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拝啓、婚約者殿。寝込みを襲うのはやめなさい
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アウスレーゼはパチッと目を開けた。ばっと掛け布団を勢いよく剥ぎ取れば、鮮やかな赤毛が現れる。アウスレーゼのペニスをしっかり握った状態のダラーズと目が合う。
アウスレーゼはピシッと額に青筋を浮かべた。
「何をしているんですか。婚約者殿」
「えへっ。レーゼのちんちん弄ってる」
「品のない言葉を使うんじゃありません。私のモノから手を離しなさい」
「やだー」
ダラーズが悪戯っぽく笑って、アウスレーゼのペニスをゆるゆると手で擦って刺激を与えてくる。アウスレーゼは起き上がり、ガシッとダラーズの頭を片手で掴んだ。そのまま力を入れて、ギリギリとダラーズの頭を手で締めつける。
「いたいいたいいたいいたい」
「手を離しなさい」
「うぐぅ……やだぁ!」
「は・な・し・な・さ・い」
「レーゼとやらしいことしたいーー!!」
「10年早いっ!」
「10年は遅いっ!僕はもう14だぞ!!婚約してるんだからセックスしたっていいだろ!」
「婚前交渉なんてありえません。そもそも貴方と私は15も歳が違うのですから、白い結婚でいいでしょう」
「絶対いや。レーゼとセックスする。セックスしたい」
「お子ちゃまは私の守備範囲外です」
「誰がお子ちゃまだー!」
「ダラーズ様ですね」
「酷いっ!拗ねるぞっ!セックスさせてくれないと拗ねたままだからな!」
「拗ねてていいですよ」
「酷い」
ダラーズが漸くアウスレーゼのペニスから手を離した。アウスレーゼのペニスはダラーズが刺激しやがったせいで勃起している。アウスレーゼはそそくさと寝間着のズボンとパンツをずり上げ、自分のペニスを隠した。
ダラーズと婚約し、一緒の屋敷で暮らし始めてから、毎晩寝込みを襲われている。アウスレーゼは魔術狂いと呼ばれるレベルの研究馬鹿な魔術師が多い貧乏貴族の次男である。魔術や魔導具の研究開発にばかり金をかける家系で、アウスレーゼは金の為に、小遣い稼ぎに家庭教師をしていたダラーズと婚約した。ダラーズは裕福な公爵家の次男だ。保有する魔力が多く、魔術師として将来を期待されている少年である。婚約は公爵家の方から持ちかけられた。ダラーズは魔術師としては優秀な生徒だが、奔放なところがあり、落ち着いた大人に手綱を握っていてほしいらしい。アウスレーゼはダラーズを教え子として可愛がってはいるが、恋愛的な意味で好きな訳ではない。男に欲情する趣味もない。公爵家からアウスレーゼの実家にかなりの額の金が支払われ、おまけにアウスレーゼの研究にも支援してくれるというから婚約の話を受けただけだ。ダラーズは確かに可愛いが、アウスレーゼは白い結婚を貫くつもりである。
ダラーズが新緑のような色合いの瞳をキラキラさせて、アウスレーゼに抱きついてきた。出自も良く、正統派美少年のダラーズは魔術学園や社交界では大層モテるらしい。誰でも好きな者を選びたい放題だというのに、ダラーズはアウスレーゼにちょっかいをかけてくる。アウスレーゼは黒髪黒目の痩せた冴えない男だ。歳は28になる。ちなみに童貞である。若い頃から性的なことに関心がなく、魔術に関することばかりを勉強していた。それは今も似たようなものだが。
「アウスレーゼ。やらしいことしようよ」
「しないと言っているでしょう」
「でも僕勃っちゃってるもん。ほら」
「……うわ。触らせるの止めてください」
「ふふっ。レーゼの手、気持ちいい」
「やめなさい」
ダラーズがアウスレーゼの片手をとり、自分の股間に無理矢理触れさせた。ズボン越しにも明らかに固くなっていることが分かる。
アウスレーゼは大きな溜め息を吐いた。
「セックスがしてみたいのなら娼館に行きなさい」
「嫌だよ。僕はアウスレーゼとセックスがしたいの」
「私はしたくありません。なんだってこんなオッサンとセックスがしたいんですか」
「レーゼが好きだから?」
「悪趣味にも程があります」
「いい趣味してると思うよ!だからセックスしよ!」
ダラーズがいい笑顔で言い切った。悪趣味としか思えない。
アウスレーゼは眉間に深い皺を寄せた。今夜も優秀なのにアホな教え子への説教で貴重な睡眠時間が削られる。婚約は早まったかもしれない。後悔しても遅いのだが。
アウスレーゼは抱きついているダラーズを引き剥がし、ベッドの上に正座をさせて、こんこんと説教を始めた。
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「ねぇ、レーゼ」
「なんですか?説教は終わってませんよ」
「お説教は飽きたよ」
「なら寝込みを襲うのをやめなさい」
「やだ」
「『やだ』じゃありません」
「レーゼ。賭けをしよう」
「賭け?」
「レーゼが出した課題を僕がこなせたらセックスをする」
「嫌です」
「難しいのを出してもいいよ?僕はレーゼといやらしいことをする為なら全力でやるし。あ、期限以内にできなかったら、暫く寝込みは襲わないよ」
「……本当に寝込みを襲いませんか?」
「うん」
「よろしい。ならば課題を出しましょう」
「やった!できたらセックスだからね!」
「寝込みを襲われないようにします」
「ふふっ。僕がんばる~!」
寝込みを襲われるのが何度目か数えるのも馬鹿らしくなった、とある日の夜。
アウスレーゼはダラーズの提案にのり、ダラーズに課題を出した。今のダラーズには難易度が高過ぎるものを。若干、大人気ない気はするが、自分の貞操と睡眠時間を守る為である。必要なことだ。
アウスレーゼはご機嫌に寝室から出ていくダラーズを見送り、布団に潜り込んだ。アウスレーゼが好きなものは、魔術と睡眠である。期限までにダラーズが課題をクリアできるとは思わない。安眠が漸く手に入った喜びに、アウスレーゼは小さく口角を上げて眠りに落ちた。
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アウスレーゼは驚いて目を見開いた。アウスレーゼは糸目なので目を見開いても人より細いのだが、それでも黒曜石のような瞳が見える程目を見開いた。
ダラーズがドヤ顔でアウスレーゼを見上げた。
「できたよ!レーゼ!」
「……嘘でしょう……」
「ざーんねん!できちゃった。僕頑張ったもん!」
今のダラーズには難易度が高く、期限として決めた1か月ではできない筈の魔術だった。それを期限3日前である今、ダラーズはやってのけた。可愛い教え子の成長を喜べばいいのか、自分の貞操の危機に怯えればいいのか、判断に困る。
アウスレーゼは思わず額に手を当て、空を見上げた。憎々しい程澄んだ青空が見える。ダラーズは『セックス!セックス!』と嬉しそうに騒いでいる。賭けはアウスレーゼの負けである。正直今すぐバックレたい。
ダラーズが棒立ちのアウスレーゼに抱きつき、アウスレーゼの薄い胸板に額をぐりぐり擦りつけ、キラキラとした目で見上げてきた。
「今夜襲うから!」
「……マジですか……」
今夜、アウスレーゼは再び婚約者殿に寝込みを襲われるようである。
アウスレーゼは大きな溜め息を吐きながら、ベッドに倒れ込んだ。憂鬱過ぎる。多分もう少ししたら、可愛い教え子に襲われてしまう。安易に賭けをした自分が悪いのだが、まだ少年のダラーズとセックスをすることに罪悪感を感じる。本音を言えば、性に興味津々な年頃であるダラーズがアウスレーゼとセックスをして、『たいしたことなかったな』と、アウスレーゼに飽きるのが怖い。アウスレーゼはダラーズが可愛い。夫婦になってもいいかと思える程度には。ダラーズとは白い結婚を貫くつもりだったが、それはアウスレーゼに飽きられないようにする為でもある。アウスレーゼはダラーズに捨てられたくない。肉体関係さえ持たなければ、このままずっと仲がいい魔術の先生と教え子という関係でいられると思った。ただ、ダラーズと寄り添って生きていけると思っていた。セックスなんてしたくない。幻滅されるのがオチだ。
アウスレーゼは低く唸りながら、枕を強く抱きしめた。
アウスレーゼがうとうとしていると、寝室のドアが静かに開く音がした。アウスレーゼが目を開けると、ダラーズが勢いよくアウスレーゼの上に降ってきた。
「ぐえっ!?」
「レーゼ!レーゼ!セックスの時間だよ!」
「ちょっ、おもっ、ど、どきなさいっ!」
「はぁーい」
アウスレーゼの身体の上からダラーズがどき、がばっと勢いよく掛け布団を剥ぎ取って床に落とした。小さなランプの明かりだけだった室内が、魔術で昼間のように明るくなる。ダラーズが魔術を使った。アウスレーゼは頬を引き攣らせた。
「……なんで明るくするのです」
「え?だって全部見たいもん」
「見ても面白いものはありません。消しなさい」
「やだ」
「分かりました。私が消します」
「消してもつけるよ」
「……く、暗いところで、その、するのがマナーでしょう」
「そんなの人それぞれだよ。僕は明るい方がいい。あ、ちゃんと潤滑油とか用意してるから安心してね。やり方も執事に教えてもらったから」
「何余計なこと教えてるんだあの人は」
アウスレーゼは口髭がチャーミングな壮年の執事を恨めしく思った。本当に余計なことを教えやがって。アウスレーゼがギリギリと奥歯を噛み締めていると、ダラーズが起き上がっているアウスレーゼに抱きつき、両手で頬を包みこんで、ちゅっとアウスレーゼの唇にキスをした。アウスレーゼはピシッと固まった。キスなんて生まれて初めてである。かぁぁっと顔が熱くなる。
「な、な、な、な……」
「な?」
「な、なにするんですか!は、初めてなのにっ」
「え?初めてじゃないよ?レーゼが寝てる時に何度もしてるもん」
「何してくれてんですかクソガキ」
「あ、初めてはもっとロマンチックな感じがよかった?」
「そ、そういう問題ではありません」
「ごめんねー。ロマンチックなのは今度にするよ。今はとりあえずセックスしよ」
「情緒も何もない」
「アウスレーゼ。舌出して」
「え?嫌ですよ。はしたないじゃないですか」
「いやらしいことするんだから、はしたないも何もないよ。ほら、出して。賭けに勝ったのは僕なんだから」
「……うぅ……」
アウスレーゼはちょこっと舌を口から出した。なんてはしたないことをさせるんだ。顔が熱くて堪らない。ダラーズがアウスレーゼの舌ごと何度も唇を吸ってくる。ダラーズの舌がアウスレーゼの舌に触れる。思わず身体を小さく揺らし、目を見開くと、楽しそうなダラーズの瞳と視線が絡んだ。恥ずかしくて今すぐ何処かへ逃亡したい。膝の上にダラーズが乗っているので動けないのだが。しつこい程唇を吸って、舐めて、ダラーズがアウスレーゼの舌と自分の舌を絡ませるようにして口内に舌を潜り込ませてきた。ねっとりと上顎を舐められると、背筋がぞわぞわして、微かに下腹部に血液が移動していく感覚がする。背徳感が半端ない。可愛い教え子の少年とキスをしてしまっている。
唇を触れ合わせながら、ダラーズが囁いた。
「もっとやらしいこと、しよ?」
アウスレーゼは恥ずかしさで涙目になりながら、寝間着を脱がせ始めたダラーズの手を大人しく受け入れた。
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誰にも触れさせたことがないアナルにダラーズの舌が触れている。ぬるぬると皺の1枚1枚を伸ばすように丁寧に舐められており、初めて感じる感覚にアウスレーゼは腰をくねらせて枕に強くしがみついた。
既に全身をダラーズに舐め回されている。耳も首も鎖骨も乳首も腹も臍も背中も内腿も脛も足の指もペニスさえも舐められた。恥ずかしくて死にそうである。
ダラーズの舌先がアウスレーゼのアナルに差し込まれた。にゅこにゅこと舌をアナルに抜き差しされる。アウスレーゼは背を駆け上る快感に腰をくねらせた。アウスレーゼはどうやらアナルの才能があったらしい。全力でいらなかった。俯せに寝転がっているので、身動きすると勃起してしまったペニスがシーツで擦れてしまう。アウスレーゼは漏れ出てしまいそうなはしたない声を、必死で枕に吸わせた。
ダラーズの熱い舌が漸くアナルから離れたかと思えば、少し冷たい液体がアナルにかかった。多分、潤滑油だろう。ダラーズの指先が潤滑油を馴染ませるように、アウスレーゼのアナルをくにくにと撫でた。
「レーゼ。レーゼのアナル可愛いね」
「か、可愛くなんてない」
「可愛いよ。ひくひくしちゃってて、すごくいやらしい」
「う、うるさい」
「やばーい。ちんちん痛い。早くここに入りたいなぁ」
ダラーズが楽しそうに笑った。余裕か。ダラーズだって童貞の筈なのに。アウスレーゼは悔しくて奥歯を噛み締めた。ぬるぅっと潤滑油の滑りを借りて、ダラーズの指がアナルの中に入ってくる。ゆっくりと指を抜き差しされると、排泄感に似た感覚と微かな快感を感じる。ダラーズが興奮したような上擦った声を上げた。
「すっごい。レーゼの中、熱いよ。うねうねしてる」
「い、言わないでくださいっ」
「絶対これ気持ちいいよ。レーゼの気持ちいいところ探すね。前立腺」
「探さなくていいですっ!」
「前立腺はどこかなー?」
ぬこぬこと指を抜き差ししながら、アナルの中を探るようにダラーズの指が動き回っている。ある一点にダラーズの指が触れた瞬間、アウスレーゼはビクッと大きく身体を震わせた。
「あぁっ!?」
「あ、みっけ」
「ひ、あっ!や、やめっ!」
「わぁ!すごい!気持ちいいんだね、レーゼ。指が食いちぎられそうだよ」
「あぅっ!やぁ!ひんっ!んぁっ!」
「あぁもう!本当堪んないっ!レーゼ可愛いっ。腰動いてるよ?気持ちいいね?指増やすね」
アウスレーゼの前立腺を指の腹で弄りながら、アナルを拡げるようにしてダラーズの指が動き回る。こんな快感知らない。アウスレーゼは自慰も極たまにしかしない。生活に支障をきたさない程度に処理をするだけだ。快感慣れしていないアウスレーゼは、初めての快感が怖くて、啜り泣き始めた。情けないが、怖いものは怖い。アウスレーゼが泣き出したのを察したのか、アナルに入れた指を動かしながら、ダラーズが優しくアウスレーゼの薄い尻を撫でた。
「レーゼ。もうちょっと頑張ってね」
結局、指が3本スムーズにアナルに抜き差しできるようになるまで、ダラーズの手は止まらなかった。アウスレーゼはいい歳してガチ泣きした。
久しぶりに泣いたからか、頭がぼうっとする。アウスレーゼはぼんやりとしたまま、ダラーズに促されるがまま仰向けになった。膝を立てさせられ、両足を広げる。涙や鼻水、涎でぐちょぐちょの枕を奪われ、腰の下に置かれた。
何気なくダラーズの股間を見て、アウスレーゼは大きく目を見開いた。デカい。まだ14歳なのに、アウスレーゼのペニスよりも明らかにデカい。思わず素に戻る程のデカさである。アウスレーゼは呆然と口をはくはく開け閉めした。
ダラーズが興奮に頬を赤らめ、自分のペニスの先っぽを、弄られまくって熱を持っているアウスレーゼのアナルに押しつけた。アウスレーゼは頬を引きつらせた。涙がじわっと滲んでくる。
「む、むりです……」
「大丈夫。ちゃんと解したから入るよ」
「むり、むり、絶対痛い。絶対痛い」
「あ、この潤滑油ね、初夜用なんだよ。鎮痛作用と催淫作用があるんだよね」
「どこでそんなもの手に入れたんですか!?」
「執事に貰った」
「余計なことをっ……」
アウスレーゼは優秀だが茶目っ気もある執事に後で嫌がらせの魔術をかけることを決意した。ぶつけると腕がビリビリ痺れる肘の部分を強打しまくる魔術をかけてやる。絶対にだ。
アウスレーゼがギリギリと奥歯を噛み締めていると、ぐっと強くアナルにペニスを押しつけられ、そのままずるぅっと勢いよくアナルの中にダラーズのペニスが入ってきた。狭いアナルの中が勢いよく熱くて固いペニスで埋められる。唐突な衝撃と微かな痛み、確かにある快感に身体が震える。
「ひぎっ!?」
「あぁっ!ヤバいっ!気持ちいいっ!ごめんね、レーゼ。後でちゃんとお説教聞くから」
「あっ!あ!え!あ!あっ!あっ!やめっ、はげしっ、あぁっ!」
「すごいっ、すごいっ、レーゼの中、本当、やばいっ」
ダラーズのペニスが勢いよくアナルを出入りしている。前立腺をごりっと強く擦りながら、奥をガツンッと突き上げられる。絶対に入ったらいけないところにまで入ってしまっている。奥を突き上げられる度に、強い衝撃と微かな痛み、鋭い快感が脳天を突き抜ける。アウスレーゼの両足を両手で抱えながら、ダラーズが激しく速く腰を振っている。内臓を揺さぶられるような衝撃と強烈な快感に声が出てしまうのを止められない。アウスレーゼはすがるようにダラーズの腕を掴み、身体を震わせながら大きく喘いだ。
「レーゼ。レーゼ。可愛い。すごく可愛い」
「あぁっ!あっ!あっ!あっ!あうっ!」
「レーゼも気持ちいいんだね。すっごい締まってるよ。あぁ、もう出ちゃいそう。中でっ、出すねっ」
「ひんっ!やぁ!なかはっ、なかはだめっ!あぁぁっ!」
「出すよっ!出すよっ!あぁぁぁっ、すごいっ!!」
「ひぁぁぁっ!!」
ガツンッと一際強く奥を突き上げられた。中でダラーズのペニスが微かにビクビク震えているのが、なんとなく分かる。本当に中に出された。アウスレーゼは涙をポロポロ溢しながら、呆然と自分のペニスを見た。だらだらと勃起したペニスから白い精液が溢れている。まさか中出しされてイッてしまったのか。ダラーズもそれに気づいたようで、はぁはぁと荒い息を吐きながら、アウスレーゼの射精しているペニスを指先でつつーっと撫でた。
「レーゼもイッちゃったんだね。可愛い」
「え、あ、あ、な、なんでまた大きく……」
「こんな可愛いの見せられたら勃つに決まってるでしょ」
ダラーズがにっこりと微笑んだ。
「今夜は眠れないよ?」
ダラーズの宣言通り、アウスレーゼが気絶するように眠りに落ちたのは朝日が昇った後だった。
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身体をぬるぬると何かが這い回る感覚がして、アウスレーゼは目覚めた。掛け布団をがばっと剥がすと、鮮やかな赤毛が見える。アウスレーゼはピシッと額に青筋を浮かべた。
「何をしているのです。婚約者殿」
「レーゼを舐めてる」
「寝込みを襲うのはやめなさい」
「やだよ。楽しいもん」
「……したいのなら普通に誘えばいいでしょう」
「無防備に寝てるレーゼを観察して悪戯するのがいいんじゃない」
「意味が分かりません」
「レーゼは可愛いなぁ」
「意味が分かりません」
「レーゼ」
「なんですか」
「セックスしよ?」
「……次から普通に誘うようにしてください」
「一応善処するよ」
ダラーズが悪戯っぽく笑って、アウスレーゼの唇にキスをした。
婚約者殿は初めてセックスをした以降も毎晩のように寝込みを襲ってくる。3回に1回は流されているアウスレーゼである。
1年経っても、2年経ってもダラーズはアウスレーゼに飽きる様子がない。16で成人を迎え、正式に結婚しても、わざと寝室を分けて、アウスレーゼの寝込みを襲ってくる。そういう趣味だと諦めた。
結婚して10年経っても、20年経っても、ダラーズをアウスレーゼを可愛いと言って、毎晩寝込みを襲い続けた。多分更に10年経っても襲ってくる気がする。
寝込みを襲われるのは嫌いじゃない。ダラーズの愛を感じるから。
アウスレーゼは今夜も1人でベッドに上がって布団に潜り込んだ。
朝を迎えるのは2人で一緒に。
(おしまい)
アウスレーゼはピシッと額に青筋を浮かべた。
「何をしているんですか。婚約者殿」
「えへっ。レーゼのちんちん弄ってる」
「品のない言葉を使うんじゃありません。私のモノから手を離しなさい」
「やだー」
ダラーズが悪戯っぽく笑って、アウスレーゼのペニスをゆるゆると手で擦って刺激を与えてくる。アウスレーゼは起き上がり、ガシッとダラーズの頭を片手で掴んだ。そのまま力を入れて、ギリギリとダラーズの頭を手で締めつける。
「いたいいたいいたいいたい」
「手を離しなさい」
「うぐぅ……やだぁ!」
「は・な・し・な・さ・い」
「レーゼとやらしいことしたいーー!!」
「10年早いっ!」
「10年は遅いっ!僕はもう14だぞ!!婚約してるんだからセックスしたっていいだろ!」
「婚前交渉なんてありえません。そもそも貴方と私は15も歳が違うのですから、白い結婚でいいでしょう」
「絶対いや。レーゼとセックスする。セックスしたい」
「お子ちゃまは私の守備範囲外です」
「誰がお子ちゃまだー!」
「ダラーズ様ですね」
「酷いっ!拗ねるぞっ!セックスさせてくれないと拗ねたままだからな!」
「拗ねてていいですよ」
「酷い」
ダラーズが漸くアウスレーゼのペニスから手を離した。アウスレーゼのペニスはダラーズが刺激しやがったせいで勃起している。アウスレーゼはそそくさと寝間着のズボンとパンツをずり上げ、自分のペニスを隠した。
ダラーズと婚約し、一緒の屋敷で暮らし始めてから、毎晩寝込みを襲われている。アウスレーゼは魔術狂いと呼ばれるレベルの研究馬鹿な魔術師が多い貧乏貴族の次男である。魔術や魔導具の研究開発にばかり金をかける家系で、アウスレーゼは金の為に、小遣い稼ぎに家庭教師をしていたダラーズと婚約した。ダラーズは裕福な公爵家の次男だ。保有する魔力が多く、魔術師として将来を期待されている少年である。婚約は公爵家の方から持ちかけられた。ダラーズは魔術師としては優秀な生徒だが、奔放なところがあり、落ち着いた大人に手綱を握っていてほしいらしい。アウスレーゼはダラーズを教え子として可愛がってはいるが、恋愛的な意味で好きな訳ではない。男に欲情する趣味もない。公爵家からアウスレーゼの実家にかなりの額の金が支払われ、おまけにアウスレーゼの研究にも支援してくれるというから婚約の話を受けただけだ。ダラーズは確かに可愛いが、アウスレーゼは白い結婚を貫くつもりである。
ダラーズが新緑のような色合いの瞳をキラキラさせて、アウスレーゼに抱きついてきた。出自も良く、正統派美少年のダラーズは魔術学園や社交界では大層モテるらしい。誰でも好きな者を選びたい放題だというのに、ダラーズはアウスレーゼにちょっかいをかけてくる。アウスレーゼは黒髪黒目の痩せた冴えない男だ。歳は28になる。ちなみに童貞である。若い頃から性的なことに関心がなく、魔術に関することばかりを勉強していた。それは今も似たようなものだが。
「アウスレーゼ。やらしいことしようよ」
「しないと言っているでしょう」
「でも僕勃っちゃってるもん。ほら」
「……うわ。触らせるの止めてください」
「ふふっ。レーゼの手、気持ちいい」
「やめなさい」
ダラーズがアウスレーゼの片手をとり、自分の股間に無理矢理触れさせた。ズボン越しにも明らかに固くなっていることが分かる。
アウスレーゼは大きな溜め息を吐いた。
「セックスがしてみたいのなら娼館に行きなさい」
「嫌だよ。僕はアウスレーゼとセックスがしたいの」
「私はしたくありません。なんだってこんなオッサンとセックスがしたいんですか」
「レーゼが好きだから?」
「悪趣味にも程があります」
「いい趣味してると思うよ!だからセックスしよ!」
ダラーズがいい笑顔で言い切った。悪趣味としか思えない。
アウスレーゼは眉間に深い皺を寄せた。今夜も優秀なのにアホな教え子への説教で貴重な睡眠時間が削られる。婚約は早まったかもしれない。後悔しても遅いのだが。
アウスレーゼは抱きついているダラーズを引き剥がし、ベッドの上に正座をさせて、こんこんと説教を始めた。
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「ねぇ、レーゼ」
「なんですか?説教は終わってませんよ」
「お説教は飽きたよ」
「なら寝込みを襲うのをやめなさい」
「やだ」
「『やだ』じゃありません」
「レーゼ。賭けをしよう」
「賭け?」
「レーゼが出した課題を僕がこなせたらセックスをする」
「嫌です」
「難しいのを出してもいいよ?僕はレーゼといやらしいことをする為なら全力でやるし。あ、期限以内にできなかったら、暫く寝込みは襲わないよ」
「……本当に寝込みを襲いませんか?」
「うん」
「よろしい。ならば課題を出しましょう」
「やった!できたらセックスだからね!」
「寝込みを襲われないようにします」
「ふふっ。僕がんばる~!」
寝込みを襲われるのが何度目か数えるのも馬鹿らしくなった、とある日の夜。
アウスレーゼはダラーズの提案にのり、ダラーズに課題を出した。今のダラーズには難易度が高過ぎるものを。若干、大人気ない気はするが、自分の貞操と睡眠時間を守る為である。必要なことだ。
アウスレーゼはご機嫌に寝室から出ていくダラーズを見送り、布団に潜り込んだ。アウスレーゼが好きなものは、魔術と睡眠である。期限までにダラーズが課題をクリアできるとは思わない。安眠が漸く手に入った喜びに、アウスレーゼは小さく口角を上げて眠りに落ちた。
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アウスレーゼは驚いて目を見開いた。アウスレーゼは糸目なので目を見開いても人より細いのだが、それでも黒曜石のような瞳が見える程目を見開いた。
ダラーズがドヤ顔でアウスレーゼを見上げた。
「できたよ!レーゼ!」
「……嘘でしょう……」
「ざーんねん!できちゃった。僕頑張ったもん!」
今のダラーズには難易度が高く、期限として決めた1か月ではできない筈の魔術だった。それを期限3日前である今、ダラーズはやってのけた。可愛い教え子の成長を喜べばいいのか、自分の貞操の危機に怯えればいいのか、判断に困る。
アウスレーゼは思わず額に手を当て、空を見上げた。憎々しい程澄んだ青空が見える。ダラーズは『セックス!セックス!』と嬉しそうに騒いでいる。賭けはアウスレーゼの負けである。正直今すぐバックレたい。
ダラーズが棒立ちのアウスレーゼに抱きつき、アウスレーゼの薄い胸板に額をぐりぐり擦りつけ、キラキラとした目で見上げてきた。
「今夜襲うから!」
「……マジですか……」
今夜、アウスレーゼは再び婚約者殿に寝込みを襲われるようである。
アウスレーゼは大きな溜め息を吐きながら、ベッドに倒れ込んだ。憂鬱過ぎる。多分もう少ししたら、可愛い教え子に襲われてしまう。安易に賭けをした自分が悪いのだが、まだ少年のダラーズとセックスをすることに罪悪感を感じる。本音を言えば、性に興味津々な年頃であるダラーズがアウスレーゼとセックスをして、『たいしたことなかったな』と、アウスレーゼに飽きるのが怖い。アウスレーゼはダラーズが可愛い。夫婦になってもいいかと思える程度には。ダラーズとは白い結婚を貫くつもりだったが、それはアウスレーゼに飽きられないようにする為でもある。アウスレーゼはダラーズに捨てられたくない。肉体関係さえ持たなければ、このままずっと仲がいい魔術の先生と教え子という関係でいられると思った。ただ、ダラーズと寄り添って生きていけると思っていた。セックスなんてしたくない。幻滅されるのがオチだ。
アウスレーゼは低く唸りながら、枕を強く抱きしめた。
アウスレーゼがうとうとしていると、寝室のドアが静かに開く音がした。アウスレーゼが目を開けると、ダラーズが勢いよくアウスレーゼの上に降ってきた。
「ぐえっ!?」
「レーゼ!レーゼ!セックスの時間だよ!」
「ちょっ、おもっ、ど、どきなさいっ!」
「はぁーい」
アウスレーゼの身体の上からダラーズがどき、がばっと勢いよく掛け布団を剥ぎ取って床に落とした。小さなランプの明かりだけだった室内が、魔術で昼間のように明るくなる。ダラーズが魔術を使った。アウスレーゼは頬を引き攣らせた。
「……なんで明るくするのです」
「え?だって全部見たいもん」
「見ても面白いものはありません。消しなさい」
「やだ」
「分かりました。私が消します」
「消してもつけるよ」
「……く、暗いところで、その、するのがマナーでしょう」
「そんなの人それぞれだよ。僕は明るい方がいい。あ、ちゃんと潤滑油とか用意してるから安心してね。やり方も執事に教えてもらったから」
「何余計なこと教えてるんだあの人は」
アウスレーゼは口髭がチャーミングな壮年の執事を恨めしく思った。本当に余計なことを教えやがって。アウスレーゼがギリギリと奥歯を噛み締めていると、ダラーズが起き上がっているアウスレーゼに抱きつき、両手で頬を包みこんで、ちゅっとアウスレーゼの唇にキスをした。アウスレーゼはピシッと固まった。キスなんて生まれて初めてである。かぁぁっと顔が熱くなる。
「な、な、な、な……」
「な?」
「な、なにするんですか!は、初めてなのにっ」
「え?初めてじゃないよ?レーゼが寝てる時に何度もしてるもん」
「何してくれてんですかクソガキ」
「あ、初めてはもっとロマンチックな感じがよかった?」
「そ、そういう問題ではありません」
「ごめんねー。ロマンチックなのは今度にするよ。今はとりあえずセックスしよ」
「情緒も何もない」
「アウスレーゼ。舌出して」
「え?嫌ですよ。はしたないじゃないですか」
「いやらしいことするんだから、はしたないも何もないよ。ほら、出して。賭けに勝ったのは僕なんだから」
「……うぅ……」
アウスレーゼはちょこっと舌を口から出した。なんてはしたないことをさせるんだ。顔が熱くて堪らない。ダラーズがアウスレーゼの舌ごと何度も唇を吸ってくる。ダラーズの舌がアウスレーゼの舌に触れる。思わず身体を小さく揺らし、目を見開くと、楽しそうなダラーズの瞳と視線が絡んだ。恥ずかしくて今すぐ何処かへ逃亡したい。膝の上にダラーズが乗っているので動けないのだが。しつこい程唇を吸って、舐めて、ダラーズがアウスレーゼの舌と自分の舌を絡ませるようにして口内に舌を潜り込ませてきた。ねっとりと上顎を舐められると、背筋がぞわぞわして、微かに下腹部に血液が移動していく感覚がする。背徳感が半端ない。可愛い教え子の少年とキスをしてしまっている。
唇を触れ合わせながら、ダラーズが囁いた。
「もっとやらしいこと、しよ?」
アウスレーゼは恥ずかしさで涙目になりながら、寝間着を脱がせ始めたダラーズの手を大人しく受け入れた。
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誰にも触れさせたことがないアナルにダラーズの舌が触れている。ぬるぬると皺の1枚1枚を伸ばすように丁寧に舐められており、初めて感じる感覚にアウスレーゼは腰をくねらせて枕に強くしがみついた。
既に全身をダラーズに舐め回されている。耳も首も鎖骨も乳首も腹も臍も背中も内腿も脛も足の指もペニスさえも舐められた。恥ずかしくて死にそうである。
ダラーズの舌先がアウスレーゼのアナルに差し込まれた。にゅこにゅこと舌をアナルに抜き差しされる。アウスレーゼは背を駆け上る快感に腰をくねらせた。アウスレーゼはどうやらアナルの才能があったらしい。全力でいらなかった。俯せに寝転がっているので、身動きすると勃起してしまったペニスがシーツで擦れてしまう。アウスレーゼは漏れ出てしまいそうなはしたない声を、必死で枕に吸わせた。
ダラーズの熱い舌が漸くアナルから離れたかと思えば、少し冷たい液体がアナルにかかった。多分、潤滑油だろう。ダラーズの指先が潤滑油を馴染ませるように、アウスレーゼのアナルをくにくにと撫でた。
「レーゼ。レーゼのアナル可愛いね」
「か、可愛くなんてない」
「可愛いよ。ひくひくしちゃってて、すごくいやらしい」
「う、うるさい」
「やばーい。ちんちん痛い。早くここに入りたいなぁ」
ダラーズが楽しそうに笑った。余裕か。ダラーズだって童貞の筈なのに。アウスレーゼは悔しくて奥歯を噛み締めた。ぬるぅっと潤滑油の滑りを借りて、ダラーズの指がアナルの中に入ってくる。ゆっくりと指を抜き差しされると、排泄感に似た感覚と微かな快感を感じる。ダラーズが興奮したような上擦った声を上げた。
「すっごい。レーゼの中、熱いよ。うねうねしてる」
「い、言わないでくださいっ」
「絶対これ気持ちいいよ。レーゼの気持ちいいところ探すね。前立腺」
「探さなくていいですっ!」
「前立腺はどこかなー?」
ぬこぬこと指を抜き差ししながら、アナルの中を探るようにダラーズの指が動き回っている。ある一点にダラーズの指が触れた瞬間、アウスレーゼはビクッと大きく身体を震わせた。
「あぁっ!?」
「あ、みっけ」
「ひ、あっ!や、やめっ!」
「わぁ!すごい!気持ちいいんだね、レーゼ。指が食いちぎられそうだよ」
「あぅっ!やぁ!ひんっ!んぁっ!」
「あぁもう!本当堪んないっ!レーゼ可愛いっ。腰動いてるよ?気持ちいいね?指増やすね」
アウスレーゼの前立腺を指の腹で弄りながら、アナルを拡げるようにしてダラーズの指が動き回る。こんな快感知らない。アウスレーゼは自慰も極たまにしかしない。生活に支障をきたさない程度に処理をするだけだ。快感慣れしていないアウスレーゼは、初めての快感が怖くて、啜り泣き始めた。情けないが、怖いものは怖い。アウスレーゼが泣き出したのを察したのか、アナルに入れた指を動かしながら、ダラーズが優しくアウスレーゼの薄い尻を撫でた。
「レーゼ。もうちょっと頑張ってね」
結局、指が3本スムーズにアナルに抜き差しできるようになるまで、ダラーズの手は止まらなかった。アウスレーゼはいい歳してガチ泣きした。
久しぶりに泣いたからか、頭がぼうっとする。アウスレーゼはぼんやりとしたまま、ダラーズに促されるがまま仰向けになった。膝を立てさせられ、両足を広げる。涙や鼻水、涎でぐちょぐちょの枕を奪われ、腰の下に置かれた。
何気なくダラーズの股間を見て、アウスレーゼは大きく目を見開いた。デカい。まだ14歳なのに、アウスレーゼのペニスよりも明らかにデカい。思わず素に戻る程のデカさである。アウスレーゼは呆然と口をはくはく開け閉めした。
ダラーズが興奮に頬を赤らめ、自分のペニスの先っぽを、弄られまくって熱を持っているアウスレーゼのアナルに押しつけた。アウスレーゼは頬を引きつらせた。涙がじわっと滲んでくる。
「む、むりです……」
「大丈夫。ちゃんと解したから入るよ」
「むり、むり、絶対痛い。絶対痛い」
「あ、この潤滑油ね、初夜用なんだよ。鎮痛作用と催淫作用があるんだよね」
「どこでそんなもの手に入れたんですか!?」
「執事に貰った」
「余計なことをっ……」
アウスレーゼは優秀だが茶目っ気もある執事に後で嫌がらせの魔術をかけることを決意した。ぶつけると腕がビリビリ痺れる肘の部分を強打しまくる魔術をかけてやる。絶対にだ。
アウスレーゼがギリギリと奥歯を噛み締めていると、ぐっと強くアナルにペニスを押しつけられ、そのままずるぅっと勢いよくアナルの中にダラーズのペニスが入ってきた。狭いアナルの中が勢いよく熱くて固いペニスで埋められる。唐突な衝撃と微かな痛み、確かにある快感に身体が震える。
「ひぎっ!?」
「あぁっ!ヤバいっ!気持ちいいっ!ごめんね、レーゼ。後でちゃんとお説教聞くから」
「あっ!あ!え!あ!あっ!あっ!やめっ、はげしっ、あぁっ!」
「すごいっ、すごいっ、レーゼの中、本当、やばいっ」
ダラーズのペニスが勢いよくアナルを出入りしている。前立腺をごりっと強く擦りながら、奥をガツンッと突き上げられる。絶対に入ったらいけないところにまで入ってしまっている。奥を突き上げられる度に、強い衝撃と微かな痛み、鋭い快感が脳天を突き抜ける。アウスレーゼの両足を両手で抱えながら、ダラーズが激しく速く腰を振っている。内臓を揺さぶられるような衝撃と強烈な快感に声が出てしまうのを止められない。アウスレーゼはすがるようにダラーズの腕を掴み、身体を震わせながら大きく喘いだ。
「レーゼ。レーゼ。可愛い。すごく可愛い」
「あぁっ!あっ!あっ!あっ!あうっ!」
「レーゼも気持ちいいんだね。すっごい締まってるよ。あぁ、もう出ちゃいそう。中でっ、出すねっ」
「ひんっ!やぁ!なかはっ、なかはだめっ!あぁぁっ!」
「出すよっ!出すよっ!あぁぁぁっ、すごいっ!!」
「ひぁぁぁっ!!」
ガツンッと一際強く奥を突き上げられた。中でダラーズのペニスが微かにビクビク震えているのが、なんとなく分かる。本当に中に出された。アウスレーゼは涙をポロポロ溢しながら、呆然と自分のペニスを見た。だらだらと勃起したペニスから白い精液が溢れている。まさか中出しされてイッてしまったのか。ダラーズもそれに気づいたようで、はぁはぁと荒い息を吐きながら、アウスレーゼの射精しているペニスを指先でつつーっと撫でた。
「レーゼもイッちゃったんだね。可愛い」
「え、あ、あ、な、なんでまた大きく……」
「こんな可愛いの見せられたら勃つに決まってるでしょ」
ダラーズがにっこりと微笑んだ。
「今夜は眠れないよ?」
ダラーズの宣言通り、アウスレーゼが気絶するように眠りに落ちたのは朝日が昇った後だった。
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身体をぬるぬると何かが這い回る感覚がして、アウスレーゼは目覚めた。掛け布団をがばっと剥がすと、鮮やかな赤毛が見える。アウスレーゼはピシッと額に青筋を浮かべた。
「何をしているのです。婚約者殿」
「レーゼを舐めてる」
「寝込みを襲うのはやめなさい」
「やだよ。楽しいもん」
「……したいのなら普通に誘えばいいでしょう」
「無防備に寝てるレーゼを観察して悪戯するのがいいんじゃない」
「意味が分かりません」
「レーゼは可愛いなぁ」
「意味が分かりません」
「レーゼ」
「なんですか」
「セックスしよ?」
「……次から普通に誘うようにしてください」
「一応善処するよ」
ダラーズが悪戯っぽく笑って、アウスレーゼの唇にキスをした。
婚約者殿は初めてセックスをした以降も毎晩のように寝込みを襲ってくる。3回に1回は流されているアウスレーゼである。
1年経っても、2年経ってもダラーズはアウスレーゼに飽きる様子がない。16で成人を迎え、正式に結婚しても、わざと寝室を分けて、アウスレーゼの寝込みを襲ってくる。そういう趣味だと諦めた。
結婚して10年経っても、20年経っても、ダラーズをアウスレーゼを可愛いと言って、毎晩寝込みを襲い続けた。多分更に10年経っても襲ってくる気がする。
寝込みを襲われるのは嫌いじゃない。ダラーズの愛を感じるから。
アウスレーゼは今夜も1人でベッドに上がって布団に潜り込んだ。
朝を迎えるのは2人で一緒に。
(おしまい)
応援ありがとうございます!
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