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第四章 王宮で
4.料理談義
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侯爵夫妻は(そして私も)、大使お抱えのコックのメンデエル料理を絶賛し、ジェルヴェも珍しそうに「これは…なんという野菜?」とかいちいち興味を持って訊いていた。
『この素朴な味が良いですね』
『さようです。
メンデエルはルーマデュカと違ってあまり肥沃な大地を持たず、交易で成り立っているような国です。
ですから、外国のものを上手に取り入れてアレンジする才能は高いのですが…
しかし、メンデエル料理は自国で採れるものを最大限に生かしているのが特徴なのでございます』
アウフレヒト侯爵はそう言って胸を張る。
『なるほどね』
ジェルヴェは何やら考え込みながら、ひとくちひとくち、味わっている。
『わたくしは、このルーマデュカ料理が大変気に入りましたわ』
メンデエルでは美食家で鳴らしている公爵夫人が、ほうっと満足のため息をこぼす。
『とても洗練されていて、複雑なお味…
奥が深くて飽きないですわね。
輸入物のルーマデュカ料理と称されているものとは全然違いますわ』
私は料理を食べながら不思議に思っていたことをメンデエルのコックに訊いてみる。
『このアーティチョークとか白アスパラは、どこで手に入れたの?
こちらではあまり使われないでしょう』
『さようでございます。
こういった野菜類は、伯爵様にお許しをいただきまして、お邸のお庭で自家栽培をしております』
『えっ!』
驚いてしげしげとピクルスを眺める。
『そんなことできるの?』
『かなり苦労いたしましたが…
土壌の改良や温度管理などで、なんとか食卓へお出しできるものが作れました』
『わたくしもここでやってみたいわ。
教えてくれるかしら?』
私が身を乗り出して言うと、コックは驚愕したように口を開けた。
『あ、はい、もちろんでございます、が…
王太子妃様が、でございますか?』
『もちろん、皆にも手伝ってもらうわ。
でも、メンデエルにいたころは、毎年の作物の出来不出来を知って改良点や作物の病気のことなどを管理するのも仕事の一つだったから』
「へえ、すごいなリンスターは!
私も興味が湧いてきましたよ。
陛下に城の土地を少し使っても良いか聞いてみましょう。
なに、王太子妃専用の庭と四阿を作りたいとでも言えば良いのですよ。
併せてルーマデュカの野菜もいかがです?」
「えっ、ジェルヴェ、本当に?
わ、嬉しい。ルーマデュカのお野菜もやってみたいわ!」
私は両手を打ち合わせて喜ぶ。
「そのお顔は反則ですよ、リンスター。
可愛らしさのあまり、客人がいることも忘れてしまいそうになりますから」
臆面もないジェルヴェの言葉に、私は顔をが赤くなってしまい「やめてよこんなところで…」と口ごもるのが精一杯になってしまう。
こうして《城の庭で野菜づくり計画》は始動したのだった。
『この素朴な味が良いですね』
『さようです。
メンデエルはルーマデュカと違ってあまり肥沃な大地を持たず、交易で成り立っているような国です。
ですから、外国のものを上手に取り入れてアレンジする才能は高いのですが…
しかし、メンデエル料理は自国で採れるものを最大限に生かしているのが特徴なのでございます』
アウフレヒト侯爵はそう言って胸を張る。
『なるほどね』
ジェルヴェは何やら考え込みながら、ひとくちひとくち、味わっている。
『わたくしは、このルーマデュカ料理が大変気に入りましたわ』
メンデエルでは美食家で鳴らしている公爵夫人が、ほうっと満足のため息をこぼす。
『とても洗練されていて、複雑なお味…
奥が深くて飽きないですわね。
輸入物のルーマデュカ料理と称されているものとは全然違いますわ』
私は料理を食べながら不思議に思っていたことをメンデエルのコックに訊いてみる。
『このアーティチョークとか白アスパラは、どこで手に入れたの?
こちらではあまり使われないでしょう』
『さようでございます。
こういった野菜類は、伯爵様にお許しをいただきまして、お邸のお庭で自家栽培をしております』
『えっ!』
驚いてしげしげとピクルスを眺める。
『そんなことできるの?』
『かなり苦労いたしましたが…
土壌の改良や温度管理などで、なんとか食卓へお出しできるものが作れました』
『わたくしもここでやってみたいわ。
教えてくれるかしら?』
私が身を乗り出して言うと、コックは驚愕したように口を開けた。
『あ、はい、もちろんでございます、が…
王太子妃様が、でございますか?』
『もちろん、皆にも手伝ってもらうわ。
でも、メンデエルにいたころは、毎年の作物の出来不出来を知って改良点や作物の病気のことなどを管理するのも仕事の一つだったから』
「へえ、すごいなリンスターは!
私も興味が湧いてきましたよ。
陛下に城の土地を少し使っても良いか聞いてみましょう。
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併せてルーマデュカの野菜もいかがです?」
「えっ、ジェルヴェ、本当に?
わ、嬉しい。ルーマデュカのお野菜もやってみたいわ!」
私は両手を打ち合わせて喜ぶ。
「そのお顔は反則ですよ、リンスター。
可愛らしさのあまり、客人がいることも忘れてしまいそうになりますから」
臆面もないジェルヴェの言葉に、私は顔をが赤くなってしまい「やめてよこんなところで…」と口ごもるのが精一杯になってしまう。
こうして《城の庭で野菜づくり計画》は始動したのだった。
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