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3:マーサの薦め
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フェリはマーサと共に街に来ていた。
久々に土の宗主国のマーサのもとを訪れたら、フェリが気に入ってるピッツァの店が新商品を出したらしいと話を聞いて、食べに行くためである。
「あの店行くのも久しぶりだなぁ」
「瘴気戦終わった後は、ずっと引きこもってたし、魔力が回復したらすぐ役目で飛び立ったしね」
3年前に火の宗主国の国内で瘴穴が開いた。瘴穴とは瘴気が溢れ出る穴のことである。瘴気に普通の人間が触れると、発狂して死んでしまう。たまたま、神子として召喚されて年数の経っていない火の神子リーを連れて、神子4人とその家族数人で各宗主国を訪ねる旅行の真っ最中で火の宗主国にいたから早く対応できた為、幸いにも被害者は出なかった。神子4人で化け物の形をとるほど濃い瘴気と戦い、なんとか瘴穴を封印することができた。その戦いでフェリ達は魔力をじり貧になるほど消耗した為、魔力が回復するまでマーサの家で療養していた。
「あれからもう3年経つのか。月日が経つのは早いものだな」
「そうだねぇ。アマーリエとナターシャは今年成人だしねぇ。本当、あっという間だわ」
「デビュタント見たかったが、流石に俺が他国の王宮のパーティーに出るわけにはいかないからなぁ」
「別に出ても良くない?」
「水の宗主国は兎も角、お前のところは肝心のお前がいないのに俺が出るわけにはいかないだろ?」
「あー、まぁ。言われてみれば、それもそうか」
「写真見て我慢するよ」
「それなら安心して。2人とも写真はしこたま撮ったから」
「それは楽しみだ。帰ったら見せてくれ」
アマーリエは水の神子マルクとフェリの三男であるアルジャーノとの間に生まれたフェリの孫娘である。ナターシャはマーサの三女だ。初孫のアマーリエのことをフェリは特に可愛がっていた。勿論、他の孫も可愛がってはいるのだが。
アマーリエ達の話をしながら歩いていると、目当ての店の前に見知った顔がいた。
顎髭を生やした男くさい男前の男だ。洒落た刺繍の入ったシャツをだらしなくない程度に着崩して、男の色気ムンムンといった様である。彼は街の警備や治安維持を任されている領軍分隊隊長のクラウディオだ。
マーサが彼に声をかけた。
「はぁい。クラウディオ分隊長。今日は休みかい?」
「これは、マーサ様とフェリ様」
クラウディオ分隊長が2人に立礼した。マーサが平伏は嫌いなので、マーサが治めるサンガレア領(旧土の宗主国)では平伏は禁じられている。許されているのは立礼までだ。
「今日は休みです。ここの店の新商品が評判いいと聞きまして、食べに来たところです」
「あ、一緒だな。俺達もピッツァ食いに来たんだよ」
「そうでしたか。部下に聞きましたが、中々に美味しいらしいですよ」
「クラウディオ分隊長。1人なら一緒に俺達と食べるか?いいだろ?マーサ」
「勿論いいよ」
「ではご一緒させていただきます」
クラウディオ分隊長がにこりと爽やかに笑った。
ーーーーーー
新作のピッツァは生ハムと茸がどっさりのったクリームピッツァだった。生ハムの塩気とクリーミーなベシャメルソースが見事にマッチしている。トマトソース派のフェリも思わず唸るほど美味しかった。
「悔しいが旨いな」
「確かに旨いですね」
「いい仕事してるなぁ」
マーサはご機嫌でピッツァを頬張っている。クラウディオ分隊長も美味しそうに食べていた。
「マーサ。俺、海老のも食いたい」
「いいね。ついでにトマトと香草のも頼む?」
「うん。クラウディオ分隊長は何がいい?」
「そうですね……鴨肉のローストのやつをお願いします」
「あ、それも旨いよな。俺も好き」
フェリがそう言うと、クラウディオ分隊長が嬉しそうに笑った。
「あ、そういやさぁ、クラウディオ分隊長」
「何です?マーサ様」
「兄さんが男もイケるようになりたいらしくてさぁ。試しに付き合ってくれる男を探してるんだけど、分隊長どう?」
フェリは飲んでいたワインを吹き出した。クラウディオ分隊長はポカンとしている。フェリは慌てた。
「おいっ、マーサ!今言うことかそれっ!」
「えぇ?だってクラウディオ分隊長、今恋人いないし、男もイケるし、どうかな?って思って」
「だからって唐突すぎだろ」
「マーサ様。俺は平民なのでフェリ様とは身分が釣り合わないと思います」
「ん?兄さんそういうの気にする方だっけ?」
「いや、そういうのは全然気にしないが」
「だってさ」
クラウディオ分隊長は顎に手をやり、考え込み始めた。なんとなくフェリは焦った。
「クラウディオ分隊長。嫌なら断って全然構わないからな!マーサが言っても強制なんかじゃないしな!」
「そりゃ、クラウディオ分隊長も分かってるよ、兄さん。私と付き合い長いから」
「マーサ。なんでまた急に言い出したんだよ」
「いやぁ?クラウディオ分隊長は男前だし、優しいから、兄さんにどうかなって思ってさ。兄さんはどうよ?仕事も出来るし、お洒落だし、冗談も通じるいい男だよ?」
「そうかもしれないが、それなら俺の方が釣り合わないじゃないか」
「んなことないよ。兄さん可愛いよ、なんとなく」
「なんとなくってなんだ、なんとなくって」
「ねぇ、分隊長」
「そうですね。神子様方は小柄でいらっしゃいますし、皆様可愛らしいと評判です」
「マジでか」
「マジです」
フェリが驚いた顔をすると、クラウディオ分隊長が目だけで笑った。
「男がイケるかお試しで付き合うんですよね。俺でよかったら協力させていただきますよ」
「マジでか。え、本当にいいのか?」
「はい。俺の方は大丈夫です」
「やったね、兄さん。恋人(仮)ができたぜ」
フェリが戸惑っている間に、何故かマーサとクラウディオ分隊長との間で話が進み、ついでにピッツァの追加注文もされていた。
「まぁまぁ、兄さん。そう考え込まずに。あくまでお試しだし」
「不束者ですが、よろしくお願いします」
クラウディオ分隊長がニッと楽しげに笑った。
ーーーーーー
その日の夜。
フェリは土竜の森の中の自宅で、マーサを待っていた。椅子に座って、1人ワインを飲む。日付が変わる頃に、玄関がノックされた。ドアを開けるとマーサが立っていた。
「や、兄さん。こんばんは」
「マーサ。今日もおつかれ」
「ありがとう、兄さん。チーズと干し肉持ってきたよ」
マーサを室内に招き入れる。テーブルの上にチーズなどが入った籠が置かれた。
「ありがとな。ワインを出すよ」
「うん。ありがとう」
2人で向かい合って椅子に座った。
フェリは新しいワインのコルクの栓を抜いた。マーサ用に新しく出したワイングラスにワインを注いで渡し、自分の分もワインをグラスに注いだ。
「マーサ。昼間のことなんだが……」
「んー?」
「良かったのか?クラウディオ分隊長」
「ん?あぁ。何気にしてるのか知らないけど、大丈夫だよ。あれで結構言いたいことは私相手でもガンガン言う方だし。本当に嫌ならサクッと断ってるよ」
「そうなのか。俺、クラウディオ分隊長とは街で会ったときに立ち話する程度の間柄なんだけど」
「夫婦も恋人も最初は単なる他人だよ、兄さん」
「そりゃそうだが」
「何、本当に単なるお試しだからね。とりあえずデートでもしてみれば?手っ取り早く試すのに、いきなりセックスってのもいいと思うけどね」
「うーん。どうすっかなぁ」
フェリは頭を掻いた。ワインを飲みながら頭を悩ませる。
手っ取り早くセックス、とマーサは言うが、クラウディオ分隊長がその気にならないとできない話である。フェリは自分の容姿が平凡であると自覚しているため、その気にさせることができないのでは、と危惧していた。
「大丈夫かなぁ?俺で」
「なに、いざとなれば手なり口なりでサクッとやれば勃つよ。男なんて単純だから」
「口かぁ。俺、マーサのしかしたことないんだけど」
「兄さん、それなりに上手いから大丈夫だって」
マーサが明るく笑って、親指を立てた。そして悪戯っぽい顔をした。
「なんなら、練習しとく?」
「……しとく」
フェリは立ち上がり、ベットにマーサを誘った。マーサは素直に立ち上がり、服を緩めながらベットに座った。
「じゃあ、やるわ」
「お願いします」
マーサが笑いながらズボンを脱いだ。フェリは座るマーサの足元に膝まづき、まだ反応していないマーサのペニスを優しく握った。先っぽや根元にキスをしてやわやわと揉むと、すぐにムクムクと大きくなった。マーサの体格に似合わぬ大きさのペニスに舌を這わせる。裏筋を重点的に舐め、次は先っぽを口に含み舐め回す。マーサがクスクスと笑った。
「上手いよ、兄さん」
「んー」
「ちょっと吸ってみて……っそう、そんな感じ」
言われるままに優しく吸うと、マーサが少し息をつめた。吸いながら飲み込めるところまで飲み込むと、マーサに頭を優しく撫でられた。そのまま上下に頭を動かした。くわえきれない部分は手でしごく。口の中の熱いマーサのペニスに興奮している自分に気がついた。フェリの股間は触れてもいないのに勃ち上がり、濡れていた。それに気づいて、羞恥で顔が赤くなる。ペニスに興奮する日が来るとは思わなかった。フェリは夢中でマーサに奉仕した。
顎が疲れるくらいになって、マーサがフェリの口の中に射精した。それを噎せないように少しずつ飲み下した。
「よかったよ、兄さん」
口元を拭うフェリの頭をマーサが撫でた。フェリは熱に浮かされた目でマーサを見上げた。マーサはニヤッと男くさく笑った。
「次は兄さんの番ね」
ーーーーーー
セックスが終わり、マーサはベットに腰かけて煙草を吸っていた。マーサが吐き出す紫煙が暗闇に漂う。マーサの裸の背中をみながら、フェリは口を開いた。
「マーサさぁ」
「んー?」
「たまに目茶苦茶男くさい顔するよな。元女のくせに」
「えー?そう?」
「そうだよ。昔からな。あんま女って顔しない」
「あー、どっちかと言えば男顔だからじゃない?」
「いやぁ、それだけじゃない気がする。お前、中身が漢前だもん」
「女の皮着た酒飲み親父とは言われたことあるけど」
「それ絶対誉めてないよな」
「さぁ?」
マーサが肩をすくめた。フェリはなんだか可笑しくなり、クスクスと笑った。
「マーサ」
「ん?」
「俺、とりあえずクラウディオ分隊長と付き合ってみるわ」
「おー。相談にはのるからね」
「ありがとな。俺クソビッチ化計画、一歩前進だ」
「ははっ。まだそれ言ってんの?」
「語呂っていうか、響きがいいだろ?」
「私としては、兄さんにはクソビッチになってもらうより、普通に恋人なり伴侶なりができて欲しいけどね」
「俺もできたらそっちの方がいいかな」
2人でベットの上に寝そべって、そのまま朝が来るまで、クラウディオ分隊長とどう付き合っていくか、話し合った。
久々に土の宗主国のマーサのもとを訪れたら、フェリが気に入ってるピッツァの店が新商品を出したらしいと話を聞いて、食べに行くためである。
「あの店行くのも久しぶりだなぁ」
「瘴気戦終わった後は、ずっと引きこもってたし、魔力が回復したらすぐ役目で飛び立ったしね」
3年前に火の宗主国の国内で瘴穴が開いた。瘴穴とは瘴気が溢れ出る穴のことである。瘴気に普通の人間が触れると、発狂して死んでしまう。たまたま、神子として召喚されて年数の経っていない火の神子リーを連れて、神子4人とその家族数人で各宗主国を訪ねる旅行の真っ最中で火の宗主国にいたから早く対応できた為、幸いにも被害者は出なかった。神子4人で化け物の形をとるほど濃い瘴気と戦い、なんとか瘴穴を封印することができた。その戦いでフェリ達は魔力をじり貧になるほど消耗した為、魔力が回復するまでマーサの家で療養していた。
「あれからもう3年経つのか。月日が経つのは早いものだな」
「そうだねぇ。アマーリエとナターシャは今年成人だしねぇ。本当、あっという間だわ」
「デビュタント見たかったが、流石に俺が他国の王宮のパーティーに出るわけにはいかないからなぁ」
「別に出ても良くない?」
「水の宗主国は兎も角、お前のところは肝心のお前がいないのに俺が出るわけにはいかないだろ?」
「あー、まぁ。言われてみれば、それもそうか」
「写真見て我慢するよ」
「それなら安心して。2人とも写真はしこたま撮ったから」
「それは楽しみだ。帰ったら見せてくれ」
アマーリエは水の神子マルクとフェリの三男であるアルジャーノとの間に生まれたフェリの孫娘である。ナターシャはマーサの三女だ。初孫のアマーリエのことをフェリは特に可愛がっていた。勿論、他の孫も可愛がってはいるのだが。
アマーリエ達の話をしながら歩いていると、目当ての店の前に見知った顔がいた。
顎髭を生やした男くさい男前の男だ。洒落た刺繍の入ったシャツをだらしなくない程度に着崩して、男の色気ムンムンといった様である。彼は街の警備や治安維持を任されている領軍分隊隊長のクラウディオだ。
マーサが彼に声をかけた。
「はぁい。クラウディオ分隊長。今日は休みかい?」
「これは、マーサ様とフェリ様」
クラウディオ分隊長が2人に立礼した。マーサが平伏は嫌いなので、マーサが治めるサンガレア領(旧土の宗主国)では平伏は禁じられている。許されているのは立礼までだ。
「今日は休みです。ここの店の新商品が評判いいと聞きまして、食べに来たところです」
「あ、一緒だな。俺達もピッツァ食いに来たんだよ」
「そうでしたか。部下に聞きましたが、中々に美味しいらしいですよ」
「クラウディオ分隊長。1人なら一緒に俺達と食べるか?いいだろ?マーサ」
「勿論いいよ」
「ではご一緒させていただきます」
クラウディオ分隊長がにこりと爽やかに笑った。
ーーーーーー
新作のピッツァは生ハムと茸がどっさりのったクリームピッツァだった。生ハムの塩気とクリーミーなベシャメルソースが見事にマッチしている。トマトソース派のフェリも思わず唸るほど美味しかった。
「悔しいが旨いな」
「確かに旨いですね」
「いい仕事してるなぁ」
マーサはご機嫌でピッツァを頬張っている。クラウディオ分隊長も美味しそうに食べていた。
「マーサ。俺、海老のも食いたい」
「いいね。ついでにトマトと香草のも頼む?」
「うん。クラウディオ分隊長は何がいい?」
「そうですね……鴨肉のローストのやつをお願いします」
「あ、それも旨いよな。俺も好き」
フェリがそう言うと、クラウディオ分隊長が嬉しそうに笑った。
「あ、そういやさぁ、クラウディオ分隊長」
「何です?マーサ様」
「兄さんが男もイケるようになりたいらしくてさぁ。試しに付き合ってくれる男を探してるんだけど、分隊長どう?」
フェリは飲んでいたワインを吹き出した。クラウディオ分隊長はポカンとしている。フェリは慌てた。
「おいっ、マーサ!今言うことかそれっ!」
「えぇ?だってクラウディオ分隊長、今恋人いないし、男もイケるし、どうかな?って思って」
「だからって唐突すぎだろ」
「マーサ様。俺は平民なのでフェリ様とは身分が釣り合わないと思います」
「ん?兄さんそういうの気にする方だっけ?」
「いや、そういうのは全然気にしないが」
「だってさ」
クラウディオ分隊長は顎に手をやり、考え込み始めた。なんとなくフェリは焦った。
「クラウディオ分隊長。嫌なら断って全然構わないからな!マーサが言っても強制なんかじゃないしな!」
「そりゃ、クラウディオ分隊長も分かってるよ、兄さん。私と付き合い長いから」
「マーサ。なんでまた急に言い出したんだよ」
「いやぁ?クラウディオ分隊長は男前だし、優しいから、兄さんにどうかなって思ってさ。兄さんはどうよ?仕事も出来るし、お洒落だし、冗談も通じるいい男だよ?」
「そうかもしれないが、それなら俺の方が釣り合わないじゃないか」
「んなことないよ。兄さん可愛いよ、なんとなく」
「なんとなくってなんだ、なんとなくって」
「ねぇ、分隊長」
「そうですね。神子様方は小柄でいらっしゃいますし、皆様可愛らしいと評判です」
「マジでか」
「マジです」
フェリが驚いた顔をすると、クラウディオ分隊長が目だけで笑った。
「男がイケるかお試しで付き合うんですよね。俺でよかったら協力させていただきますよ」
「マジでか。え、本当にいいのか?」
「はい。俺の方は大丈夫です」
「やったね、兄さん。恋人(仮)ができたぜ」
フェリが戸惑っている間に、何故かマーサとクラウディオ分隊長との間で話が進み、ついでにピッツァの追加注文もされていた。
「まぁまぁ、兄さん。そう考え込まずに。あくまでお試しだし」
「不束者ですが、よろしくお願いします」
クラウディオ分隊長がニッと楽しげに笑った。
ーーーーーー
その日の夜。
フェリは土竜の森の中の自宅で、マーサを待っていた。椅子に座って、1人ワインを飲む。日付が変わる頃に、玄関がノックされた。ドアを開けるとマーサが立っていた。
「や、兄さん。こんばんは」
「マーサ。今日もおつかれ」
「ありがとう、兄さん。チーズと干し肉持ってきたよ」
マーサを室内に招き入れる。テーブルの上にチーズなどが入った籠が置かれた。
「ありがとな。ワインを出すよ」
「うん。ありがとう」
2人で向かい合って椅子に座った。
フェリは新しいワインのコルクの栓を抜いた。マーサ用に新しく出したワイングラスにワインを注いで渡し、自分の分もワインをグラスに注いだ。
「マーサ。昼間のことなんだが……」
「んー?」
「良かったのか?クラウディオ分隊長」
「ん?あぁ。何気にしてるのか知らないけど、大丈夫だよ。あれで結構言いたいことは私相手でもガンガン言う方だし。本当に嫌ならサクッと断ってるよ」
「そうなのか。俺、クラウディオ分隊長とは街で会ったときに立ち話する程度の間柄なんだけど」
「夫婦も恋人も最初は単なる他人だよ、兄さん」
「そりゃそうだが」
「何、本当に単なるお試しだからね。とりあえずデートでもしてみれば?手っ取り早く試すのに、いきなりセックスってのもいいと思うけどね」
「うーん。どうすっかなぁ」
フェリは頭を掻いた。ワインを飲みながら頭を悩ませる。
手っ取り早くセックス、とマーサは言うが、クラウディオ分隊長がその気にならないとできない話である。フェリは自分の容姿が平凡であると自覚しているため、その気にさせることができないのでは、と危惧していた。
「大丈夫かなぁ?俺で」
「なに、いざとなれば手なり口なりでサクッとやれば勃つよ。男なんて単純だから」
「口かぁ。俺、マーサのしかしたことないんだけど」
「兄さん、それなりに上手いから大丈夫だって」
マーサが明るく笑って、親指を立てた。そして悪戯っぽい顔をした。
「なんなら、練習しとく?」
「……しとく」
フェリは立ち上がり、ベットにマーサを誘った。マーサは素直に立ち上がり、服を緩めながらベットに座った。
「じゃあ、やるわ」
「お願いします」
マーサが笑いながらズボンを脱いだ。フェリは座るマーサの足元に膝まづき、まだ反応していないマーサのペニスを優しく握った。先っぽや根元にキスをしてやわやわと揉むと、すぐにムクムクと大きくなった。マーサの体格に似合わぬ大きさのペニスに舌を這わせる。裏筋を重点的に舐め、次は先っぽを口に含み舐め回す。マーサがクスクスと笑った。
「上手いよ、兄さん」
「んー」
「ちょっと吸ってみて……っそう、そんな感じ」
言われるままに優しく吸うと、マーサが少し息をつめた。吸いながら飲み込めるところまで飲み込むと、マーサに頭を優しく撫でられた。そのまま上下に頭を動かした。くわえきれない部分は手でしごく。口の中の熱いマーサのペニスに興奮している自分に気がついた。フェリの股間は触れてもいないのに勃ち上がり、濡れていた。それに気づいて、羞恥で顔が赤くなる。ペニスに興奮する日が来るとは思わなかった。フェリは夢中でマーサに奉仕した。
顎が疲れるくらいになって、マーサがフェリの口の中に射精した。それを噎せないように少しずつ飲み下した。
「よかったよ、兄さん」
口元を拭うフェリの頭をマーサが撫でた。フェリは熱に浮かされた目でマーサを見上げた。マーサはニヤッと男くさく笑った。
「次は兄さんの番ね」
ーーーーーー
セックスが終わり、マーサはベットに腰かけて煙草を吸っていた。マーサが吐き出す紫煙が暗闇に漂う。マーサの裸の背中をみながら、フェリは口を開いた。
「マーサさぁ」
「んー?」
「たまに目茶苦茶男くさい顔するよな。元女のくせに」
「えー?そう?」
「そうだよ。昔からな。あんま女って顔しない」
「あー、どっちかと言えば男顔だからじゃない?」
「いやぁ、それだけじゃない気がする。お前、中身が漢前だもん」
「女の皮着た酒飲み親父とは言われたことあるけど」
「それ絶対誉めてないよな」
「さぁ?」
マーサが肩をすくめた。フェリはなんだか可笑しくなり、クスクスと笑った。
「マーサ」
「ん?」
「俺、とりあえずクラウディオ分隊長と付き合ってみるわ」
「おー。相談にはのるからね」
「ありがとな。俺クソビッチ化計画、一歩前進だ」
「ははっ。まだそれ言ってんの?」
「語呂っていうか、響きがいいだろ?」
「私としては、兄さんにはクソビッチになってもらうより、普通に恋人なり伴侶なりができて欲しいけどね」
「俺もできたらそっちの方がいいかな」
2人でベットの上に寝そべって、そのまま朝が来るまで、クラウディオ分隊長とどう付き合っていくか、話し合った。
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