ぎた頃だった。スウィードは3時間だけなんとか眠り、起きたらまたアンリの世話をする。そんな毎日を過ごしていた。

寝不足で傷だらけのスウィードは、なんとか現状を改善したいと、育児書を頼ることにした。フリッツの店にはアンリが懐いているハイルもいる。ハイルの父親のフリッツに、何でもいいからアドバイスをもらえないかとも思っていた。

フリッツの店のドアを開くと、アンリがスウィードの手を離して、すぐさまカウンターに向かって走っていった。笑顔のハイルが尻尾を振って身軽にカウンターを飛び越え、飛びつくアンリを抱き締めてアンリの頬を舐めた。アンリは嬉しそうに目を細めて、喉をゴロゴロ鳴らしている。
スウィードが本格的にアンリを育て始めてもう2週間になるが、スウィードが舐めても撫でても抱き締めても、アンリは1度も喉を鳴らしたことがないし、笑ったこともない。スウィードは、ゴロゴロ喉を鳴らすアンリを見て、身体中にある沢山の小さな傷よりも心が痛くなった。
だが、心が折れている場合ではない。スウィードはじっとじゃれる子供達を見ている陰気な雰囲気の店主フリッツに話しかけた。


「あの、先日はお家にお邪魔させていただき、ありがとうございました。スウィード・ナーダレスと申します」

「フリッツ・デナントだ。ドーバと一緒に来たのだろう?アンリと一緒に遊んだと、子供達が嬉しそうに話してくれた」

「はい。その節は本当にありがとうございました。アンリもとても楽しかったようです」

「子供達がまた一緒に遊びたいと言っていてな。よかったらまた来てくれ」

「……その、よろしいのですか?」

「あぁ。家の近所には子供達が一緒に遊べるような同じ年頃の獣人がいないからな。ハイルは兎も角、下2人は力加減もできないから人間の子供とは危なくて遊ばせられない。いつも兄弟だけで遊んでいるからな。アンリと遊べたのが余程楽しかったんだろう。今度はいつアンリが来るのかと、毎日のように聞いてくる」

「……では、その、休みの日にまたお邪魔させていただいてよろしいですか?アンリが、その、お子さん方にすごく懐いているものですから」

「あぁ。むしろお願いしたいくらいだ」

「ありがとうございます。……それと、この店には育児書は置いてありますか?獣人向けの」

「ある。バーバラに聞いたら案内してくれる」

「ありがとうございます」

「アンリはハイルが見ているから、行ってくるといい」

「……ありがとうございます」


陰気な雰囲気だが、バーバラが話していたように優しい雄のようだ。スウィードは狭い店内でバーバラを探した。バーバラは本を並べていた。


「……こんにちは、バーバラ。この間はありがとうございました」

「あ、スウィード。こんにちは。こちらこそ、ありがとうございました。子供達がすごく喜んでて、また一緒に遊びたいって毎日言うんだ。……その、よかったらまた来てくれると嬉しいんだけど……」

「ご迷惑じゃなかったら、またお邪魔させてもらってもいいですか?」

「勿論!子供達がすごく喜ぶよ!」

「……それで、あの。育児書ってどこにあるかな。獣人向けの」

「あ、それならこっちです」


バーバラが機嫌良さそうに尻尾を振りながら、育児書が置いてあるコーナーに案内してくれた。育児書は何冊もある。どれがいいのか、分からない。いっそ全部買ってしまうかと悩んでいると、バーバラが1番売れている本を教えてくれた。有り難くバーバラにお礼を言って、カウンターに本を持っていった。カウンターへ移動する途中で見かけた絵本も1冊手に取った。アンリがどんなものが好きかが分からないが、何冊もある絵本の中から、ドーバに貰った絵本となんとなく雰囲気が似ているものを選んだ。
2冊の本を持ってカウンターの前に行くと、アンリはハイルに絵本を読んでもらっていた。アンリはハイルにピッタリくっついて、細く長い尻尾をハイルの腰に巻きつけていた。
フリッツはくっつく小さな子供達をじっと見下ろし、僅かに口角を上げていた。
絵本を読む子供達の邪魔にならないように静かに会計をして、ハイルに次の休みに遊びに行くと言ってから、ハイルから離れたがらないアンリを抱っこして店を出た。店番をしているハイルの邪魔をするわけにはいかない。
家に帰ってアンリにスウィードが買った絵本を差し出すと、アンリはじっと暫く絵本を見つめてから、そろそろと手を伸ばして絵本を受け取り、スウィードから離れて部屋の隅に蹲って、ドーバから貰った絵本と2冊床に並べた。そして、暫く見つめた後、新しい絵本を開いて眺め始めた。
スウィードはほっと息を吐いた。アンリはそんなに喜んでいる感じではないが、それでもスウィードが渡した絵本を受け取ってくれた。少しはスウィードにも懐いてくれたのかと嬉しくなり、『お父さんが絵本を読もうか』とアンリに声をかけたが、いつものように無視された。心が少し痛む。
スウィードはアンリと同じ部屋で獣人向けの育児書を読み始めた。じっくり隅から隅まで読み、大事だと思うところにはペンで線を引き、育児書の内容を頭に叩き込んだ。
その夜もアンリを風呂に入れる時に傷だらけになったし、夜泣きするアンリを泣き止ませるのに時間がかかり、ろくに眠る時間もなくなったが、スウィードの胸には小さな希望があった。アンリに友達ができたら、少し変わるのではないかと。幸い、アンリが懐いている犬獣人の兄弟達の両親から、また遊びに来てくれと言われている。スウィードはその言葉に甘えさせてもらうことにした。子供達が遊んでいる間に、できたら犬獣人のバーバラに育児について話を聞きたい。
とりあえず育児書を参考にしながら、来週の休みまで頑張ろうと、スウィードは短い眠りについた。

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