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76:混乱

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昼過ぎ近くに目覚めたアーベルは、リカルドとお互い裸で寝ていた状況に酷く混乱した後、自分の身体の異変に気づいて取り乱した。とりあえず真っ赤な顔で涙目になってプルプル震えるアーベルを落ち着かせようと、リカルドは裸のままのアーベルを優しく抱き締めて、アーベルの背中を優しく擦った。そのままの体勢で昨夜のことを詳しく説明すると、アーベルは絶句して固まり、暫く固まった後、リカルドから身体を離してそのまま布団を頭から被って丸くなってしまった。殆んど覚えていない自分の所業が信じられないらしい。そのうち鼻をすする音が聞こえてきたので、どうやら泣き出してしまったようだ。リカルドは困って、どうしたものかとボサボサの頭を掻いた。とりあえず布団ごとアーベルを抱き締めてみる。アーベルは一瞬ビクッと震えたが、リカルドにされるがままだ。リカルドはアーベルがくるまっている布団に潜り込むようにして入り、布団の真っ暗な中を手探りでアーベルの身体を直接抱き締めた。アーベルは緊張しているかのように身体を固くしたが、リカルドが宥めるように優しく背中や肩を擦ると、そのうちアーベルの身体から力が抜けた。ぐずぐす鼻を鳴らしていたが、それも暫くするとおさまった。そーっと静かに布団をどかすと、アーベルの真っ赤な顔と涙で濡れた頬が露になる。アーベルの濡れた頬を手で擦って涙を拭いてやり、ついでにアーベルを片手で抱き締めたまま手を伸ばして、ベッドのヘッドボードに置いてあるティッシュを箱ごと取って、アーベルの鼻水を拭いてやった。たとえ鼻水を垂らしていても美しいなんて、美形は得である。落ち着いてきた感じのアーベルの頭を優しく撫でてやると、伏し目がちだったアーベルがじっと涙目でリカルドを見た。


「……軽蔑した?」

「?別にしませんが、どうしてです?」

「……だって、俺、やらしい……」

「男なら普通のことですよ」

「……で、でも……」

「大丈夫ですよ」


リカルドがニコッと微笑むと、納得したのかアーベルが小さく頷いた。
それから交代で風呂に入り着替えると、アーベルは食事を作る前にバタバタと汚れたシーツをひっぺがし、他の洗濯物と一緒に洗濯を始めた。何かを振り払うように家事に没頭し始めたアーベルを横目に、リカルドは居間の隅っこでスッキリした頭と身体で製作途中の魔導具を弄っていた。一応アーベルの風呂上がりに身体は大丈夫かと聞いたのだが、アーベルは真っ赤な顔で腰に軽めの医療魔術を自分でかけたと言っていた。ローションをたっぷり使ったし、アーベルのアナルは上手にリカルドのペニスを飲み込んだのでアナルは切れていない筈だが、やはり激しく何度もしたので腰は痛いらしい。今日は家事はしなくていいと言ったのだが、アーベルは頑として聞かなかった。
夕食を作り終える頃には少し落ち着いたのか、若干挙動不審だが、ある程度普段通りに戻ったアーベルと夕食を食べ、片付け等をしてから帰るアーベルを玄関先で見送った。『今日もありがとうございました』と言ってリカルドがアーベルの頭を優しく撫でると、アーベルは顔を真っ赤にして、フラフラと帰っていった。少し心配になって、馬に乗ったアーベルをじっと見つめる。馬に乗るアーベルの背中はいつも通りピシッと真っ直ぐ伸びていた。多分大丈夫だろう。ほっと小さく息を吐いてから、リカルドは家の中に入った。







ーーーーーー
信じられないことにリカルドとセックスしてしまった。しかも変態か痴漢のようにアーベルがリカルドを脱がせて跨がってリカルドの上で自慰をしたのが切っ掛けらしい。酔っていたとはいえ、自分がやらかしたことが信じられない。むしろ信じたくない。信じたくないが、リカルドが嘘を言っている感じはしなかったので、残念極まりないが事実だ。
アーベルはそれからずっと挙動不審な感じである。いつも通り、休みの前日にはリカルドを訪ねて家事をするが、一緒に寝る時はいつもドキドキしてしまう。頭を優しく撫でられると顔が熱を持ってしまう。そんなアーベルとは違い、リカルドはなんというか普通である。本当に普段通りだ。おかしい。アーベルだけ意識しているというか、気にしている感じなのである。なんだか、じわじわとリカルドに対して腹が立ってくる。こっちは家事に夢中な時以外はドキドキしてんだよっ!なんなのっ!意識する気もなしかこの野郎っ!と。
起きた直後は思い出せなかったが、後になってじわじわ思い出してきたリカルドに与えられた快感が忘れられず、アーベルはまた毎日自慰をしていた。流石にアナルには怖くて触れられなかったが、夜に1人になると思い出す、リカルドの手の熱さや舌の感触、アナルに感じたリカルドのペニスの熱さと固さに毎晩のように勃起してしまい、結果自分で激しくペニスを擦ってしまう。こんなこと誰にも相談できない。自分はきっと淫乱になってしまったのだ。じゃなかったら、こんな風にならない筈である。アーベルは自慰をして射精する度に落ち込んだ。
リカルドの顔も見たくない気がしないでもないが、気づいたら休日の前日の仕事終わりにはいつもリカルドの元へと向かい馬を歩かせてしまっている。自分で自分が分からない。
アーベルが混乱し続けるのにも関わらず、日々は過ぎ去り、もうすぐ年末になろうとしている。水の宗主国に1度帰る日が近づいていた。







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今年も無事に新年を迎え、4日目の早朝にリカルドの家にアーベルがやって来た。水の宗主国のものだという酒を手土産に持ってきてくれたので、リカルドは有り難く受け取った。アーベルに指示されていた食料品は年末の店が閉まる前に全て買い込んでいたので、早速アーベルはリカルドの朝食を作ってくれた。リカルドが朝食をのんびり楽しんでいる間にパタパタとアーベルは溜まっていたリカルドの洗濯物の山を魔導洗濯機に放り込みつつ、部屋の掃除を始めた。リカルドが朝食を食べ終えると、食器を片付け、風呂やトイレ等の水回りを掃除し、昼食を作り始める。そんなアーベルを横目にリカルドはのんびり書きかけの論文を書いていた。美味しい昼食を2人で食べて、片付けが終わった後、掃除の続きを始めたアーベルの邪魔にならないように居間の隅っこで論文を書き続ける。夢中になって論文を書いていると、アーベルに呼ばれた。どうやら夕食らしい。今夜は冷えるので熱くて辛いピリ辛鍋にしたそうだ。卓上魔導コンロは持参してきたらしい。アーベルが持参してきたもので、リカルドの家には随分と物が増えた。それでもアーベルが常にキレイに整理整頓してくれるので、散らかってはいない。いつだって清潔なシーツで眠ることもできる。アーベル様々である。
夕食を楽しんでアーベルが片付けを終え、順番に風呂を使った後、リカルドは土産に貰った酒を開けた。米の酒のようで、非常に香りがいい。アーベルも少しだけ飲むと言うので、2つのグラスに注ぎ分け、リカルドは自分の分のグラスに口をつけた。とても豊かな香りが鼻に抜け、辛口ですごく美味しい。領館でのマーサ様達との飲み会で出てくる酒と多分同じだ。元・水の王のフーガ様も毎年参加されるので、サンガレアでは少し珍しい水の宗主国の酒も多く振る舞われている。こんなにゆっくり旨い酒を楽しめるなんて、そこまで酒好きという訳ではないリカルドでもなんだか嬉しくなる。静かにグラスを傾けつつ、アーベルに水の宗主国での話を聞いていると、そのうちアーベルがうとうとし始めた。まだグラス2杯目の半分くらいだ。多分疲れているのだろう。話を聞くに、どうやらかなり忙しかったようだ。半分眠っているアーベルの手の中のグラスを取り上げ、リカルドはくっと一息で残っていた酒を飲み干した。自分のグラスは空である。酒瓶にまだ酒は残っているが、明日でもいいだろう。どうせあと3日間は休みなのだ。

リカルドは本格的に寝息を立て始めたアーベルを横抱きに抱えあげて、寝室へと連れていった。ベッドに寝かせて、眠りながらくっついてくるアーベルを半ば抱き締めるようにして自分もベッドに横になる。布団を2人の身体にしっかりかけると、リカルドの胸の上で眠るアーベルの頭を優しく撫でつつ、ぼーっと天井を見上げた。ムラムラする。多分年末の疲れが残っているし、酒が入っているからだろう。あとアーベルの熱い体温と匂いもムラムラする要因の1つだ。1度アーベルとセックスをしてしまっている。アーベルの肌の滑らかさも、中の熱さも締めつけてくるアナルの感触もまだしっかりとリカルドは覚えていた。アーベルに手を出すつもりはなかったのだが、ついうっかりアーベルのいやらしい姿に我を忘れてしまって、そのまま抱いてしまった。ちょっぴり失敗したと流石に反省した。それからは普段通りの態度をとるようにしていたのだが、アーベルは微妙に挙動不審なままである。でもリカルドが頭を撫でるのは嫌ではないらしく、アーベルの帰り際にいつも頭を撫でると、顔を赤く染めるが、嬉しそうに小さく口元を緩める。アーベルが喜ぶならと、リカルドはいつも帰り際に優しくアーベルの頭を撫でるのが習慣になった。

ムラムラしたまま、ぼーっと天井を見上げていると、胸元のアーベルがもぞもぞ動き出した。アーベルの頭を優しく撫でると、乱れた髪のまま、アーベルが半分閉じた目のまま伸び上がって、リカルドにキスをした。少し驚くが、リカルドはアーベルの好きにさせた。押しつけてくるアーベルの唇を優しく吸い、舌を伸ばしてくるアーベルに自分の舌を差し出してねっとり絡め合った。アーベルが熱く固くなった自分の股間をリカルドに押しつけてくる。リカルドもすぐに興奮して、アーベルをぎゅっと抱き締めて夢中で情熱的なキスをする。互いの息が上がる頃には完全にリカルドの身体に火がついていた。リカルドのペニスは勃起して、ズボンが窮屈に感じる程である。リカルドはアーベルを押し倒してアーベルの上に跨がり、舌を絡めながら、アーベルの服を性急に脱がせた。アーベルを全裸にすると、自分の服も雑に脱ぎ捨てる。アーベルの白い身体のあちこちを舐め回し、身をよじって喘ぐアーベルに夢中で触れた。アーベルを1度フェラでイカせた後、一応補充しておいたローションを取ってから、アーベルを四つん這いにさせて、浄化魔術をかけてから、慎ましく閉じているアーベルのアナルを舐め回した。皺を伸ばすように丹念にねっとり舐めると、アーベルが腰をくねらせて喘ぐ。1度射精した筈のアーベルのペニスはすぐにまた勃起した。アーベルのペニスを手で弄りながら満足するまでアーベルのアナルを舐め回し、ローションのボトルから直接アーベルのアナルにたっぷりとローションをかけた。ぬるぬるするローションを指に絡めて、ゆっくりと熱いアーベルのアナルの中に指を挿れていく。アーベルはアナルを拡げるリカルドの指だけで、大きく身体を震わせてまた射精してしまった。リカルドの指が3本入るようになると、リカルドはアーベルのアナルから指を引き抜いて、自分のガチガチに固くなり反り返っているペニスにたっぷりローションを塗ってから、アーベルのひくひくしているローションまみれの濡れたアナルにゆっくりペニスを押し込んだ。そのまま焦らすことなく腰を激しく振る。アーベルの薄い尻とリカルドの下腹部がぶつかってパンパン音が鳴る程激しく腰を打ちつけていると、アーベルが大きく喘いで、キツくアナルでリカルドのペニスを締めつけてまた射精した。リカルドも何度か強く腰を打ちつけて、アーベルのアナルの中に思いっきり射精する。ものすごく気持ちがいい。でもまだ足りない。
リカルドは満足するまで、体位を変えながら何度もアーベルのキツいアナルにペニスを突っ込み、アーベルの身体を揺さぶり続けた。





ーーーーーー
朝目覚めて、また裸で寝ていた事にアーベルは仰天した。腰やアナルが微妙に痛い。ぐっすり眠っているリカルドにくっついたまま、昨夜の記憶を必死に思い出す。……自分からリカルドにキスをした事を思い出したアーベルは顔をしかめて低く唸った。やっちまった。その言葉だけが頭の中をぐるぐる回っていく。
起きたリカルドは、真っ赤な顔でプルプルしているアーベルを優しく抱き締め、落ち着かせるように優しくアーベルの裸の背中や頭を撫でた。その手の温もりに落ち着いたアーベルは、落ち着きすぎてそのまま眠ってしまった。次に目が覚めたのは夕方であった。交代で風呂を使った後、汚れたシーツをひっぺがして丸めて洗濯籠に突っ込み、新しいシーツをベッドに敷いた。手早く夕食を作って2人で食べると、片付けをした後、リカルドが酒を美味しそうに飲み出したので、つられてアーベルも酒を飲んでしまった。それからまた昨夜と同じパターンでリカルドとセックスをしてしまった。夜だけじゃなくて、起きてパニクるアーベルを抱き締めてくれるリカルドの裸の肌の温もりにうっかり興奮して勃起してしまって、そのまま真っ昼間からリカルドとセックスをしてしまった。明るい室内で見るリカルドの裸体と勃起したペニスに酷く興奮してしまい、アーベルは夢中でリカルドを求めてしまった。
結局休みの最終日の7日まで、セックス三昧の爛れた日々を送ってしまった。頭がおかしくなっていたとしか言いようがない。アーベルは疲れた微妙に痛む身体を無理矢理引きずって、領館の自室へと帰った。汚れまくった何枚ものシーツは次に行った時に洗うしかない。なんだか祖父や父とは気まずくて顔を会わせられなかった。疲れた身体を自室のベッドに横たえると、そのままアーベルは夢をみることなく、ぐっすりと眠ってしまった。
翌日の仕事始めの日はがっつり寝坊してしまい、酷く慌てる羽目になってしまった。
自分がリカルドに気を許して懐いている自覚はある。しかし身体まで許してしまうなんて完全に想定外だ。アーベルは忙しく仕事をこなしながら、少しでも暇があると、何故かリカルドの事が頭に思い浮かび、リカルドのことばかり考えて過ごした。
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