宰相閣下の安眠枕

丸井まー(旧:まー)

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宰相閣下の安眠枕

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アリーナ国。
広大な大陸から少し離れた小さな島国で、年間を通して温暖な気候であり、小さいながらに栄えた国である。観光地としても有名で、わざわざ大陸から多くの観光客が訪れる、穏やかで賑やかな国だ。
国民は温厚でおおらかな者が多く、それは王室とて同じである。

そんな国の宰相をしているブルクハルトは、大変疲れていた。王侯貴族もおおらか過ぎるところがあり、諸外国との折衝や国内の経済動向その他諸々、その殆どがブルクハルトの肩にかかっている状態である。ブルクハルトはアリーナ国の人間にしては珍しく、神経質で生真面目で細かいことも気にする方だ。
色々とゆるい国王その他貴族達にイライラしながら、日々仕事に追われている。国王達もゆるければ、部下達も大半はゆるい。おおらかといえば聞こえがいいが、要はゆるくてのんびりし過ぎているのである。国王の仕事が遅ければ、それだけブルクハルトの仕事も遅れてくるし、部下達の仕事が遅ければ、それだけブルクハルトの仕事も遅れてしまう。遅れを取り戻そうと思えば、寝食を削ってでも時間を捻出して、ひたすら仕事を裁くしかない。

先代宰相に齢30で次期宰相に指名され、宰相の職を拝して早10年。
ブルクハルトは、やってもやっても終わらないどころか増え続ける仕事に疲れていた。寝ても、毎晩、終わらない仕事の夢をみて眠りが浅く、食欲も年々落ち続け、ブルクハルトはこの10年でかなり痩せ、げっそりとした青白い顔とどす黒い目の下の隈が標準装備になった。
若い頃は、艷やかな黒髪と理知的な青い瞳が美しい美丈夫だと言われていたが、今となっては見る影もない。ちょっと自慢だったサラサラの長い黒髪は白髪が増え、パサつくようになり、肌艶もよろしくない。宰相就任当初は『美し過ぎる宰相』などと言われていたが、今では『亡霊宰相』と影で言われている有様である。
ブルクハルトは、もう本当に疲れきっていた。

ブルクハルトはのんびり執務をしている国王を急かしてから、国王の部屋を出た。これから自分の執務室に帰って、山のようになっている書類と闘わなくてはいけない。頭が少しぼんやりする程眠いが、仕事は待ってくれない。

ブルクハルトが書類を読みながら足早に歩いていると、ぽふんっと柔らかい何かに顔がぶつかった。汗と爽やかなハーブの匂いがする。顔に当たるふかぁっとした温かい感触に、不思議な安心感が広がり、ブルクハルトはそこに顔を埋めたまま、一瞬でストンと寝落ちた。

ブルクハルトが目覚めると、宰相の執務室に併設されている仮眠室のベッドの中にいた。随分と久しぶりに、まともな睡眠がとれた。いつもの悪夢のような夢もみず、寝不足による慢性的な頭痛が和らいでいる。
ブルクハルトがのろのろと身体を起こし、ぼーっとシーツの上に投げ出した痩せ細った自分の手を眺めていると、仮眠室のドアが開いた。


「あ、おはようございます」


入ってきたのは、近衛に属している騎士の1人だった。名前までは知らないが、たまにブルクハルトの護衛につくこともあるので、顔は知っている。
癖のある黒髪に、全体的に丸っこい顔立ちで、笑うと愛嬌がある。身体はムキムキムチムチで、薄い布地でできた半袖の軍服から見えている腕はぶっとくて逞しい。背が高く、まだ若いが近衛の中でも上位に入る腕前だと、チラリと噂を耳にした覚えがある。

ブルクハルトは、ぼんやりと騎士を見上げた。


「君、名前は」

「ディーター・ラムスです。宰相閣下」

「私を此処に運んだのは君かね」

「はい。廊下でぶつかってしまって、そのまま宰相閣下が倒れられたものですから。医者に診てもらったら、過労と睡眠不足と栄養失調だろうとのことでした。栄養剤を処方してもらっています。軽めの食事も用意してあるので、食べられそうなら召し上がってください」


ブルクハルトはちょっとだけ感動した。なんて細かい気配りができる男なんだ。
ディーターに食事を運んでもらえば、胃に優しい粥だった。白身魚と細かく刻んだ野菜や卵が入っていて、栄養価も高そうだ。しかも、量も多い訳でなく、少食になってしまったブルクハルトでも食べ切れそうなくらいの量である。ブルクハルトは、随分と久しぶりに食事を完食した。苦い栄養剤を飲むと、すかさず口直しに甘い飴まで差し出してくれる。こんなに細やかな気配りができる人間が我が国にいたのかと、ブルクハルトは心底感動した。

栄養剤を飲み終え、口の中で飴をころころ転がして舐めているブルクハルトを見て、ディーターがにっこーっと笑った。


「陛下にご報告したところ、宰相閣下は最低でも3日間は休養するようにとのことでした」

「3日!?3日も休んだら仕事が……」

「そこは陛下が頑張ってくださるそうです」

「お、おぉ……なんと……」

「宰相閣下のお世話を陛下に命じられましたので、なんなりとお申し付けください」


再び、にっこーっと笑うディーターに、ブルクハルトはなんだか気が抜けた。国王が頑張ってくれても、休み明けには仕事の山が待っているのは確実だが、細かい気配りができる男を世話役につけてくれた上での休養だなんて、ありがたくて、いっそ泣いてしまいそうだ。
宰相に就任してから、まともな休みなんて無かった。公休日は一応あるのだが、仕事が終わらず、いつも休日出勤していた。
自分でもそろそろ限界だと感じていたブルクハルトは、仕事が気にはなるが、ありがたく休ませてもらうことにした。

自分の屋敷に帰るのは随分と久しぶりだ。着替え等は、いつも使用人に持ってこさせている。先触れを出さねば、屋敷内が混乱するだろう。
ブルクハルトはディーターに頼んで紙とペンを用意してもらい、ささっと先触れの手紙を書いて、ディーターに渡した。ディーターが心得たように、城の使用人に声をかけ、ブルクハルトの屋敷へ至急届けてくれるよう頼んでくれた。

今すぐ帰る訳にもいかないし、まだ眠気で頭や身体が重い。ブルクハルトは、寝落ちる前に感じた、あのふわっとした柔らかい感触を思い出した。あれは何だったのだろう。
ブルクハルトはディーターに聞いてみることにした。



「君にぶつかった時、何か柔らかいものに顔が当たった気がするのだが」

「あ、俺の胸筋です」

「筋肉ってガチガチなんじゃないのか」

「力を入れてなければ割と柔らかいですよ。試してみますか?」

「あぁ」


ディーターがベッドのすぐ側に来たので、ブルクハルトはベッドの上を少し移動して、少し屈んだディーターの胸に、ぽふんと顔を当てた。ふかぁっとした弾力性のある柔らかさで、汗とハーブのいい匂いがする。謎の安心感に、ブルクハルトは再びすやぁと眠りに落ちた。

目が覚めると、そこは屋敷の寝室だった。閉められたカーテンの隙間が暗いので、もう夜になっているらしい。こんなに寝たのはいつぶりだろうか。また、いつもの仕事に追われる悪夢はみなかった。ブルクハルトがのろのろと起き上がり、室内にあるトイレで用を足して、ペタペタと裸足で歩いて寝室を出ると、続き間になっている部屋に、ディーターの姿があった。
椅子に座って、本に目を落としていたディーターが顔を上げ、にっこーっと笑った。


「おはようございます。夜ですけど。食事をとられますか?」

「……少しだけ」

「用意してもらってるんで、温めて持ってきます」

「あぁ。……着替えは君が?」

「はい。寝間着じゃないと寝にくいかなって思いまして」

「そうか。手間をかけた。ありがとう」

「いえ」


ディーターがにっこーっと笑って、部屋から出ていった。ブルクハルトは、楽な寝間着姿のまま、ソファーに腰を下ろした。まだ眠気が残っているが、それでもいつもより格段に気分がいい。
ディーターの胸には、何か癒やしの魔法でもかかっているのだろうか。
何年も見続けていた悪夢を見なくて済んだせいか、随分と久しぶりに気分が穏やかだ。

ディーターはすぐに戻ってきた。ディーターが運んできたのは、いつも供される豪華な料理ではなく、温かくて素朴な感じの粥だった。鶏肉と卵と細かく刻んだ野菜が入っている。量も少しで、ブルクハルトでも抵抗なく全て食べられそうだ。デザートに赤いトルシュの実もある。トルシュの実は甘酸っぱくて、ブルクハルトの好物である。
ブルクハルトは、ディーターに見守られながら、ゆっくりと食事を食べ終えた。

風呂に入ってから、ブルクハルトはディーターに頼みごとをしてみることにした。


「ディーター」

「はぁい」

「実験に付き合ってほしい」

「実験ですか?」

「具体的に言うと、抱き枕になってくれ」

「いいですよー」

「いいのか」

「はい。添い寝をすればいいんですよね?」

「あ、あぁ。……言い出しておいて何だが、本当にいいのか」

「構いませんよ。俺は兄弟が多くて、実家では、いつも下の子達と一緒に寝てますから」

「ん?ディーターは貴族じゃないのか?」

「んーー……宰相閣下なら言っても大丈夫かな?俺、国王陛下のご落胤なんですよー。陛下が若い頃に手を出した町娘が俺の母親です」

「……陛下め……後宮に何人も側室がおりながら、町娘にまで手を出していたとは……」

「うちの母も側室にって言われたらしいんですけど、貴族ばっかりのところに平民の自分が行くなんて絶対に嫌だ!と断ったそうでして。それに既に結婚してましたし。そんな裏事情がありまして、陛下は俺にちょっと弱いんですよー」

「……なるほど」

「あ、次期王位を狙ったりとかそういうのはないですから。今の仕事が楽しいですし。近衛も剣の腕が良ければ、平民でも入れたりもしますから、俺もちゃんと平民枠で入ってますよ」

「そうか。それならよかった」

「じゃあ、お風呂だけ借りてもよろしいですか?汗臭いので」

「あぁ。備え付けの風呂がある。着替えも用意させておこう。」

「閣下がご不快じゃなかったら、下着一枚で寝てもいいですか?俺、寝る時はパン一派なんです」

「ぱんいち?」

「パンツ一枚の略です」

「……別に構わん」

「ありがとうございます。では、お風呂をお借りしてきます」


ディーターに寝室内の風呂の位置を教えてから、ブルクハルトは使用人を呼び出し、ディーターの新しい下着と明日から着る服を用意するよう命じた。
下着はディーターが風呂から出てくる前に届けられた。
ブルクハルトは、飾り気のないディーターの下着を片手に、寝室へと戻った。

なんとなく落ち着かない気分のまま、ベッドに腰掛け、ディーターが風呂から出てくるのを待っていると、股間をタオルで隠したディーターが風呂から出てきた。ディーターのよく日焼けした頬がほんのり赤らんでいる。


「いいお風呂ですねー。身体が解れました。ありがとうございます」

「いや。……ん」

「あ、パンツ。ありがとうございます」


ディーターがブルクハルトから下着を受け取り、股間のタオルを外して、その場で下着を穿いた。なんとなく見ないように顔を背けていると、タオルを畳んでサイドテーブルに置いたディーターが、ブルクハルトの隣に腰掛けた。
ディーターの身体は鍛えられているが、筋肉ゴリゴリではなく、適度に脂肪もある感じで、全体的に丸っこい印象を受けた。デブではないが、ガチガチマッチョという訳でもない。
ディーターがにっこーっと笑った。


「じゃあ、寝ましょうか」

「あぁ」


ブルクハルトは薄い布団の中に潜り込み、同じく布団の中に入ってきたディーターの側にじりじりと近寄った。こちらを向いて横向きになっているディーターの胸元に顔をくっつける。ふかぁっとした柔らかい感触と、ブルクハルト愛用の爽やかなミントの香りの石鹸の匂いがして、ブルクハルトはディーターの胸に顔を埋めたまま、ストンと寝落ちた。謎の安心感が半端ない。
ブルクハルトは、そのまま朝まで目覚めなかった。



------
休日2日目もほぼ寝て過ごした。ディーターが使用人に頼んでくれていたらしく、起きたら消化がよくて食べやすい食事がいつも用意されていた。ブルクハルトの好物のトルシュの実もいつもあり、ディーターが皮を剥いて食べさせてくれた。
まる2日寝て過ごしたら、随分と久しぶりに身体が軽くなった。ディーターの胸に顔を埋めて寝ると、全く悪夢をみない。ディーターの胸筋には、やはり何かの魔法がかかっているのだと思う。癒やしとか安心感とか、そういうものを齎す魔法である。

休日最終日の今日は、朝日が昇って少し経った時間に目覚めた。寝ぼけながらディーターの裸の胸筋に顔を擦りつけると、ほんのり汗の匂いがした。不思議と不快な匂いではない。温かいディーターの胸に耳をつけると、規則正しいディーターの鼓動が聞こえてきた。なんとも落ち着く。
いつもはディーターの方が先に起きているが、今朝はブルクハルトの方が先に目覚めたようだ。規則正しい寝息を立てているディーターは、少しだけ髭が伸びていた。なんとなくディーターの髭をジョリジョリと指先で撫でると、ディーターが目を開けた。淡い水色の瞳がブルクハルトを見て、ディーターがにっこーっと笑った。


「おはようございます。閣下」

「あぁ。おはよう」

「顔色が随分とよくなりましたね」

「そうか?」


ブルクハルトはなんとなく自分の顔を撫でた。無精してこの3日剃っていない髭がジョリッとする。
どことなく嬉しそうなディーターの胸筋に再び顔を埋めて、すりすりと頬ずりをする。ディーターが擽ったそうに小さく笑った。


「君と寝ると悪夢をみない」

「悪夢、ですか」

「仕事に追われる夢」

「それは悪夢ですね」

「君の胸筋には魔法でもかかっているのか」

「残念ながら普通の胸筋ですねぇ」

「君、私専属の抱き枕にならないか?護衛の仕事も私専属にしたい。君程細やかな気配りをしてくれる者は早々いない」

「あはっ。いいですよー」

「いいのか」

「はい。宰相閣下を健康体にするのが、俺の今の目標になったんで」

「そうか。よろしく頼む」

「はい。頑張ります。……ところで、閣下」

「ん?」

「当たってます」

「は?何が?」

「えーと、ちんちん?」


ブルクハルトは驚いて、慌てて薄い布団を剥いで、自分の下半身を確認した。寝間着の股間がもっこりしている。朝勃ちである。朝勃ちするなんていつぶりだろうか。
ブルクハルトは動揺して、とりあえずディーターに謝った。


「す、すまない。その、朝勃ちだ」

「いえいえー。気にしてないですよー。俺も朝勃ちしてますし。男の生理現象ですから」

「そ、そうだな」


のほほんとディーターは笑っているが、ブルクハルトはなんだか気恥ずかしくて、薄い布団で自分の下半身を隠した。用を足せばおさまるだろうが、ペニスが勃起するのが久しぶり過ぎて、なんだかちょっとだけムラムラしてきた。
ここ数年、ブルクハルトのペニスが勃起してことがない。下着一枚で、下着がもっこり膨れているディーターの逞しい裸体を見ていると、何故だか、より股間に血液が集中し始めてきた。

ブルクハルトが動揺してオロオロしていると、ディーターがにっこーっと笑って、ブルクハルトの股間を指差した。


「抜きましょうか?」

「はぇっ!?」

「俺も抜きたいですし」

「へ?え?え?」

「ちょっと待っててくださいねー」


ディーターがやんわりと寝癖がついているブルクハルトの頭を撫でて、ベッドから下りて寝室から出ていった。
ディーターは今年で24歳になると言っていた。かなり年下の男に、子供のように頭を撫でられたのは、なんとも複雑だが、全く嫌ではなかった。
不思議と胸の奥がぽかぽかするのに首を傾げていると、ディーターが戻ってきた。手には何かの瓶を持っている。

ディーターがにっこーっと笑った。


「気持ちいいこと、しましょうか」


ディーターがベッドの上に上がってきて、ブルクハルトの下半身を隠していた布団を剥した。慌てて股間を手で隠す前に、ディーターがブルクハルトの股間に顔を埋めた。そのまま、すぅーっと股間の匂いを嗅がれる。


「ディ、ディーター!?」

「俺、頑張りますね」

「な、なにを?」


ディーターが、ブルクハルトの寝間着のズボンを下着ごと脱がせた。ゆるい角度で勃起しているブルクハルトのペニスが露わになる。
ディーターが躊躇いもなくブルクハルトのペニスに舌を這わせ始めた。ペニスの根元から、ねっとりと先っぽに向けて裏筋を舐められると、初めての快感が背を走り抜け、どっと先走りが溢れてくる。
ブルクハルトは童貞である。若い頃は確かにモテていたが、生真面目故に、そういう遊びをすることはなかった。

ディーターがぺろぺろと竿を舐め回し、少しだけ残っていた皮を優しく手で剥いて、赤い亀頭と皮の隙間を丁寧に舐め始めた。


「ディ、ディーター……そ、それは、う、はぅっ……あ……」


熱いディーターの舌の感触が気持ちよくて堪らない。溢れ出る先走りで濡れた敏感な亀頭も優しく舐め回される。
ディーターが剥き出しの亀頭にキスをして、ブルクハルトを見上げて、にっこーっと笑った。


「おっぱいで挟んであげますね」

「は、は?」

「うりゃ」

「わ、わ、わ……」


ディーターが自分の胸筋を脇から寄せて谷間をつくり、ブルクハルトのペニスを弾力性のある柔らかい胸筋で挟んだ。ペニスの半分がディーターの胸筋に埋れている。そのまま胸筋でペニスを扱くように、ディーターが身体を揺すった。ペニスがディーターの瑞々しい肌で擦られているのも気持ちがいいし、ふにっとした胸筋の感触も気持ちがいい。ディーターがブルクハルトの顔を見上げて、ニコニコしながら、口を開いた。


「気持ちいいですか?」

「き、きもちいい……」

「俺の口に出すのと、俺の中に出すの、どっちがいいです?」

「…………ディ、ディーター……の、なか」


ブルクハルトは熱に浮かされたような頭で、自然とそう呟いていた。
ディーターがにっこーっと笑って、ブルクハルトの股間に伏せていた身体を起こし、ブルクハルトの寝間着を完全に脱がせた。痩せて肋が浮く貧相な身体が、朝日が差し込む室内で丸見えになる。

ブルクハルトは優しくディーターに押し倒された。ディーターがブルクハルトの唇に触れるだけのキスをして、自分の胸を差し出してきた。間近にあるディーターの乳首は、淡い茶褐色で、乳輪が大きく、ぷるんっと乳首も大きかった。ブルクハルトは誘われるがままに、ディーターの胸筋に触れ、ふにふにと揉みながら、ディーターの乳首に吸いついた。


「あっは!閣下、もっと吸って……んっ、はぁっ……きもちいい……」

「んっ、んっ、んっ」

「閣下のちんちんをよしよししてあげるので、もうちょっと待ってくださいね。ね、閣下。反対側も舐めて?」

「あ、あぁ」

「はぁ……んぅっ……閣下、お上手ですよ……んっ、噛んでっ、そう!あっは!んぅぅっ……」


ブルクハルトは夢中でディーターの乳首を咥え、ちゅくちゅく吸ったり、軽く歯を立てたりした。頭の中が沸騰しそうな程興奮している。今すぐにでも自分のペニスを扱きたいが、ディーターのしっとりと汗をかいてきた、ふにふにの胸筋から手を離したくない。

ディーターが夢中でちゅくちゅく乳首を吸うブルクハルトの頭を優しく撫でた。


「ちょっと一回口を離してくださいね」

「ん」


ブルクハルトが素直にディーターの乳首から口を離すと、ディーターがにっこーっと笑って、また優しくブルクハルトの頭を撫でた。ディーターに頭を撫でられると、なんだか胸の奥がじんわり温かくなって、同時になんだかむずむずする。

ブルクハルトの身体の上に伏せていたディーターが身体を起こした。ブルクハルトの身体を跨いでいるディーターの股間を見れば、ギュンッと勢いよく大きなペニスが勃起していた。ブルクハルトのペニスよりも大きくて長い。まさか、あれを挿れられるのだろうかと一瞬不安になったが、それは杞憂で終わった。

若いディーターよりもゆるい角度で勃起しているブルクハルトのペニスを、ディーターが優しく掴み、そのままペニスを自分の尻に誘導した。熱くひくつくものがペニスの先に触れる。ここまでくれば嫌でも分かる。ペニスに触れているのは、ディーターのアナルだ。
ディーターがゆっくりと腰を下ろし、アナルでブルクハルトのペニスを飲み込み始めた。キツい締めつけのところを通り過ぎれば、熱くて柔らかいぬるつくものにペニスが包まれていく。酷く気持ちがいい。
ディーターが楽しそうに口角を上げ、熱い息を吐きながら、どんどんブルクハルトのペニスを飲み込んでいく。根元近くまで飲み込むと、ディーターが両手を伸ばして、ブルクハルトの両手を握り、身体を起こさせた。
自分の胸にブルクハルトの顔を押しつけるようにして、ブルクハルトの頭を撫で撫でしながら、ディーターがブルクハルトの耳元で囁いた。


「好きに吸ってていいですよ。ちんちんは俺が気持ちよくしてあげます」

「はっ、はっ、ディーター……んむっ」

「あっ!あはっ!んーーーーっ、閣下、吸うの、お上手。俺も動きますね。……は、あ、あ、んぁっ、閣下のちんちん、きもちいいっ……」

「んっ、はぁっ、あぁっ!」

「ほらっ、乳首っ、吸ってっ、噛んでっ、あはっ!閣下はいい子ですねー」

「んー」


ブルクハルトが乳首を咥えて吸うと、ディーターがブルクハルトの頭を優しく撫でながら、腰をくねらせ、アナルでペニスを扱き始めた。気持ちよくて堪らないし、酷く興奮する。ディーターに『いい子』と言われただけで、背筋がゾクゾクする程興奮して、どっと先走りが溢れ出る感覚がした。

ディーターがブルクハルトの肩を握り、やんわりとブルクハルトの身体を押し倒した。
にっこーっと笑ったディーターが口を開いた。


「俺も我慢の限界なんで、一緒にイキましょうね」

「ん」


ディーターが後ろ手に手をつき、膝を立てて足を大きくて開いた。ディーターの勃起したペニスやずっしりと大きな陰嚢が丸見えになる。ディーターが大きく激しく動き始めた。ペニスをアナルでキツく扱かれる。
ディーターが動く度に、ぶらんぶらんと大きくて長いディーターのペニスが揺れる。何故だかそれが、酷くいやらしく見える。
ブルクハルトの上でいやらしく踊るディーターの姿への興奮と、キツく扱かれるペニスへの快感で、もうこみ上げてくる射精感に抗えそうにない。


「あっ、はぁっ、ディ、ディーター!も、でるっ、でるっ!」

「まだっ、もうちょっと!がんばれっ、がんばれっ」

「そ、そんなっ、あ、あーーーーっ、も、むりだっ、ほんと、でちゃうっ」

「あ、あはっ!俺もっ、イキそうっ!あっあっあっあっ!あーーーーっ!イクッ!イクッ!!いくぅぅぅぅ!!」

「あぁっ!!」


びゅるるるるっと勢いよくディーターのペニスから白い精液が飛び出した。熱い精液はブルクハルトの胸にまで飛んできた。ブルクハルトもディーターの熱いアナルの中に、思いっきり精液をぶち撒けた。久しぶり過ぎる射精の快感に、だらしなく涎を垂らして喘いでしまう。

はぁー、はぁー、と2人分の荒い息遣いが室内に響いている。ディーターがゆっくりと腰を上げ、萎えたブルクハルトのペニスをアナルから引き抜いた。ブルクハルトのすぐ隣に寝転がったディーターが、ブルクハルトの身体をやんわりと抱きしめ、ちゅっ、ちゅっ、と音を立てながら、何度もブルクハルトの顔中にキスをした。


「気持ちよかったですか?」

「……あ、あぁ」

「それはよかったです」


にっこーっと笑うディーターに、なんだか胸の奥がうずうずする。
ふと、ブルクハルトは尿意を感じた。そういえば、朝起きてから小便をしていない。
ブルクハルトは、のろのろと起き上がった。


「閣下?」

「……トイレに行ってくる」

「あぁ。じゃあ、お連れしますね」

「え?」


よっと腹筋だけで起き上がったディーターがベッドから下りて、流れるような動きでブルクハルトの身体を横抱きに抱え上げた。そのまま寝室内にあるトイレに連れて行かれる。
トイレの個室に入ると、床に下ろされ、何故か背中側から抱きしめられた。ぴったりとくっついたまま、萎えたペニスをやんわりと握られる。


「はい。どうぞ」

「は!?こっ、このまま出せと!?」

「はい。しーしてください。しー」


耳元で優しく囁かれて、やんわりと大きな温かい片手で下腹部を優しく押される。ブルクハルトは混乱しながらも、放尿を促すディーターの声に抗えず、そのままじょぼじょぼと小便を出した。ディーターに放尿を見られているという羞恥と放尿の快感で、思わず熱い吐息がもれる。
最後まで尿を出し切ると、くるりとその場で身体を回された。ストンとディーターがその場にしゃがみ、ブルクハルトの顔を見上げて、にっこーっと笑った。


「ちんちんキレイにしますね」

「き、きたない」

「汚くないですよー」

「あ、あ、あぁ……」


ブルクハルトのペニスにディーターの舌が這う。丁寧にペニス全体を舐められ、特に敏感な亀頭を重点的に舐められる。ブルクハルトのペニスが再び勃起した。
狭いトイレの個室の中で、ディーターが立ち上がり、くるりと背を向けた。
ディーターが自分の尻肉を両手で掴み、むにぃっと広げれば、眼下に白濁した精液が垂れている赤くぷっくりとしたディーターのアナルが見えた。ブルクハルトはゴクッと唾を飲み込み、誘われるがままに、自分の勃起したペニスを掴み、ディーターのアナルにペニスの先っぽを押しつけ、ゆっくりと腰を動かして、ディーターのアナルの中へとペニスを押し込んでいった。ディーターの中は本当に気持ちがいい。
ブルクハルトは手を伸ばしてディーターのふにふにの胸筋を揉みしだきながら、本能が赴くままに激しく腰を振り始めた。


「あっ!あっ!閣下!すごいっ!いいっ!いいっ!」

「はっ、はっ、はっ、はっ……」

「あぁぁっ!閣下の、ちんちん、きもちいいぃぃぃぃ!!」

「ディーター!」

「あっあっあっあっ!いくいくいくいくいくぅぅぅぅ!!」


パンパンパンパンッと肌同士がぶつかり合う音が響く程激しく下腹部をディーターの尻に叩きつければ、ディーターのアナルが更に締まった。ブルクハルトはこみ上げる射精感をなんとか堪えながら、ぷるんっとしたディーターの乳首を指で摘んで引っ張りつつ、めちゃくちゃに腰を振りまくった。
ディーターが裏返った声を上げ、ビクンビクンッと身体を大きく震わせ、きゅっと更にキツくブルクハルトのペニスをアナルで締めつけた。ブルクハルトは我慢しきれずに、そのままディーターの奥深くに精液を吐き出した。
ゆるゆると腰を振って全て精液を出し切り、ゆっくりとペニスをディーターのアナルから引き抜くと、荒い息を吐くディーターがくるりと振り返り、ぜぇ、ぜぇ、と掠れた息を吐くブルクハルトの身体をぎゅっと抱きしめた。落ち着かせるように優しく背中を擦られると、急速に眠気がやってくる。
ディーターがクスクス小さく笑いながら、ブルクハルトの耳元で囁いた。


「疲れたでしょう?いい子だから寝てください」

「……ん」


ブルクハルトはディーターの肩に頬を擦りつけ、そのままストンと寝落ちた。




-------
結局、ブルクハルトは5日仕事を休んだ。その間に、3回もディーターとセックスをした。ディーターはいつもブルクハルトの側にいてくれて、抱き枕になってくれたり、ブルクハルトの頭を撫でて甘やかした。
しおしおだったブルクハルトの気力体力はディーターのお陰でかなり回復し、やる気満々で仕事に復帰した。

ディーターが国王に掛け合ってくれて、ディーターはブルクハルトの専属護衛になった。専属抱き枕でもあり、同時に恋人になった。
年の差があるが、ブルクハルトはディーターに甘やかされるのが完全に癖になってしまっていた。ディーターは自分でアナルを弄って遊んではいたが処女だったらしく、お互いに責任をとるべきであるということで、恋人になった。
ブルクハルトは忙しい仕事の傍ら、水面下で着々と準備を整え、同性婚ができるよう法整備をし、1年後にはディーターと結婚した。
ディーターは、ブルクハルトがプロポーズをすると、驚いていたが笑顔で頷いてくれた。ブルクハルトはやる時はやる男である。もうディーターなしじゃ眠ることさえできない。

『亡霊宰相』は『美し過ぎる宰相』へと変わり、その傍らにはいつも、笑うと愛嬌がある護衛騎士がいた。



(おしまい)


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感想 2

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みんなの感想(2件)

sakura
2023.08.20 sakura

ディーターさんがめちゃくちゃタイプです。
あーーーー三次元に出現しないかな!!渾身で口説き落として、それから貢ぐのに!!!!!!

2023.08.23 丸井まー(旧:まー)

感想をありがとうございますっ!!
本当に嬉しいです!!

ディーターを気に入ってくださって、本当にありがとうございますっ!!
めちゃくちゃ嬉しいです!!
楽しい!と萌えっ!と性癖をこれでもかぁ!と詰め込んで、非常に楽しく執筆いたしました。
お楽しみいただけたのでしたら、何よりも嬉しいです!

お読み下さり、本当にありがとうございました!!

解除
鹿の子🦌
2022.12.21 鹿の子🦌

理性がクリスマス🎄
包容力も筋肉も若さも手回しもいい受け最高です🤗

まーさんの明るくて癒されるえちえちみたから大掃除さむくても頑張る❗

まーさんの短編集は紙化してませんか?

すっと手元におき、家事の合間によみたい‼️

いつも素敵なお話ありがとうございます
二人がにこやかで、ブロマンスに近いけどえちえちありなとこ、大好きです

2022.12.21 丸井まー(旧:まー)

感想をありがとうございますっ!!
本当に嬉しいです!!

過分なお言葉をいただけて、本当に感謝感激ですっ!!(泣)
全力で!!ありがとうございますっ!!
 
いつも全力で楽しんで書いているので、お楽しみいただけることが何よりも嬉しいです!!

いつか自分だけの1冊を作るのを夢見ているのですが、仕事の関係もあって中々実現しないですねぇ。でも、諦めずにいつか必ず同人誌を作ってみせます!!

大掃除大変ですよね。私もそろそろ始めなければと思っております。
お互い頑張りましょうね。

お読み下さり、本当にありがとうございました!!

解除

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毒島醜女
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目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

見合いの後に

だいたい石田
BL
気の進まない見合いをしたその夜。海は執事である健斗を必ず部屋に呼ぶ。 2人の秘め事はまた今夜も行われる。 ※性描写がメインです。BLです。

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

何故か男の俺が王子の閨係に選ばれてしまった

まんまる
BL
貧乏男爵家の次男アルザスは、ある日父親から呼ばれ、王太子の閨係に選ばれたと言われる。 なぜ男の自分が?と戸惑いながらも、覚悟を決めて殿下の元へ行く。 しかし、殿下はただベッドに横たわり何もしてこない。 殿下には何か思いがあるようで。 《何故か男の僕が王子の閨係に選ばれました》の攻×受が立場的に逆転したお話です。 登場人物、設定は全く違います。

博愛主義の成れの果て

135
BL
子宮持ちで子供が産める侯爵家嫡男の俺の婚約者は、博愛主義者だ。 俺と同じように子宮持ちの令息にだって優しくしてしまう男。 そんな婚約を白紙にしたところ、元婚約者がおかしくなりはじめた……。

ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました

あと
BL
「お兄ちゃん!人肌脱ぎます!」 完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け 可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…? 攻め:ヴィクター・ローレンツ 受け:リアム・グレイソン 弟:リチャード・グレイソン  pixivにも投稿しています。 ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。

批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。

婚約破棄を提案したら優しかった婚約者に手篭めにされました

多崎リクト
BL
ケイは物心着く前からユキと婚約していたが、優しくて綺麗で人気者のユキと平凡な自分では釣り合わないのではないかとずっと考えていた。 ついに婚約破棄を申し出たところ、ユキに手篭めにされてしまう。 ケイはまだ、ユキがどれだけ自分に執着しているのか知らなかった。 攻め ユキ(23) 会社員。綺麗で性格も良くて完璧だと崇められていた人。ファンクラブも存在するらしい。 受け ケイ(18) 高校生。平凡でユキと自分は釣り合わないとずっと気にしていた。ユキのことが大好き。 pixiv、ムーンライトノベルズにも掲載中

悪役のはずだった二人の十年間

海野璃音
BL
 第三王子の誕生会に呼ばれた主人公。そこで自分が悪役モブであることに気づく。そして、目の前に居る第三王子がラスボス系な悪役である事も。  破滅はいやだと謙虚に生きる主人公とそんな主人公に執着する第三王子の十年間。  ※ムーンライトノベルズにも投稿しています。

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